「Design in Tech Report 2018 を読み解く」#02 THE GUILD勉強会 書き起こしレポート(中編)

今回は、前回に引き続き、「Design in Tech Report 2018 を読み解く」#02 THE GUILD勉強会の(中編)をお届けします!前回は、Design in Tech Reportのおさらいのようなな内容でしたが、今回は、いよいよ本題です。難しい部分もあると思いますが、最後まで読んでみてください!

「Design in Tech Report 2018 を読み解く」#02 THE GUILD勉強会 (前編) – Design in Tech Reportとは? –

Twitterでは「#theguild_study」のハッシュタグで当日の雰囲気を味わえます!Togetterのつぶやきのまとめも一緒にご覧ください。

デザインの3ステートとは?

佐々木:
2018年版は我々も翻訳をしていてわかりづらいなというところがありました。 先ほどの話で、カバーできた部分は多いと思うので、2018年版に関してはキースライドだけご紹介したいと思います。

深津:
後半の方はスライドの詳細なテクノロジーのトレンドなどが載っていますが、大きなメッセージは割とシンプルです。

佐々木:
デザインの3ステート。これは2016年に出てきた議論です。ここから議論を進めていきたいと思います。

「デザインには3種類あります」というのが大きなメッセージです。「クラシカルデザイン」というのがいわゆる「モノのデザイン」です。

深津:
いわゆる、CDのジャケットやポスター、椅子と言ったようなものを割とクラシカルデザインという少し挑発的で煽っている言い方だと感じます。あえて問題意識を持ってこのような名前をつけたと思います。従来型のデザインとしてのクラシカルデザインと、いわゆるIDEOやStanford d.schoolなどが基因になるデザイナーの手を動かす部分を全て取り除いてそれをビジネスロジックに転用したというデザイン思考(デザインシンキング)。3番目の「コンピュテーショナルデザイン」が新しいですよね。新しいというか、普段聞かない単語ですね。

佐々木:
日本ではデザイン思考がまだ新しい考え方として捉えられています。しかし、マエダさんのメッセージでもデザイン思考も過去のものになりつつあるというメッセージです。コンピュテーショナルデザイン、あとで中身をご紹介しますけれども、この新しいムーブメントがきていて、3つのデザインがあるということがマエダさんの大きなメッセージです。

深津:
やはり、日本と約5年ほどのズレがあると感じています。今、日本でこれから「デザイン思考を入れよう」と言っている時点で、海外では当たり前のことになっています。 結構大きなギャップですね。

佐々木:
僕もデザイン思考研修をぜひお願いしたいというような声をたくさん受けますが、 時代は結構先にいっています。 僕は先ほどの3つで言うと真ん中型の人ですけれども、自分がもう過去の人 になりつつあるんじゃないかという危機感を日々感じています。松田はコンピュテーショナルデザイン側だと思うので詳しく話を聴きたいです。

コンピュテーショナルデザインとは?

深津:
コンピュテーショナルデザインとは結局何なのという話からお願いします。

松田:
コンピュテーショナルデザインと言ったときに、テクノロジーの進歩により何かを前進させるドライバーのような「クラシカルなコンピュテーショナルデザイン」というものもありますが、ここでいうコンピュテーショナルデザインとは、利用するユーザーの数が違うであるとか、完成がないというようなことを言っています。
2018年版では言っていないですが、2015年版、2016年版では触れられていて、これまでジョン・マエダさんがやってきたようなジェネラティブデザインも含めて言っています。

深津:
おそらく、コンピュテーショナルデザインというと、コンピューターを使ったデザインという風に思われがちです。しかし、意味的にはBoosted Design by ComputerとかEnhanced Design by Technologyと言ったように、単純にコンピューターを使ったというよりはテクノロジーの力で強化されたデザインというような意味だと思っています。

松田:
3つが時間軸方向で比較されると違和感があります。
このスライドは、前半、コンピュテーショナルデザインについて話している中で1番重要なスライドです。

深津:
クラシカルデザインの特徴は、従来型のデザインというのが、紙やCDと言った「モノ」として最終的に定着して納品するデザインです。1つのプロダクトがリーチするのがおよそ5千人から1万人程度で、大ヒットで100万人と言ったようなもので、このようなものが従来型のデザインです。デザイナーのロールモデルのようなものもすごいデザイナーというのは「神様」や「大先生」のような感じで、こういう風に提案したらこれはもう絶対に異論は通さないでこれが正義なので採用するかどうかと言ったアプローチです。
コンピュテーショナルデザインは、テクノロジーでデザインがブーストされた形態なんです。大きな違いとして、例えばリーチするユーザーがFacebookやGoogleのように億単位の人に対して何かを提供するようなデザインの適応範囲のレバレッジ、スケールがものすごくかかっていたり、あるいはネットを通じていたりもそうです。定着をしない、つまり、納品や終わりがなくて、永遠にアップデートされ続けることそのものがデザインであったりです。あとは、先ほどのデザイナーのあり方も、自分が全てで自分の意見を全て採用しようというところから、比較的、コンピュテーショナルデザインのデザイナーは、これは正しいと思うけれども、それはデータでも証明できるし、試しにABテストをすればこちらが勝つと言ったように、データだと事実を喧嘩せずに受け入れることができるという点が大きな違いだと思っています。

