最近は少しずつですが暖かい日も増えてきましたね。太陽の暖かさと風の冷たさを同時に感じると、あと少しで春が訪れるということを実感し、心がポカポカする今日この頃です。
それでは早速、今月Goodpatchで話題になったアプリやサービスをご紹介します!

アプリケーション

CatlogのAndroid版アプリケーションがリリース


https://rabo.cat/news/3268

2月14日にCatlogのAndroid版アプリケーションがリリースされました。Catlogは首輪型のウェアラブルデバイスで、愛猫の歩行や走行、睡眠や飲食などの状況をスマートフォンで24時間遠隔チェックができます。2019年9月にローンチ・一般販売をはじめて以降、約4ヶ月の出荷予定数を1.5週間で達成するなど、留守中の愛猫の様子が気になるユーザーの間で大きな反響を呼んでいます。

Catlogは、ありとあらゆる所に猫へのこだわりを垣間見ることができます。例えば、今回のニュースを含む公式のリリース文には必ず「すべては、猫様のために」という文を添えて締めくくられています。

猫を飼っている人やそうでない人も、随所に散りばめられた遊び心にワクワクが止まりませんね。気になる方は、アプリケーションはもちろん、ウェブサイトやアプリケーションストアのアップデート文などから溢れ出るサービスの世界観を体感してみてください。

Tangerine


https://tangerine.app/

「Tangerine」は習慣を記録して振り返り、自分と向き合うことで毎日の幸福度を高めることができるアプリケーションです。
このアプリケーションの特にユニークな点は、ただ習慣を記録するだけではなく、その日感じた気分がどのような出来事や人間関係によって起きているのかも記録することで自分と向き合うサポートをしてくれる点です。

また、近年Tangerineのようにユーザーのマインドフルネスをサポートするアプリケーションが増加しています。AppleWatchとiOS「ヘルスケア」の連携にみられるように、ウェアラブルデバイスとマインドフルネス領域のアプリケーションが連携するプロダクトも増えてきました。
身体情報の取得技術が進歩することによって、Tangerineのようなマインドフルネス領域のアプリケーションは、さらにパーソナライズされた良い体験の提供ができるようになるかもしれませんね。

サービス

PostCoffeeの正式版がリリース、コンセプトストアもオープン


https://postcoffee.co/

POST COFFEEは2月6日にコーヒーのサブスクリプションサービス、「PostCoffee」の正式版をリリースしました。「PostCoffee」は10個の質問に答えると、約15万通りのパターンからその人の好みに合ったスペシャルティコーヒーを自宅に届けてくれるサービスです。
また、正式版のリリースに併せて、東京都目黒区に焙煎所を備えたコンセプトストアがオープンしました。ここではオンライン上での診断結果を元に、バリスタがその場でコーヒー豆を選んでくれます。バリスタから直接ドリップの方法を教わりながら試飲もできるので、自分に合ったコーヒーについてより深く知ることができます。

Postcoffeeは、パーソナライズコーヒー診断やLINEでのバリスタへの相談など、オンライン上で様々なタッチポイントがあります。そんなPostcoffeeがコンセプトストアをオープンさせたのは、「本当においしいコーヒーを実際に体験してもらうことで、このサービスのよさを分かってもらえる」と考えたからだそうです。店舗でのオフライン体験が、オンラインでの購買体験とシームレスに繋がっていくOMO(Online Merges with Offline)のような考え方を取り入れたサービスも今後増えていくのではないでしょうか。

新しいフードデリバリーサービスChompyのβ版がリリース


https://chompy.jp/

「Chompy」は、国内発の新しいフードデリバリーサービスです。 人から人へ「おいしい」を届けるというコンセプトの元、温もりを感じられるサービスを目指して作られました。現在は渋谷周辺の店舗をメインにβ版が公開され、使うことができます。アプリケーションにはお店のレビューが詳しく掲載されているほか、 グループ注文や配送料の割り勘などの機能が用意されています。また、配達はプロのクルーのみなので安心してデリバリーを頼むことができます。

仕事や家事など忙しい日々でも美味しいご飯を食べたいという願いを叶え、厳選された飲食店やプロの配達などにより、速く安く届くという体験から、人から人へ「おいしい」を届けるというコンセプトに沿った体験を得ることができそうです。現在は渋谷周辺がメインですが、今後は参加飲食店が150店舗ほど増え、エリアや時間帯も順次拡大されていく予定です。ぜひ皆さんも利用してみてはいかがでしょうか。

FacebookのNPEからHobbiがリリース


https://hob.bi/

Hobbiは、FacebookのNPEチームがリリースした実験的なアプリケーションです。NPEはNew Product Experimentation(新製品実験)の略称で、SNSでのアイデアを素早く試し、ユーザーへ届けることを目的とした組織です。

Pinterestのプラットフォームのようなこのサービスは、個人のプロジェクトや趣味を記録するために作られていることが大きな特徴です。他のユーザーと繋がるようなソーシャルネットワーク的な要素はなく、プロジェクトが完了時にハイライトビデオを作成し共有できるだけです。

SNSの台頭で個人の近況を常に公開・共有することが当たり前のなか、Hobbiは自分自身に向き合うことの重要性に改めて気づかせてくれるきっかけをもたらします。日本未発表のアプリケーションですが、早く触ってみたいですね。

