こんにちは、プロジェクトマネージャーのつつみです。

2016年夏に、Android版のメジャーアップデートがあったTwitterアプリですが、iOS版も6月15日にバージョン7.0のアップデートを配信しました。
公式サイトのコメントはこちら。

昨年の夏にブランドを刷新した際、「Twitterには今起きていることや人々が考えていることがリアルタイムに集まる」とご案内しました。今回は、皆さんからいただいたたくさんのご意見やアイデアをもとに、より軽く、速く、簡単にご利用いただけるようにプロダクトを改良しました。皆さんが残したほうが良いとおっしゃる部分は残し、改善すべき部分は見直しを行い、より良いものに近づけました。
(引用元:https://goo.gl/WpstHU

アップデート後の感想を社内のiOSデベロッパーに聞いたところ、「単なるデザインアップデートではなく、色々意図があると思う」との意見をもらいました。
そこで、アップデートの内容を見ながらどのような意図がありそうか、個人的に探ってみました。

丸みのあるデザインに変わった理由を探る

前後比較。アップデート後は全体的に丸みを帯びているデザインになっている

アップデートによって、角ばった無機質なデザインから、全体的に丸みがある柔らかいデザインへと変わりました。

形が変わった返信アイコン。丸みのある吹き出しに変更された。

今回のアップデートですが、LINEのプロフィールアイコンを丸くした時と同様、現時点の評判はあまり良くない様です。(Twitterの評判はこちら

では、なぜあえてこのようなデザインに変更したのか、意図を探ってみました。

「人」と「情報」の心理的距離を分ける整理を行ったのではないか

今回のアップデートにあたり、公式ページで以下の通り発表しています。

  • 見出しの部分を太字にすることで、何をしているのかがはっきりわかるようにしました。また、プロフィールアイコンをこれまでの四角い形から丸い形に変えることで、添付画像との違いもはっきりし、誰が何を話しているかがよりわかりやすくなります。

(引用元:https://goo.gl/WpstHU

普段私たちが手にしている「モノ」は、基本的に丸みを帯びています。丸みに対して無意識のうちに「親しみ」や「温かみ」を感じるはずです。そこには心理的な距離も関わります。

角ばったものには「強さ」を、丸いものには「柔らかさ」を感じます

今回プロフィール画像を始め、さまざまなアイコンに「丸み」の要素が加わりました。「人に関わるもの」に対して丸みを加え、親近感をもたせています。
「人」と「情報」の心理的距離を分けることで、自然に「その人の投稿」とわかるような整理を行ったのではないか、と考察しました。

夜間モードで見ると、角と丸の強弱関係がわかりやすく確認できます。

タブバーの配置が変わった理由を探る

旧バージョンでは「ホーム・話題を検索・通知・メッセージ・プロフィール」の5種類の配置でしたが、新バージョンではプロフィールを除く4種類に変更となりました。プロフィールや設定など自分に関わる情報はサイドメニューへ全て収納されています。自分のプロフィールを確認するには、「メニューを開く→プロフィール」と2回アクションを起こさなければいけません。

iOSデベロッパーに聞いた所、「サイドメニューはiOSの標準コンポーネントには無いため、あまり好ましくない」、とのことでした。たしかに、今まで通りプロフィールがタブにあっても違和感はありませんし、サイドメニューに入れるほどの情報ではありません。
この件に関しても公式発表されています。

  • プロフィール、別のアカウントへの切り替え、設定、プライバシーをひとつの場所にまとめました。横には新しいサイドナビゲーションメニューを付け、下のタブは数を減らすことで、以前よりもすっきりさせ、ブラウジングしやすくしました。昨年提供をはじめて皆さんから好評だったAndroidの仕様をiOSにも取り入れました。

(引用元:https://goo.gl/WpstHU

ここから察するに、おそらく去年アップデートしたAndroidでABテストを行い数字的に良かったので、ビジネス視点からサイドメニューをiOSにも取り入れたのではないか、と考察しました。
どこかAndroidの思想をそのまま取り入れてしまった感があるのが残念な所。本当に必要な要素に絞れば、サイドメニューを使用せずとも違った表現ができたはず。もう少し検討の余地があったのではと思いました。

カウントアップをリアルタイムにした想いを探る

今まではリロードしないと更新されなかった「いいね」と「リツート」ですが、今回のアップデートでリアルタイムにカウントアップされるようになりました。大勢のフォロワーを抱えている人のツイートは、凄いスピードでカウントアップされるので、見ているだけで面白かったです!

 

iOSデベロッパーに仕組みを聞いた所、「どうやって実現しているのか想像がつかない」との事でした。仮にもしリアルタイムにアクセスし続けているのであれば、それだけで莫大なトラフィックを生みます。
ただ、Twitterはこの機能の実現に踏み切りました。公式発表は以下の通り。

  • Twitterでの会話をより「ライブ」に感じていただけるよう、「返信」「リツイート」や「いいね」の数も瞬時に更新されるようにしました。この機能はiOSとAndroidにおいて順次提供されます。

(引用元:https://goo.gl/WpstHU

Twitterの特徴の1つとして、「リアルタイム性」があります。ユーザーは「今」何がおきているのかを求めています。
実はこの機能を実現するために、一部のユーザーを対象にテスト導入が行われていました。そこで、コスト感を見ながら今回の全ユーザー開放に踏み切ったのだと考えられます。半年のテストを経て実現したリアルタイムカウントアップ機能は、「今」の臨場感を感じてもらいたい想いから、Twitterが万を持して出した機能なのかもしれません。

デザイン変更の影で便利になった|WebView廃止

今回のアップデートではデザイン変更に目が行きがちですが、実はもう1つ大きなアップデート、「SFSafariViewController」に対応したことをiOSデベロッパーから教えてもらいました。
「SFSafariViewController」とは、簡単に言うとアプリ内でSafariが開ける機能です。今までのTwitterのアプリは独自のWebView表示だったため、例えばログインが必要なサイトは都度行わなければいけませんでした。
しかし、この機能に対応したおかげでSafariのCookie情報などを共有できるため、一度ログインを行えばSafariと同じ環境で見ることができます。

個人的にWebViewはとっくに使われていないと思っていたので、「やっと対応してくれたのか」、という印象でした。

これからのTwitter

今回はTwitterアップデートを例に、様々な切り口から変更の意図を探ってみました。Twitterにとっても今が変化の時。様々な意図を持ちながら改善を行っていることが垣間見えました。公式発表でも「これからも積極的にデザイン改善を行う予定」と発表しているので、今後もさらに良くなるアップデートに期待です!
細かなアップデート情報については以下にまとめています。

  • 新しいサイドナビゲーションメニューでは、プロフィール、アカウント、設定、プライバシーすべてにすぐアクセスできます。
  • ヘッドラインがより目立つようになり、アプリ全体が丸みを帯びたデザインになったため、重要なことを見分けやすくなりました。
  • 記事やウェブサイトのリンクがSafariのアプリ内ビューアーで開くようになりました。細かい管理やサインインしているアカウントの切り替えが簡単になり、読書モードを使うことができます。
  • アイコンが新しくなってより直感的になったため、Twitterで起きていることをもっと簡単に見つけて参加できるようになりました。
  • 返信、リツイート、いいねがあるとツイートがすぐに更新され、会話をリアルタイムで確認できるようになりました。
  • アクセシビリティの設定が目立つ場所に配置されました。[色のコントラストを高める] や [リンクをリーダー表示で開く] など、ウェブサイトの読みやすくするための新しい設定も追加されました。
    (引用元:https://goo.gl/EUy4ku