深津:
おそらく、このレポートで一番大きなメッセージは、デザインのメインフィールドがクラシカルデザインのデザインからコンピュテーショナルデザインにシフトし始めているというのが1点目です。おそらく、ジョン・マエダさんがあえて左側をクラシカルと表現した意図としては、このブリッジになるところで少し今、分断が起きていて、「クラシカルデザインにいる人がコンピュテーショナルデザインにいけない」や「コンピュテーショナルデザインにいる人がクラシカルデザインの人を見下している」と言ったような壁があって、それぞれ特性が違い、強みも違うはずなのに継承や交流が起きないまま独立してコンピュテーショナルデザインが大きくなっているという点が1つの大きな課題だと思います。この点に警鐘を鳴らすという意味でもクラシカルと呼んでいるのではないかと思いました。

松田:
リスペクトを持ってクラシカルと表現しているところもあると思います。この2018年版の中で対立構造は、デザイン思考とコンピュテーショナルデザイナーの対立の方を強調しています。ですので、本来的にはコンピュテーショナルデザインもデザイン思考もクラシカルデザインが必要なスキルではあります。

深津:
実際のところ、クラシカルデザインもコンピュテーショナルデザインも根っこのところは本来一緒であるはずです。手を動かしてという点の知見があって始めてそれにテクノロジーを活用してスケールしていこうということが本来の意図なのかと思います。

佐々木:
このDesign In Tech Reportの発表に際して3人の方とPodcastを撮ったのですが、江渡浩一郎さんというメディアアーテストの方ともPodcastを撮りました。彼は筑波大学にいたこともあって、ジョン・マエダさんともすごく近いルートを歩んできた方です。彼も言っていたのが、「クラシカルデザイン無き、コンピュテーショナルデザインは無いのである」ということをすごく強調して言われていました。これは、3つ並べるとシフトしているように感じられるけれども、江渡さんのメッセージは、「それはシフトではなく積層されているような感じ」。ですので、クラシカルデザインもわかってデザイン思考もわかってコンピュテーショナルデザインもわかると言ったようなことが理想的でだとおっしゃっていました。

新しいデザインの範囲


こばかな:
やることの範囲がすごく広くなっているということなんですか?

佐々木:
やることの範囲、すごく広くなりますね。結構、コンピュテーショナルデザイン自体で怖いのが、今までのビジネスのルールなどを完全に無視してバリューが形成されていくことだと思っています。先日、高邁なビジネスマンの方とお話をしていたんですが、彼と話したのが「GitHubのバリエーションって全然説明できないよね」というよなことを言っていました。あるいは新しい経済圏で、8千億とか1兆円とかそういうところの説明が今までのビジネスの考え方では説明がつかなくなってきているところがあります。逆に言うと、デザインをしていくビリオン、10億人レベルの人のためにデザインをしていく人が新しいビジネスのルールを作っていくというところもあるので、やることが増えるのかというと、そのデザインをする人がテックもビジネスもわかってバリューを上げていくことをやる必要があるのではないかと思っています。

松田:
「やることの多さ」で言うと、コンピュテーショナルデザインの中だと技術的に抽象化できることが大量にあるような気がしています。
クラシカルデザインだと、最終的にはディテールの話になるので、コンピュテーショナルデザインの技術背景を見ていると、手を広げやすいのではないかと思います。
おそらくここにいらっしゃる方もそう言ったことを思われてる方も多いと思いますが。

深津:
この辺は僕もいつも悩むことです。結構な人に聞かれることとして、今クラシカルにいる人が、「これからコンピュテーショナルなことを勉強するにはどうしたら良いか」や、逆にコンピュテーショナルにいる人が「クラシカルなことを身につけるにはどうすれば良いか」というので結構その部分に壁があるなと感じています。「どこから始めれば良いのか」はみんなすごく知りたいのではないかなと思います。

佐々木:
深津さん休日何か壺を作ったりされていますよね?

深津:
金属工芸をやっています。

佐々木:
あれはクラシカルデザインですか?

深津:
あれはクラシカルデザインの極地です。補足すると、僕の土曜日、日曜日の仕事・趣味で、銅の板をハンマーで叩いて壺や茶器・花器を作っています。

佐々木:
何時間くらいやられていますか?

深津:
ぐいのみ1つを作るのに3日間ほどかかります。壺などを作るとなると2〜3週間コースなので、1個100万円以上するのではないかと思っています。金属工芸についてを語り出すとものすごい量になって脱線してしまうので話はやめておきます。。金属工芸は、クラシカルデザインの1種の極地ですね。でも、あそこからやはり仕事にフィードバックで逆に持ってこれているものがあると思っています。

佐々木:
それは、どのようなモチベーションでやられているんですか?

深津:
元々は、お客様のサービスの中にハンドメイドのC to Cのサービスがありました。僕がクライアントのサービスを引き受ける時に、いつも心がけていることは自分がユーザーであるとか、自分が近いところを触るというのをルールにしています。それもあって、ハンドメイドのto Cを担当するのであれば自分でハンドメイドしてみなきゃいけないと思いました。そこで、一番難易度が高いものである金属工芸で壺を作ってみたのがきっかけです。

クラシカルデザインとコンピュテーショナルデザイン

松田:
コンピュテーショナルデザインからクラシカルデザインへのシフトと、その逆の難しさについてお話しさせてください。自分の体験になるのですが、僕はもともとコンピュテーショナルデザインというかジョン・マエダさんに憧れて彼を真似ることを昔やっていました。Takramに入社してからはいわゆるプロダクトのデザインなどをやっています。その中だと、今のクラシカルデザイン、量産のデザインの中にも当然テクノロジーは入っていて、CADや、花形の設計の分析などのプロセスはコンピュテーションを考える時と同じ枠組みでやることができます。ですので、コンピュテーショナルデザインかクラシカルデザインかというのを最終的に評価できる軸を持っているかどうかで変わってくるような気がしています。

