新しいものが大好きなGoodpatchで8月話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2020)
酷暑が過ぎ去り、朝夕日毎に涼しくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。Goodpatch Blogでは、今月もGoodpatchで話題になったアプリやサービスをご紹介します!
アプリケーション
描いたらくがきが動き出す「らくがきAR」がリリース
https://whatever.co/post/rakugakiar/
Whatever inc.は8月1日より、自分の描いたらくがきが動き出すアプリ「らくがきAR」をApp storeで配信しました。らくがきARは、プロトタイプの段階で昨年の「デジタルえほんアワード」のグランプリを受賞した作品でもあります。
ユーザーが描いたイラストをアプリでスキャンすると、3Dモデルとなってバーチャル空間を歩き出すようになっています。動き出したらくがきのキャラクターにご飯をあげたり、つっついたりすることも可能です。
実際に使ってみると、カメラを動かしながらイラストをスキャン、1タップでイラストが動くようになるという非常にシンプルな操作が特徴的だと感じました。動くようになるまでの過程は魔法を使っているようなワクワクがあり、アプリ製作者のコメントの通り「自分の描いたものに命を吹き込む」「アナログとデジタルがシームレスに繋がる」体験でした。ARの技術が今後、教育・エンターテイメントなど様々な分野へ応用されていくだろう、そんな可能性を感じるアプリでした。
あなたの予定から会話が生まれる、ソーシャルカレンダーアプリ「FRYDAYS」がリリース
https://note.com/frydays/n/n929186d27bf5
「FRYDAYS(フライデーズ)」は、友達や恋人などの親しい人と簡単に予定を共有できる、ソーシャルカレンダーアプリです。みんなの予定を簡単に確認したり予定についてチャットしたりすることができます。予定をきっかけに会話が生まれるなど、これまでのカレンダーアプリにとどまらない新しい体験を楽しむことができます。
FRYDAYSでは「映画観たい🍿」や「ひま🤤」といった、「今の気分」に近い内容を予定としてテンプレート入力できます。こういった予定は、趣味の共有やちょっとしたコミュニケーションに繋がります。インスタグラムのストーリーズで今の気分をシェアしたことをきっかけに新しい会話が生まれるような感覚と近いかもしれません。
だれかと話すきっかけを探していたり、家で一人の時間を過ごすことが多い現代人にとって、FRYDAYSで生まれる独特な繋がりが新鮮で心地よく感じられるのではないでしょうか。
Googleの視覚障害者向けAIアプリ「Lookout」で食品ラベルや長文のスキャンが可能に
https://blog.google/outreach-initiatives/accessibility/lookout-updates
Googleが視覚障害者向けのAIアプリ「Lookout」をアップデートしました。今回のアップデートでは長い文書と食品ラベルの読み上げ機能が追加されました。その中でも食品ラベルの読み上げ機能は、テキストを読み上げるだけではないのです。目の見えない方が、スーパーでどんな食品を持っているのかを認知できるところにフォーカスされています。手に持っている商品のラベルが正確に写ってない時に、回転する必要があると教えてくれます。そして、データベースを元に商品のブランド、製品、フレーバー、その他の関連情報を引き出します。不可能な場合はバーコードのスキャンも可能です。
今回のアップデートはユーザーの視点から問題を考え、解決しようとしたことが分かります。視覚障害者の立場から考えてみると、商品のテキストが分かることも重要ですが、どんな商品かを認知できることがより重要です。
既存の商品改善あるいはサービスを運営していく上で、ユーザーの視点でより重要な問題を発見し、サービスを改善するというプロセスに立ち返ってみることは、とても大切なのではないでしょうか。
サービス
カロリーメイト、プログラマー向け新プロモーションを開始
https://www.otsuka.co.jp/cmt/to_programmer/
カラダに必要な5大栄養素を手軽に補給できる飲み物「カロリーメイト リキッド」の新たなプロモーション「CalorieMate to Programmer」が開始しました。これに伴い、プログラミング言語「Ruby」の開発者・まつもとゆきひろ氏監修の特設サイトも公開されました。「カロリーメイト リキッド」の内容をプログラミング言語で表現しており、プログラマーの心をくすぐる演出となっています。
今回のプログラマー向けプロモーションは、CUIモードや隠しコマンドといったプログラマーが楽しみながら「カロリーメイト リキッド」の魅力を知れる工夫がなされており、SNSでも話題になりました。
ターゲットユーザーの注目を獲得できたのは、ユーザーが何を求め、どのように感じるのか、ということに真摯に向き合ったからではないでしょうか。ユーザー視点を常に意識し、アップデートし続けることがプロダクトの価値を届ける近道かもしれません。
新聞社が提案したニューノーマル時代の新しい花火の楽しみ方、ARおうち花火大会
https://shinmai-ar-hanabi.com/
8月15日、信濃毎日新聞に「実験 ARおうち花火大会」と題された広告特集が掲載されました。これは、長野県で開催される国内最大級の花火大会やそのほか多くの花火大会が中止になったことから同新聞社が企画したもので、これからの新しい花火の楽しみ方として話題になりました。
夏の風物詩である花火。しかし今年は花火大会に行けず、残念に感じた方も多いのではないでしょうか。そこで活用されたのが、スマホ向けサービスとしても身近になってきた”AR”(拡張現実)です。
AR花火は紙面にあるQRコードを読みこみ、スマホを新聞に向けるだけで、誌面の中でパッと開く花火の様子や花火が上がった時の音までも再生されます。また、紙面がなくてもWebサイトで同様のサービスが体験できることから、誰でも容易に花火を楽しみことができます。皆さんも今年の夏はARを活用した新しい楽しみ方を体験してみませんか?
