UX Design Meetupとは

みなさんの会社にUXデザイナーは何人いますか?同じ会社に、UXデザイナーが何人もいる状況は少ないのではないでしょうか?
UXデザイナーとは、プロダクトの戦略策定を含む上流工程の設計から、ユーザーインタビュー、ペルソナ定義、カスタマージャーニーマップなどを用いて体験をデザインする職種です。チームとして、UIデザイナーやエンジニアと働く機会が多いことも特徴ですが、UXデザイナーとして働く人はまだまだ少なく、企業でのUXデザイナーの需要は日々高まっています。

今回はUXデザイナーとしてキャリアアップしたい人のために、横でコミュニケーションを取るためにミートアップを開催しました。

登壇者は、グッドパッチがクライアントワークでプロトタイピングをお手伝いさせていただいたUnipos株式会社 CXOの矢口 亮太郎さん、そして株式会社グッドパッチ DesignDiv. PM/UXデザイナーの角野 敦史を迎え、UXデザイナーが実践しているチームデザインのポイントを話してもらいました!

チームにおけるUXデザイナーの役割や、チームでコラボレーションするポイントや、クライアントとの関係値の作り方、ユーザーとのコミュニケーション方法など、実務で活かせるTipsを丸ごとレポートとしてお届けします!

Unipos株式会社 CXO | 矢口 亮太郎 さん「新規事業の組織デザインへの道のり」

Fringe81株式会社の子会社であるUnipos株式会社CXOの矢口さんは前職でWebデザイナーをしており、Fringe81入社後に本格的にUXデザインを始められました。そんな矢口さんが新規事業であるUniposチームをどのように1から立ち上げ、デザインしていったのかを伺いました。

Uniposとは、ピアボーナスという従業員同士で送り合う少額のボーナスの仕組みを簡単に実現するWebサービスです。Uniposを使えば日常的に、感謝の気持ちとして少額のボーナスを、気軽に同僚同士で送り合うことができます。これまで目立たなかった縁の下の力持ちの人たちがもっと評価されるように、Uniposは「すべての働く人にスポットライトを」というミッションを掲げています。

Uniposチームデザインで工夫してきたこと

皆さん、こんな体験したことありませんか?

  1. ユーザー視点がなく、発散するだけのミーティングに時間を奪われる
  2. チームメンバーが作りたい機能を主張するだけで、適切な意思決定ができない
  3. Sales/CS/PR/開発/デザインなど、各セクションの視点が合わずに議論がまとまらない
  4. 論点が曖昧なため、ミーティング終了後に議論の穴が見つかり、ミーティングが振り出しに戻る
  5. エンジニア側が手すきになるという理由でUXデザインプロセスなしにいきなり要件定義が始まる
  6. ビジネス側に顧客要望をそのまま作るように指示される

こういったものは新規事業あるあるとしてよく耳にしますが、私も経験しました。
Uniposの親会社であるFringe81は、元々エンジニアが強い会社で、デザイナーは少数、UXデザインの知見もありませんでした。
Unipos立ち上げ時にFringe81のCOOに召集されたメンバーは3人。その3人は誰一人としてこの様な新規事業を立ち上げたことのないメンバーでした。
しかし、現在は約30人のUXデザインドリブンのチームに成長しました。私たちがここまでくる中で経験した課題とそれをどう乗り越えていったかをご紹介したいと思います。

課題1:議論の空中戦

ビジネスサイドやエンジニアのメンバーが増えはじめ、メンバーは事業責任者が1人、Fringe81のCOOが1人、デザイナーが1人、 エンジニアが3人、そしてビジネスサイドのインターン生が1人、とメンバーが初期の4名から6名になった頃のことです。フェーズとしてはα版を作る前くらいでしょうか。この頃、起きた問題は誰が何を意思決定するのかが明確でなく、 全員が納得することが議論のゴールになってしまうことでした。これでは効率も悪く、正しい意思決定が出来ません。

これを解決するために、私たちは意思決定権をデザインし、ビジネス・プロダクト・エンジニアリングに関する意思決定を三権分立させました。ビジネスに関する意思決定権は事業責任者。プロダクトに関する意思決定権はプロダクトマネージャー(以下、PM)。そしてエンジニアリングに関する意思決定権はエンジニアの長のように、それぞれのセクションの意思決定の権利を明確に分けました。

