ソフトバンクやテンセントも出資!注目の東南アジア発、移動アプリ4選
2016年あたりから中国発のサービスについてのニュースを見かけることが多くなったという印象を持っている方も多いと思います。シェアリングサイクルやモバイルペイメント、無人コンビニやライブコマースなど、これまで日本ではメジャーではなかったビジネスモデルを持ったサービスが話題を呼びました。
学生時代を東南アジアに捧げてきた僕としては、中国だけでなく東南アジア発のサービスにも興味を持ってほしいという想いを持っています。6億人の人口を有するASEAN諸国はまさに経済成長の渦中にあり、中間層が増えインターネットにアクセスできる層が確実に広がることから、今後多くのビジネスチャンスが潜んでいるエリアだと言えます。今はまだ目新しいサービスが多く生まれているわけではありませんが、Uberやmobikeのような海外のサービスでは入り込めないところへと参入し、次々とシェアを広げているサービスがいくつも存在しているのです。
そんな中、東南アジアでは地下鉄のような都市内公共交通が整備されていないエリアが多く、「移動」に関しての課題を感じやすいのが特徴的です。そこで今回の記事では、東南アジア発の「移動」に関するサービスを紹介します。
目次
『Grab』タクシー配車サービス
画像引用:Grab Official HPより
概要
マレーシア発のユニコーン企業として世界に名を知らしめたGrab。「UBERのライバル」とも評され、東南アジアで爆発的な人気と成長を誇っているタクシー配車サービスです。ソフトバンクから資金調達しているというニュースでも話題になりました。
公式ホームページによると、現在はマレーシア・シンガポール・タイ・カンボジア・ベトナム・ミャンマー・フィリピン・インドネシアにて展開されています。タクシーを捕まえられずに飛行機の時間に遅れたり、ドライバーにぼったくられたり、変なところへ連れて行かれたりする心配は一気になくなるでしょう。
使い方
アプリを開いて、ピックアップしてほしい地点(ほとんどは現在地だと思いますが)と行き先を指定し、タクシーの種類(大型車やバイク、高級車など)を選ぶだけ。あとはドライバーが自分を見つけてくれ、あと何分以内に来るか表示してくれます。
画像引用:Grab PHページより
国の規制や現地でのニーズによって乗れる車両の種類が違っており、例えばシンガポールだとGrabTaxi(既存のタクシーへの乗車)、GrabCar(Grabに認定されたドライバーの車への乗車)、ベトナムでは乗用車だけでなくGrabBike(バイクの配車サービス)にも乗れます。
東南アジア各都市での移動はGrab、もしくはUberが安心ですね。僕はUberをメインで使っていますが、通常のタクシーと違って目的地を入力すれば乗車前にだいたいの値段がわかるため、両方の値段を見比べて安い方を選んで使っています(笑)。
『GO-JEK』タクシーハイヤーサービス
画像引用:GO-JEK Indonesia | GO-RIDEより
概要
GO-JEKはインドネシアを代表するユニコーン企業です。
2010年設立、最初はGrabやUberと同じようなスタイルでバイク配車サービスから始まり、今ではオンデマンドサービスとして多種多様なサービスを展開しています。WeChatやQQで知られる中国のテンセントや楽天からも出資を受けたことも知られています。
GO-MART(インスタントショッピングサービス)、GO-MASSAGE(マッサージサービス)、GO-GLAM(パーソナルスタイリストサービス)など、移動手段としてのサービス領域を優に超えています(笑)。
使い方
Grabとほぼ同じく、出発地と目的地を入力してドライバーを待つだけです。
元々インドネシアにはOjekと呼ばれるバイクタクシーがあり、渋滞の多いジャカルタでは現地の人はよくOjekでの移動をしていました。バイクの溜まり場のような場所を探したり、値段の交渉をしたりする手間があり、旅行者にはハードルの高い乗り物でした。
現在では流しのバイクタクシーの多くがGO-JEKのトレードカラーである緑のユニフォームをまとったGO-JEKドライバーとなっており、乗る人がスマホで呼ぶことが主流になっているようです。
異国の地でバイクタクシーに乗るというのはハードルが高いかもしれませんが、値段や渋滞のことを考えると賢い選択肢なのかもしれませんね。
