新しいものが大好きなGoodpatchで6月に話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2019)
いよいよ梅雨に入り雨続きの合間に暑い日が来る季節になりましたね。これからの暑さに備えつつ、皆さんはどんなアイディアで雨を楽しんで過ごしていますか?
さっそく、今月Goodpatchで話題になったプロダクトやサービス、デザインをご紹介したいと思います。
過去の月間まとめはコチラからどうぞ。
目次
アプリ
Spotify Stations
https://support.spotify.com/au/using_spotify/features/stations/
Spotifyが、アメリカで簡易的な音楽ストリーミング視聴アプリ「Stations」をリリースしました。同アプリは2018年にオーストラリアでリリースされていましたが、今月からアメリカでもサービスの提供が開始されました。このアプリは音楽ラジオのようなサービスです。元々の「Spotify」は多くの選択肢の中から半ば能動的に音楽を発見するサービスなのに対し、「Stations」は起動してすぐに音楽を聴き始めることができるシンプルな体験を提供するサービスとなっています。
個人的に、今まで通り音楽を発見したり聴いたりする場合は「Spotify」、ただBGMとして音楽を聴きたい場合は「Stations」というように、利用するシーンによって「Spotify」と「Stations」を使い分けたいと思いました。
Spotifyは「Stations」について、
“Stations is an experiment by Spotify, and we’re always looking for ways to make it better.”
「StationsはSpotifyによる実験であり、我々は常にそれをより良くする方法を探しています。」
という声明を出しています。Spotifyのプロトタイピングによってユーザーと共にサービスを作り上げていく姿勢はラバブルなプロダクトを作り出す上で大事なことだと思いました。現在「Stations」は、日本のストアでリリースされていませんが、音楽体験に関する実験として目が離せません。
プロダクト
Google Nest Hub
https://store.google.com/jp/product/google_nest_hub
6月12日、スマートホームデバイス「Google Nest Hub」が日本で発売されました。「Google Nest Hub」はディスプレイ付きスマートスピーカーとも言えるもので、音声コントロールをメインにタッチ操作にも対応しています。
基本的な機能はGoogle Homeシリーズと同じですが、ディスプレイがあることでYouTubeを見たり、レシピを見たりできるなど、これまでのスマートスピーカーの痒いところに手が届いたモノになっています。
今までは朝起きたときに音声だけで天気やニュースを聞いていましたが、寝起きだと聞き逃すことが多く、もう1度聞いたりスマホで確認し直したりすることがありました。これらの体験はディスプレイがつくことで改善できるので、これまでよりも生活に馴染むのではないでしょうか。
Ontenna
「Ontenna(オンテナ)」は、髪の毛や耳たぶ、襟元や袖口などに身に着け、振動と光によって音の特徴を体で感じる全く新しいユーザインターフェイスです。ろう者と健聴者がともに楽しむ未来を目指し、ろう者と協同で開発されています。
プロジェクトリーダーの本多達也氏が学生時代から実際にろう者と活動を共にする中で、長い年月をかけて開発されたプロダクトです。ろう学校の教育現場をはじめ、スポーツ観戦やコンサート、タップダンス鑑賞など様々な環境で「Ontenna」を活用した実証を重ね、開発されています。
この徹底的に利用者に寄り添い共創していくプロセスは、デザインに携わる人なら誰もが参考になるものだと思います。
ハイブリットインスタントカメラ instax mini Liplay
https://instax.jp/mini_liplay/
富士フイルム株式会社から、チェキの愛称で近年人気が再熱しているインスタントカメラinstaxシリーズの新たなラインアップとして、伝えたいメッセージなどの音声をQRコード化して写真とともにプリントできる「instax mini LiPlay(リプレイ)」が発売されました。音声は最大10秒間録音することができ、印刷されたQRコードを読み取ることで音声を再生できます。また、アプリと連動することでカメラから離れた場所でも撮影できるリモート機能などがあります。そして、全6種類のフィルター加工と全30種類のデザインフレームによるデコレーションによってオリジナルの写真を楽しく仕上げることができます。
SNS上で写真が共有されることが主流となっている今、あえて写真をプリントして共有したり残す楽しさがありますね。さらに、チェキならではのアナログの良さを残しつつ、LCDモニターによって何度でも撮影・確認できるためフィルムを無駄にせず、初心者でも失敗を恐れずに気軽に撮影を楽しめます。皆さんも何気ない日常や特別なシーンを新時代のチェキによって残したり、大切な人たちと思い出を共有してみてはいかがでしょう。
サービス
Firefox リブランディング
https://blog.mozilla.org/opendesign/firefox-the-evolution-of-a-brand/
「Firefox」を開発・提供する団体であるMozillaは、「Firefox Browser」、「Lockwise(パスワードマネージャー)」、「Send(プライベートファイル共有サービス)」、「Monitor(メールアドレスの漏洩確認サービス)」のロゴをリデザインしました。これまでの「Firefox」のロゴは、名前にも入っているキツネ(fox)が描かれていましたが、今回のリデザインではキツネの尻尾の要素のみが残されました。
「Firefox」は今回のロゴの一新に留まらず、タイポグラフィ、グラフィックパターン、モーション、ネーミングのリデザインを行い、総合的なブランドエクスペリエンスを形成するそうです。今後更にBIデザインに磨きがかかるとのことで、Goodpatchでも注目が集まっています。今回リデザインされたロゴは今秋のアップデートにて切り替わるので、アップデートが今から楽しみですね!