意思決定権を分割することで、各々のセクションが専門外の決定権を持つことはありません。それにより、三者が拮抗している状態で議論が生まれます。それこそが正しい意思決定に繋がると私たちは考えました。

理由は下記の3つです。

  • ビジネス側がプロダクトの意思決定もできてしまうと、顧客要望=仕様になってしまう可能性がある
  • PM兼UXデザイナー、がプロダクトとエンジニアリングの意思決定を行うと、過剰品質の仕様で進めてしまう可能性がある
  • エンジニアがエンジニアリングとプロダクトの意思決定が出来てしまうと、実装に意識が向いた決定をする可能性がある

意思決定を三権分立した結果、議論がまとまらない場合は、意思決定権を持つ人間に判断が委ねられるようになりました。また、これまでそれぞれの視点に寄り過ぎた意思決定はされていません。1人が全ての意思決定権を持つわけではないので、視点の違いから議論の数は減らせませんが、多角的な視点を通して議論をすることで成功確率の高い意思決定ができるようになりました。

課題2:セクション間での情報分断

次に、開発/デザイン/CS/PR/Salesとセクションが増え、新たな問題に直面しました。メンバーが多くなり、セクション間で情報が分断され、他セクションと連携が取れなくなったのです。また、全員の認識が揃っていないため、議論がまとまらなくなってきました。これを解決するために、私たちは2つの解決策を作りました。

  • 解決策 1: 各セクションを横断するチームを作る

開発/デザイン/CS/PR/Salesの長を集め、それぞれのセクションを横断する代表議会制のProduct Discovery Team を作りました。

この結果、各セクションで分断されていた情報がこのセクション横断チームにより゙共有され、課題解決にセクションを越えて連携できるようになりました。また、ワークショップ形式で゙のMTGも多かったため、各セクションの長がUXデザインプロセスについてより詳しくなり、゙KJ法 やカスタマージャーニーマップを扱えるようにもなりました。プロダクトの方向性などチーム全体に関わる意思決定が必要な場合は、このチームで議論/決定を行っています。

  • 解決策 2:  UXデザインの経典であるUX Brief[※1]の作成

議論をする際に、全員の認識が合っていない課題を解決するため、UX Briefを作成しました。作成にあたり、ペルソナ、カスタマージャーニーマップ、開発コンセプト、 Uniposがやることやらないことなど細かい定義を作っていきました。

ここでやりたかった事は、色を色番号で指定する様な事です。例えば「緑色の商品を作ります」となったとき、メンバーはそれぞれ違う緑色を想像してしまいます。でも、色番号まで細かく定義すれば全員が同じ「緑色」を想起する様になります。このように認識の前提を合わせるためのUX Briefを作ることで、無駄な議論を減らすことができました。

こちらが実際に作ったUX Briefの一部です。これはUniposの開発コンセプト(プロダクトの担当範囲の定義)です。

チームでは、作りたい機能を主張するところから議論が起こっていた事もありました。悪い事ではないのですが、Uniposに必要な機能とは思えないようなものにも議論の時間が使われた事もあります。その為「そもそもUniposはプロダクトとしてどこからどこまで担当するのか?」という事を水色の線で定義し、その範囲以外のことを議論するのはやめにしました。

次にこれは、ターゲット企業に対する「曖昧な概念」を統一するために作ったパラメーターです。例えば、ターゲット企業のITリテラシーはどれくらいなのか、と話したとき全員の認識がバラバラでした。これを全員でそれぞれの認識を話しながら、パラメーターで認識を合わせていきました。パラメーターやマトリクス図は、チームメンバーの認識を合わせる時によく使います。

またUX戦略などは、できる限り図に起こし、チーム全員でイメージしやすくしました。 このように、50ページほどの細かい前提知識を全てUX Briefで共有しています。また、これをメンバー全員に理解して欲しかったので「このUX Briefを読んでおいてください」と伝えるのではなく、「このUX Briefのレビューをしてください」と定義作りに参加してもらいました。ここで大事なのは認識の揃ってない箇所を議論し、それを編集しアップデートしていくことです。この作業により、UX Briefがメンバー1人1人の中で自分ごと化され、チーム全体の認識を合わせることができました。
[※1]UX Brief:UX Briefとは、サービスにおけるUXについての定義や戦略をまとめたドキュメントのこと。