深津:
補足すると、自分で見ていて課題になりそうなところは、デザイナーの「自信」と書いてあるところのconfidenceに関わる部分です。やはり絶対者として全てを統合して提案するポジションにいた人から見ると、コンピュテーショナルデザインは相対的に地位が落ちてしまうんですよね。つまり、自分が神で「こういう形状でこういうコントロールしたものが1番いいプロダクトだ」と言えた立場から、「みんなでものを作ろうぜ」や「データが一番正しいという前提でテストをしながら最適解を見つけようぜ」というと今までできていたことができなかったり、楽しかったところがさわれなくなってしまいます。この点がけっこう一番ストレスを感じさせていたりして、そこにさらに追い討ちのようにデータやABテストの話が重なってくるのでなかなかそこが「うっ」ときてしまってコンピュテーショナルデザインを学ぶときに壁になっているのではないかと感じています。

松田:
その通りだと思います。クラシカルデザインからコンピュテーショナルデザインへの移行の壁はありますよね。ただ、ビジネスとしてスケールしなくなる規模の話というのもあって、クラシカルデザインをターゲットにしていてもいわゆる作家性であるとか個人に集約した能力の分解というのが足元の問題として出てくると思います。

深津:
デザイナーは楽しみを見出すポイントがデザイナーによってだいぶ違います。クラシカルデザインもコンピュテーショナルデザインもそれぞれ、意義を見いだせるか、楽しめるかが重要です。いわゆる技術・アート・クリエーションという意味だとクラシカルデザインの方が楽しみやすんですよ。「自分が没頭するところまで作り込める」みたいな。

コンピュテーショナルデザインの方も別の楽しさがあるんですが、どちらかというとシムシティーやポピュラスのような街を作って、「街の中で人が動いているよ」みたいな感じの都市を作って都市のルールを作るみたいなところが楽しさなので、この部分を両方楽しめるかどうかというところがブリッジできるか否かの1番大きな課題になるのかなと思っています。

佐々木:
Facebookのシェリル・サンドバーグ氏らは、Facebookの仕事は「市長になることだ」と言っていて、プロダクトを作ることは大事だが、あのように数十億人単位でのコミュニティーができてしまったのでその中のルールをある種自治体・国家かのようにルール作りをすることがFacebookの1番大事なミッションだということを言っていて、それはルールをデザインすることになるわけですけれども、実態のない抽象的なものをデザインすることを喜べるかどうかというところが重要だと思います。

深津:
ポートフォリオが1ページも増えないデザインを受け入れられるかどうか。

佐々木:
先ほどの3つのサイクルを別の言い方をしている方がいて、1つ目がDesign for People。自分のものが人のために使われるということです。2つ目がDesign with Peopleと言うことで、人と一緒に共創していくと言うこと。3つ目が、データなどが返ってくるので、Design by Peopleのようになります。要は自分の主体性が徐々に失われていくということになっていきます。

こばかな:
学生が興味を持ちづらいと思っています。私は美大を卒業しているんですけれども、子供の時などに工作などをしてクラシカルデザインにみんな興味を持つと思うんですが、やはり教育とコンピュテーショナルデザインが結びつきにくいのは今日の課題だと思っているんですが。

深津:
この点は的を射ていると思います。デザインをモノづくりに限定してしまうと、やはりエントリーポイントがお絵かき・塗り絵・粘土から入ってきた人からするとここはかなり自分たちがやりたかったこととは違う場所になってしまうんです。これからは、造形などのモノづくりのエントリーポイントだけからデザイナーを集めていくわけにはいかないので、それ以外の場所も無限に広げていく必要があります。そうすることで政治学部、経営学部、経済学部からきたデザイナーたちが増え、コンピュテーショナルデザインのフィールドで必要になってきている人材が生まれるのではないかと思います。

佐々木:
松田はシャイなのであまり自分からは言わないかもしれませんが、彼はコンピュテーショナルデザインのすごい人だと思うんです。カメラのレンズのデザインなんかもやっていて、いわゆるクラシカルデザイナー的にもCADを引いてもう量産・プロトタイピングから量産設計までやっています。これらのことをTakramに入社してから、それまでに全くプロダクトデザインをしたことがなかったのに始めて色々やったということをすごいと思います。その過程で自分の中でどのようなトランジションをしていったかというのを教えていただいてもいいですか?