プロダクト

Ball Internet Radio


https://sf-so.com/Ball-radio

「Ball Internet Radio」はサンフランシスコとソウルに拠点を置く、インダストリアルデザイナーユニットSF-SOが手掛けた、手触り感を楽しむラジオです。このラジオの上部には3つのマグネットボールがあり、ボタンやダイヤルの機能を果たし、ボールを転がしたり持ち上げることで周波数を変える事ができます。直感的に操作でき、すぐに使い方を理解することができます。

近頃、私達の生活の中で、何かを操作する時にタッチデバイスやセンサーを使うことが格段に増えました。そして、アナログ装置を使うときの手触り感や音を感じる機会が減ってしまったように感じます。「Ball Internet Radio」では、タッチパネルによる操作ではなく、あえてマグネットボールを動かすというアナログな操作によって、普段の生活の中に感じながら操作するという遊び心を取り入れました。より高度な技術化が進む社会で、五感で感じ、操作するインターフェイスに注目してみてはいかがでしょうか。

京セラ「視覚障がい者歩行支援システム」


https://www.kyocera.co.jp/rd-openinnovation/beta-project/poc_va_system.html

京セラは、駅のホームなどで視覚障がい者の安全な歩行をサポートする「視覚障がい者歩行支援システム」を発表しました。RFIDと振動・音声による情報伝達が可能な「スマート白杖(はくじょう)」を組み合わせることでこの「視覚障がい者歩行支援システム」を実現しています。

視覚障がい者のホームからの転落・接触事故を防ぐための施策として現在はホームドアの設置が進められていますが、これには多額の費用が必要です。それに対してこの「視覚障がい者歩行支援システム」は、RFIDなどの技術を用いて比較的安価に素早く社会実装をすることを目指しています。ユーザー視点と技術を組み合わせてハンデを持つ人々をサポートするための方法を模索する良い例なのではないでしょか。

後述するGoogleの「Soli」のように、デジタル技術の発展によって小型かつ高性能なデバイスがどんどん誕生してきています。これらの技術を用いたプロダクト・デザインによって、障がい者も不自由なく生活できる社会に近づけるのではないでしょうか。

Googleの研究開発プロジェクト「Soli」


https://atap.google.com/soli/

Googleの研究開発プロジェクト「Soli」で生まれたセンサーである「Soliレーダー」の使用が、日本でも認可されました。これにより、Google謹製のスマートフォン「Pixel 4 / Pixel 4 XL」の日本版でもMotion SenseなどのSoliレーダーを利用した機能が使えるようになりました。
2015年に開発が始まったSoliレーダーは、小型化やセンシングの精度向上、省電力化が進んだことで近年かなり実用的になってきています。

Soliレーダーは、人の「近くにいる」「複数人いる」「座っている」といった状態を感知する他、近づいている・覗いているといった人の動作まで検出できるように設計されています。そのため、より自然なジェスチャーやボディランゲージでインタラクションを行えるそうです。この機能により、人から機械に何かを入力しなくても、自然に過ごすだけで人の様々な状況を読み取ってくれます。

Soliレーダーのようなセンシング技術と近年注目されているVUI(Voice User Interface)やARの組み合わせのように、物理的な接触が必要ない技術同士が融合していくことで、いよいよSF映画にあるような新しいデバイスの誕生も現実味を帯びてきて、非常に楽しみです。

その他

JetBrains Mono


https://www.jetbrains.com/lp/mono/

開発者向けツール制作会社のJetBrainsは新しいフォント「JetBrains Mono」をリリースしました。JetBrains Monoは、統合開発環境(IDE)におけるソースコードの読みやすさを追求して制作されました。搭載されているフォントは、シンプルなフォーム、等幅、数字の1・小文字のL・大文字のIなどの文字の区別が付きやすいなどの特徴を持っています。

JetBrainsはソフトウェアを通して開発者体験を向上させることを大切にしている会社です。その会社が開発者体験を向上させるという目標のために、ソフトウェアではなくフォントの制作に取り組んだことは非常に興味深い事例ではないでしょうか。目標を達成するために、領域を越える姿勢は多くのデザイナーの参考になると考えられます。

また、JetBrains Monoの公式サイトはフォントの魅力を正確に伝えながらも、アニメーションやインタラクションにはたくさんの遊び心が溢れているものとなっています。ぜひアクセスしてフォントに込められた想いに触れてみてはいかがでしょうか。

Google Mapsのアイコンがリデザイン


https://blog.google/products/maps/maps-15th-birthday/

2月6日、Googleは「Google Maps」アプリのアイコンをリデザインしました。従来のアイコンは地図をモチーフにしていましたが、新しいアイコンは「ピン」をモチーフにしています。

リリース当初のGoogle Mapsは「目的地に案内すること」を価値とする、道を示すためのサービスでした。一方でサービスが拡大するにつれ、その価値は「新しい場所・体験の情報を伝えること」に変化し、この価値を実現するための様々な機能が追加されました。今回のリデザインには、地図というメタファーだけでは表現できない程に成長したGoogle Mapsを再解釈するという意味も込められているのではないでしょうか。

この先、Google Mapsのように技術の進歩・市場の変化によって、サービスの形がリリース前後で大きく変化するケースがより増加すると考えられます。
デザイナーにはこの変化をいち早く理解し、サービスの価値や在り方を再解釈する力が必要となるのではないでしょうか。


以上、2月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

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