企業の想いから導く、事業成長に合わせた社名変更とは?企業の変革フェーズに最適なブランド戦略策定を解説
Gooodpatchは、株式会社レイヤードのブランド体験を開発するプロジェクトを支援しました。ブランドアセットをいくつも開発する中で「企業名の変更」も手掛けています。「企業の顔」とも言える企業名、その変更をGoodpatchはクライアントになぜ提案したのか?ブランドコアと企業名の関係とそのアプローチをまとめました。
目次
企業名とは何なのか?
BX(ブランドエクスペリエンス)を扱う弊社グッドパッチでは、企業名もブランド体験の一環として考えます。企業には、ヴィジョンやミッション、そしてバリューなどに代表される企業のコアとなる思想が存在します。そのコアをベースに、事業や製品・サーヴィスがつくられ、企業として形になっています。
そのブランドコアをワンワードに凝縮したものが企業名。つまり、保有アセットの中で最も抽象度の高いアイテム=企業名であり、企業活動において「特に伝えたい」という重要な部分が言語化されたものなのです。
企業名には顧客・従業員・株主など多くのステークホルダーに対して与える印象を司る重要な役割があります。だからこそ、企業名だって然るべきタイミングで変更することを検討しなければなりません。
企業名もブランドストーリーを伝える手段のひとつである
Goodpatchでは「企業名を変える」ことからスタートはしません。「伝えるべきコア」が固まっていなければ名前だけ変えても意味がないと考えるからです。
私たちは「企業の課題は何か?」「そして企業の目指す未来は何か?」「企業の社会的意義は何か」など、常に本質的な問いを投げかけます。もちろん、すぐに答えが出るわけではなくクライアントとともに並走しながら答えを導いて、磨いていきます。
アプローチは多種多様
では、一概に企業名を変更するといっても何から考えればいいのでしょうか。それはその企業がどのような戦略変更を予定しているのか、またはどのようなステージで、どれだけの影響力で、どれほどの期間を要するのか、など変数のケースに応じたアレンジが必要です。
ただひとつ、共通して言えるのは「自らに力を与える言葉を選ぶ」ということ。今後、自社にとって力となる言葉をどのように見つけていくのか、その一例を次のパラグラフで紹介します。
クリニック向けのサイネージコンテンツを制作する会社
2022年にGoodpatchが支援した事例、株式会社メディアコンテンツファクトリー(MCF)のご紹介です。1998年に創業し、全国のクリニックの待合室に設置するサイネージの販売と、そのディスプレイ内で放送するコンテンツの制作をしてきた会社です。
「今後の新規プロダクトリリースや、事業の拡大を見据えたリブランディングをしたい」というのがGoodpatchへの当初のオーダーでした。リサーチを進める過程で、スコープに入っていなかった「企業名をどうするか?」という問いを代表の毛塚さんや従業員全体に投げかけました。すると、これまで抱えていた企業名に関する課題が、徐々に浮き彫りになっていきました。
戦略と合うか、が重要
「サイネージのコンテンツを制作する会社=メディアコンテンツファクトリー」が、元の企業名でした。
しかし現在のMCFは、もはやサイネージだけの会社ではありません。クリニックで発生している多くの課題を、テクノロジーを用いて解決する医療Saasの会社になっています。
例えば、Web問診のSymviewや電話自動応答システムのIverなど。そうなると、「メディアコンテンツファクトリー」は今のMCFを象徴する言葉なのでしょうか?さらに医療Saas企業として成長していく過程で、自らに力を与えるような言葉なのでしょうか?プロジェクトの中では、そのような問いと向き合いながら企業名を変更することを意思決定していきました。
MCFの本質とは
Goodpatchは、これまで歩んできたMCFの歴史と、これからどうなっていくのかという未来の姿についてリサーチを進めていきました。
結果、生活者だけのためではなく、また医療者だけのためでもない。医療とはその両者の重なりによって営まれ、そのインターフェイスこそがこれからの医療にとって極めて重要になる。「生活者と医療者の共通領域を担う」という、企業のコアになる概念を言語化することができました。
そこからは、その思想を表すワードを無数にアイディエーションし、最終的には全社員に意見をもらいながら1つの言葉に集約していきました。
企業名とブランドコア
このレイヤードという名前は、戦略との整合性が取れたことによって、全社員が自信を持って自社を紹介できる名前になりました。加えて、顧客や求職者に社名の由来を聞かれたとき、企業のストーリーを語りやすくもなりました。
これからの時代では、良いモノや良いサーヴィスを提供するだけでは足りずに、どのような意義や姿勢を持って活動をしているか、というストーリーが重要になります。今回のプロジェクトは企業名の変更に伴い、レイヤードの存在意義や使命、価値観を再構築することも同時に実施しています。
企業名やブランドコアについてディスカッションしましょう
企業ブランドに課題をお持ちの方は、まずは私たちに課題感を共有してみてください。この記事で紹介してきたのは企業名の変更についてでしたが、もしかすると別のアプローチでの解決が適している可能性もあります。その企業の戦略、組織規模、カルチャー・・・など様々な観点から最適なプロセスとアウトカムを一緒に構築していきます。企業の本質的課題からブランド体験をつくる、それがGoodpatchのブランディングです。
Blog Credits
- Written by Asuka Yagi
- Images by Kai Qin, Ayaka Okubo
Project Team & Areas of Design
- Design Strategy
- Naoki Kobayashi – Research, Brand Strategy, Project Strategy, Content Writing, Creative Production
- Asuka Yagi – Research, Brand Strategy, Project Strategy, Content Writing, Employee Engagement
- Brand Experience Design
- Kai Qin – Creative & Art Direction, Brand Strategy, Design, Logo Concept & System, Photography
- Ayaka Okubo – Design, Logo System Graphics
- Mio Ishiguro – Model for “Hikaru”
- Eiichiro Takagi – Model for “Doctor Satoshi”
- Creative Partners
- Hideaki Mizutani – Copywriting
- Mari Miyata – Illustration