Goodpatch closed its Berlin office. We will continue to help businesses through Tokyo HQ.

Client
SBペイメントサービス株式会社
Expertise
Digital Product & Service Design
Date

Overview

SBペイメントサービス株式会社は、ソフトバンク株式会社の100%子会社として2004年に設立されました。ソフトバンクグループの決済・金融事業を担う同社では、決済サービスを利用する顧客(加盟店)の満足度向上を課題に感じていたものの、具体的なアクションを決めかねていました。
Goodpatchが行った、顧客満足度向上に向けた組織の立ち上げからプロダクト改善の提案、オペレーション改善など、顧客体験(CX)向上のための支援内容を紹介します。

Summary

クライアントのニーズ

  • 顧客満足度向上のための具体的なアクションが知りたい
  • システムを作りながら課題特定、改善していくアジャイルな開発ができる外部パートナーと組みたい

Goodpatchの対応

  • 顧客や経営層へのインタビューから、現状の顧客体験の課題を抽出
  • 顧客ペルソナ、カスタマージャーニーマップ作成を通して理想の顧客体験を設計
  • 顧客体験向上に向けた各部門を横断したKPI策定、顧客満足度調査の再設計
  • 顧客の定量/定性データをもとに、システムのデザインを進める際の指針となるデザインガイドラインを策定

今後の構想や現時点での成果

  • 顧客満足度向上を目的とした全社横断のワーキンググループが誕生
  • サポートサイトや開発者向けサイトのUIデザイン改善プロジェクトが進行、現在開発中

依頼背景とプロジェクトプラン

ソフトバンクグループの決済・金融事業を担うSBペイメントサービスでは、以前から加盟店さまより意見をもらっていたものの、それをどのように顧客満足度向上に繋げていくのか計りかねていたといいます。

加盟店アンケートなどの内容を掘り下げ、システムのUIデザイン改善を通して顧客の声をしっかりと顧客満足度向上に繋げるために、2021年末から外部パートナー探しが始まりました。

過去にも自社内で顧客アンケートを行い、課題や改善案をまとめたことがありました。しかし、例えば「サポートの体制に課題がある」ということが分かっても、対応のマニュアルが良くないのか、プロダクトの操作性が課題で問い合わせが増えることが良くないのか。原因はすぐには分かりません。
顧客満足度はさまざまな要因が絡み合って生まれるものです。「本当に全ての課題を洗い出せているのか」「導き出した方向性は正しいのか」「そもそも自分たちでどう推進していくのか」という部分に自信が持てずにいたのです。

Goodpatchの「フレームワークや仕組みを残すことで、自走できる企業を増やす」というスタンスと、課題の特定や現状把握からUIデザインまで幅広く対応する特徴が決め手となり、今回のプロジェクトが始動します。Goodpatchでは、課題を掘り下げて整理し、理想の顧客体験に向けて打ち手を検討、具体的なアクションに繋げていく3段階のプロジェクトプランを提案しました。

現状をインタビューから把握し課題抽出・テーマ整理

現状の顧客体験がどうなっているのか把握するために、Goodpatchではまず加盟店さまやSBペイメントサービス社内の役員の皆さまにインタビューを実施。インタビュー結果を構造化し、16個の課題として提案しました。

かねてより「加盟店さまの声を具体的なアクションに繋げる方法が知りたい」と考え、社長の榛葉さん自ら「Trust Game Winner(お客さまの信用を勝ち取った者が勝つ)」というキーワードを打ち出していたSBペイメントサービスに対して、Goodpatchが課題を優先順位付けして提案したことで、課題解決に向けて各自プロジェクトを推進する全社横断のワーキンググループが誕生することになりました。

誕生したワーキンググループは大きく分けて4つです。

  • SBペイメントサービスの顧客である加盟店さまが使うツールやWebサイトの改善を目的としたグループ
  • 加盟店さま向けのFAQ、開発者の方々に向けたコンテンツの充実化を目指すグループ
  • ツールを使う加盟店さまの声をもとにサポートを改善していくグループ
  • KPI策定や予算計画など、全社横断でのCX施策を推進するグループ

全社横断で顧客満足度を追求する、ワーキンググループの効果

顧客満足度はさまざまな要素が絡まり合って構成されています。顧客と直接会話するCSの対応だけではなく、システムの使いやすさ、FAQなどのコンテンツの充実度、問い合わせ内容の共有と改善など、ひとつの部署だけで網羅できるものではありません。

