秋も深まり、毎年多くのプロダクト発表やイベント開催があるこの時期になると、いよいよ1年の終盤に差し掛かってきたことを感じます。

今月も、Goodpatchで話題になった様々なアプリやサービスをご紹介します。

過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!

アプリケーション

インスタグラムの新しいメッセージアプリ「Threads」


https://newsroom.fb.com/news/2019/10/introducing-threads/

Facebook, Incは、Instagramの「親しい友達」限定でチャット可能なアプリケーション「Threads」を発表しました。Instagramの利用シーンの中で、「親しい友達とメッセージ・写真・動画をやりとりする」ことだけにフォーカスしたアプリケーションとも言えます。

既存のInstagramにあるメッセージ機能と大きく違う点は、「ステータス」という、自分が今何をしている状態か(「📺視聴中」「🍕食事中」「🙃ヒマしてる」「🚫取り込み中」など)を親しい友だちのみに共有できる点です。さらに、「自動ステータス」機能もあり、位置情報からユーザーが何をしているのかを予測し「ステータス」を自動的に設定します。

技術の発展でユーザーの多くの情報が取得できるようになった一方、多くの企業やサービスでプライバシー情報の扱い方が議論の的になっており、ユーザー側も敏感になっています。その潮流の中で、「親しい友達」に限り積極的に情報を取得・開示できる「Threads」が世の中にどう受け入れられ、新たなコミュニケーションを生み出していくのか楽しみです。

プロダクト

Google Pixel 4 / 4 XL


https://store.google.com/product/pixel_4

Googleから、Pixelシリーズの最新作「Google Pixel 4 / 4 XL」が発表されました。旧機種の「Pixel 3 / 3 XL」で好評だったカメラなどの基本機能はさらに向上し、SoliレーダーによるMotion Senseや顔認証などの新しい要素も追加され、ハードウェア・ソフトウェア両面で進化を遂げています。

特に、新機能のMotion Senseは人間と機械の新しい関わり方を感じさせます。Motion Senseは、触れることなくジェスチャーで端末を操作ができる機能です。この機能は人間の手の動きなどを認識できるSoliレーダーにて実現されています。「Google Pixel 4 / XL」は、従来のGoogle Assistantによる音声認識に加え、このMotion Senseでまた 1つ新たな入力方法を得ました。今回はスマートフォンという形ですが、例えばスマートグラスなど、これからのGoogleデバイスではどのような操作体験をできるのかが楽しみです。

Motion Senseをはじめ、日本版「Google Pixel 4 / 4 XL」はまだまだ対応していない機能がいくつかあります。しかし、2020年春対応予定となっているので、すべての機能を使える時が待ち遠しいですね。

点字ディスプレイ「Dot Mini」


https://www.dotincorp.com/dot-mini

韓国のベンチャーDot Inc.は「Dot Mini」を発表しました。Dot Miniはテキストデータやメディアデータ等を点字及び音声に変換して出力するデバイスです。従来の点字ディスプレイは大きくて重い物が多く、持ち運びには適していませんでした。一方でこのデバイスは手のひらサイズかつ283gと軽量なので、簡単に持ち運ぶことができます。

Dot Miniはホイール状のボタンや突起が付いているボタンを搭載しているため、ユーザーの視覚野に頼らないインタラクションを可能としています。また、USBコネクタやイヤホンジャックは指で触れただけで判別できるように設計されているため、様々なデバイスとの接続も容易に行えます。スタイリッシュなフォルムと実用性を兼ね備えたこのデザインは、アクセシビリティ向上を担う全てのプロダクトのお手本になるのではないでしょうか。

Dot Miniは携帯性を備えながらも、様々な入力データを点字や音声に変換できるため、点字ディスプレイのスタンダードになる可能性を秘めています。今後、このデバイスが広く普及することで、より多くの人々に情報を届けられる社会・アクセシビリティ対応への意識が高い社会にどのような影響を与えるのか注目です。

新ワイヤレスプロトコル「Sidewalk」


https://blog.aboutamazon.com/devices/introducing-amazon-sidewalk

Amazon.com, Inc.は次世代ワイヤレスプロトコル「Amazon Sidewalk」を発表しました。今日の代表的なワイヤレスプロトコルであるWi-FiやBluetoothはとても高速な通信を可能としますが、電力消費量は大きく、接続可能な距離は短いという特徴があります。一方で今回登場したSidewalkは低速ですが、低電力かつ屋内から屋外のデバイスへ接続できる程の長距離通信を可能としています。

現在はロサンゼルス各所に700台のアクセスポイントを設置してテストをおこなっているそうです。Sidewalkは2020年に発売を予定している「Ring Fetch」というペット用の見守りデバイスに搭載されます。大量のアクセスポイントを用いて、ペットが一定距離外へ出ると通知してくれる仕組みです。

Amazonは将来的にSidewalkを一般公開するそうです。この技術が普及することによって、従来よりもさらに多くのモノや生物がインターネットへ接続する社会になるのではないでしょうか。忘れ物のトラッキングや、庭の監視カメラの操作など、様々な使い方ができそうでワクワクしますね!