松田:
先ほどの質問に回答する形で答えますね。
エントリーポイントがどこだったのかでだいぶ変わってきます。
今、プログラミング教育にまつわる課題も大量にあるんですが、プログラミングがデザインへのエントリーポイントになっている人にとっては、プログラミングをすることが「モノづくり」だと思っている人もいると思います。今の世代らしいですよね。
そこから量産的なクラシカルなデザインにいく時には同じ考え方を持っていけると思います。

CADなどでも結局はプロセスを記述していくものです。どう加工して、放電加工をここまでして、などということが全てがプロセスになるんです。
僕の場合は、プロセスの記述をするのだからは、結局はプログラミングとやっていることと同じなのでは?という考え方をしていました。

深津:
バックグラウンドによって全然違うエントリーポイントになりますよね。
僕の場合は、この3つ以外のエントリーポイントで、ジェネラティブデザインがエントリーポイントです。今日の本筋とは少し違うのでざっくりと話しますが、要は、プログラミングを使ってルールや物理法則を作り、その物理法則やルールに従って物が勝手に動いて形状だったり色だったりインタラクションが生まれるみたいな世界です。電磁場だったり重力だったり風だったり水だったりの中に粒子を置いたり物を置くとそれがそれぞれに反応して何か動くみたいな感じのところからスタートしました。そういうところから見ると、僕は今noteなど様々なサービスのグロースをお手伝いしていますが、エントリーポイントで使っていた物理法則などが感情や行動経済学にシフトして、そこで生まれてもともと動いていたエージェントやAIなどがアーティクルの粒子みたいなものが人間に変わっているだけなんです。
結局のところは、ルールや世界観や法則を作ってくるところまでをやるけれども、そこから先はその世界で遊ぶ人たちが自分たちで作っていくみたいな世界観なんですよね。なので、自分のバックグラウンドはいまだに影響しているなと思っています。

こばかな:
クラシカルデザインが昔からスキルの配分でいうと100%中100%だったところが少しずつ分散しているようなイメージですか?テックとデザインとビジネスが30%ずつのようにこの辺りに繋がるんですか?

深津:
特に日本だと昔は、デザインと呼ばれていなかったものがデザインと呼ばれるようになったということはあるかもしれないですね。

こばかなさん:
例えばどの辺りですか?

深津:
ルールを考えるとか、仕組みを考えるとか、人間の行動や感情を考えるようなこともデザインだと言われるようになったことですね。

こばかな:
それも今までデザイナーと言われていた人達がやるような流れなんですか?

深津:
先ほどお話ししたように、今までのクラシカルデザイナーが引き受けることもあるけれども、必ずしも全部を引き受ける必要も無いと思っています。造形はできないけれども、社会の動きに対して詳しい人も入ったりしますし、「造形はわからないけれども技術の使い方は詳しいよ」みたいな人がいたりします。コンピュテーショナルデザインは、チームで異なるバックグラウンドのデザイナーが混ざり合って、何かを作るという流れが大きいのではないかと思います。

これからのデザイナーに求められるスキルとは?

佐々木:
そういう意味でいうとデザイナーの方が、スキルをこのように入れていくという話もあるんですが、私は2人と全然違います。
先ほど深津さんが政治学部出身の人といったんですけれども、僕も政治学科出身で、全くデザインバックグラウンドがないビジネス的なだけの人がデザイナー的な考え方やスキルを身につけていって…。おそらく山の頂上と同じで、登り方が違うのかなというところがあるのかなと思います。

深津:
スキルがどんどんと時代を経るほど発散して、総合格闘技感が強くなっているというか。

こばかな:
これだけの経験を経るのがそもそも難しいなと思っています。

深津:
遠くから見ると読めない人もいるかもしれないんですが、これから必要になるであろうスキルです。製品ロードマップ戦略、企業戦略、リテンション/エンゲージメント指標、コンバージョン指標、目標到達プロセス指標、収益モデル、財務諸表、リソース配分。この辺がこれからのデザイナーに必要とされるであろう知識だそうで、MBA系の方のスキルではないかと思わせるような感じのものがいきなりリストのトップ8に入っています。

こばかな:
デザインなのかと思ってしまいそうですが。

深津:
ビジネスにおいてデザイナーが理解すること。必要となるスキルもビジネスのコミュニケーションの社交みたいなものが入っています。

こばかな:
社交なども入るんですね。

深津:
「近い将来スタートアップのデザイナーに必要となるスキルトップ10」に造形力が入ってきていない。ライティング、テキストが入っています。空間設計のAR、データサイエンス、共感、ファシリテーション、マネジメント、サービスデザイン。これらがこれからの時代に必要になります。さらに未来になるとどこまでいくんだみたいな感じで増えてきていますよね。

佐々木:
言葉のデザインも大事になると言われていて、UXデザイナーが1番見つけないといけないのがコピーライティング、言葉です。デザイナーもそうですが、デザイン会社もやることを広げています。僕はアメリカでデザイン学校に行っていたんですけれども、そこのデザイン学校は、ビジネスにおいてデザイナーが理解する必要のあるスキルトップ8であげたようなことを教える授業がたくさんありました。シカゴのデザイン会社も自分たちのデリバラブルの中に市場投入戦略 や競合比較とかビジネスモデル設計というものが入っていて。進んでいるところは進んでいるなというところはありますね。

松田:
これを実務で経験できるポジションというかそもそも組織もなかなかないですよね。実務じゃなくてもいいかもしれませんが。

深津:
おそらく使えるというよりはまずは理解することを始めて、次にその中のいくつかが自分の主要スキルの中に含まれるみたいになると良いと思います。
やはり全てを一人でやるのは効率的ではないので、先ほどあったようにバックグラウンドの違うデザイナーが5人ぐらいでチームを作ると相互補完しあえるチームの形になってくるのかなと思っています。それにしてもシナリオデザインや倫理バイアス心理学、人工知能や機械学習への理解まで入ってくると、もうここまでくると「デザインとはなんなのか?」のように「デザインとは全てではないか」みたいな感じになってきますね。

