新しいものが大好きなGoodpatchで6月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2022)
今年は平年より早めの梅雨明けが発表されましたね。いよいよ夏本番ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今月もGoodpatchで話題になったアプリケーションやサービスをご紹介します。
アプリケーション
マネーフォワード、地域金融機関向けサービス「BANK APP」を来春より提供開始
https://corp.moneyforward.com/news/release/service/20220527-mf-press/
2022年5月27日、株式会社マネーフォワードは、地域の金融機関向けに利用者がスマートフォンであらゆる銀行サービスを利用できるようになるサービス「BANK APP」の提供を来春から開始することを発表しました。
本サービスの提供背景としては、コロナ禍で地域金融機関におけるデジタル取引の必要性が高まったものの、地域金融機関でのインターネットバンキングの普及率が35%程度と低く、DXを推進する地域金融機関にとって取引のデジタル化が急務だったことが上げられています。
また、アプリを通じて金融機関の利用者に対して、口座の開設や家計・資産の見える化、振替・振込、eKYC(electronic Know Your Customer:オンライン上での本人確認)を活用した取引や手続きが行えるサービスなどを段階的に展開するそうです。
第1弾として、栃木銀行への導入が決定しているとのこと。テクノロジーの力を通じて、地域の利用者の金融体験がどのように豊かになっていくのかとても楽しみです。
ニッポン放送、過去放送を配信するサブスク型サービス「オールナイトニッポンJAM」を提供開始
2022年6月20日、ニッポン放送は、放送開始から55周年を迎える深夜ラジオ「オールナイトニッポン」の過去放送を配信するサブスクリプション型サービス「オールナイトニッポンJAM」のiOS・Androidアプリを提供開始しました。
「自分が好きだった、当時のオールナイトニッポンをまた聴きたい」というリスナー達の声を起点に企画されたとされる本サービス。提供開始を告知した公式ツイートには、1.5万件以上の「いいね」(翌日2022年6月21日時点)が寄せられており、既に熱狂的なユーザーを抱えている様子が伺えます。
また、本サービスには「15秒巻き戻し・早送り機能」や「再生スピード変更機能」など、ポッドキャストサービスや動画サービスにてユーザーが使い慣れている機能が提供されており、ユーザーの痒い所に手が届くような体験を提供できていると推測されます。
ネット上への違法音源アップロードが問題視されるラジオ業界。この取り組みが一つの抑止力としてのロールモデルになることを、いちラジオリスナーである筆者自身としても応援したいと思います。
デザイン
Appleがアプリ開発ガイドライン「Human Interface Guidelines」をアップデート
https://developer.apple.com/jp/news/?id=v8a3aetj
2022年6月7日、Appleは、自社プラットフォームiOSでアプリをリリースする開発者向けのガイドライン「Human Interface Guidelines(以下、HIG)」をアップデートしました。HIGは、MacやiPhone、iPad、Apple WatchなどすべてのAppleプラットフォームを対象に、ユーザーがコンテンツや機能を使いやすくするためにはどのようにデザインを構築するべきかをまとめたガイドラインです。
大きなアップデートとしては、プラットフォーム別のガイダンスが統一文書に統合されたり、ナビゲーションが一新されカラフルなビジュアルインデックスが採用されたことなどがあります。
HIGは、iOSアプリの開発に直接関わる人に限らず、多くのエンジニアやデザイナーにとって参考になるガイドラインです。Goodpatch社内では、発表の翌日からオンラインホワイトボード上で「New HIG」というボードができ、デザイナーたちが新しいHIGを読み解きながら感想をシェアしていました。
行政におけるデザインシステムのあり方に関する調査研究報告書が公開
2022年6月1日、行政におけるデザインシステムのあり方に関する調査研究報告書が公開されました。
デザインシステムとは、あるべきデザインを一貫性を持ってユーザーに提供するためのデザイン原則やライブラリ、ルール等を定めたものです。
本調査研究は、オランダやデンマークなど世界各国のデザインシステムの事例を収集・分析し、どのように企画・開発・維持が行われているのかを明らかにしています。例えばオーストラリアやデンマークでは、ボタンの色を揃えることに重きを置くのではなく、そのボタンがユーザーの予測可能な位置に配置され、期待通りに機能することを重要視しています。このように統一されたUIというより類似したロジックを普及させることを目的としています。
今日のデジタル社会、デジタルサービスの提供という観点では、政府よりも民間企業で先進的に取り組まれているケースが多いです。ウェブサービスが役所の窓口に代わり、住民との第一の接点になりつつある今、デザインシステムの構築は行政機関にとって避けて通れない課題となりつつあります。
こうしたデザインシステム開発初期段階の教訓を、日本の文脈で積極的にどう落とし込み、どう広く導入していくのか今後の動きに注目ですね。