プロダクト
著名建築家が公共トイレをデザインする「THE TOKYO TOILET」プロジェクト
日本財団は、誰もが快適に使用できる公共トイレを設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」を実施しました。2020年にオープンするトイレは合計7箇所あり、すでにいくつかのトイレは利用できるようになっています。このプロジェクトでは、汚い、怖い、狭い、といった公共トイレのイメージをデザインとクリエイティブの力で払拭し、誰もが利用できるユニバーサルな公共トイレを目指しています。プロジェクトの拠点は情報発信力が高い渋谷。世界に発信していくことを目的にしています。
このプロジェクトがきっかけで東京の公共トイレのイメージは少しずつ変わっていきそうです。今回デザインされたトイレは、公共トイレならではの課題やその土地柄を意識して作られています。これまで公共トイレを使う人がトイレのデザインを意識することは少なかったのではないでしょうか。あまり目が向けられることがなかった「トイレ」が一つのおもてなしの機会として認識されているのは面白いですね。
ワコムと三菱鉛筆、鉛筆のような描き心地のデジタルペンを販売開始
https://store.wacom.jp/products/detail.php?product_id=4445
株式会社ワコムと三菱鉛筆株式会社は、スタイラスペン「Hi-uni DIGITAL for Wacom」を8月7日に発売しました。実際の三菱鉛筆Hi-uniよりは少し短めの設計で、手に馴染みやすくスケッチや製図などに適しています。また、Hi-uniと同じ生産過程で作られているため同じ木材が使用されており、今までのデジタルペンにはなかった木の温かみを感じることができます。
三菱鉛筆の鉛筆uniシリーズの最高モデルHi-uniは、1950年代から多くの人に愛され続けている国産の最高級鉛筆です。そんな日本を代表する鉛筆の持ち心地を、デジタルペンでも味わいたいと感じる人も多いのではないでしょうか。誰もが一度は使ったことのある鉛筆をモデルとしてそのままデジタルペンに変化させることにより、デジタルで描く時でもアナログのように描く体験が可能になりました。これからはこういったデジタルの道具でアナログな体験ができるプロダクトが増えていきそうです。
展示・イベント
「SHISEIDO」初のブランド旗艦店で、美をテクノロジーで体験する
https://www.shiseido.co.jp/ginza/
資生堂が展開するグローバルプレステージブランド、SHISEIDO(シセイドウ)初の旗艦店「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE」が資生堂創業の地である銀座にオープンしました。コンセプトは「ALIVE with Beauty」とされ、美への探求心を刺激する旗艦店ならではのブランド体験を提供します。新しいお客さまとの出会いを拡大し、ブランドの認知・理解を目的としています。またバーチャルストアもオープンされ、VRで店舗を回遊しながらオンラインでも商品を購入できます。
実店舗では、美のプロフェッショナルによるパーソナライズカウンセリングや最新のデジタル×テクノロジーが融合したコンテンツで、今までにない新たなメイクアップ体験ができます。実際に店舗を訪れてみたところ、店内で身につけるリストバンドを商品にかざして商品情報を記憶することで、レジでは商品を持たずに会計を行うことができました。また、肌に合った色を試すことができるデジタルテスターでは、顔写真を撮るだけで自分に合ったファンデーションの色を提案してもらえました。デジタルテスターやオンラインストアによって、コスメの購入体験は今までよりももっと手軽なものになるかもしれません。あなたも、SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STOREで、新しい自分を見つけてみませんか。
日産が体験型エンターテインメント施設「ニッサンパビリオン」をオープン
https://www.nissan.co.jp/BRAND/PAVILION/
日産自動車が横浜みなとみらい21地区の本社近くに「ニッサンパビリオン」を期間限定でオープンしました。クルマだけでなく、ショーやゲーム、食などを通したインタラクティブな展示を行っています。これによって日産自動車の技術と目指す未来が表現されています。特に、新たに発表された自動車「ARIYA」が映像と連動し生活シーンを想像できる演出や、MR(複合現実)技術を使ったI2Vを表現した大阪なおみ選手との対戦ゲームなどは特徴的です。
今年7月に日産自動車が発表した新しいブランドロゴのデザインでは「デジタルとの親和性」を考慮し、伝統的な自動車メーカーからモビリティとサービスを提供する会社へと変化していくことを示したとされています。今回の展示は、この新たなブランドの特性や技術を体験できる仕掛けが豊富に用意されていたように思います。また実際に「ニッサンパビリオン」へ行ってみたところ、若い年齢層の方が多く訪れていた印象でした。自動車というプロダクトを見せるだけでなく体験を提供する今回の展示は、通常の試乗体験などではタッチポイントを作りづらい潜在的な顧客が気軽に日産の自動車とブランドと出会う機会になり得ます。こうした新たな層にアプローチする取り組みは、日産が今後力を入れていくモビリティサービスを利用するであろう顧客に対してブランド認知を図る目的があるのかもしれません。
以上、8月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!
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