Goodpatchがお伝えした「カスタマーサクセスを成功させるための5要素」

加盟店さまのサポート改善に関するグループリーダーを担当したSBペイメントサービスの日比さんは、ワーキンググループの効果を「これまでは、サポートに関する課題が出たときはサポート部門のみの観点で改善に向けた動きを進めていましたが、今回、顧客満足度を高める仕組みや課題が明確になったおかげで、他部門と協働して幅広い観点での改善を進められるようになりました」と振り返ってくれました。

こうして顧客満足度向上に向けて課題と体制が整い、加盟店さまのサポート改善に関するグループでは、VoC(Voice of Customer:顧客の声)分析によるサービスの改善と、決済システムの障害が発生したときに加盟店さまに送る「障害報」の改善に着手しました。

障害報の改善にあたっては、Goodpatchが加盟店さまにおこなったインタビューの内容をもとに、文面から件名やフッターといった細部まで検討し、メールにおけるガイドラインも提案。障害報を受け取る加盟店さまの視点が取り入れられたガイドラインは、今後もSBペイメントサービスの中で使われ続けていく予定です。

提供システムの改善を目指し、デザインガイドラインを策定

加盟店さまが使うツールやWebサイトの改善を目指すグループでは、ユーザー体験を軸にツールや導線を見直し、最終的にデザインを進める際の指針となる「デザインガイドライン」を策定しました。デザインガイドラインとは、システム上の文字・色・ボタン・画像などのさまざまな要素について、ルールを詳細に定義したドキュメントを指します。

今回Goodpatchは、SBペイメントサービスが持つアクセス履歴などの定量データと、失注や解約の理由といった定性的なデータと、社内ステークホルダーへのヒアリングやワークショップを通して得られた知見を組み合わせ、理想のユーザー体験をワーキンググループ内で言語化することでデザインガイドラインを策定しました。

グループリーダーを担当されたSBペイメントサービスの木村さんからは「ワーキンググループの過程で、『ユーザー体験はこうあるべき』『そのためにこんなデザインを実現すべき』という議論ができるようになっていきました」という声をいただきました。

今後の展望

以上の施策を行ったのち、サポートサイトや開発者向けサイトのUIデザイン改善プロジェクトが進行しており、画面仕様書などの作成も支援しています。

画面デザインの一例

各ワーキンググループでの成果や今回のプロジェクト全体を振り返って、SBペイメントサービスの波田野さん、奥川さんからは次のようなお言葉をいただきました。

波田野さん:
プロジェクトとしては、各グループで出た方針を基に実装のフェーズに進んでいくところでして、最終的な成果はこれからですが、まず「われわれが今何をすべきか」という結論が出たのは会社として大きな一歩だったと考えています。
加えて、これまでは「わたしが」「わたしの部門が」という姿勢だったところから「わたしたちの会社は」というふうに、主語が変わり始めているのを感じています。メンバーの視野が広がり始め、会社として良い方向に変わったのではないでしょうか。

奥川さん:
弱点はデザインだと思っていたので、もともとデザイン会社とご一緒したいと考えていました。ただ、デザインって人によって定義や範囲がバラバラですよね。
Goodpatchさんの提案はカスタマージャーニーを基に顧客とのタッチポイントを整理してくれたり、セールスやマーケティングの領域を押さえつつ、プロダクトデザインも行ってくれた。想像以上に課題解決の方法が戦略的でした。今はWebサイトの見た目の美しさなどを対象とするデザイン会社、というよりも「ITビジネスのあり方を顧客視点でリデザインする会社」のような印象を持っています。
既存のワーキンググループは「委員会」と名前を変えて継続します。社内で調整しながら、顧客満足度向上という課題に全社視点で取り組んでいきたいと思います。

Credit

プロジェクトマネージャー:服部 真人
UIデザイナー:金渕 良太、アンドレス ジェシー
UXデザイナー:山根 圭太、村上 まり子
デザインストラテジスト:高橋 椋一、中根 知之
テクニカルディレクター:関矢 浩史
アカウントマネージャー:高橋 俊太郎、古閑 大智
プロジェクト統括:伊澤 和宏、中根 美香

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