佐々木:
名前が思い出せないんですけど面白いPodcastがあって、2人の若者がデザイン界の大物にインタビューするというものです。

そのインタビューシリーズの1つでDesigner Fundというデザイナー主導型のスタートアップ限定で出資をするというVCに話を聞きに行った回があります。このファンドを立ち上げた方がFacebookの5人目のデザイナーだったんです。彼がそのインタビュイーにどうやってデザイナーがこういうスキルを身につけていったらいいかという質問を受けて、彼の答えはすごくシンプルだけど非常に印象的でした。Facebookでデザインをやっていた時から 「常にWhyを言い続けてきた」と言っていました。あるレストランのサイトのデザイン改善を行った時に、「この赤を黄色にしてくれ」のような話がありました。では、「なぜその色に変えるのか?」や「なぜそのメニューそのものではなくてメニューの色を変えるか?」、「それが使う人にとってどういう影響があるのか?」というのをお願いしてきた人に対して常に問うことを課していたそうで、そのWhyと謳う先にテクノロジーやデザインテックの話が出てきて、それが自分にとってのいいトレーニングだったと言っていたので、おそらくみなさんが普段ご自身で関与されている中でもヒントはたくさんなるのではないかと思っています。

Whyの文化

深津:
向こうの人はデザインとか作ったものに対してWhyと聞くのが大好きですよね。1つ作ると100個くらいWhyが帰ってくる。

佐々木:
そうなんですよ。デザインクリティークですよね。デザイン批評が前田さんがいたRISD(Rhode Island School of Design)なんかでもクリティークの授業を大事にしていて、クリティーク専用の授業もあります。デザインアウトプットに関しても批評の仕方のフレームワークがあって、それに基づいてその場の人は自分のデザインしたものを批評され、そのフレームワークに基づいて改善していくということをやるんですが、そういったカルチャーはアメリカの方が強いですね。

深津:
日本はまだ苦手というか、批評をしていくと険悪な雰囲気になっていくというかすごく聞かれているほうが否定されている感じになってしまうのが難しい点です。まだ慣れていないところがあると思います。

佐々木:
深津さんがいらっしゃったイギリスも批評があると思います。

深津:
相当聞かれます。「なぜここは赤にしたの?」などを聞かれて、どんなことでも理由を言えない人は、「全部そこを変えてもいいんじゃないの」みたいな感じにされてしまいます。

松田:
それはどのように答えられたのですか?データですか?

深津:
データの時もありますが、本当になんでもよくて、生徒によっては「青が一番好きだから」や「前回のプロジェクトが赤だったから今回は黄色」などでもいいのでとにかく答えられるというのがすごく重要視されていました。そこで答えられなかったら「なんとなく使った色だったらまだ研究が足りないから他のもやりなさい」みたいなことを言われます。なのでそれがずっと積み重なって、トレーニングされて行くと、最終的に「全てのエレメントに理由がある」みたいな境地に近づいてくるのではないかと思うんですけれども。

松田:
深津さんはそれでトレーニングをされたのですか?

深津:
拙い英語で頑張るには隙のない構築をするしかないので頑張ってやりました。英語のプレゼンテーションはすごく難しいじゃないですか。だから詰められてもいいように事前に準備をすることは重要だったんです。

松田:
ここを見ていると深津さんのやられていることは非常に多く見えるんですけれども、特にハイライトされて流部分で。そういった経験も含めて知識や経験をどのように得られてきたのかというのを伺いたいのですが。

 

深津:
そういう意味だと僕は、「近い将来スタートアップのデザイナーに必要となるスキルトップ10」5番目ARデザインと「さらにその先においてスタートアップのデザイナーに必要とされるスキルトップ10」6番目のサウンドデザイン以外はなんとなく触ったことあるので、ある程度理解できるかとは思うので比較的コンピュテーショナル型というか、ちょうどコンピュテーショナルなポジションがやってきてくれたみたいな感じだと思います。

僕はもともとフォーマルな意味のデザインフィールドの人間ではありませんでした。本当にたまたまなんですけれども、そういった総合格闘技型で、もともと武蔵工業大学で環境情報学部という学部でそこの大学自体が「デザイナーのテクノロジーと環境とビジネスを組み合わせる」プログラムになっていたんですが、そこの中で都市情報デザイン研究室というところで「ITを子供やおじいちゃんに与えたらどのように生活が変化するか?」といったことをやっているゼミみたいなところに属してそのITと生活の変化みたいなことをもともとやっていました。その中で課題などを通じて「誰のためのデザインなのか?」やモノのインターフェイスなどの話に興味を持ってそのあとロンドンに留学していきなりプロダクトデザイン会に入りました。椅子や照明を作るみたいにフィジカルなプロダクトのインターフェイス感触みたいなことをやっていた頃ですね。当時、ロンドンの物価がその頃1ポンド250円くらいものすごく高くてお金が尽きてしまいましてとか、隣の駅で爆発テロが起きてちょっと危なかった時期に中村みほさんからご連絡をいただいて、日本に戻ってフラッシュの人間になったんですね。

広告やインタラクション、キャンペーンやキャッチーさなどテックで生活を変える話ともののタンジャブルなはなしと広告などのエモーショナルな話みたいなのが全部混ざったタイミングで、iPhoneがやってきました。そこで、iPhoneアプリ作ったらなんとなく売れてしまって、ずっと頑張って100万、150万本くらい売っている間に自分で全部売るんだったらお金を考えないといけないし、広告の出し方、マーケティング価格、ユーザーサポート、効果音の作り方から全部やってみたいなことを繰り返していたらなんとなくだいたいできるようになっていました。ふわっとした生き方なので、たまたま、今のインターネットは整備されすぎているのでみんな専業で一つの職種ができますが、まだギリギリ未整備なインターネットのタイミングで、たまたまいろいろな分野をやっていたおかげで統合的になれたと思うので、今自分が学生だったらもう1回同じ人生なのもいいかなという風に思います。

