なぜ日本のWebデザインはダサいのか?
こんにちは!
みなさんQuoraというサイトをご存知ですか?QuoraはFacebookの元CTO(最高技術責任者)が立ち上げたQ&Aサイトです。実名+肩書きの登録が必要なので、他のQ&Aサイトより回答者のクオリティが高い事が特徴のようです。(日本だとYahoo知恵袋が似ているWebサービス)
今回Quoraで日本のWebデザインについての興味深い質問を見つけたので、その質問と回答のいくつかを記事にしてみました。(記事ネタQuestion :Why is web design so bad for Japanese websites?)
目次
【Question】
これまで日本のWebサイトは一般的にきれいなものだと思っていたが、実際は違った。アメリカのWebサイトより5年から10年の遅れを取っているように思えます。多くのWebサイトにFlashが使われているし、アメリカのものよりごちゃごちゃしている印象がありますね。日本で多くの人が携帯電話(ガラケー)からインターネットにアクセスしているのは知っていますが、それが主な要因なのでしょうか?
1人目: 日本に住む日本人Webデザイナーの方
質問者の指摘した点についておおむね賛成ですが、いくつか指摘したい点があります。日本のWebデザインが遅れをとっているとは思いませんが、日本(または東アジア)は別の道を進んでいると思います。
1, 言語とリテラシーの違い
日本の言語について考えなくてはけません。海外の人から見ればとても複雑に見えるかもしれませんが、日本人は母国語なので大丈夫です。日本語は少ない文字数で多くの意味を含みます。結果的に日本語は大量の情報を時間と文字数を使わずに処理する事ができます。(中国語も同じです)
2, 文化的違い
日本のビジネスマンの多くはリスクをとるのを避けます。よってチャレンジするより保証を求めます。ですので、数行のキャッチフレーズと写真だけのWebサイトはなかなか作りません。
日本では他の人の意見に引っ張られることが多く、他の人と違う行動をしたがりません。他の人が同じままなら、同じままでいるという傾向があります。Webデザインも同じでね。
3, 技術的な違い
Webフォントが少ない事はアルファベットが使われていない国にとって大きな問題です。1つの日本語フォントが複数の英語のフォントと同じ金額の時もあります。ですのであまりWebフォントを進んで使う事ができません。デフォルトでインストールされている日本語フォントの数が少ないので、日本のデザイナーはテキストを使うより画像を使う傾向があります。
通信速度の遅いモバイル端末から画像がたくさん使われているサイトを見るのは大変です。
2人目: アルゼンチンの学生の方
そんなことはない、下記のように優れたデザインのサイトも日本にはある
taromagazine
スイス
はなみち舎
豊田市美術館
http://www.museum.toyota.aichi.jp/
石山染交
http://www.ishiyamasenko.co.jp/
UNIQLO
Takeo Paper Show
http://www.takeopapershow.com/
これらのサイトのデザインはとても優れていますが、Flashに頼りすぎてるサイトもいくつかあるのは事実です。
3人目: Webコンサルタント?
