米国フリマアプリの新しいトレンド考察

米国のオンライン中古市場は、過去数十年にわたりEbayとCraigslistという2つの主要プレイヤーにより支配されていました。両社とも1995年に設立されて、インターネット・バブルを経験して生き残った会社です。

中古の車やキーボード、アロハシャツなどを探している場合には、Craigslistを使ってローカルのものを買うこともできますし、Ebayを使って世界中のものから選ぶこともできます。Ebayは即購入機能やPaypalからの送金機能の追加を行うなど、ローンチ後も継続して改善を行なっているサービスの一つです。UIに対して極端な変更はないものの(「壊れていないものを直すな」という考え方があるからかもしれません)、彼らがデザインに対してもつ意識は高そうです。もう片方のCraigslistは、何年経ってもほぼ見た目を変えずにいることで有名です。デザインはテキストのみで、90年代を思わせるようなデザインです。

このオンライン中古マーケットを支配するCraigslistとEbayにチャレンジするスタートアップが過去にもいくつか見られましたが、近年になってようやくフリマアプリ(アプリケーションに特化した中古市場サービス)が登場し、注目を集めました。

本記事ではそれらのサービスの特徴などを比較しながら紹介しますが、新しいサービスを紹介する前に、まずは現在のCraigslistとEbayを見てみましょう。

Craigslist

Craigslistはウェブサイトのみに対応しています。レイアウトは、サイドバーに検索フィルタがあるだけのシンプルなグリッド式。細かく見ると、検索フィルタの中の支払選択肢には、「仮想通貨払い」もあります。UIは多少古くも見えますが、ユーザーに必要な情報は全て表示されていて、情報構造も直感的でわかりやすいです。

私もCraigslistで初めての愛車、家、仕事を見つけました。しかし、Craigslistにも安全面ではいくつか問題があります。最近では、コアビジネスを守るために怪しいカテゴリー(出会い系、大人向けサービス)などの運営を停止しました。

また、Craigslistはユーザーニーズを取りこぼしがちなため、他のサービスに代替されつつあります。例えば、PadmapperというサービスはCraigslistのリスティングデータを利用して、よりユーザーにとって家を探しやすくするマップ機能を作り、注目を集めました。Craigslistはデータを利用されるリスクを懸念し、独自のサービスにもマップ機能を導入しました。

マップのおかげで、ボートをどこで買えるのかが正確にわかります。

Craiglistには、一部のカテゴリを除いて無料でアイテムを掲載できます。Craiglistのビジネスモデルは、ジョブポストに大きく依存しているのです。

Ebay

Ebayの基本的な構造には、昔から大きな変化は見られていません。ユーザーは詳細なカテゴリに編成されたアイテムから、探している商品をフィルタまたは検索バーから見つけられます。Ebayの強みの1つは、フィルタの量です。パターン、ブランド、色、マテリアルなどに基づいて、表示される結果をカスタマイズすることができます。例えば、私にとってパーフェクトなアロハシャツを探す際は、Tommy Bahamaの100%シルク製の花柄のグレーのシャツに絞り込むことだってできるのです。

Ebayは、ユーザーにより安心感を与えるために、レーティング機能、返金保証、PayPalインテグレーション、およびその他の機能を積極的に導入しています。また、ユーザーとの距離を縮めるために、ショッピング履歴に基づいてパーソナライズされたレコメンドやカテゴリのキュレーションも行なっています。

しかし、残念なことにEbayのネイティブアプリには、未だ多くの改善が要求されています。ウェブ上でのユーザー体験に近づけ過ぎたあまり、モバイルでのユーザー体験を最大限にできていないように感じます。さらに、フィルタリングは何らかの理由で制限されています。また、売り手が新しいリスティングを投稿するステップも少々複雑です(初期ユーザーにとってリスティング掲載の難易度が高いことは、ウェブサイトも同様ですが)。

Ebayは入会費に加え、リスティング費(最初の50回分のリスティングは無料ですが、それ以降はリスティング費が換算される)など様々な費用がかかります。

Mercari

日本国内初のユニコーンとして誕生し、現在CtoCマーケットをリードするメルカリ。日本のフリーマーケットサービスは、2014年に完全に新しいフリマアプリの登場でアメリカ市場に突入し、徐々に勢いを増していきました。多くの日本人ユーザーにとって使い易いとされていたUIですが、より洗練されたシンプルなUIを米国市場で実現するために、2018年3月にリブランディングされたUIを発表しました。配色が大きく紫とオレンジに変更されたように見受けられます。

ある意味、MercariはEbayとCraigslistの間のスイートスポットを埋めたのだと言えるでしょう。Ebayでは失われつつあったカジュアルなCtoC感や、Craiglistで失われつつあった安心感をMercariは汲み取り、清潔で安心感を感じられるサービスを提供しています。これもユーザーのプロフィールやレビュー機能、最新のアプリデザインのおかげでしょう。日本市場に比べるとまだまだ利益規模は小さいものの、同社は「米国市場での長期的な機会を見据えており、短期的な損失には喜んで耐える」と明かしています。

Mercariは売れているアイテムに関しては10%の手数料を徴収し、その代わりに売り手の郵送料を負担するための出荷ラベルの手配を行なっています。

Letgo

Letgoは売ると買うの体験を究極的にシンプルにしたサービスです。サインアップすると、すぐにアプリから「何か売ってみませんか?」とサジェストされます。カメラから写真を撮って掲載するだけ、売りたくなくなったらいつでも削除ができます。リスティングのタイトルやカテゴリは、アプリのAIによって自動的に生成されます。もちろん、必要に応じて詳細をカスタマイズすることもできます。ユーザーが写真以外に設定する必要のあるカテゴリは、価格だけです。