こばかな:
深津さんいつも自分で物を作って売ったほうがいいよと仰ってますよね。

深津:
それはすごくオススメしています。普段、いろいろなところで「UXやサービスデザインを理解することの何がいいですか?」と聞かれたときには、自分の財布を使って物を作ってそのものをお客さんに売ることをオススメしています。それはコミケでもデザインフェスでもなんでもいいんですが、それをやるとものづくり、ユーザーの視点、ユーザーサポートが全部なんとなく襲いかかってくるので、1回そういうのを分野はどこでもいいので入り口から出口まで全工程一人でやってみるといいと思います。そうすれば、このスライドの全部ではないですが、半分くらいでもそれだけで埋められるんじゃないかなとなんとなく思っています。

こばかな:
それはまだ今の時代でもできそうですか?

深津:
今の時代でも、昔に比べて物を作るのも大変になってしまいましたが、どんなプロダクトでもここら辺は結構いけるんじゃないかと思っています。特に「ビジネスにおいてデザイナーが理解する必要のあるスキルトップ8」なんて、自分でものを作って売ればそれだけで全部自分でやらなければいけないので。

佐々木:
スタートアップを立ち上げる為にも必ず必要になってきますよね。

深津:
「近い将来スタートアップのデザイナーに必要となるスキルトップ10」もやはり半分くらいは自分で物を売っているとコミュニケーション・共感をエンドユーザーにやってなどが必要になってきますし、「さらにその先においてスタートアップのデザイナーに必要とされるスキルトップ10」は何を作って売るかによるかな。そんな感じなんですが、逆にここら辺をそういう変なキャリアパスだからたまたまできるとかではなくて再現性のある形でこの辺りのスキルセットを埋めるにはどうすればいいかというのは1つの大きなビッククエスチョンなのかなと。

佐々木:
そうですね。僕が偉そうというかこんな壇上でお話ししているんですが、先ほど申し上げた通り私は、3つ円がある中の真ん中側の人間で、コンピュテーショナルデザイン側に行くのが大事らしいというのはわかっているのですが、別に何をしているわけでもなくてこのままで良いのだろうかと感じることがあります。キャリアを積んできたデザイナーがキャリアをシフトしたいときに「どうしたら良いのだろう?」みたいな自分自身の課題感を含めて少し知りたいなと思います。

深津:
やはりこれが全部できる必要はないかなと思っています。コンピュテーショナルデザインに必要な諸要素という話じゃないですか。じゃあ、これができる人がいるかいないかという話をする前に、一旦クラシカルデザインの方に視線を戻してみます。結局のところクラシカルデザインでポスターや椅子も作れて、建築も作れて車も作れて電子工作も作れる人がいるかというといないんですよ。
結局そういうクラシカルデザインの方でも無数にある「必要だよねスキルセット」の10%〜20%を持っていれば立派なデザイナーになれる気がします。これらをむやみに抑えるというよりは、どこかを導線にしてその周辺をじわーっといくつかを抑えることの方が大事なのかなと思います。

佐々木:
そういう意味でいうと、本当にこれを見てわかるように学問でいうとデザイン、美術教育もそうですし経済学や心理学、データサイエンス等も必要になってくると思います。使い古されている言葉ですが、「デザインの協業」のようなこともあってマネジメントなど「いろいろな人を率いて行く為にはどうしたら良いのか?」みたいなところもカバーされているのではないかと思っています。

深津:
おそらく、やはり結局のところはみんなで職能とか知恵を継ぎ合わさないと、僕も結局なんとなく全体はわかっても全部のエキスパートとかではなくて、エキスパータージスを持てるのはこのうち数個だったりするので、そういうことを考えて行くとやはり自分の得意なスキルを1つ作って、なんとなく理解はあるよというのを作って、あとはそういう社交やコミュニケーションだったりみたいな他のチームの人と自分たちのエキスパータージスを交換する為のスキルのようなもの抑えることが重要なのかなとか。

佐々木:
スキルにも順序がありますよね。これを先に身につけるとか。

深津:
順序はあると思います。

佐々木:
3人で事前に話をしていたキースライドが先ほどの丸が3つあるやつとピュテーショナルデザイン vs. クラシカルデザインのページとこのページなんですが。

深津:
この辺がおそらく1番大きなメッセージで、どういう風にシフトして行くか。あるいはどういう風にオーバーレイされて職能が拡大したり変わっていくかというのがおそらく2018年版で大きなテーマというか議題ですよね。この辺は育てるのもそうだし、見つけるのもどうするのかという点もありますね。結構Takramさんの中ではどういう感じですか?Takramさんのなかはそういういろいろな感じのエキスパートの人が集まっている感はあるんですけれどもこういうところはどのようにミックスしたり交換をしたり育てたりしていってるんですか?

専門性を広げる意味

佐々木:
マエダさんがいうのがTBDなんですが、TakramではBTC、ビジネス・テクノロジー・クリエイティブと言っています。この3つのエキスパーティーズを持っているということなんですが、その頂点にエキスパーティーズがあるというよりは、どちらかというと三角形の辺の方にエキスパーティーズを持たせようという考え方です。

第四次産業革命とデザインの役割より

深津:
では、ビジネスアンドクリエーションや、ビジネス×テクノロジーだとかテクノロジー×〇〇のように1人2個担当ですか?