現在のUniposチームで大切にしている事

Uniposチームでは、集合知で課題を解決することを大切にしています。一人でできることは限られているため、全員の知識や知見、創造性を合わせて課題解決していくことを目指しています。そのために必要なのが「情報の共有方法を工夫する事、組織を横断するチーム、動くものファーストです。動くものファーストとは、「開発において、早くイテレーションを回し、制作物ベースでチームメンバー全員で議論しレビューを繰り返す」こと。時間をかけて作ったものが「認識していた要件と違った」とならない為に、荒くても良いので、動くもの(具体的な制作物)ベースで話をすることがとても重要だと考えています。

Uniposを立ち上げてから2年。私はUXデザイナーからCXOになり、Uniposチームは各セクションが連携し、ユーザー体験を中心にサービスを創れるチームになって来ました。これからも、より良いユーザー体験を追求するUXデザイン駆動の組織作りにコミットして行きます。

株式会社グッドパッチ PM/UXデザイナー|角野 敦史「チームにおけるUXデザインの進め方」

前職でWebディレクターをしていた角野は2年前にグッドパッチのプロジェクトマネージャー(以下PM)/UXデザイナーとしてジョインしました。今回は数多くのプロジェクトをPM/UXデザイナーとしてリードしてきた角野がどのようにチームをリードし、どのような役割を担っていたのかお話させていただきました。

グッドパッチは「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」と「デザインの力を証明する」というビジョンを掲げています。クライアントワークでは、クライアントさんの”デザインパートナー”として、戦略、企画、設計からUXデザイン、画面を作るデザインそして実装まで一緒に並走しています。

グッドパッチがチームデザインで工夫してきたこと

グッドパッチにおけるUXデザイン

グッドパッチのクライアントワークを担うDesign Div.では、5つのフェーズで構成されたデザインプロセスを元にデザインを行っています。

  1. Setup
    まずチームビルディングやサービスの目標をチームで定めます。これを元に課題や競合サービスのリサーチをし、情報収集を行います。
  2.  Problem
    定めた課題がユーザーにとって本当の課題になっているのか?という検証を行います。
    もしユーザーの課題となっていなかったら、Problemのdefineフェーズを繰り返し本当の課題がわかるまで繰り返します。
  3. Solution
    課題が定まったらそのアイディエーションを行います。アイディアの中からコンセプトとをつくり、プロトタイプを作成します。そしてユーザーテストではプロトタイプを用いて、ユーザー求めているものなのか、コンセプトの検証を行います。コンセプトが定まり、プロトタイプとして精度が上がったら次のフェーズに移ります。
  4. Development
    実際のデザインやiOS,Androidの開発をします。一般的にMVP(Minimum Viable Product)とは別にグッドパッチではMLP(Minimum Lovable Product)という愛されるプロダクトを生み出していくことを大切にしています。
  5.  Market
    最後にマーケットにリリースです。

このようなプロセスを用いるグッドパッチのデザインプロセスの中ででUXデザイナーの役割をご紹介します。
グッドパッチのクライアントワークは主に3職種で行います。どの職種でも初期フェーズから関わっているのが特徴的です。

  • PM兼UXデザイナープロジェクト全体進行および体験設計を主に担当する
  • UI/UXデザイナー初期フェーズからPM/UXと一緒に体験設計を実施。体験設計をどう画面のデザインとして落とし込むかを主に担当する
  • エンジニア仕様書に書かれたのを落とし込むだけでなく、設計された体験を最適化する方法を探りながら実装する

このようにどのデザインプロセスでも、設計された体験の理解が一気通貫しないとプロダクトのクオリティを下げる要因となってしまいます。結果、体験設計が加味されてないプロダクトになり開発の大きさリスクになります。それを回避するためにも、デザイナーとエンジニアが初期フェーズから関わることで制作の際「この体験ってこう大事だよね」という共通理解を持って進めることが可能です。

チームおけるUXデザインの進め方

グッドパッチの行動指針として「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」を掲げています。多くの制作会社では「クライアントと請負業者」という関係が多いと思われますが、グッドパッチでは同じプロダクト、そして同じ夢をつくるパートナーとして、クライアントさんと一つのチームになることを大切にしています。

