新しいものが大好きなGoodpatchで7月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2023)
35℃を超えるような暑い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今月もグッドパッチで話題になったサービスやトレンドをご紹介します!
サービス
Meta社、テキストでつながるSNS「Threads」リリース
https://about.fb.com/ja/news/2023/07/threads_launch/
2023年7月6日朝(米国時間)、Meta社が新サービス「Threads(スレッズ)」をローンチしました。この「Threads」はテキストでユーザー同士がつながるSNSで、他ユーザーの文章や画像の投稿がタイムラインに流れてくる。それに対して、リアクションをしたり、自分も投稿したりするのがメインのユースケースになります。
一見、UIなどTwitterに近いものを感じますが、Threadsの特徴として「他サービス・コミュニティとの連携」「のんびりと眺め、投稿する居心地の良い場所」の2点が挙げられます。
前者は、同社の提供するサービスであるInstagramとのアカウントの連携が行え、Instagramでフォローしているユーザーの中からThreadsでもフォローしたいユーザーを簡単に選ぶこともできます。加えてオープン・ソーシャル・ネットワーキング・プロトコル「ActivityPub」に対応する計画で、「Fediverse(フェディバース)」という仕組みによって、Mastodonなど他のサービスと連携が可能になることも予告されています。
後者は、他のSNSと異なりテキストベースでありながらハッシュタグを利用する機能がまだないことや、ユーザー名のみが対象で投稿の検索がないことなどから、多くの情報を受動的にのんびりと眺めるような体験設計になっています。この独自のコンセプトとそれに準じた体験は、これまでのSNSと差別化の要素でもあると同時に、ユーザーにとっては新たな体験価値です。そのため今後、どのようにユーザーに受け入れられていくのかに注目すると同時に、サービス全体の展開も楽しみなところです。
イーロンマスク「xAI」を設立
イーロン・マスク氏は2023年7月12日(米国時間)にAIに特化した新たな企業「xAI」を設立したと発表しました。イーロン・マスク氏は本年3月に、OpenAIが開発するGPT-4などの生成AIに対して社会的に大きなリスクがあると指摘をしていた一方で、大量のGPUを購入し独自の生成AIを開発していることが報じられていました。
xAIのwebサイトは、まだ記述されていることが少なく、xAIの目的とメンバーが掲載されている段階に留まっています。また、xAIの目的は「宇宙の本質を理解すること」とされており、同氏がCEOを務めるSpaceXとの繋がりが感じられるほか、Twitterを運営するX corp.、Teslaとの連携についてもWebサイト上で明言されています。
グッドパッチ社内でも、現状のAIの発展を変える大きな転換点と捉える声が多くあり、さらには世界的な経営者である同氏がAI領域に本格的に参画したというのは大きなニュースであると言えます。
AIは革新的な技術ですが、単なるバズワードに留まらないためには、AIを使用したサービスで様々な価値提供がなされていく必要があります。こうした価値提供を形作っていくデザイナーの役割が向上していくことに期待しています。
ポケモンの睡眠アプリ「Pokémon Sleep」配信開始
株式会社ポケモンは2023年7月20日、スマートフォンアプリ「Pokémon Sleep」をリリースしました。
スマートフォンのセンサーやマイクを用いてユーザーの睡眠データを観測し、データによって出現する様々なポケモンの寝顔を収集していき「ポケモン寝顔図鑑」の完成を目指すという内容のアプリ。
「Pokémon GO」と同じように誰でも簡単にゲームを楽しみながら健康習慣を向上させられる点や、自分の睡眠の質や寝言を確認できる点がSNSで注目を集めました。
グッドパッチ社内からは、「ただポケモンを収集していくだけではなく、色違いポケモンや寝相のバリエーションなどのコンテンツの展開の方法が参考になる」「睡眠時のBGMが、既存のゲームでポケモンを回復させる場所の音楽のアレンジで凝っている」などの声があがっていました。
アプリのリリースに合わせて、よりこのゲームを楽しめる周辺機器の「Pokémon GO Plus +」や睡眠をモチーフにしたポケモンセンターの公式グッズが発表されており、今後の展開から目が離せません。
デザイン
株式会社マネーフォワード、ValuesのTechnology DrivenがTech & Designに
https://recruit.moneyforward.com/mvvc
株式会社マネーフォワードは、共通の価値観や目指したい世界観を明文化したMission/Vission/ValuesにおけるValuesの1つに「Tech&Design」を加えました。
同社は、MIssionを「お金を前へ。人生をもっと前へ」、Visionを「全ての人の、『お金のプラットフォーム』になる」を掲げ、オープンな金融系のプラットフォームを構築することで人々の人生を豊かにしてきました。
今回、Missionを達成するための行動指針、Valuesの1つであった「Technology Driven」が「Tech & Design」にリニューアル。
「私たちは、テクノロジーとデザインこそが、世界を大きく変えることができると信じています。テクノロジーとデザインの力を最大限に生かし、ユーザーに新しい価値を届け、社会を前に進めていきます。」としています。
全社の行動指針であるValusにデザインやそのプロセスが明記されることは、デザイナーが動きやすいことはもちろん、全社員がデザイン的な思考や哲学を持って行動することが求められるということです。会社で行われる意思決定において、必ずユーザーを視野に入れて行われることも期待できます。そのため、サービスの利用中に限らず、マネーフォワードとのあらゆるタッチポイントや仕組みで、ユーザーにとってさらに嬉しい体験が期待できるのではないでしょうか。
今後のマネーフォワードが、私たちの生活をさらに豊かにしてくれるかがとても楽しみです。
富士通、デザイン経営の”今”をまとめた『デザイン白書』を公開
https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/design/activities/dswhitepaper/
富士通株式会社が「デザイン白書」を公開しました。2023年3月までの同社におけるデザイン経営の成果や、デザイン思考の実践の取り組みについてまとめられています。
富士通が公開した記事では「デザインの業界はオープンになることが求められており、ナレッジや情報を社内に閉じるのではなくどんどん社外に発信していくことでデザイン業界の共通課題を皆で解決することが重要だ」とデザイン白書を公開した想いが述べられています。 グッドパッチも同様に、デザインに関する知識や成果をオープンに発信し、業界全体の発展に貢献したいと考えています。
デザイン経営を取り入れる企業は増えていますが、どんな効果があるかわからない、まだ成果を実感できていないといったことも多くあると思います。この機会に富士通の「デザイン白書」を実践の参考にしてみてはいかがでしょうか?
