気がつけば11月が最終日となり明日から12月。
12月は師走と言われ、あっという間に2020年が終わってしまう予感がしますね。
今年やり残したことはないですか?すっきりやり切って2020年を締めくくりたいですね。

今月もGoodpatchで話題になったアプリやサービスをご紹介します!

アプリケーション

誰でも簡単に機械学習モデルを作れるアプリ「Lobe.ai」が公開!

https://lobe.ai

Microsoftは、2020年10月26日より、高度な専門知識を持っていない人でも機械学習モデルを簡単に作成できるアプリ「Lobe」を公開しました。現在は画像分類のみをサポートしており、取り込んだ画像が何を表しているかを示す「ラベル」を与えるだけで画像分類モデルを作成できます。また、本アプリはWindowsとMacの両方に対応しています。

AI、機械学習というキーワードを昨今よく耳にします。しかし、それらの活用方法をイメージできている人、実際に活用している人はあまり多くないのではないでしょうか。「Lobe」のようなアプリの登場は、機械学習という専門領域の敷居を下げ、身近な解決手段として機械学習を捉えるきっかけを与えてくれるかもしれません。例えば、水を飲んでいるとき、飲んでいないときを判別するモデルを「Lobe」で作成することで、デスクワーク中の水分不足を感知できるようになる、といったことがホームページで紹介されています。機械学習が一過性のブームではなく、人類にとって当たり前となる日が待ち遠しいですね。

 

株式会社newnが友達と一緒にお得な買い物を楽しむアプリ「hours」をリリース

https://note.com/ayataro48/n/n6e5b3f61d43e

株式会社newnがソーシャルコマースアプリケーション「hours」をリリースしました。「hours」は、掲載されている商品をグループ(複数人)購入することでお得に商品が買えるグループ購入型のECサービスです。2020年9月にステルスで運営を開始し、リリース後24時間で、数千ユーザーの60%以上が実際に商品をグループ購入したようです。

グループ購入は、需要の見積もりができる、先行販売、予約販売、クラウドファンディング的な側面を持っているため、消費者だけでなく売り手にもメリットがある仕組みです。こうした仕組みに加えて「hours」には、誰かと一緒に買い物を楽しむという体験価値が備わっていると言えるでしょう。newnの代表である中川氏は「自分とセンスが合う誰かが選んだ偶然の出会い、誰かと楽しむソーシャルコマースを実現したいと思っていました」と述べています。これまで日本ではことごとくソーシャル化されてこなかったコマースという巨大市場が「hours」によってどのような変化がもたらされるのか楽しみですね。

コンポーネントを状態管理できるFigmaの新機能「Variants」

https://help.figma.com/hc/en-us/articles/360055471353-Prepare-for-Variants

Figmaが新機能「Variants」をリリースしました。この「Variants」機能を使うと、様々な状態に応じたスタイルを1つのコンポーネントでまとめて管理することができます。今までは「Error」「Disable」などの状態を管理するためには複数のコンポーネントを定義する必要がありましたが、「Variants」では、1つのコンポーネントが全ての状態を持てるようになりました。

コンポーネントによってUIの部品を定義しておけば、膨大な修正を一括で済ませることができます。ですがこれまでは状態ごとにコンポーネントを一つ一つ用意する必要があり、予期せぬズレやミスが発生するリスクは拭えないままでした。しかし「Variants」を使えば、1つのコンポーネントで複数の状態を管理することができます。ボタンを例に挙げるなら、あらかじめ「Error」「Disable」など異常系のスタイルを定義しておけば、正常状態のコンポーネントを挿入した後に値を選択するだけで簡単に異常系のスタイルを変化させることができます。

この「Variants」の登場により、複数人のUIデザイナーが見た場合でも、わかりやすいデザインファイルを簡単に作ることができるようになったのではないでしょうか。

サービス

Zoomが他社製品のアプリとの連携の仕組み「Zapps」を発表

https://blog.zoom.us/introducing-zoom-apps-bringing-best-of-breed-apps-into-zoom

ビデオ会議ツール「Zoom」を提供するズーム・ビデオ・コミュニケーションズは14日、「Zapps(ザップス)」という他社ツールとの連携の仕組みを発表しました。2020年末までにサービスを始める計画で、現在チャットツールの「Slack」や書類共有ツールの「Dropbox」など、様々なツールとの協業が決まっています。Zoomプラットフォーム内で様々なツールを使用できることで、ビデオ会議全体の体験と生産性の向上が期待されます。

ビデオ会議ツールの市場は、Microsoft社のTeamsや、Google社のGoogle meetなど、IT大手企業が提供する競合の存在も大きいです。これらIT大手企業は、多くの職場向けアプリケーションを提供しており、それらの連携によってシナジーを生み出しています。これらのアプリケーション群と対抗するためにも、各用途ごとで優れたクラウドサービスを提供する企業との連携は大きな強みとなるでしょう。

同様の動きはビデオ会議ツールのみならず、どのIT市場でも起こりえるのではないでしょうか。巨大なプラットフォームを築くIT大手企業と、連携してシナジーを生み出そうとする新興企業群との戦いは、今後さらに激しさを増してくるかもしれません。

表には出ないデザインの裏話ができるオンラインデザイン展「Cocoda! Gallery」が開催

https://gallery.cocoda.design

2020年11月10日より、デザイナーコミュニティサービス「Cocoda!」によるオンラインデザイン展「Cocoda! Gallery」が開催されています。「Cocoda! Gallery」は普段見れないデザインの設計や過程などのデザインの裏話を共有し、互いに学び合える「表には出てこないデザインの裏話ができる場」がコンセプトです。