佐々木:
1人2個担当ですね。基本的に最初はどれか1つのスキルしか持っていません。Takramでは他のデザインファームと違うかもしれないんですが、1人が並行して3つ4つのプロジェクトをやることにしていて、そのうちの1つか2つのプロジェクトで自分にとってチャレンジングな領域をやるという決まりになっています。どうしてもできないこともあるんですが、そういう心がけでやっています。


学習の4段階みたいなものがあって、最初、こういうスキルが必要じゃないかというAwareness(気付き)があって、そのあとちょっとなんというか難しいなというAwkwardness(居心地の悪さ)のフェーズがあって、そのあとその踊り場を超えるとAchievement(達成)があります。最後それを超えると、自転車と同じで意識しなくても乗れるようになっているAssimilation(無意識化)というものがあります。
それぞれの学び始めたスキルが、今どの段階にいるのかということを意識しながら、プロジェクトにメンバーをアサインするようにしています。

深津:
これがちょっと面白いなというか意外な共通点として、Takramさんたちは割と複数案件を同時にこなす派ですし、僕と小林(こばかな)もチームみたいなもので不協和複数案件同時進行なんですよね。複数案件同時進行っていうのとそういう横断型のスキルを身につけるというのは何か共通性があるのかなと少し思いました。

松田:
ありそうですね。飽きっぽさとか。

深津:
飽きっぽさなどもそうだし、Point of Viewというか視点を高速に、昨日はこの視点だったけど今日はこの視点、明日はこの視点のように高速にスイッチするなど、毎回組むチーム、パートナーが違う状況を高速にスイッチするみたいなことをそういう横断的なスキルをに作るのには役に立つのかなと思っています。

佐々木:
深津さんはそれが1日の中で高速に変わるんですよね?

深津:
1日2ポジションか3ポジションで変化することがありますね。

松田:
あとは1個だけをやっていて、新しいことにチャレンジするとできないという状態がずっと続くんですが、その同時に複数やっていると、できないことをずっと1個だけやっていると精神的にきついんですが、得意領域のプロジェクトをもう1つ持っているとだいぶ精神は安定してくるというメリットもありそうだなと思います。

深津:
一方で自分が抱える課題感としては、複数をやればやるほど不変化的な視点やブリッジできるような総合格闘技力は付く一方で、タイポグラフィーの精度や造形に対するものすごい精度、神の目は持ちにくくなると思います。
リソース上そこに時間をかけられなくなったりとか、そこだけをやってるわけにはいかなくなってしまうので、1つのものに対するクオリティの集中度と比較するとやはり犠牲になるところはあるかなというのは課題感として感じています。ですので、そこのところで逆にやはり先ほどのチームを作ってこの2つは僕エキスパート、この2つは君エキスパートのようなことをそこで使うことでそういう弱点をカバーしていくというのが次のやり方なのかなと思っています。

こばかな:
スキルの話は、いいプロダクトを作るためのスキルを身につけるという考え方と、1デザイナーとしての生存戦略という言い方はあれですが、どちらも両面あるかなと思っていて、深津さんの場合はいろいろなことをやっているというスタンスじゃないですか。そういう人が意外といないなと思っていて、今後そういう人って増えていきそうなんですか?

深津:
どうなんでしょうね。わからないですが、日本のそういうデザインのやはり世界だと比較的アート・クリエーションからのエントリーの人口が多いので、良し悪しは別に1個のものに対して集中して作るという風土がものすごく強いと思うので、そこ以外の業界からの人とかも入らないとなかなかそこを流行らせるのは難しいんじゃないかなと個人的に思っています。やはりそのどちらが良い悪いではなくて、そこが1個を集中して頑張ることが好きな人が多いというのが1個あると思うので。

こばかな:
なんかそういう人が少ないから逆に実行すれば業界の中でレア人材になるのではないかなと。

深津:
まだすごくブルーオーシャンだと思います。ここら辺はあとは教育の話とかに進んでいきますよね。これもじゃあどうやったら身につけられるのみたいなジョン・マエダさんなりにも何か書いてあったと思うんです。

佐々木:
そうですね。デザイン教育についても実は2017年版の方が詳しく書かれていたりしたので少しそれを出して見ようかなと思います。2017年版は誰も翻訳していないので英語版になってしまうんですが、ここで言われているのが、ビジネスをやっている人がデザイナーにこうあってほしいという要望と、デザイン学校が教えていることに大きなギャップがあることをこのページで言われています。

深津:
僕も美大の先生をしていてすごく教えられてることと求められてることのギャップが広がりつつあるのではないかという気がしています。

佐々木:
深津さんはデザイナーの卵たちにビジネスを教え込んでいると噂を聞いたんですが。

深津:
ビジネスではないですけれども、どちらかというとそういうデザイン思考ではないですがもう少し「リサーチやプロトタイピングなどをやろうぜ」みたいなことを教えたり、コンピューターってこういう風なもの、つまりデザインの映像ってコンピューターをちゃんと使いこなせると寝ている間に100万通りのスタディーができたり、自分しか持っていない画材を作れるんだよみたいなそういうテクノロジーの使い方とかをやったりみたいなことは授業でチャレンジしています。

