UXデザイナーが理解しておきたい6つのキーワード

みなさんはUXをはじめとする、デザイン業界で利用される用語の定義を誰かに説明した経験はありますでしょうか?

特にUXという用語は、さまざまな文脈で利用され、定義が曖昧になりやすいために説明が難しいかと思います。本記事では、UI、UX、UXデザイン、人間中心設計、デザイン思考、ユーザビリティという用語を説明します。

用語の定義が曖昧なまま、プロジェクトを進めてしまうと、メンバー間で認識の齟齬が発生する恐れがあります。お互いの期待値が擦り合っていない状態で進むことで、のちにトラブルになる場合も少なくありません。Goodpatchではクライアントワークを行っているため、用語の使い方は意識的に気をつけています。

私は、定義があいまいな用語は、少なくともチーム内、プロジェクト内、企業内では定義をはっきりさせておくことが重要だと考えています。UXなどは色々な解釈ができるため、プロジェクトごとに検討、定義した方がいい場合もあります。世の中的に正しい正しくないというよりは、用語の定義が共通認識になっていることのほうが重要と言えるでしょう。

本記事では、以下6つの用語についてご紹介します。

  • UI(User Interface)
  • UX(User Experience)
  • UXデザイン
  • 人間中心設計
  • デザイン思考
  • ユーザビリティ

より理解しやすくするために、それぞれの関係性を図解しながら順番に解説していきます。

UI(User Interface)

UI(User Interface)とは、ユーザーと何かを繋ぐ接点のことを指します。ユーザーが認知し、使用する部分すべてをUIと言うことができます。

他にも、ソフト同士を繋ぐソフトウェアインターフェイスやハード同士を繋ぐハードウェアインターフェースがあります。UIの中にも、CUI(Character User Interface)やGUI(Graphical User Interface)やVUI(Voice User Interface)がありますが、GoodpatchにおいてUIと言う場合は、アプリやWebサイトの画面のことを指す場合が多くなっています。

UIは、図1のように表現できます。

図1:UIの関係性

UX(User Experience)

UX(User Experience)とは、「ユーザーの体験」と訳すことができます。もう少し説明を加えると「主観的・時間的・状況的側面を含むユーザーの体験」と言えます。UXの定義は世の中にいくつもありますが、主観的・時間的・状況的要素が含まれているとことが、UXについて語れている状態だと思います。

主観的側面

ユーザーが製品やサービスを体験することで、どのような感情や評価を抱くかを考慮することになります。ユーザーごとに感情や評価に違いが出る可能性があります。Aさんにとっては良い体験が、Bさんにとっても良い体験とは限りません。

時間的側面

製品やサービスの、利用前・利用中・利用後・⻑く体験する期間、その全てにおいて抱く感情や評価を考慮することになります。例えば、アプリを利用している時だけでなく、その前後や、そのサービスに費やした全ての時間が対象になります。

状況的側面

ユーザーが製品やサービスを体験する環境や状況を考慮することになります。例えば、屋外で利用するのか屋内で利用するのか、といったユーザーの多様な利用文脈の考慮が重要になります。

さきほどの図1:UIの関係性にUXを追加すると、図2のように表現できます。UXは、ユーザーが製品・サービスを利用して得られる体験全てを表します。

図2:UXの関係性

UXを定義している事例をいくつかご紹介します。

ISO9241-210の定義

製品やシステムやサービスを利用した時、および/または その利用を予測した時に生じる人々の知覚や反応

ジェームズ・ギャレットのUX5階層モデル

図3:UX5階層モデル

5階層モデルは、アプリやWebサイトを制作するフローに沿っているため、実務に活かしやすいフレームワークになっています。戦略・要件をUX、構造・骨格・表層をUIとして理解すると、わかりやすいかと思います。

UX白書の期間モデル

図4:UX白書の期間モデル

サービスや製品の利用前・利用中・利用後・利用時間全体、それぞれに対してユーザー体験を考慮することが重要であると述べています。

UXデザイン

UXデザインとは、ユーザーに優れた体験を提供することを目的としたデザイン方法論になります。ユーザーがうれしいと感じるような体験を作り出すことが、UXデザイナーの使命と言ってよいでしょう。