プロダクト
ホンダの新事業創出プログラムから電動マイクロモビリティ「Striemo(ストリーモ)」が登場
ホンダは、同社の新事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」から生まれた2社目のベンチャー企業として株式会社ストリーモの設立を発表しました。
ストリーモは、1人乗りの電動三輪マイクロモビリティ「ストリーモ」を開発しており、2022年中に日本国内で、2023年には欧州で発売を予定しています。
マイクロモビリティー市場は急拡大すると言われていますが、電動キックボードの事故率は自転車と比べ18倍高く、またその主な原因は路面状況などによる単独事故が80%と分析されています。
ストリーモは「ユーザーの安心感」を大前提に設計され、運転時にバランスを取ることへの不安軽減や、自然な乗車体験を提供するノウハウを活かし、ユーザーが余裕を持って、周囲に配慮しながら、運転できるマイクロモビリティーです。
公式サイトの動画を見ると、電動キックボードなのに3輪になっているため、かなり身体を傾けてハンドルを切っても倒れず小回りが効き操作性が高い印象です。いつか乗ってみるのが楽しみですね。
展示・イベント
Appleが「WWDC(世界開発者会議)2022」を開催
https://developer.apple.com/jp/
2022年6月6日から10日にかけて、Appleによる年に1度の開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference(WWDC)」が開催されました。WWDCでは、Apple製品に使われるテクノロジーのアップデートや新機能の説明、新製品の発表などが行われます。また、連日開催されるセッションでは、テクノロジーやデザインに関する最新情報を聞くこともできます。
今年の基調講演ではまず、次にリリースされるiOS16の新機能が発表されました。「驚くべき新しいパーソナライズ機能」を搭載したというiOS16では、新機能の1つであるロック画面のカスタマイズが話題になりました。新しいロック画面では、時計のフォントや色、画像にかけるフィルターなどのデザインや、ウィジェット機能をユーザー自身がカスタマイズできるようになります。
Goodpatch社内では#wwdc22というSlackチャンネルが立ち上がり、イベント当日は配信を見ているメンバーがリアルタイムで感想を話し合っていましたGoodpatch Tech Blogでも、アプリエンジニアがWWDC22の感想をまとめています。気になる方はぜひご覧ください!
トレンド
Windowsの標準ブラウザとして長く親しまれ続けたInternet Explorerのサポートが終了
2022年6月15日、米マイクロソフト(MS)が1995年から提供するWebブラウザ「Internet Explorer」(インターネットエクスプローラー、以下IE)のサポートを終了しました。
サポート終了後はセキュリティー対策の更新が行われないため、ユーザーが使い続けた場合ウイルス感染などの危険性が高まる恐れがあります。そのためマイクロソフトは別の閲覧ソフト「Microsoft Edge(マイクロソフト エッジ、以下ME)」の利用を呼びかけています。
また、IEのサポート終了以降、IEを起動しようとするとMEが起動するようになるとのことです。MEはIEよりも高速かつ安全で、従来のウェブサイトやレガシーアプリケーションとの互換性も有しているだけでなく、IEベースのウェブサイトやアプリケーションにも対応しています。
1995年にリリースされて以来Windowsの標準ブラウザとして長く親しまれ続け、2009年1月には65.41%と高いシェアをIEは誇っていました。日本では官公庁を中心に内部システムでIEを使用しているケースが多いため今後のMEの利用率も向上するのか、もしくは現在国内60%のシェアを誇るChromeの利用率が伸びるのでしょうか。Web業界を大きく前進させたIEに変わるWebブラウザの動きにも今後注目ですね。
アプリが家具のアップデートを提案するイケアとSPACE10の新プロジェクト「Updatables」
https://www.everydayexperiments.com/updatables
イケアと同社が展開するリサーチ・デザインラボ SPACE10は、新プロジェクト「Updatables」を公開しました。
これは「Everyday Experiments」というARや仮想現実(VR)、人工知能(AI)、機械学習、空間知能(Spatial Intelligence)といった技術を応用した取り組みの一環だそう。「Updatables」は家具とアプリからなり、ユーザーに修理や改良の必要性を通知したり、イケアの追加パーツを使ったカスタマイズを提案したりしてくれます。
このように、ユーザーに家具の寿命を延ばしてもらうことで、廃棄物を減らし、循環性を促していくことがプロジェクトのねらいとなるようです。写真を見てもわかるように、椅子の脚を逆さに利用したりと、AIによるアルゴリズムによって「家具の新しい使い方・組み合わせ方」を提案するのは非常に面白いですね。
以上、6月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!
過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!