また、購買体験においても、ユーザーがタップする回数を最小限に抑えています。メイン画面から買いたい商品を選択した後には、ユーザーから売り手に対してすでに聞かれていた質問が表示されます。商品のより詳細な情報は「詳しくはこちら」というボタンをクリックすれば出てきます。

Craigslistのように、Letgoはプラットフォームを介して行われた売買については料金を請求しません。その代わりに、掲載者にリスティング広告サービスを提供しています。また2018年8月の頭に、Letgoは500万ドルの資金調達を発表しました。3年目のスタートアップにしてはなかなか多額です。

Poshmark

Poshmarkは「ファッション業界最大のソーシャルコマースマーケット」と称し、基本的ないいね機能やメッセージ機能を特徴とする他のサービスに比べ、ソーシャルの要素をより強くして売買行動を促進しています。買い手は自分のファッションセンスを売り手に共有できるだけでなく、ドレッシングルーム機能を使えば、売り手をパーソナルスタイリストとしてアサインすることもできます。また、特定のファッションをテーマにして、売り手がパーティーを主催することもしばしばあります。

Poshmarkは、購買経験をより良くするために、細部までこだわりを見せています。価格交渉はEbayのオファー機能とは対極に、公開されず、システム側に直接送られます。また、Poshmarkのカメラにはフィルタ機能が内臓されていて、ユーザーはアップロードした写真のカラーやゆがみ調整を簡単にできます。

Poshmarkは、15ドル以下の商品の掲載に関しては2.95ドル、15ドル以上の商品に関しては20%の手数料を課しています。利用費が比較的高いにも関わらず、忠実なコミュニティの構築に成功しています。今では、女性ファッショニスタの間で最も話題になっているサービスの一つです。

Kidizen

Kidizenは、子育てをするママのためのお子様用フリマ兼コミュニティです。子供のファッションスタイルを写真に撮り、コミュニティでシェア、InstagramやFacebookに転載できます。

Poshmarkと同様、Kidizenはユーザーと彼らのショッピング体験にとてもこだわっています。売り手はユーザーとより密接につながるために、コミュニティを構築できます。

他のCtoCサービスでも、子供服やおもちゃが掲載されていることはありますが、Kidizenは自分のファッションの個々のスタイルに投資しているファッショニスタ・ペアレンツをターゲットとしています。サインアップ時には、両親は子供のバイブス(スタイル)を「ブティック」、「ヒップスター」、「デザイナー」などの選択肢から選べます。

リスティングページ(画像右端)にある詳細な説明が、掲載者にどのような写真をアップロードすれば良いかのヒントを与えています。

Kidizenは売れた商品の18%を手数料として徴収しています。売り手は、割引と紛失保証の効く郵送ラベルを購入することができます。

Depop

DepopはInstagramのUIに似せて、インスタグラマー世代を魅了するようなサービスを提供しています。掲載商品にはハッシュタグ、ライク、コメントなどがつけられており、まさにSNSとショッピング体験を融合していると言えます。

同社はイギリスで生まれたスタートアップとして、後にアメリカでも成功しました。もちろん、Shaquille O’Nealのような大スターが1ユーザーとなっていることも、人気を呼ぶ一つでしょう。

Depopは郵送費を含めて、売り手に10%の手数料を請求ています。買い手に対しては、3.4%+$ 0.30のPaypal取引手数料を請求します。

OfferUp

OfferUpは、地元密着型フリマとして急速に人気を集めたサービスの一つです。ユーザーの安心感がサービスを利用するハードルを上げていることが明らかになってから、同社はサードパーティによる認証をオプショナルと設定し、ユーザー同士の信頼をより築きやすくしました。

さらに、米国内の地方警察と連携して、売り手と買い手が安全に取引を行えるミートアップスポットの設置に勤めています。これらのスポットは、警察署や地元企業の前に位置し、明るい証明とビデオカメラが設置されています。

OfferUpは、売れた商品の約8%を手数料として請求します。また、リスティング広告の掲載などができるプレミアム機能からサービスのマネタイズを行なっています。


長い間、ユーザーはCraigslistとEbayの代わりとなる、より安心感のある使いやすいサービスを求めていました。これらが、InstagramとFacebook上での購入・売買・貿易をするコミュニティの形成を促していました。これは人々がユーズト商品をシェアする社会に、思ったよりも寛容であることを表しています。

この記事でご紹介したアプリは、素早くオンボーディングとCtoC取引を迅速にできるユーザー体験に特化しています。また、多くのアプリでは、売り手と買い手が信頼関係を構築しやすくするソーシャル機能が兼ね備えてあります。

これらのサービスに共通するのは、サービスのユーザーが子育てママであろうがミレニアルであろうが、ユーザーを理解して彼らのニーズに応えようとしているということです。初期ユーザーは割引キャンペーンやブロガーなどによるソーシャルアフィリエイト、クチコミなどから集めます。今後、アメリカのフリマアプリの種類がより増えて行くのか、もしくは従来のEbayのように一つの企業がその市場を独占するのかは予測し難いものです。

ABOUTこの記事をかいた人

WestraElaine

アメリカ出身。カリフォルニア大学バークレー校を卒業後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を経て、グッドパッチに入社。現在はiOSデベロッパーとして働いています。
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