そこで一つのチームで体験設計を進めていくための2つのポイントをご紹介します。

  • いっしょにワークする

それぞれのプロセスを行う際、グッドパッチではワークショップスタイルで進行しています。最初のチームビルディングでは、メンバーで集まって、このプロジェクトの課題はなにか?などをチーム内で共有し、同じ目線で考えます。UXデザイナーだけがペルソナやコンセプトを考えるのではなく、チームメンバー全員で一緒にワークをし定義することが大切です。いっしょにワークをすることの利点は二つあります。
1つめはチームとの目線を揃えることができます。同じ目標をもって一つのプロダクトを作るには、チーム全体で同じ目線に合わせることが不可欠です。一緒にワークし考えをぶつけあうことで、互いの考えを認知し、すり合わせることができます。
2つめはデザインプロセスを体感してもらうことです。私たちはUI/UXのプロとして様々な仕事をさせていただきました。私たちが行なっているデザインプロセスをクライアントの方に体感してもらい、プロダクトをリリースしたあとでも、私たちのワークを通してクライアントの方だけでもデザインプロセスを、実行してほしいと思っています。

  • いっしょにユーザーの声を聞く

ペルソナを定義する際、インタビューやプロトタイプのレビューを聞いたり、マーケットリリースにした後も、ユーザーインタビューやユーザーテストなど各フェーズでユーザーの声を聞くことが肝心です。
ユーザーの声を聞く際は、グッドパッチのメンバーだけではなく、必ずクライアントの方を含めたチーム全員で一緒に聞くことを重要視しています。ユーザーの声をチーム全員で聞いて共通認識を合わせルためにも、プロダクト開発において対象のユーザーの意見を聞くことは必要不可欠です。グッドパッチがいっしょにユーザーの声を聞く際の工夫を紹介します。

  1.  オブザーバー
    ユーザーの声を聞く際インタビューをする以外にもオブザーバーがいます。インタビューを聞くだけでなく、そこでインタビュー以外のワークを入れます。インタビュー中にオブザーバーは気になったことについてメモをとり、インタビュー終了後みんなでディスカッションをします。「ユーザーはこういう課題持ち、こんなゴールがあるよね」とユーザーの実際のペルソナに落とし込みます。大人数でインタビューをするとインタビューイーが緊張して声が拾いづらくなってしまいますので、部屋を分けたり、パーテーションで区切って話しやすい環境作りをすることも大切です。
  2. ユーザーテストの録画を共有
    ユーザーインタビューには長い拘束時間がかかり、必ずしも全員が参加するのが難しいですよね。その際は、ユーザーテストの現場を録画し全員に共有をしています。プロトタイプを実際に使っている場面を録画し、ユーザーのリアルな表情や手の動作を記録として残すことで、テキストよりリアルに様子を共有することができるためです。
  3. サマリーの共有
    それぞれのインタビューをテキストで書き起こし、チーム内に共有します。チームメンバー一人ひとりが「ユーザーがそのような反応をするのか?」とユーザー視点で考えを知ることを重要視しているからです。書き起こしにより、常にユーザー体験を考えよりユーザー視点に近い意思決定を行うチームになることを目標としています。

UXデザイナーの役割とは、カスタマージャーニーや体験設計のプロセスを作り上げるだけではありません。チームにおけるUXデザイナーの役割とは、チーム全員でいっしょにワークをしユーザーの声を聞くことで、体験設計の視点からチームの共通認識を作り上げることです

Q&A

Q1.既存のやり方を変えるために、チームの成功体験の作るコツや工夫はありますか?

Unipos矢口さん(以下、矢口)
うちのチームはとりあえずやってみようというマインドセットの人が多いので、できる事は全部試してみています。先ほどのLTで共有したように、UX Brief やDiscoveryチームの他にも大小色んな方法を試させてもらいました。今できる事をやってみて、少しずつ成功体験を積み上げていく事が大事かなと思います。

グッドパッチ角野さん(以下、角野)
クライアントの中で、初めてUXに触れる方やUXをバズワードで聞いたことあるくらいの嫌煙される方もいます。しかし実際にいっしょにワークをしていくと「ペルソナってこう意義があるのか」と体感してくださり、より身近に感じてもらえることができます。なので、私たちもユーザー視点を用いたデザインプロセスをいち早く体感してもらうことを重要視していますね。そこでよく用いるのはデザインスプリントという手法で、できるだけ短いスパンでデザインプロセスを体験することができます。それによりペルソナ、カスタマージャーニーマップなどのデザイン手法への理解を深めることができます。

Q2.受託事業のクライアントさんが「お任せで」と要望をされた時でも、クライアントさんと一緒にUXチームを作るコツはありますか?

