VUCA時代に向き合うべきこと

耐える人生か。選ぶ人生か。
前向きに「諦める」ことから、自分らしい人生が開けてくる。

諦めることは、逃げることにあらず。
与えられた現実を直視し、限られた人生を思い切り生きるために、
よりよい選択を重ねていくことこそが「諦める」ことの本質である。

オリンピックに3度出場したトップアスリート・為末大氏の言葉です。
結果に対する向き合い方が、とても人間らしく表現されている言葉ではないでしょうか。

『デザインとの向き合い方』を考えるにあるように、デザイナーにも人それぞれ「デザインへの向き合い方」があると思います。

デザインは実際にユーザーに見てもらう、触れてもらうまで結果はわかりません。
そしてその結果は、時として残酷な結果をもたらすこともあるのも現実です。

今の時代を表現するキーワードとして、”VUCA”という言葉があります。
VUCAは、

  • Volatility(変動性・不安定さ)
  • Uncertainty(不確実性・不確定さ)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

の頭文字をとった造語で、1990年代にはアメリカの国防総省で「予測不能な時代」を指す言葉として使われたのが語源と言われています。

多くのデザイナーが、”不安や迷い”と向き合いながら判断を積み重ねていくことによって、デザインはカタチになっていきます。その”不安や迷い”と、どう向き合うべきか。

予測不可能な時代の中で、不安や迷いとどう向き合いながらデザインを進めていくべきか、クライアントワーク部門のマネジメントに関わる自分なりの考えをご紹介します。

1)「目的の解釈」を合わせる


ほとんどのプロジェクトにおいて、プロジェクトの目的が設定されると思います。しかしその粒度は、企業・事業・サービスによって様々です。そして目的は、プロジェクトに関わる人によって解釈が異なるという事態が頻繁に起こります。目的は一つでも、立場の違いによって解釈の違いは発生します。この解釈の違いが、”不安や迷い”を生む要因の一つではないでしょうか。
理想を言うと、目的は解釈の違いを生まないほどにシャープであるべきです。しかしながら現実を直視すると、解釈の違いは発生します。その現実との向き合い方として、解釈の違いを”プロジェクトのポテンシャルを表すもの”と捉える様にしています。

プロジェクトメンバー間で目的の解釈を合わせる必要がある際に、”解釈の違いを正す”となると、あたかも犯人探しが始まるような印象を受けます。
そこで、”ポテンシャルを絞る”という捉え方をすることで、プロジェクトのポテンシャルを楽しみながら、ポジティブに解釈を合わせることができると考えています。

2)「What if」を考える

「What if」= 「もし~ならどうする?」「もし~ならどうなる?」

価値創造や課題解決のアイデアを生み出す際には、「本当にこれでいいのか?」、「何が正しいのか?」といった様に、”不安や迷い”を抱えながら、判断が困難な状況で一つの正解を探しがちです。
しかしながら、ユーザーさえも答えを持っていないと言うのが現実です。そんな時の考え方として、「What if」を活用する様にしています。

「もし〇〇なら、(ユーザーは)どうする?」

その正解は一つでは無いはずです。
「〇〇となる or 〇〇ができる」といったかたちでアイデアの実現を前提に考えてみると、そのアイデアのポテンシャルが見えてきます。そのポテンシャルを元に、何を優先とするのか、進むべき方向をプロジェクトの目的に応じて判断することができると考えています。

3)「未来をリサーチ」する


デザインは価値創造や課題解決の手段であり、デザインが生み出す価値やソリューションは新たな未来を創り出します。その実現に向けて、ユーザーリサーチ、マーケットリサーチなど、多くのリサーチを行います。価値創造や課題解決には、ユーザーのインサイト抽出、マーケット選定・ポジショニングなど、様々な現状を捉える必要があるためです。

一方で、事業やサービスがローンチされる際の未来を捉える事も大切です。事業やサービスがどのような世界をつくるのか、事業やサービスが置かれる世界はどんな世界か、「ものづくりとものがたり」は両輪です。しかし、未来を予測することは困難です。さらには、いくら時間をかけて未来のあるべき世界を考えたとしても、「具現化=言語化+ビジュアライズ」ができていなければ、議論やイメージは生まれにくくなってしまいます。

では、どの様に未来を描くべきか?
より鮮明に具現化するために、描く未来に具体的なモノを登場させる事を大切にしています。描く未来では、どんなモノが変わっていて、どんなモノが変わっていないのか、変化に富んだ要素と不変的な要素を登場させ、「具現化=言語化+ビジュアライズ」を進めます。例えば、デジタルデバイスやモビリティが格段に進化した未来でも、コカコーラは今と変わらずに存在しているかもしれません。そんな未来の世界観に事業やサービスを落とし込んでみる、それによって描いていた未来の解像度を高めることができると考えています。

まとめ

VUCA時代と呼ばれ、予測不可能かつ変化のスピードが早い今を生きるには、“確かではないことに対する強さ”が求められているのかもしれません。

その強さとは、「不安や迷いと向き合いながら適応すること」、さらには「起きた事を現実として受け止め、複雑な制約の中でもより良い選択を重ねるための準備をし続けること」と自分なりに解釈しています。目的の解釈を合わせる、What ifを考える、未来をリサーチする、といったアクションは、より良い選択を重ねるための準備に繋がります。

現実を受け止め楽しむ、「耐える」よりも「選ぶ」、それがこの時代を生きる人間らしくデザインするために、必要なことではないでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

OhyamaTsubasa

Design Directorとして、クライアントワーク部門のマネジメントをしています。
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