今年も残すところあとわずかですね。皆さんは年末年始をどのように過ごされますか?
毎月恒例、Goodpatchで話題になったアプリやサービスをご紹介するこの記事も、今回が2020年最後のお届けとなります。それではどうぞ!

アプリケーション

誰でも簡単に使える3Dデザインツール「Spline」がリリース

https://spline.design/

3Dデザインツール「Spline」がリリースされました。「Spline」は初心者でも使いやすく作られた3Dのデザインツールです。普段、3Dとなるとハードルを感じる方もいるのではないでしょうか。ですが、「Spline」はモデリング自体もクリック&ドロップで簡単に配置、操作できるため、誰もが自分が描いてる世界を表現できます。

実際に使ってみたところ、「Spline」はモデリングに必要な機能を操作画面に分かりやすく出しているため、直感的かつ簡単にモデリングを行えるツールだと感じました。例えば、他の3D制作ツールとは異なりドラッグアンドドロップだけで3Dモデルを作成できます。「Spline」はモデリングに対して敷居の高さを感じている人にとって画期的なツールになると考えられます。「Spline」をきっかけに3Dにも挑んでみるのはいかがでしょうか。

絵文字のマッシュアップができる、Emoji Kitchen機能がAndroidに正式リリース

https://blog.google/products/android/new-features-winter-2020/

Googleは12月3日、今年の冬から利用できる5つの新機能を発表しました。その中でも楽しげでワクワクするものが、文字入力キーボードアプリ「Gboard」で利用できる「Emoji Kitchen」という機能です。「Emoji Kitchen」を使えば、既存の絵文字を組み合わせてユニークな絵文字を生成できます。既存の絵文字を入力すると画面上にに絵文字同士を合成させた候補が登場し、タップで簡単に入力できます。例えばスマイリーを選ぶと、ハート目やサル・ゴーストの絵文字と組み合わせた絵文字が提案されます。また、1つの絵文字をダブルタップすることで、感情表現をより強調した絵文字を見つけることができる機能も追加されます。

「Emoji Kitchen」によって、痒いところに手が届くような絵文字をユーザー自身の手で作り出すことができます。「あったらいいな」という絵文字を工夫して作り出してみる面白さや、「そんな組み合わせもかわいいね」というコミュニケーションが生まれるかもしれません。「Emoji Kitchen」をきっかけに、テキストコミュニケーションがもっと豊かになるのではないでしょうか。

サービス

Pinterestがオンラインイベント機能をテスト中

https://techcrunch.com/2020/11/24/pinterest-tests-online-events-with-dedicated-class-communities/

リバースエンジニアのJane Manchun Wong氏は11月24日、Pinterestがオンラインイベントに関する新機能をテスト中であることを発見しました。この発見について、Pinterestは事実と認めています。この機能ではユーザーはPinterest上からZoomのクラスに申し込むことができます。主催者はPinterest上に作成したクラスのボードで教材やノート共有したり、グループチャットで参加者と会話することができます。

新型コロナウィルスの感染が広がる中で、Pinterestは大きく成長しています。パンデミック初期の今年3月には、1日の検索と保存数の史上最高記録を塗り替えました。特に教育の分野での活動が目立ち、リモート学習のための教材の整理、授業計画の記録、そしてアイデア発散のためのツールなどとしてますます活用されています。今回開発している新機能はそのような流れを汲んだものであるようです。コロナ禍でオンラインイベントの市場はかつて無いほど拡大しているので、この新機能はPinterestの新たな基軸となる可能性を秘めていそうです。

プロダクト

低遅延・等身大のビデオ会議システム「tonari」が3.4億円の資金調達を完了

https://www.notion.so/tonari-3-4-0e7cdcdab6f44c74b6e2a9f90d13a655

働き方が大きく変わりオンラインコミュニケーションの機会も多くなりましたが、雑談のようなコミュニケーションに関しては、まだまだ難しいと感じている人も多いのではないでしょうか。tonariは、離れた2拠点をシームレスに繋げる等身大の映像システムです。遅延120ミリ秒以下を実現し、フレームレートを60fps(コマ/秒)とすることで、じゃんけんが成立するほどスムーズな動きがスクリーン上に再現されます。また、目線の高さにカメラが設置され、目が合うような感覚を味わうことができるように設計されています。

こうしたいくつもの工夫により、tonariではWEB会議はもちろんのこと、遠く離れた人とでも隣にいるような感覚で何気ない会話を楽しむ体験を味わうことができます。現在はまだ実証実験中であり、今後はプロダクトの進化はもちろん、tonariをより広く流通・導入できるよう機材のパッケージ化やセッティングの簡易化も検討していく予定とのことです。将来的には「自然な会話話」を遠隔でも違和感なく行えるようになるでしょう。さらに進化したtonariによって実現される、物理的に離れた人々が『隣』にいるような世界が楽しみですね。