「深澤直人が「つくる」理由。デザインと工芸、科学を行き来する「いいカタチ」の求道者」インタビュー記事公開
https://designing.jp/naoto-fukasawa
Webメディア「designing」にて、デザイナーの深澤直人氏のインタビュー記事が公開されました。普遍的な「いいカタチ」について探求する深澤直人氏のデザインに対する捉え方、考え方に迫っています。アフォーダンスといった科学とデザインの繋がりを深める取り組みや、環境に対する配慮を内包した工芸の考え方からのインスピレーションなど、デザインと工芸・科学の結びつきについて言及されています。
長く使われるデザインの本質を深めるためにも、工芸について理解することでデジタルのデザインに新たなアイデアやエッセンスが生まれるかもしれません。
イベント
「東京ミッドタウン・デザインハブ・キッズ・ワークショップ2023」開催
https://www.designhub.jp/exhibitions/zd6tdwbtk
東京ミッドタウン・デザインハブは、8月6日から8月12日の6日間「東京ミッドタウン・デザインハブ・キッズ・ワークショップ2023」を開催することを発表しました。
「東京ミッドタウン・デザインハブ」とは、多摩美術大学や日本グラフィックデザイン協会など、デザインの教育・創造・振興を専門とする機関が連携し六本木にて運営しているデザインの発信拠点です。
今年で16回目を迎える本イベントは、キッズ/親子向けにクリエイティビティを刺激する10種以上のプログラムを提供する予定。お子様がデザインに触れるきっかけになるだけではなく、各分野のデザインのプロと接することができる貴重な機会です。
幼少期にこうしたデザインに触れる機会を原体験として創作に熱中し、最終的にデザイナーになった方も数多くいるので、お子様の視野を広げるためにもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
※プログラムは事前予約制・新着順のものもあるようですので、ご興味のある方はぜひお早めにチェックしてみてください。
トレンド
Figma Config 2023 AirbnbCEOによる「プロダクトマネジメントの廃止」の発言が話題に
https://jocatorres.medium.com/airbnb-and-the-end-of-the-product-managers-48108cc16188
2023年6月に開催された Config 2023において、Figma 共同創業者兼CEOのDylan FieldとAirbnbの共同創設者兼CEOのBrian Cheskyによるセッションがあり、そこでのBrian氏のパンデミック下で行われた改革の一つとして、「従来のプロダクトマネジメントの廃止」発言が話題になりました。
この発言に対して、SNS上ではプロダクトマネジメントに携わる人々に大きな疑念を与えたのですが、実際にAirbnbで行われた改革は「プロダクトマーケティングとプロダクトマネジメントの役割を組み合わせることであった」と訂正しました。
本セッションによると、同社はパンデミックによって業績低迷が生じた際に、業務見直しを行ったところ、人員が増えるとプロジェクトが増える一方、アプリの実際の変更は減っており、コストが増加していることが分かりました。
そこで、主要な改善プロジェクトを絞り、リリースするタイミングを年2回へ減らしました。また、デザイナーをプロダクトマネージャーのレベルへ押し上げた結果、業績が回復したと語りました。
セッションの後半でも、改革によってプロダクトマネジメントの役割がなくなったわけではないと発言しており、ビジネスとテクノロジーを繋ぐ人材として重要性を強調しています。
ユーザーが増えることによって指摘される改善点も増え、改善に追われることでサービスの価値を高めるアップデートができないという状態が生まれてしまうリスクは多くのプロダクトにあるでしょう。そうした際に、デザイナーは、より最適なユーザーフローはどのようなものかを考え、サービスがあるべき方向性を捉えることで、会社全体の問題をシンプルにすることができます。私たちもデザイナーが会社全体に大きな影響を与えることができるように取り組んでいきたいと感じさせられました。
以上、7月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!
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