株式会社キュービック
- Client
- 株式会社キュービック
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- Brand Experience Design
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Overview
ヒト起点のマーケティング×デザインでビジネスを前進させる株式会社キュービック。比較サイトを中心としたデジタルメディア事業を行っており、新しい価値を見つける総合比較サイト『your SELECT.』や初心者のためのFX比較サイト『エフプロ』などを運営する同社は、常にユーザーが求める情報は何かに向き合ったメディア作りを行っています。
今回、グッドパッチはキュービック社内で使われるフレームワーク「CUEM(キューム)」の概念整理と再構築をサポートしました。
独自の社内フレームワークを再定義する
今回のプロジェクト期間は1.5ヶ月。プロジェクトは、キュービック社内にある独自のフレームワークCUEMの整理と再定義というお題から始まりました。
CUEMは僕が元々、マーケティング領域で仕事をしていた時に大事にしていた考え方や技術を言語化し、フレームワークに落とし込んだものです。
それを、マーケティング領域だけではなく、コーポレートやシステム開発、デザインなど、会社全体に浸透させていけたらと、数年前から全社的な概念として機能させていました。
ただ、CUEMは元々マーケティング領域で使うことを想定していたため、会社全体で使われて磨き込まれることがなかなか起こらず、課題を感じていました。
CUEMという概念には複数の要素が含まれており、社内でも定義や業務での活用がうまくできていないという状況でした。
CUEMとは
1. 社員が持つべきスタンス
2. CUEBiC流の業務を行うためのプロセス
3. メディア制作における表現手法
インターンとして潜入し、一次情報を取りに行くリサーチ
そこで私たちが取りかかったのはリサーチです。
まず、キュービックの経営陣と社員、計22名へのデプスインタビューを実施。インタビューを通して、キュービック自体の理解を深め、またCUEMの浸透度合いを理解することが目的です。
また、実際の業務でCUEMがどのように活用されているか理解するために、キュービックのデジタルメディア事業部にインターンとして潜入させてもらいました。
インターンとしてクライアント先に入り込むという提案をした背景を、Goodpatchのデザインストラテジスト 小林はこう語ります。
プロジェクトの概要が手元に届いた時に、「えらいものに着手することになった。中途半端な理解度で取り掛かれるプロジェクトではない」と感じたからです。全社員が使うフレームワークである以上、現場でどのように、どのような感情で使われているのかを徹底的に調べない限りは、最善の提案ができないと思いました。最前線の一次情報をとるために出た発想がインターンでした。
ー Goodpatch デザインストラテジスト 小林
リサーチ結果の構造化と提案
経営陣へのインタビューでトップの現状を洗い出し、インターンとしては現場の一次情報を取りに行く。トップとボトムを両方押さえたリサーチを通して、キュービックの目指したい未来に向けて何に投資をしていくべきかを洗い出していくと、「技術投資」の部分にCUEMの整理が大きく貢献できることが見えてきました。
そして、CUEMはやはりまだ浸透していないことも分かりました。
・要素が多くて細部を忘れる
・マーケティング担当者が使うものであり、バックオフィスが使うものではない意識がある
このような課題からGoodpatchが提案したのは、CUEMの要素を削ぎ落とし、より具体性を持たせ、現場で活用できるよう改善を目指すことでした。
具体的な方向性としては、次の2点を提案しています。
・CUEMの要素を「キュービック流の業務を行うためのプロセス」に絞る
・抽象化したプロセス(全社共通)と、具体的なプロセス(部門ごとに定義)の両側面を持つアウトプットを作成する
抽象度が高い概念がさまざまあるなか、因果関係の整理も納得度が高かったですし、社内のヒアリング内容や資料の情報整理整頓力も圧倒的でした。「デザイン会社なのに、コンサルタントみたいだな」と驚かされましたね。