私は比較的新し目の日本の会社から海外展開したいという要望があり、Webサイトのデザインのコンサルティングをしていました。日本のWebサイトについて、私も質問者と同じ感想です。美しくなく、誰がみるのかわからないようなWebサイトをいくつか見てきました。
しかし、日本のWebサイトと海外のWebサイトには大きな文化的違いがあることに気がつきました。
日本のWebデザイナーが言うには、日本人のユーザーは情報を得る為にWebサイトをチェックする傾向があるそうです。そして、そのWebサイトから情報が取れれば取れるほど、よいWebサイトであるという認識のようです。もし、様々な箇所をクリックしたり、Webサイトの中を検索しないと情報を得られないようであれば、ユーザーはそのサイトから離れ、別のページへ行ってしまいます。アメリカではユーザーの好みに合った、少ない情報をWebサイトに載せます。よって、アメリカのユーザーは情報よりもWebサイトのデザインに重きをおきます。
しかし、最近のアメリカのスタートアップではWebサイトのデザインがシンプルすぎるため、何をやっている会社なのか全くわからない、といったものも存在しています。日本のWebサイトもアメリカのWebサイトも、Webサイト自体の美しさと情報のバランスをとるのが難しい状況にあります。アメリカでは現在シンプルなWebサイトの路線のものが多く見受けられるますが、時に失敗をします。
4人目: イギリスに住んでいる方
日本のWebサイトが悪い訳ではなく、アメリカのWebサイトとは別のものなんです。それぞれの言語によって情報の表し方は異なります。試しに下記のアラブ語のwikipediaをみてみてください。
أسامة بن لادن – ويكيبيديا، الموسوعة الحرة
(アラビア語版wikipediaの オサマ・ビンラディンのページのページに飛びます)
私たちのWebサイトと全然違うでしょ!もしあなたがアラビア語でWebサイトを作ったら、あなたにとって見た目が全然美しくないものができあがると思います。しかし、それはアラビア語を話す人たちにとっては見やすいものかもしれません。よって、日本のWebサイトが悪い訳ではなく、別のものだということです。
5人目: 長年日本に住んでいるスウェーデンの方
日本の友達に質問者と同じ質問を投げたところ、日本人の多くは海外のサイトを見ておらず、自分のサイトを比較できていないようです。さらに、日本のWebサイトは広告収入で収益を得ているので、ページが複数作り、収入を増やしているのでWebデザインが散らかって見えるようです。私が思うに日本の若手デザイナーは新しいデザインツールに興味を持ち始めていて、新しい技術をどんどん試したがっています。若手デザイナーなら日本のWebデザインを変えていく事ができるのではないでしょうか?そして、現在の日本のWebデザイナーの平均年齢はまだ低いです。よって、”シンプルなものほどよい”という結論に至る為に、日本のWebデザイナーの知的成熟が必要でしょう。
6人目: 東京に長年住むIT業界の方
デベロッパーが日本のWebサイトは情報を見るためのもののようで、そのようなサイトがたくさんあると話し合っていました。西洋人は写真やシンプルさを好みます。しかし、日本に行くと喧騒にまみれていて、道路にはタクシーがいっぱいあります。これが変わってくれたらいいなーと思うのですが、西洋人的な脳になるのは難しいでしょう。
7人目: 日系アメリカ人の方
質問に対する答えから少しずれるかもしれないけど、結局は文化的違いなんだと思う。アメリカやヨーロッパで作られた美しいWebサイトが常にアジアで受け入れられるわけではないしね。その国によって望まれるWebサイトは異なるし、どんな人がWebを見るかによっても異なるよね。これはWebだけの話ではなくて、オフラインメディア(雑誌、TV)も西洋のスタンダードから考えると日本のはけばけしいものと捉えられると思う。
(海外の雑誌)
とてもデザインがはっきりしいて、ニュースラックに置いてあったら見栄えするだろうね。
(日本の雑誌)
空白がない!
メディアとの関わり方や、Webに望むものに対して、その人の住む環境が与える影響はとても大きいと思います。サンフランシスコにあるユニオンスクエアは比較的人がたくさんいる都会のショッピング街です。それと比較して日本の大阪にある心斎橋のようなとても人が多いショッピングアーケードもあります。あなたがどこに住んでいるかによって”よいWebデザイン”というのは異なるので、私は日本のWebデザインが悪いとは思いません。
8人目: ベルギーのスタートアップで働く方
日本のWebデザインは客観的には悪いかもしれないけど、日本のWebサイトは西洋の人たちが期待するWebサイトとは異なります。点滅したりするカラフルな画像が安っぽいものに見える人たちも入れば、リッチなものに見える人たちもいるかもしれません。
以上です。
様々な意見がありましたが、多くの方が「文化的な違い」という意見をしていましたね。Webに載せる情報の違いや、住んでいる環境によってWebサイトの見え方にも変化があるのですね。僕自身も、4人目の方が貼っていたアラブ語のwikipediaを見たときは「うあ、なんじゃこりゃ」と思いましたが、翻訳をかけたら良く見た事あるwikipediaになったので安心しました。
「なぜ日本のWebデザインはダサいのか?」という質問に対する答えとして、文化的な違いという答えもありますが、5人目の方が言っていた「日本のWebデザインの知的成熟が必要」というのも一理あるかと思います。このブログを運営しているGoodpatchは新しい技術をどんどん試し、日本のWebデザインをグローバルスタンダードに押し上げていきたいと思っていますのでこれからもどうぞよろしくお願いします!