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Client
株式会社レイヤード
Expertise
Brand Experience Design
Date

Overview

1998年にデジタルサイネージの運用配信を行う会社として創業され、医療コンテンツの配信やメディア運営を行う中で医療領域に事業を拡張してきた株式会社レイヤード(旧 株式会社メディアコンテンツファクトリー)。現在はデジタルサイネージだけでなく、医療関連の自社プロダクト開発にも事業領域を広げ、これからの「かかりつけ医」のための患者関係性管理・Web問診・クラウド型IVR(電話自動応答)などのSaaSプロダクトも手がけています。

今回Goodpatchが支援したのは、企業の変革時における社内外へ向けたリブランディングです。デジタルサイネージの事業会社としての認知度が高いゆえに、医療DXという新たな事業の軸足を認知してもらえない課題にどのようにアプローチしたのか紹介します。

Summary

クライアントのニーズ、状況

  • 企業成長に伴い戦略と企業ブランドが合わなくなってきた
  • プロダクト認知度は上がってきているが企業認知度が低い
  • 複数のプロダクトが単独で存在しクロスセルにつながらない
  • 自社で事業をやる意義、メッセージが社内でバラバラ
  • トップダウンから脱却し、従業員が自分たちの言葉で事業意義を語れるようにしたい
  • リブランディングのための解決策や優先順位がわからない

Goodpatchの対応

  • ナラティブ設計、Purpose/Mission/Valuesなどのブランドコア策定
  • ブランドネーミング(社名)を全社を巻き込みながら策定
  • 企業ブランド、プロダクトブランドの整理
  • 企業ロゴとプロダクトロゴを一貫したストーリーでつなぐデザインシステムの開発
  • 社内外へのブランドコミュニケーションの実装

今後の構想や現時点での成果

  • 新たなPurpose/Mission/Valueを理解・行動している従業員の割合が80%以上に
  • 従業員の意識が統一され行動指針や目指す姿を社内に示しやすく
  • 企業戦略に基づいたブランドコアで社外発信がしやすく
  • 持続可能なブランド体験設計でコミュニケーションの展開が自走できるように

依頼背景とプロジェクトプラン

事業領域を拡大し、自社でサービスを開発するようになったレイヤードは、2020年から2022年までの間に5つのサービスをリリースしてきました。

・患者アクセスツール tonect (2020年7月リリース / 2021年10月close)
・クリニック向けLINE公式サポートツール SAIRAI(2021年1月リリース)
・クリニック向け電話自動応答システム Iver(2021年7月リリース)
・SymView電子同意書 (2022年4月リリース)
・PRM(患者関係性管理)システム Kakarite(2022年7月β版リリース)

医療現場の課題解決に直結することを訴求するために機能単位でサービスを切り分け、全て独立したサービスとしてリリースしてきた結果、企業としての認知が伴わず、リブランディングを決意したそうです。

関連記事:代表毛塚さんのブログ

Goodpatchにご相談いただいた理由を、代表の毛塚さんは次のように振り返ってくれました。

Goodpatchのことは、代表土屋さんのnoteをきっかけに認知していました。
自社のリブランディングを頼む上で、コンサルティングファーム寄りの会社にするのか、制作会社にするのか悩みましたが、Goodpatchの提案内容は両者のいいところを掛け合わせていたことが決め手になりました。弊社は1998年創業の古い会社ですが、提案時にこれまでの年表を整理してくれたことも印象に残っています。

提案時にGoodpatchが整理した年表

プロジェクトの目的は、自社が展開するサービスの提供価値の言語化と、そのサービスがレイヤードの事業であることを市場に認知してもらうためのブランドの土台を構築すること。また、従業員のみなさんが自分の言葉で事業意義やストーリーを語れるようにすることをゴールに設定しました。 

スケジュール表

ナラティブ設計からPurpose/Mission/Valuesを策定

現状の課題を特定するためボードメンバーをはじめとする社員15名にインタビュー。これまで社内にはMissionとValuesはあったものの、従業員が理解していない・存在を知らないなど形骸化した状態となっていました。

当初のプロジェクトプランでは、社名を含む企業ブランドの再定義よりも、各プロダクトのリブランディングを優先する予定でした。しかし社員インタビューを重ねるにつれ「共通認識を定めないとリブランディングはできない」という結論に至りました。

Purpose

Values

ブランドネーミング(社名)の社内巻き込み施策と策定

今回のケースでは「サイネージのコンテンツを制作する会社=メディアコンテンツファクトリー」が、もともとの企業名でした。しかし現在は、クリニックで発生する多くの課題をテクノロジーを用いて解決する医療SaaSが主力事業になり、企業名と実態にギャップが生まれていました。

