2017年8月30日(水)に、Prott User Meetup Vol.23 ~ProttとBaltoを使ったプロセス変革特集~を開催しました!

本イベントでは、アプリ開発事例として株式会社カラダメディカで『カラダメディカ』サイトのPOを担当している十日市さん、KDDI株式会社で『auサービスTOP』の担当部長の岡さんにご登壇いただきました。
この記事では、グッドパッチが開発している2つのツールPrott、Baltoをアプリの改善プロセス内でどのように活用したのか、事例を交えてご紹介します!

「フィードバックを集めて、サービスを良くしよう!」|カラダメディカ コンシューマーサービス部 十日市 様

カラダメディカとは、医者、薬剤師、栄養士などの専門家にオンライン上で相談できるサービスです。
実はカラダメディカのサービス専任は、十日市さん1人だけだそう。
チームが様々な所にまたがっている中で、どのようにコミュニケーションを取り、サービス改善を行っているのかお話し頂きました!

カラダメディカでのプロセス改善&フィードバック

まず、フィードバックと聞いてなにを思い浮かべるでしょう?
フィードバックはプロダクトをより良くするものなはずなのに、フィードバックと聞いて最初はマイナスなイメージを持たれることが多いと思います。
カラダメディカさんでは、ProttとBaltoを活用することで、よりポジティブなフィードバック文化が生まれたそうです。
具体的には、バリュー・ストリーム・マッピングという手法を用いて、まず各プロセス内の課題を出していくとのこと。

これは、各プロセスで時間がどのくらいかかるのか、作業時に辛いと感じたことは何か、などを洗い出していき、現状を把握する事で、ムダやボトルネックを明確にして、プロセスの改善をしていく手法になります。
カラダメディカさんでProttとBaltoを使ってフィードバックをする際に、よかったポイントは3つあるとお話しされていました。

①細かい動きを伝えられる
離れているメンバーにフィードバックをする際、どうしてもテキストベースだと伝わりづらいことが多く、やり取りに手間がかかってしまうが、Baltoを使用した際は実際のスクリーンショットや動画機能で 動的な不具合なども的確に報告することができ、伝わりやすかったそうです。

②離れていてもレビューできる
Prott・Baltoは配布をしてしまえば、 レビューする人の時間・場所を限定しないので 気軽にレビューに参加できるようになったそうです。例えば夜型の方が寝る前にレビューすることなども可能になります。

③観点の違うフィードバックをもらえる
色々な経歴・様々な役割のメンバーが見てくれるので、 プロジェクトチームでは気づけなかったことに気づけるようになったそうです。

フィードバックを集める時に気をつけたこと

続いて、意識したことについてもお話しいただきました。カラダメディカさんでは、以下の2点に気をつけてフィードバックを行なったそうです。

①全てのフィードバックに答えない
もらったフィードバックに優先度をつけていき、改善をしていく際、実際にBaltoではカテゴリータグを使い分けて、運用ルールを決め優先度をつけていたんだとか。

②フィードバックに返答を
もらったフィードバックに対しては、どのような対応を行なったのか報告するようにしたそうです。
そうする事で、次回のフィードバックを集める時のモチベーションになり、チーム全員で当事者意識を持ってもらうことに繋がるんですね。

小さいコミュニティーで悩むより、みんなからフィードバックを集めることで、よりプロダクトが磨かれ、結果的には、ユーザーの満足度向上に繋がっていくと話されていたことが印象的でした。
フィードバックが生まれやすい社内文化を作るためには、フィードバックを送る側のことまで考えた環境づくりをしていくことも重要ですね。積極的にフィードバックが飛び交う環境からこそ、磨き抜かれたプロダクトは生まれるのではないでしょうか。

「ユーザーフィードバックを活用した失敗しないリニューアル」|バリュー事業本部 新規ビジネス推進本部 担当部長 岡 様


続いてKDDIの岡さんより、お得な割引クーポンやプレゼント、最新ニュースなどを受け取れるauユーザーのためのサービス「auサービスTOP」の改善について、わかりやすい例なども交えてお話し頂きました!
サービスをリニューアルすると、なぜだか改悪だと言われてしまう。そこにはいくつか理由があるとのこと。

