新型コロナウイルスが流行する今、デザインの力でできること。「たたかえ!ドクタージョーキンドリル」に込めた想い
目次
今、デザインの力でできることを考える
Goodpatchには、「ハートを揺さぶり続けるデザイン」を生み出すことを掲げる、Creative Design Unitというデザイン組織があります。組織は複数のチームで構成しており、「Software」「Brand」「Visual」という3つのスペシャリティの強化を目指し、日々業務を行っています。
その中の「Visual」を強みとするビジュアルデザインチーム内で、「今デザインの力でできることはないか?」という声があがり、「今の世の中の問題を、少しでも解決できるようなアウトプットを生みだそう」という想いのもと、今回のプロジェクトがスタートしました。
新型コロナウイルスが猛威をふるい、緊急事態宣言が発令された4月前半から、現在までの約2ヶ月間。チームメンバー9名でアイディアを出し合い、Goodpatchの一員として、そしてデザイナーとして、今私たちにできることを考えました。プロジェクト自体は、緊急事態宣言をうけてオフィスへ出勤できない期間が重なっていたため、全てオンラインで取り組みました。
子ども向け学習ドリルを作ろう!
プロジェクトがスタートした4月前半。都内の新型コロナウイルスの感染者数が増え続け、感染拡大を防止するため、政府から緊急事態宣言が発令された時期です。チームメンバーもみんな自宅からリモートで働き、「これからどうなるんだろう?」という会話をしていました。
「ステイホーム」や「ソーシャルディスタンス」などの言葉を日常でよく耳にするようになってきたのも、ちょうどこの時期だったように思います。すでにデザイナーやクリエイターによって、それらを促すポスターや、SNSでの活動が世に出はじめていました。また、店舗側がダウンロードして使用できるテイクアウトのポスターや、マスクの型紙など、少しでも世の中を助けようとするアイディアたちが、さまざまな方向から発信されていました。
チーム内でそれらのキャッチアップを行い、チャットやオンラインミーティングなどで意見交換を行いながら、「今私たちにできることはないか?」ということをテーマにアイディアを出しました。
その中で出てきたアイディアをまとめていくと、子供向けのコンテンツが少ないことに気づきました。また、チーム内で小学生のお子さんをもつデザイナーの、「家にずっといる子どもとの、毎日の過ごし方に困っている」というペインもあり、この問題を解決できないか?という気持ちがメンバー内で一致しました。
ずっと家にいる子どもたちが少しでも時間を潰せて、親御さんたちも楽になる解決案を出したい。子どもたちに、なぜ家にいなければならないのか?という理由を学んで欲しい。それを学べるコンテンツは、少しでも楽しいものにしたい。
そんな想いをチームみんなでまとめていくと、ストーリー形式で学べる「子ども向け学習ドリル」というアイディアに着地しました。ここから、プロジェクトが本格的にスタートしました。
学習ドリル制作の進め方
チームでアイデア出し
まずはチームメンバーでそれぞれ案を考えていきました。どのようなストーリーを伝えるべきか、どんなキャラクターが誕生するのか、どのような問題を提供したら子どもたちが楽しくドリルを解いてくれるのか。みんなで話し合いながら案を絞っていき、ラフを描き起こして少しずつアウトプットを明確にしていきました。
ターゲットを絞って設計
子供が理解しやすい文章を書くために、ターゲットを絞りました。目安として小学生前半を軸として、文字の書き方や絵のテイストを調整していきました。
デザイン要素を整理
みんなのアイディア出しによりドリルの方向性が決まったので、作り込み作業を始める前に、道しるべになるコンセプトを決めました。
子供に楽しく、分かりやすくコロナウイルスについて知ってもらう
このコンセプトに合わせてドリルの内容を微調整していき、全体像のラフが出来上がりました。さて、これからが大仕事です。キャラの作り込み、ストーリーのネーム、ドリルの内容、ロゴなど、作る要素がたくさんあります。ここでメンバーの担当を決めました。全体を俯瞰して一貫性があるかどうか確認してくれるアートディレクターも決めて、各々作業に取り掛かりました。
実際の作業
キャラクター
キャラクター案はたくさんありましたが、一番小学生に「かっこいい!」と思ってもらえる案を採用し、形や色などを詰めていきました。
コロナウイルスを倒すために、普段は優しいお医者さんが、ドクタージョーキン()に変身するという設定です。変身前と変身後のギャップをいかに作るか、どのような形で変身するのか。マスクやゴーグルの着用など、細かいとこまで詰めていきました。
お医者さん要素とヒーロー要素がほどよいカラー配分はどれか?という議論は特に盛り上がりました。Aの案だとドクター感が薄いが、Dの案だと強すぎる。ホワイトカラーの微調整を細かく行いました。
コロナウイルスたちも、ウイルスらしく頭にたくさんトゲを生やしてみたり、悪い存在に見せるため形や顔、色などをブラッシュアップしていきました。
ストーリー
子どもにとって一番話の内容が分かりやすくなるストーリー構成も考えました。絵本にしようというアイディアもありましたが、ターゲットである小学生がワクワクするのは漫画でしょ!ということで、シンプルな漫画を作ることになりました。漫画を作るときはまずネームから。チームで漫画で伝えたいメッセージを考えた後、ネーム担当が大体のストーリーの流れとコマ割りを作成しました。
このネームを元にどんどん漫画の肉付けが進みました。
ストーリーのはじまりは、怖ーいコロナウイルスたちがみんなの邪魔をする!というシーンから。
ここからさらに仕上げ担当、背景担当、色塗り担当に振り分けを行い、どんどん漫画のクオリティを上げていきました。セリフの内容や書き方、書体などにもこだわり、漫画が仕上がりました。
ドリル
読んでくれる子どもたちが、どうコロナウイルスと向き合っていくべきなのか?
正しくコロナウイルスについて理解してもらうために、コロナウイルスについてのドリルをいくつか作りました。これも内容担当、デザイン担当、イラスト担当に分かれ、見事な連携プレーで形になっていきました。
漫画やキャラに合わせた色合いを採用し、全体の統一感を大切にしながら、対象年齢に合わせたドリル設計を心がけました。コロナウイルス対策として子供ができること、子供に知ってほしいことをまとめ、いかに楽しく、分かりやすくなるかを常に考えながら作成しました。
ロゴ・表紙
このドリルの顔となる表紙は、たくさんのドリル集を参考にしながらデザインしていきました。キャラのキメポーズを中心に周りの要素も作り、ラフからどんどん磨き上げていきました。
アートディレクターの細かいディテールを見逃さないディレクション力のおかげで、一貫性のあるワクワクするような表紙が出来上がりました。
こうして、それぞれの担当者のアウトプットを合体させ、1つのドリル本にまとめることができました。
「たたかえ!ドクタージョーキンドリル」第一話の完成!
まだまだ世の中のコロナウイルスは撃退できていません。そんな中で子供たちに楽しく、分かりやすくコロナウイルス感染予防について知ってもらうために、私たちは心を込めてこのドリルを作成しました。みんなドクタージョーキンと一緒に頑張ろう!
ドリルは以下のリンクからダウンロードが可能です!
たたかえ!ドクタージョーキンドリル
これからも出していくぞ!
ドクタージョーキンの戦いはまだまだ続きます。これからもストーリーの続き、より知識を深めるためのドリルを公開していくので、みなさんお楽しみに!