社名の変更は、企業にとって重要な意思決定です。
しかしGoodpatchでは「メディアコンテンツファクトリー」が今後医療SaaSを提供する企業として成長していくためには、社名を変更することが必要だと提案。1998年創業から続くメディアコンテンツファクトリーの歴史と未来の姿について、ともにディスカッションを重ねました。

詳しいプロセスはこちらの記事で解説しています。

企業の想いから導く、事業成長に合わせた社名変更とは?企業の変革フェーズに最適なブランド戦略策定を解説
https://goodpatch.com/blog/layered-bx-naming

ブランドポジショニング

プロジェクトを並走しながら分かったレイヤードの重要な思想は「生活者と医療者の共通領域を担う」ということ。
彼らが提供するプロダクトは、生活者だけのためではなく、また医療者だけのためでもない。医療とはその両者の重なりによって営まれており、重なる部分こそがこれからの医療を発展させるために重要になる、と導き出しました。

ネーミングとロゴシステム

そこからは「生活者と医療者の共通領域を担う」という思想を表現する言葉をワークショップ形式で議論し最終的には全従業員に意見をもらったり、Goodpatchメンバーが経営会議にも参加しながら、一つの言葉に集約させていきました。

そうして生まれたのが「レイヤード」という新たな社名です。

ブランドを一貫性あるストーリーとして伝える

再定義したPurpose/Mission/Valuesと社名は、一貫性あるストーリーとして企業のステークホルダーに知ってもらうことが重要です。そこでコーポレートサイト、提供するサービス「カカリテ」Webサイトのリニューアル、Web展開のデザインシステムを提案しました。

デジタルサイネージの会社という市場からの認知を変えていくために、現在は社内外へのコミュニケーションツールとして活用されています。

コーポレートサイトはこちらからご覧いただけます。
https://layered.inc/

ブランドストーリー

生活者と医療者の姿をジャーナリズムフォトの手法で表現し、ユーザーの見る世界とブランドが体現する世界をより近づける事で、顔が見える・人間らしいブランドづくりを意識しました。更に彼らの日常や医療を通して重なる様子をストーリー仕立ての「マンガ」という形に落とし込むことで、生活者・医療者それぞれの人間らしさを際立たせ、医療を共創するパートナーであることをブランドのメッセージとして伝えています。

パートナーに頼らなくても持続可能なブランド体験

レイヤードという企業名を起点に、すでに存在していた複数の医療系SaaSプロダクトのロゴもすべて刷新しました。ひとつひとつのプロダクトに対して単独でロゴをつくるのではなく、ひとつのブランドストーリーから成り立つべきと考えました。すべてのプロダクトが医療者と生活者の間にある、という「レイヤード」のブランドの概念を体現するデザインシステムを開発しました。

さらにこのロゴシステムをガイドラインとして提供することで、今後も新しいプロダクトが開発された際にも、クライアントだけの力で一貫性を持ち続けることが可能になりました。

ブランドガイドライン

デザイン作成の環境設計

Webサイトに使用したアイコンやイラストは、今後、私たち以外のデザイナーでも展開がしやすいように、Figmaの環境をコンポーネントやスタイルなどに設計しています。

Purpose/Mission/Values 浸透を支援

Purpose/Mission/Valuesを社内で啓蒙していくチームをレイヤードの従業員5名で結成いただき、スタートをGooodpatchが支援しました。ブランドカルチャーを醸成するためのさまざまな施策を考え、実施したり、定期的にアンケートを取って効果測定も行っています。

アンケートはPurpose/Mission/Valuesについて「認知・理解・納得・行動」のうちどの状態の従業員が多いかを可視化します。これまでのアンケート結果からは、 Purpose/Mission/Valuesを知らない従業員が減り、自分なりの言葉で説明ができる・業務に活かす従業員が増加した ことが分かっています。

クライアントの声

今回のリブランディングの社内浸透は想像以上に成功しています。全社会議では「レイヤードらしさ」という言葉が従業員から出てくるようになり、いちプロダクト単体の話ではなく、レイヤードとしてどんな価値を提供していくのか、という視点で議論ができるようになってきました。対外的なイメージの変革は時間をかけて進めていきたいです。
ー 株式会社レイヤード 代表取締役 毛塚さん

もともと、リブランディングに全社を巻き込む必要はないのではと考えていましたが、Goodpatchのみなさんが強く「巻き込むべき」と言ってくれたのは結果的によかったと思います。新しいブランドやイラストにもみんなが愛着を持って使ってくれていることを実感できています。
ー 株式会社レイヤード マーケティング本部 伊藤さん

Credit

デザインストラテジスト:小林 尚規、八木 明日香
BXデザイナー:Kai Qin、大久保 彩佳
コピーライター:水谷 秀明(株式会社シーダッシュ)
イラストレーター:宮田 真梨(Freelance)

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