松田:
そういう場合は、例えばコンピュテーションデザインのある程度複雑なところを抽象化するじゃないですか。そこの感覚ってどの辺りで線引きをしているんですか?深掘ろうと思えばいくらでもふかぼれる分野だと思ったんですけれども。

深津:
僕がプログラミングを教えているときは、Bigテーマとしては3つほどあります。1つが自分だけの表現や自分だけのツールを作る権利が手に入ることと、あと抽象化して教えていることとしてはそういう100万回スタディするみたいに自分では思いつかないものをスタディすることができるということと。
あとは、寝ている間にやるみたいな分量に対するハンディキャップを頑張るみたいなのを克服できるみたいなことがプログラミングやデザイナーが学ぶバリューであって、それを手に入れること自体でそもそもできるできないの大きな壁を1つジャンプできるので、それだけでデザイナーとして全然違うスキルセットや表現ができるようになるんじゃないですかねというのを抽象化したメッセージとしては教えています。

松田:
例えば、乱数を使いすぎるとよくわからなくなる。ではなぜ、深掘ると技術の底の方にいっていくお話だと思うんですけれども、その深掘りに限界値をどこかに定めて教える必要があるのではないかと思っているんですが。

深津:
コンセプトの話とテクニカルな話があると思っていて、コンセプトの話としては先ほどのメッセージくらいのところでそれさえ理解してもらえれば極論、プログラムが書けなくてもいろいろなところでテクノロジーを使いこなせると思うんです。考え方の根っことして。テクニカルの部分としては高等教育が1つの壁になるので数2までで止めます。数2か物理の1Bの範囲でのように。それから先のことをやろうとするとできない人がものすごい量増えてしまうので。数2や図形Aでしたっけ。1Aと2Bと3C全部半分できれば普通に仕事にすごく役に立つんじゃないですかね。

結局先ほどのTakramさんの辺を2つ抑えるのと同じで、1つのフィールドしか持っていない人はものすごく多くて、辺を2個か3個にしたらそれだけで結構レアな人材になるので、それだけでも横断的な生き方ができるのではないかなと思っています。課題としては先ほど言ったようなところは誰がどのような教育をすれば良いのだろうと言った時に教育機関がそこを担えなさそう。あるいはまだ担える段階にはないのではないかというのが1つの問題なのではないかなと思っています。

佐々木:
流入経路を増やすという意味ではビジネスサイドからのデザイン側の、それも先ほどのスキルの話とコンセプトの話があって、コンセプトレベルではわかるみたいなところがすごくこれから大事になっていきそうな気がします。Takramも最近「教育が大事だよね」みたいな話をすごくしていて、代表の田川なんかは東大と一緒に新しいデザインのコースを作ってロンドンのICUからコースディレクターを迎えて一緒に教育をやりたいと感じていて、我々も本当に人が取れないなというのが大きな悩みとしてあるので、少し時間はかかりそうではあるんですが、そういうところに徐々に投資をしているような感じです。

深津:
おそらくあと今、「教育」そういう人材を作る側の話でしたがもう一つ課題になるのが、そういう人材が仮にいたとして、現在企業がそれを受け入れられる土壌があるのかみたいなことがレポートの中で語られているような語られていないような感じですけれども少し大きな課題かなと思っています。

佐々木:
それは暗に語られていますね。

深津:
統合的なデザイナーがいたとして、統合的なデザイナーをアサインするポジションや受け入れられる企業が特に日本であるのかみたいな。

こばかな:
分業されているから?

深津:
分業されているからだったり、そもそもそのそういう企画工程やビジネス設計工程にデザイナーを呼ぶ風土やポジションや役職や仕組みがないみたいなことがあります。
結局戦略的なこととか、上流の抽象的な普遍化などをやっても、デザイナーがそういう場に呼んでもらえるのかみたいなところが1つの大きな課題なのではないかなと思っています。

松田:
そうですね。そこのある種のクラシカルデザインのデザイナーが入る先がデザインの部署みたいになってしまうと、そのデザイン部署が今、深津さんが言ったことの繰り返しになるんですが、戦略作りみたいなところにアサインされていないと本当に宝の持ち腐れになってしまうなというところがあるんじゃないかと思っています。ですので、結構そのデザインファームなどで最近行われている動きとしては、そういうデリバーしたデザインやサービスみたいなところがどのように社内でちゃんと経営層にまで登っているかというところまで設計するというところがここ最近出てきているのではないかなと思います。

佐々木:
僕がいたシカゴのデザインファームでは、根回し担当、バイスプレジデントオブ根回しみたいな人がいて、その人が本当にすごいなと思うんですよね。デザインファームでデリバーしてもただデザイン部署がやってるだけだよねみたいになってしまうので、そのあとの社内的な根回しも含めてやるということで、めっちゃ接待とかしているんですね。ビジネスの魑魅魍魎な世界で勝ち残るには、そこまで徹底することが最後大事になっていくんじゃないかなと思っています。


今回は、「Design in Tech Report 2018 を読み解く」#02 THE GUILD勉強会の(中編)をお届けしました。次回は、いよいよ最終回。質疑応答で語られた、「インクルーシブデザインと、デザイナーに求められるライティング能力」の内容をお届けします!
お楽しみに!

ABOUTこの記事をかいた人

Daichi

福岡県出身。23歳。米国大学から英国の大学に転校後、今秋から再び、米国ペンシルベニア州立大学に編入予定で、ビジネス(マーケティング)とホスピタリティーを学びます!
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