実は「Cocoda! Gallery」は最初、デザイン初学者向けのコンテンツとして企画していたそうです。しかしそれから、より多くの人が知見を広げられるような場にしたのは、現状多くのイベントや展示が中止になったという背景がありました。

「Cocoda! Gallery」を通じて、今までは学校内や社内などの自分の身近な場所でしか共有できていなかった多くの情報が、より多くの人に共有できるようになりました。
デザイナー間のコミュニケーション不足を解消するだけではなく、むしろより良いコミュニケーションの方法を提供してくれたのではないでしょうか。これからもデザイン初学者やデザイナーが「Cocoda! Gallery」で自由に情報を、互いに成長することが楽しみです。

SHOWROOM、バーティカルシアターアプリ「smash.」のサービス提供開始

https://showroom.co.jp/news/2020/1022

SHOWROOM株式会社は、2020年10月22日よりスマートフォンでの視聴に特化した、プロクオリティの短尺動画を配信するバーティカルシアターアプリ「smash.」の本格提供を開始しました。
「smash.」はスマートフォンに特化した5~10分程度の映像コンテンツを、音楽・ドラマ・アニメ・バラエティなどの幅広いジャンルで展開するバーティカルシアターアプリで、今後もさらに幅広く多様なジャンルのオリジナルコンテンツを配信していく予定です。

スマートフォンが普及し、ユーザーが自由に投稿できる形での短尺動画プラットフォームは現在多く見受けられるようになりました。しかし、スマートフォンでのプロ作品が集まる短尺動画配信プラットフォームは未だ存在していません。「smash.」の登場により、ファンはよりハイクオリティで魅力的な動画視聴を体感でき、アーティストや俳優はよりファンに近いところで活躍できる機会が増えるのではないでしょうか。次世代動画プラットフォームの今後の動きに、ファン及びアーティストからも注目が集まることでしょう。

プロダクト

バイオマテリアルを使ったファッションプロジェクト「This is GMO」

https://modern-synthesis.com

デザイナーのJen Keane率いる、Modern Synthesisは合成生物学者Marcus Walkerと協力し、微生物自身に繊維を着色させることに成功しました。Modern Synthesisはバイオマテリアルの研究開発を行う会社で、微生物を用いてスニーカーを編み上げる微生物編みという手法を確立させています。Modern Synthesisの「This is GMO」というプロジェクトでは、微生物がメラニンを使ってマテリアルを黒色に染色します。

今回注目したいのは、この微生物編みの研究をリードしているのがデザイナー兼リサーチャーのJen Keaneであることです。研究の段階からデザイナーの視点が加わることで、マテリアルの特殊さはもちろん、スニーカーとしての造形の美しさも考慮した開発を進めることができるのではないでしょうか。お洒落だから身に着けていたら、結果的に地球にも優しかった。そんな製品が今後増えていくといいですね。

Apple Silicon「M1」搭載Mac登場 MacBook Air、Mac mini、MacBook Proの3機種

https://www.apple.com/newsroom/2020/06/apple-announces-mac-transition-to-apple-silicon

米Appleは11月10日、プロセッサをIntel製から自社製のApple Siliconに切り替えた初めてのMacを発表しました。今回Macに搭載された「M1」は、iPhone 12、第4世代iPad Airに使用されているApple製SoC「A14 Bionic」を強化したものです。新型プロセッサの搭載によりMacBook AirとMacBook Pro 13はそれぞれバッテリー持続時間を大幅に伸ばし、MacBook Pro 13は最長20時間の連続動画再生を可能にしています。さらにCPUスピードは最大3.5倍、GPUは最大6倍、ML(機械学習)処理速度は最大15倍と、パフォーマンスの向上も実現しています。MacBook Airは冷却用のファンを省いた設計になっています。

これらの新製品は独自開発のプロセッサを搭載することで、大幅な省電力化とパフォーマンスの向上を両立しています。このようなプロセッサの省電力化はファンレス設計や筐体の小型化を可能にし、クリエイティブな作業をより手軽にできるコンピューターの未来を感じさせます。デバイスの進化がUIにどのような変化をもたらすのかにも注目したいですね。

展示・イベント

バーチャル渋谷でハロウィーンを開催

https://shibuya5g.org/article/virtualhelloweenfes-report

10月26日から31日の6日間に渡って、渋谷区公認のVR(仮想現実)空間内で「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」が開催されました。特設会場ではきゃりーぱみゅぱみゅのミニライブをはじめとした、音楽ライブやお笑いイベントが行われました。開催期間中には約40万人がバーチャル渋谷を訪れたそうです。

会場となったのは、KDDI、渋谷区観光協会、一般社団法人・渋谷未来デザインの三者が中心となり発足した「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の取り組みの1つである「バーチャル渋谷」です。5月に日本初の自治体公認のバーチャル空間として公開されました。同プロジェクトでは、11月7日から15日に3つのARコンテンツを宮下公園にて展開したイベントも開催されました。国内最大級のソーシャルデザインをテーマにした、東京・渋谷の都市フェス「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2020」とコラボしたものです。

こうした取り組みは、デジタル化する現代のイベントの新たな可能性を示したものになっています。今後どのようなイベントが開催されるのか楽しみですね。もしかするとバーチャル渋谷でクリスマスを過ごす人も出てくるのではないでしょうか。

 


以上、11月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

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