ペルソナやカスタマージャーニーマップも、優れた体験を提供することを目標に用いられる手法の1つです。

さきほどの図2:UIの関係性にUXデザインを追加すると、図5のように表現できます。UXデザイナーが、UXデザインという方法論を用いてユーザー体験を提供している状態です。

図5:UXデザインの関係性

人間中心設計

HCD(Human Centered Design)と呼ぶ場合もありますが、人間中心設計はUXデザインの意味に近いものとして捉えてしまって良いです。

人間(ユーザー)を中心としたもの作りにおける設計プロセスで、イギリスのブライアン・シャッケル(人間工学)の考え方がベースとなっています。国際規格ISOで定義(ISO13407から現在は、ISO9241-210で定義)されています。ちなみに、日本ではHCD-netというNPO法人があります。

人間中心設計の各活動における関係性、プロセスは図6のようになります。

図6:人間中心設計のプロセス図

さきほどの図5:UXデザインの関係性に追加すると、図7のように表現できます。UXデザイン ≒ 人間中心設計としています。

図7:人間中心設計の関係性

デザイン思考

デザイン分野だけでなく、企業戦略や組織運営など様々な分野で 活用できるデザイナー的思考のことになります。デザイン思考ではなく、デザイナー的思考と表現した方がわかりやすいかと思います。

デザイナー的思考とは以下のような思想、価値観を指しています。

  • ユーザー視点で考える
  • プロセス(観察、アイデア創出、プロトタイプ、検証)を反復する
  • 問題の本質を探る
  • 一つの問題に対して複数の解決方法を考える
  • 自由な発想からスタートする
  • 素早く視覚化する
  • シンプルにする
  • チーム間のコミュニケーションを重視する

さきほどの図7に追加すると、図8のように表現できます。デザイン思考は、UXデザイナーの思想、価値観といってよいかと思います。

図8:デザイン思考の関係性

ユーザビリティ

国際規格ISO 9241-11で、ユーザビリティは「ある製品が特定の利用者によって特定の状況下で特定の目的を達成するために用いられる際の有効さ、効率、満足度の度合い」と定義されています。

ユーザービリティが良い悪いという発言をする時は、誰がどういう状況で何を目的にしているのかが決まっていないと評価できません。また、評価する指標として「有効さ」「効率」「満足度」が挙げられています。

有効さ

目標を達成できたかどうかになります。例えば「5人中4人が会員登録ができた」という場合を指します。

効率

目標を達成するために費やした資源になります。例えば、会員登録が完了するまでにユーザーは平均2分費やしたという場合を指します。

満足度

使用する際の不快感のなさ、および肯定的な態度になります。例えば「このサービスをまた使いたいと思う人は6割いた」という場合を指します。

さきほどの図8に追加すると、図9のように表現できます。

図9:ユーザビリティの関係性

UI、UX、UXデザイン、人間中心設計、デザイン思考、ユーザビリティの関係性がお分かりいただけるでしょうか。有効さと効率はUIに依存する部分が多く、満足度は体験の総合的な評価なので、UXに依存すると言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?用語の定義をチーム内で揃えることで、最終的にプロダクトのクオリティーにも影響すると私は考えています。ぜひ、チーム内や企業内で、あいまいな用語の定義をしてみてください!

UI、UX、UXデザイン、人間中心設計、デザイン思考、ユーザビリティをもっと詳しく知りたい方には、以下2冊の本をオススメします。

UXデザインの教科書

UXデザインの教科書

デザイン思考が世界を変える

デザイン思考が世界を変える


最後になりますが、Goodpatchでは、企業のデザインパートナーとして、サービス設計の根本から、ユーザーが実際に利用するものを届けるまでをお手伝いしております!ご興味がある方は、ぜひお気軽にお声がけください。

ABOUTこの記事をかいた人

北村 篤志

2016年3月Goodpatchにジョイン。マネージャーとして組織デザインに取り組みつつ、自らもUXデザイナーとして様々なプロジェクトに携わる。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。
  • Goodpatch Blog