実際、プレゼンの内容的に会社の代表には言いづらいところもあったと思うんです。「全然定着してないです」「正直使われてないです」といったことを、最大限の配慮をしつつ率直に言ってもらえたことは、外部パートナーに依頼した一つの価値だと感じました。
ー キュービックCEO 世一さん
社員の声から企業のパーソナリティを収束
アウトプットの方向性が決まり、ここからは制作フェーズ。
経営陣と社員のインタビューでの発言から、キュービックの現在と未来を表現したキーワードを発見するため、250ページほどの関連資料から「キュービックらしさ」に関係するワードを抜き出してマッピング。企業としてのパーソナリティを一文で表現できるように収束していきました。
導き出されたのは、「善意や良心でまっすぐにヒトと向き合い、本質的な価値を創造する」という一文でした。これを基盤に具体的なムードボードを作成し、やりとりを繰り返しながらイメージをすり合わせていきました。
手にした瞬間に開きたくなる、即効性のデザイン
再定義したCUEMの内容は、当初PDFで社員に配布される予定でした。
しかし、新しく生まれ変わったキュービックのオリジナルフレームワークを社員に伝えていく際に、手に取って見られるハンドブックやポスターがあることで、より強く記憶に残せるとビジュアルデザイナーの中田が提案。
こうしてハンドブックを起点にポスターや卓上スタンド、Webなどイラストを展開しながらツールを作り、社員とCUEMのタッチポイントを量産しました。
心を動かすビジュアルを用いて、社員とCUEMのタッチポイントを量産する狙いは功を奏し、ハンドブック配布時にはこんなことがあったそうです。
社員一人ひとりにハンドブックを配って歩いたのですが「めっちゃ可愛いですね!」という声をたくさんもらえました。配った瞬間に全員が開いてくれた時には、デザインが持つ力を感じました。大事にしたいページを開いたままデスクに置いて活用している社員もいます。
ー キュービック篠原さん
一目で鮮烈な印象を残し、言葉よりも強く共感を集めるビジュアルデザインは、Goodpatchのビジュアルデザイン専任チームTOROによるものです。
Goodpatchが提供するビジュアルデザイン専任パートナー「TORO」とは
新しいCUEMをキュービック社内でお披露目した結果では、全体の約8割が「今までよりも活用できそう」と回答しています。
今後は定量定性データを月単位で測定していきながら、CUEMを使ってキュービック流の仕事ができるように啓蒙活動を行なっていくそうです。
クライアントのメンターとして自走を支援
1.5ヶ月のプロジェクトには、キュービックのデザイナーが二人参画していました。
これは、事業会社という特性上、自分たちの仕事の進め方が正しいのか、どんなふうにやればもっと効率的にできるのかなどを客観視する機会が少ないことを課題に感じていたCEO世一さんとCDO篠原さんの狙いでもありました。
Goodpatchのみなさんが良きロールモデルとなってくれました。そのおかげで、デザイナーの朝倉と鈴木は確実に成長したと思います。以前よりも明らかに強く「これどう思いますか!」と向かってくるようになりました。皆さんの良いところを吸収したなという実感があります。
ー キュービックCDO篠原さん
インナーブランディングの費用対効果
1.5ヶ月で社内のフレームワークを整理し、再定義した今回のプロジェクト。
コミットしてくださったキュービック経営陣のお二人の声を最後に紹介します。
イラストレーターやコピーライター、企画者を個別に雇って僕らが統括していくことと比べると、投資額に見合うものになりました。それに加えて、Goodpatchの皆さんから社内の若手に残してもらったナレッジもプラスで乗ってくる。僕自身も今回のプロジェクトで勉強させてもらったので、費用対効果は金額以上に得られたと思います。
ー キュービックCEO 世一さん
今後はCUEM自体がキュービックの基盤になっていくので、これが根付いていけば、費用対効果はとても大きいと考えています。今後またご一緒できる機会があれば、できればCUEMという基盤を使って新しいサービスを一緒に作ってみたいです。
ーキュービックCDO 篠原さん