スマートリモコン「Nature Remo」が医療機関に向けて無償提供

スマートリモコン「Nature Remoシリーズ」200個を、医療機関・医療従事者向けに無償提供|Nature株式会社のプレスリリース

https://nature.global/jp/corporate/2020dec-01

昨今、メーカーや型番を気にせずスマートフォンで家電製品の操作ができるスマートリモコンの普及が進んでいます。その中で代表格ともいえる「Nature Remoシリーズ 」を提供するNature株式会社が新しい取り組みを発表しました。それは新型コロナウイルス感染症の治療・拡大防止に取り組む医療機関および、医療従事者の支援を目的に、同製品の再生品200個の無償提供を実施するというものです。再生品とは、購入後パッケージを開封してから返品された製品や、箱や外面に破損があった製品を動作確認し、利用に問題がないことを確認した製品のことです。

「Nature Remo」は、2017年の販売開始以来、累計販売台数20万台超える商品です。タイマー機能や、GPS機能、温度・湿度・照度・人感センサーなど多くの機能を搭載し、ユーザーのライフスタイルに合わせた家電製品の操作をサポートしてくれます。

今回の無償提供の背景には、コロナ感染拡大防止のために病室のエアコン等を一括管理したいという現場の声から実現しました。接触による感染リスクが懸念される中、医療従事者への公的機関による支援だけでなく、このような民間企業からの支援はますます注目されるでしょう。今問題視されている医療従事者の負担を減らす一つの方法として、これからも支援の輪が広がっていくのではないでしょうか。

展示・イベント

美術館を独り占め、バーチャルミュージアム「In Art」

https://in-art.jp/

BREST株式会社はバーチャルミュージアム「In Art」をローンチしました。入場無料で、参加者はVRによる作品の鑑賞が可能です。またPC・スマホ・タブレットによる鑑賞も可能で、好きな時間、好きなデバイスから美術館を独占して、作品を見ることができます。展示されている作品は実在の作品で、全て一点もの。気に入った作品は購入できます。2020年12月1日から2021年1月6日までは「線」をテーマにした創作活動を続けている大森慶宣氏の個展を開催しています。

アートに興味があっても今の時期、足を運びづらい人も多いのではないでしょうか。「InArt」を使えば、自宅でも目の前に作品があるように鑑賞できます。美術館では他のお客さんもいますが、「InArt」はバーチャル空間であるためその場を独り占めして好きなだけ鑑賞を楽しめます。これだけだと既存のバーチャル美術館と同じですが、鑑賞し、購入までできるのは「In Art」ならではの利点です。寒くなってきたこの時期、部屋で温まりながら美術鑑賞し、気に入った作品を購入してみるのもいいですね。

バレンシアガ、制作したゲームの中で2021年秋コレクションを発表

https://videogame.balenciaga.com/ja/

バレンシアガ(BALENCIAGA)が、2021年秋コレクションをオリジナルで制作したビデオゲーム「Afterworld: The Age of Tomorrow」の中で発表しました。プレイヤーは制限時間内にゴールを目指すという内容で、遭遇するゲーム内のアバターは新作コレクションを着用しています。2031年という設定の近未来な世界を通じて、様々なアイテムのコンセプトを知ることができます。

先ほど紹介したバーチャルミュージアム「In Art」もそうですが、最近ではVRやARを用いたバーチャルの展示会が増えつつあります。バーチャルの展示会では、アクセスできるデバイスさえあれば場所を問わず体験できたり、その展示会の世界観を表現するビジュアルの幅が広がるというメリットがあります。今回のバレンシアガの展示方法は、ゲームという媒体を通じてプレイヤーが能動的に世界を歩き回れるため、ブランドの世界観をより直感的に体感することができます。これからもブランドの世界観に深く入り込めるような、今までにないバーチャルの体験を通じた展示方法が増えていくのではないでしょうか。

その他

FacebookがAI同士のサバイバルリアリティ番組『Rival Peak』を開始

https://rivalpeak.com/

2020年12月3日、FacebookはAIが操作する12人の出場者が、ゲーム世界を舞台としサバイバル生活を送るリアリティ番組「Rival Peak」を開始しました。私たち視聴者はAI達のサバイバル生活を見守るだけでなく、次の行動を誘導したり、キャラクターの作業効率をあげるといった影響を及ぼすことができます。番組は基本的に日本時間の午前11時から8時間単位で配信され、8時間がすぎると10分メンテナンスを挟み再放送がされるそうです。自分の応援するキャラクターを見つけるとより楽しめそうですね。

「Rival Peak」のキャラクター達は、名前だけでなく職種や性格といった情報が設定されており、Facebookページも設けられています。プレイヤーの役割をAIに任せているため、視聴に専念するだけで世界はどんどん変化していき、好きなタイミングでその世界にインタラクションを起こすことも可能です。人間はAIが操作する出場者たちの行動、世界そのものに熱狂したり、夢中になることはあるのでしょうか。もし人間がAIに対し感情移入できるなら、今後演出次第では、映像コンテンツの登場人物は人間である必要性が薄くなるのかもしれません。

私たちの生活している世界とは別の世界が生まれるのは、まるでパラレルワールドのようでとても面白く不思議な体験ですね。AIの進化により今後はどのような世界が生まれるのでしょうか。

 


以上、12月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来年もお楽しみに!

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