リニューアルにおいての悪い例

①ゴールを作ったもののゴールがわからなくなる
「初めに決めていたゴールを途中で見失い、迷子になってしまうことが多々ある」とのこと。これを防ぐためには、そのリニューアルが何のための改善なのかなど、リニューアルのゴールを明確にする必要があることは大前提と言えます。

②リニューアル自体がゴールになりがち
リニューアルをしている際に、ステークホルダーからの戻しが多く、答えのない問いと戦い続け、「とりあえず終わりたい」という気持ちから中途半端なままリリースをしてしまうケース。こちらもユーザーを置いてきぼりにしたリニューアルとなってしまう悪い例です。

ここでも、しっかり考えるべき点は、リニューアルをする目的はなんなのか?ということです。
リニューアルをする事で体験価値がリセットされる訳でなく、既存価値に対して新たな価値を積み上げていく事こそリニューアルの本来の目的だとお話頂きました。

もちろん、既存ユーザーが感じている価値を理解せずに価値を積み上げていくことはできません。
KDDIさんでも、リニューアルによりDAUが鈍化した事があったが、再度ユーザーに向き合い、分析を重ねることで、ユーザーの日々の習慣に馴染んでいったそうです。

デザイナーとユーザーのギャップを発見する

そんなKDDIさんが改善の際に意識していることが、メンタルモデル。メンタルモデルとは、過去の経験から発生するユーザーの予測のことです。
面白い例をお話頂いたので紹介させて頂きます。

【フリマアプリのメンタルモデル例】
フリマアプリでユーザーがよくチェックする「売上残高」。これが記載されているのは、どこの機能の中だと思いますか?という質問が会場の皆さんに向けてされました。
①マイページ
②設定
③メニュー

この3つの機能の中で、売上残高が記載されているのはどこの項目でしょうか?(ちなみにこの問いに答えはありません。)
会場の皆さんの手が多く挙がったのが、①と③でした。②は数名。そこで、今流行りのサービスではどうなっているか発表頂いたところ、

メルカリ:設定
フリル:メニュー

といった機能の中に「売上残高」が記載されていました。
あの最大級のフリマアプリ メルカリの機能配置でも、ユーザーのメンタルモデルとは異なる点があると分かり、とても興味深い例でした。
このお話からも分かるように、メンタルモデルを意識したサービス改善を心がけるKDDIさんでは、リニューアルの際にはまずインタビューを実施し、現行のサービスの利用再現と、新しいプロトタイプの評価をしてもらうそうです。

開発サイドが持っていた誤解を紹介

また、開発サイドがユーザーのためを思い改善を行ったとしても、ユーザーの過去の経験から、違和感が引き起こされることがあります。 ここでは、実際に開発サイドが持っていた誤解の例をご紹介いただきました。
◆誤解その①:ポイントガチャのメインユーザーはポイントが目的ではなかった
ポイントガチャという毎日ガチャでポイントが当たる(抽選)機能でサービストップのコアな集客装置があります。
これを毎日やってる人=ポイントを欲しくてやってくる層かと思っていました。
ユーザーインタビュー結果、明らかになったのはポイントを貯めて何かに交換したいという訳ではなく、その貯める行為自体を一つの節約行為と考えるような節約ママがメインターゲットというインサイトが分かりました。

◆誤解その②:タップされないのは不要だからではない
不要と思ってリニューアルの際に残高項目を消してみたが、ユーザーから残高が見えてることで安心していたというフィードバックが多くあった。

◆誤解その③:邪魔だと思ったら意外に重要だった
左下にあるタブが邪魔だったので改善の際に消してみたら、ユーザーからあのボタンはどこにいったのか。というフィードバックが集められた。

早い段階でメンタルモデルのギャップを明らかにすることで、確度を高めた状態にすることができ、良い改善に繋がっていくとのことでした。ユーザーに寄り添ったサービスづくりのためには、メンタルモデルは欠かせない観点なんですね。

岡さんの詳細な活用事例に関してはこちらの記事もご覧ください!

さいごに


以上、Prott User Meetup Vol.23のイベントレポートでした。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

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