oBike シェアリングサイクルサービス
画像引用:oBike Official HPより
概要
2017年話題になった移動に関するサービスとして、中国のmobikeとofoが挙げられると思います。どちらもシェアリングサイクルサービスで、QRコードをかざすだけで自転車に乗り、目的地付いたら道端に乗り捨てるという、なんとも豪快なスタイル(参考:シェアリングエコノミー最前線!「Mobike」の戦略を徹底分析)。
日本ではメルカリやDMM、LINEが参入に名乗りを挙げ、ますます注目されました。後日、DMMの参入見送りというニュースの話題になりましたね。
そんな中、2017年2月にサービススタートしたoBikeも見逃せません。
創業してわずか1年以内に20カ国を突破、アジアではマレーシア、台湾、香港、タイ、韓国での展開がされており、ヨーロッパの多くの国でも展開されています。
使い方
アプリをダウンロードし会員登録・デポジットの支払いを済ませ、街中に置いてある自転車に搭載されているQRコードをかざすのみです。ロック解除され、乗車できます。乗り終わったら道端に置き、ロック解除することで乗車分の金額が支払われます。
mobikeの場合は、基本的に中国の銀行口座が必要なのでなかなか旅行者は使えませんが、oBikeはクレジットでの引き落としができるので誰でも利用できます。
ぜひ現地に行ったときに体験してみてはいかがでしょう?
Drivemate カーシェアリングサービス
画像引用:เช่ารถ ราคาถูก | Drivemate บริการรถเช่า ที่มีรถให้เลือกมากที่สุดในไทยより
概要
シェアリングサイクルに引き続き、シェアリングカーサービスDrivemateの紹介。日本ではタイムズカープラスやオリックスカーシェアがありますが、これらは各企業が保有する車両をレンタルしているのに対し、DrivemateはP2P(ピア・ツー・ピア)、つまり個人間の貸し借りサービスです。日本だと、DeNAが展開しているAnycaに近いビジネスモデルです。
2012年あたりにはシンガポールに同じビジネスモデルで展開されていたiCarsclubというサービスがありましたが、2018年1月現在は運営をしていない*様子でした。
個人間での貸し借りとは、車の所有者が車を使わない時間帯に他の人に貸し出すというもの。企業には取引の手数料25%が入り、残りは車の所有者に入るため、所有者にしてみれば空いたリソースでお金を稼ぐことができる画期的なサービスだと言えるでしょう。保険会社との提携もしているため、何かあったときに保険を適用させながら借り主が支払うだけなので、貸す側の心配も減ります。
使い方
アプリを開くとレンタルできる車が一覧で表示され、費用感や車種、車の持ち主へのレビューが確認できます。
車を選ぶと、ピックアップ・リターンの場所や車の詳細情報(ガソリンタイプ、座席数など)がわかります。自分が求める条件とマッチしていれば、手続きをするだけでレンタルは完了です。Airbnbで部屋を借りるときと同じようなフローなので、迷わずレンタルまで進める感覚がありました。
借りる側としても、シェアリングエコノミーの興隆で車を買うまではない、でもたまには自分で運転して自由に動き回りたいと思った時に気軽に借りれます。まさに今の時代だからこそ求められるサービスなのかもしれません。
さいごに
東南アジアに訪れたことのある方であれば、今回ご紹介したほとんどのサービスを目にしたり、利用されたことがあると思います。
どのサービスも現地では欠かせないサービスとなっているので、知らなかったという方も現地に行った際にはぜひ利用してみてください。
これらのサービスを調べていて面白かったことは、ほとんどのサービスがFinTech領域に参入しているということです。
GrabではGrabPay、GO-JEKもGO-PAY、そしてoBikeは独自の仮想通貨oCoinの発行*を始めようとしています。移動という日常に欠かせないインフラを抑えることで、購買というもっと大きな行動に対してサービス提供する流れは、今後も続きそうです。
日本の場合、政府の規制により移動に関するイノベーションは生まれていません。インフラが整備されている先進国ならではのイノベーションのジレンマなのかもしれません。
今後、これらのサービスがどういう成長を辿っていくのか、とても興味深いですね。