角野:
最初から全てのプロセスをいっしょにやろうとするのではなく、1〜2時間のワークショップだけでもクライアントの方との距離感が変わることがあります。変わらないことがないのであれば、そもそものお付き合いを考える必要があるかもしれません。(笑)

Q3.UXデザインを考える際、売り上げやコストなどビジネス面でのトレードオフを考えなければなりません。そのような場合、それ以上にUXデザインが大事だと経営陣に説明するコツはありますか?

矢口:
プロダクトの青写真は常に描き共有するようにしています。今後プロダクトをどんな風に育てていくか、現在どんなことを考えているかなどです。
また、PMの役割を担っているUXデザイナーはバランスをとる事が仕事だと考えています。特にQCD(Quality, Cost, Delivery)のバランスを取る事は重要です。その為「A案とB案がダメだったら、A案とB案の良いとこ取りをしたC案を出すこと」つまり、トレードオフする中でも最良のUXをデザインする事と前述した「プロダクトの未来に共感してもらうこと」を意識しています。言い換えれば、最善のプランCと理想に共感してもらう為の未来像、この両方を伝えるイメージです。

角野:
プロトタイプを素早く創っていますね。どうしてもビジネスサイドの要望が強い場合は、実際にその要望に沿ったプロトタイプをユーザーに使ってもらい、ユーザーに響かなかった事実を突きつけます。プロトタイプをうまく使いながら議論や意思決定を進めて、空中戦にならないように「事実」から議論することが大切です。

Q4.エンジニアが手すきになってしまう問題があります。目先の問題は置いておいて、UXを考えるためにはどうすれば良いのでしょうか?

矢口:
これは現在でも試行錯誤しているところではあるんですが、「体制を変えること」と「作り方を変える」という2つの施策を行っています。
要件を考える人間を限定せずに、スモールチームごとに全員で体験設計をして要件に起こしていく体制を少しずつ作っています。

Q5.プロトタイピングのユーザーヒアリングのリクルーティングはどのように行なっていますか?

角野:
プロトタイプの段階ではサイクルを早く回すために、社内でリクルーティングを行ったり、社内メンバーの友人や家族など紹介してもらっています。調査会社を使うこともありますが、時間がかかってしまうため、主に社内のリソース周りで行うことが多いですね。

矢口:
チームや会社の人脈からテストにご協力頂ける方を探しています。簡単な調査であれば社内で行う事もあります。その場合には、バイアス外す為の質問を混ぜ、分析をしやすくするなどの工夫をします。

Q6.デザインスプリントを行う場合、どのくらいの量で1スプリント回していますか?

角野:
基本的には1機能1画面で検証しています。デザインスプリントのコンセプトは素早く一つの機能を検証し、ダメだったら次の機能を検証してどんどん進めていきます。毎回スプリントの定義を決め、素早く1スプリントで実行しています。アイディアが出過ぎると、時間がかかってしまうのでアイディアも最小単位で行うのが大切です。

Q7.新しい考え方や手法を取り入れる際、チームに変化を理解させる時どのようにしていますか?

矢口:
チームのメンバーに対してなぜやるのかのプレゼンをし、その後ヒアリングやアンケート調査を行います。そのアンケートの回答から、方向性を調整したり、チーム内で認識のすり合わせを行なっています。

角野:
グッドパッチでは、新しい手法はメンバーからクライアントの方に提案し、チャレンジしていくことが多いです。新しい手法をどんどん試すことでナレッジを蓄積し、手法の精度を上げています。クライアントの方に対しても、最初に「私たちは今回は、この手法でやりたい」と提案し、私たちがプロジェクトをリードしていく流れにしています。うまくいくものいかないものもありますが、KPTなどを設定しチームとして乗り越えています。


いかがでしたでしょうか? 懇談会では参加者のデザイナーさん達が同じ悩みやTIPSを元に交流し、大いに盛り上がる様子が見受けられました! 

様々なUXデザインの手法から、それぞれのプロジェクトに合ったものを選定し、チームの力を最大化させることが今後のUXデザイナーに求められるスキルではないのでしょうか。

グッドパッチではこれからも様々なUXデザイナー向けのイベントを開催しております。ぜひConnpassページをチェックしてみてください!