カップヌードル THE FORK セット


https://store.nissin.com/jp/special/cupnoodlethefork/

日清食品が、カップヌードル専用フォークとカップヌードルシリーズの商品をセットとした「カップヌードル THE FORK セット」を発売します。この商品は、「小さな『!』を人に感じてもらう」ことがコンセプトで佐藤オオキが代表を務めるデザインオフィス、nendoがデザインしています。

フォークはカップの縁に沿わせた形で、麺や具を口元へ運びやすい角度に調整されています。また、完成を待つ3分間も含めデザインされており蓋を固定できる便利な機能も付いています。「カップヌードル」の調理から食べるまでのあらゆるシーンを想定し、「最高のカ体験にこだわった」プロダクトになっています。

このフォークは、右利き用と左利き用の2種類があるそうです。両利きだとどっちを買えばいいか迷ってしまいますね。細部までこだわりが光る「カップヌードル THE FORKセット」で最高のカップヌードル体験をしてみたいですね!

イベント

東京モーターショー2019


https://www.tokyo-motorshow.com/

世界各地で開催される自動車の祭典「東京モーターショー2019」が今年もやってきました。日本では2年に1度東京ビックサイトで開催される国内最大級のモーターショーです。今回の開催期間は10月24日から11月4日までとなっており、各社から最新テクノロジーやコンセプトカー・新型モデルが数多く展示され、華やかで見ごたえがあります。

モーターショーといえば車好きのための自動車の展示会と思われる方もいるかもしれません。しかし、二輪車やロボティクス産業の展示がある上に、各社ブランド展示もあったりと盛りだくさんです。また、ドリフトの格好良さを競うD1ドライバーによるデモ走行や一般試乗会が行われるほか、週末にはDJやアーティストによるパフォーマンスなどのイベントもあります。

また、同月には「Car Design Forum Tokyo 2019」も開催され、Goodpatchも自動運転プロトタイピングツール「Atena」を出展しました。多く人が関心を寄せる自動車産業の発展にまつわるイベントが、今後国内でもより増えていくことが期待できますね。

2019年度 グッドデザイン賞受賞展


http://archive.g-mark.org/gde/2019/index.html

今年の「グッドデザイン賞受賞展」のテーマは「GOOD DESIGN MUSEUM」です。最新のグッドデザイン1,420件が東京ミッドタウンにて10月31日から11月4日まで展示されます。会期中はロングライフデザイン賞受賞展示やポップアップストアなどに加え、投票やトークイベントも数多く催され、2019年を代表するデザインに触れることができます。

本展示は、日本を代表するデザイン賞を通して広義のデザインに触れ、現代社会に求められるものを学べる絶好の機会です。毎年デザインに関心の高い社会人から学生まで多くの方が来場し、盛り上がりを見せます。また、審査会や展示期間の運営には学生もインターン生として参加できます。Goodpatchメンバーも学生時代に参加しましたが、日本屈指のデザイナー・評論家の方のデザインに対する考えや、イベント運営などを通して、非常に貴重で学びの多い経験となりました。

弊社がデザインパートナーとしてUIデザインをサポートさせていただいたFiNC Tecnologiesのプロダクト「FiNC」も受賞しました。来場者や審査員・受賞者によって選ばれる今年の「グッドデザイン大賞」の行方はどうなるでしょうか?ぜひ皆さんも来場して投票してみてくださいね。

ブランディング

yahooリブランディング


https://www.pentagram.com/work/yahoo/

米Yahoo!の新しいロゴデザインが発表されました。今回のリブランディングを手がけたデザイン会社Pentagramによると、デザインは「ユーザーがオンラインで自分に合った体験を見つけやすいように支援する」というYahoo!の新しいブランド戦略を反映したものだそうです。

このプロジェクトは、PentagramのデザイナーがYahoo!社員やステークホルダーとの綿密な調査や、アイディエーションのプロセスを経て行われました。リブランディングのプロセスを垣間見ることができるストーリーは、Pentagramの事例紹介ページで読むことができますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

今回Yahoo! Japanは変更がありませんが、米Yahoo!では既にロゴデザインだけではなく各種サービスのトップページまで新デザインが反映されています。今回のリブランディングは新たに展開していく予定の製品や機能にも影響していくとのことなので、今後のリリースがとても楽しみですね。

Voicy CI刷新


https://corp.voicy.jp/2019/10/21/210/

株式会社VoicyのCI(コーポレートアイデンティティ)が刷新されました。刷新に至った背景にはボイスメディア事業が大きく成長する中で、ボイスメディア「Voicy」の開発・運営だけでなく、音声テクノロジー企業として目指すべき事業の全体像を社内外に伝えていく目的があるそうです。

今回のロゴ刷新では暖かさを表現した柔らかなデザインから、より社会に向けた展開を視野に企業としての公正さとテクノロジー企業の洗練さを表現されています。また、CI刷新リリースと同時にイメージムービーやVoicyにてCEOによるCIに込められた思いが共有されるなど様々な方法でCIについて知ることができますよ。

弊社も「Voipatch」と題して「Goodpatch8周年の振り返り」や「顧客インタビューに行って分かったグッドパッチの価値」などを発信しているVoicy。今回のCI刷新によりサービスや事業がどのように広がり、どのような社会が作られていくのか注目です!

パリオリンピックのロゴ決定


https://www.paris2024.org/en/

東京オリンピックが来年に控える中、2024年にフランスで開催が予定されているパリオリンピックのロゴが発表されました。組織委員会によると、初めてオリンピックとパラリンピックの両方に使用されるそうです。

このロゴは、金メダルとオリンピックの聖火、1789年のフランス革命以降のフランス共和国を象徴する女性像である「マリアンヌ」をモチーフとして構成されています。また、ロゴの書体は前回パリでオリンピックが開催された1924年に流行していた芸術運動「アールデコ」の流れを汲んで制作されています。

ブレイクダンスが初の競技として実施されることでも脚光を浴びたパリオリンピックですが、ロゴデザインの発表により、一層注目を集めているようです。


以上、10月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!