デザインを学び、デザインができるようになるのは容易ではありません。
デザインといっても様々なジャンルや専門性があり、何から手をつけていいのかわからないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、これまで私が様々なデザインを学んだり教えてきた中で、共通する意識したいこと5つをまとめています。
これからデザイナーを目指す方、デザインを学んでいる最中の方、誰かにデザインを教えている方の参考になれば幸いです。

1. 勉強ではなくスポーツ

みなさんはデザインを学ぶといえば、どんなイメージをもつでしょうか。本を読んで、勉強するイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。
たしかに、デザインにもある程度知識は必要です。しかし知識を得るだけでは、デザインができるようにはならないのです。
これはスポーツをイメージするとわかりやすいので、スポーツの例で考えてみましょう。野球の未経験者が、バッティングに関する本を10冊読み、バッターボックスに立ったとしても打てないことはみなさん想像できると思います。デザインもスポーツと似ていて、実際に手を動かして、練習しないとできるようにはなりません。実は勉強とスポーツやデザインでは脳の使う部分が違います。勉強では「宣言的記憶」という記憶が主に使われ、スポーツやデザインでは「手続き的記憶」という記憶が主に使われます。「宣言的記憶」はいわゆる知識を頭で覚え出せる状態で、「手続き的記憶」はいわゆる体が覚えている状態です。
デザインを学ぶときは、知識をつけるのを2割、実践してみるのを8割くらいのイメージで学ぶのがオススメです。

2. 数をこなす・出す

デザインの練習では数をこなすことが大切です。先ほどの野球の例でいうと、バッティングの上達のために、素振りやトスバッティング、実践練習などを何度も繰り返し行い、体で覚えていきます。デザインも同じで、なんども繰り返し練習することで、どんどん上達していきます。
またデザインでは、1つのものをデザインする際でも、数を出すということが重要です。下の丸は大きいでしょうか、小さいでしょうか。

大きいと思った方もいれば、小さいと思った方もいるのではないでしょうか。大きいと思った方は、文字のサイズと比べて大きいと思ったかもしてません。小さいと思った方は、自分の体と比べて小さいと思ったかもしれません。これと同じように、デザインのよさや美しさも何かの比較対象があってはじめて判断できる相対的なものです。1つのものをデザインする際でも、複数のパターンをつくってみて比較しながらデザインをするようにしましょう。

3. 美しいものを観る・よいものに触れる

デザインのよさや美しさは相対的なものであると先ほど述べましたが、一般的に美しいといわれているものを観たり、よいと言われているものを触れたりして感覚をつかむことも大切です。黄金比のようにずっと変わらず美しいとされているものもあれば、時代や世代によって変化するものも存在します。どちらにしても一度も観たり触れたりしたことをないもの起点に発想をはじめるのは難しいです。観たり触れたりしたものが多ければ多いほど、より多くの起点から発想することができます。美術館に行って絵画を観たり、博物館で古いものを観たり、話題のアプリを触ってみたりするのもいいでしょう。そうやって観たり触れたりしたものがなぜいいのか考えてみたり、自分のデザインの参考にしたりして、自分の引き出しを増やしていきましょう。

4. デザインはあくまで手段である

デザインを学んでいると、美しいデザインやよいデザインをつくることが目的・目標になってしまいがちです。実際に仕事でデザインするときは、何か達成したいものやビジネスゴールなどの目的・目標があり、そのための手段としてデザインが使われます。これはデザインだけではなく、セールスもマーケティングもエンジニアリングも同じで、手段です。デザインを目的にしてしまうと視野が狭くなり、デザインから抜け出すことができなくなってします。デザインを1手段として捉えれば、より大きな視点で様々な手段を柔軟にとることができまし、デザインをより広い意味で捉えて使うことができるようになります。実際デザインとマーケティングやエンジニアリングで同じような考えも多くあります。自分がやっているデザインに固執ぜず、1手段として捉えて、柔軟にいろんな手段を採用し、デザインの範囲を広げていくことが大切です。

5. 常に学び続ける

デザインといっても様々なジャンルや専門性があったり、デザインを大きな意味で捉えれば学ぶ範囲が大きくなったり、短期間で学びきるのは不可能です。一生かかっても難しいかもしれません。先ほど述べたように大切なのは目的・目標であり、目的・目標に応じて柔軟に手段を選択することが重要です。そのためには必要に応じて常に新しいものを取り入れ、学び続けることが必須になります。デザインを学ぶときは受け身で学ぶのではなく、自分でどう学べばいいのか考えて主体的に学んでいくようにしましょう。自分のなかでの学び方のパターンを習得しておけば、何がきても柔軟に学びながらデザインを行うことができるでしょう。

さいごに

いかがだったでしょうか。デザインを学ぶ道のりは簡単ではありませんが、ぜひデザインを学ぶ際のヒントにしてみてください。特段の理由がない限り、誰もが小さい頃に自転車の練習をして乗れるようになったのと同じように、デザインも練習すれば誰でも必ずできるようになります。またセンスも身につきます。一人でもデザインをできる人が増えることを願っていいます。
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