モノ払い
「CASH」を運営する株式会社バンクが、モノでモノを購入できるサービス「モノ払い」をリリースしました。
「モノ払い」とは、商品の支払い方法の1つです。支払い時に「モノ払い」を選び、査定するモノのブランドやカテゴリなどを選びます。そして不要なモノの写真を撮ることで査定され、その結果を見て、支払いをします。
「モノ払い」の現金を極力介さない取引には興味が湧きます。
従来の「モノ→お金→モノ」という手順が省略され「モノ→モノ」になることで、購買がしやすくなるのか、なにでなにが購入できるのか、どんなものが価値を持っていてどんなものが価値を持っていないと判断するのかなど気になることがたくさんあります。現時点では「エアトリ」での支払い時に利用できるようです。また、今後ナノ・ユニバースの自社ECサイトでの支払いにも対応予定とのことです。
SHAPE
IDEOからビジュアルコラボレーションツールの「SHAPE」がリリースされました。IDEOが長年オープンイノベーションに取り組んできた経験と、難解な課題の解決に取り組むチームが抱くニーズや困難のインサイトを掘り下げた成果を凝縮したプロダクトです。アイディエーションに始まり、ユーザーとのテストやフィードバックまで、デザインプロセスにおけるタスクを網羅的に行うことができます。
「SHAPE」を使えば複数人でリアルタイムでコラボレーションすることができるので、フレキシブルで生産性の高いチームを作ったり、より多くの価値を持つプロダクトのデザインに大きく貢献するのではないでしょうか。初月はユーザーによる費用の負担なしで利用することが可能です。是非、次世代のコラボレーションツールに触れてみてはいかがでしょうか。
メルカリエコパック
https://about.mercari.com/sustainability/recycling/eco-pack/
株式会社メルカリは、世界環境デーに合わせ、「捨てるをなくす」社会の実現に向けた繰り返し利用可能な梱包材「メルカリエコパック」の提供を開始しました。テントなどで使用するターポリン素材を採用し、繰り返し使える梱包材として開発されました。「メルカリ」の普及によって、本来捨てられていたものに新たな価値が生まれ、モノの循環が進んでいますが、「メルカリエコパック」によって更に「捨てるをなくす」社会の実現に一歩前進することになります。
裏面には日付と県名を記入できるようになっており、このメルカリエコパックがどこから来て、どこへ向かうのかが分かるようになっているなど、ユーザーに繰り返し使ってもらうためのデザインも秀逸です。商品も梱包材も再利用でき、モノが循環していく社会が少しずつ実現してきていてワクワクしますね。
イベント
WWDC2019
https://developer.apple.com/wwdc19/
WWDC2019が6月3日から7日まで、サンノゼで開催されました。新しいダークモードへの対応やFace IDの認識速度強化などが含まれるiOS13や、iPad専用のiPadOS、新macOSのCatalina、新デザインのMac Proなどこの他にも盛り沢山の発表がありました。特にこれまでのUIKitに変わるUI構築フレームワークであるSwiftUIにも注目が集まりました。
これらの新しい開発環境に関する情報がAppleから発信されています。SwiftUIの公式チュートリアルである「SwiftUI Tutorials」や、iOS13のダークモード対応がこれからのiOSのUIデザインにおいてどのような影響を与えるかが語られている講演である「What’s New in iOS Design」、その他の情報についてもWWDCで行われた講演からキャッチアップできます。ソフトウェアのデザインにおいて、実現するための技術や、環境について理解することは重要です。是非これからの新しいデザイン環境のキャッチアップをしてみてはいかがでしょうか。
On-Screen Typography Day 2019
ウェブを中心としたオンスクリーンメディアにおけるタイポグラフィについて聞き、話し、考える場である「ON-SCREEN TYPOGRAPHY DAY2019」が開催されました。当日はデザイナーとして日々、素直に「伝える」ことに向き合う登壇者が集い、セッションが行われました。各セッションではWebタイポグラフィの実装の未来についてや、編集をする中でのコンテキストの設計や向き合い方、距離と時間をテーマにデザイン・文字・未知への関わりについて等の内容が取り上げられました。
タイポグラフィについての話題を主題とするイベントでしたが、タイポグラフィのみならず、アクセシビリティやコミュニケーション、HTMLを書く意味、情報を伝えること、具体化と抽象化についてなど、どのセッションも多岐に渡る視点で語られるものばかりでした。
日頃からタイポグラフィを用いて情報を伝える仕事を担うGoodpatchからも多くのメンバーが参加し、タイポグラフィへの向き合い方ついて改めて考える場となりました。
以上、6月に話題になったアプリ、サービス、デザインをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!