新しいものが大好きなGoodpatchで8月に話題になったアプリ、サービス、デザインまとめ(2018)
こんにちは、UXエンジニアのざきおです。
厳しい残暑が続いていますね。水分補給には緑茶よりもカフェインが含まれずミネラル豊富な麦茶が良いらしいですよ。それでは、今月Goodpatchで話題になったプロダクトやサービス、デザインをご紹介します。
過去の月間まとめはこちらからどうぞ。
目次
デザイン
FOLIO リブランディング
オンライン証券サービス「フォリオ」が、2018年8月8日に行なった正式リリースに伴ってロゴを含めたブランドイメージを刷新を行いました。同サービスを運営する株式会社FOLIOのCDOを務める広野さんがご自身のnoteでリブランディングに至った経緯や実現までのプロセスを全て公開されており、そこに書かれている企業活動とデザインとの関係性に対する誠実な取り組みが話題を呼びました。
ロゴを含めたヴィジュアル・アイデンティティやサービスのUIデザインを会社が活動を通じて実現したい「世界観」そのものと定義したこのリニューアルは、見た目を彩るだけではない、ビジネスの中で確かに活きる「デザインの力」を表したものと言えるのではないでしょうか。
Evernote リブランディング
https://evernote.com/blog/jp/ceo-notebook-evernote-brand/
2億人が使っているとされるメモアプリ、「Evernote」を開発するEvernote社がブランドを刷新しました。Evernoteのアイコンと言われて真っ先に思い浮かぶ「緑の象」というイメージですが、実は今回のリブランディングに到るまで一度も象のアイコンが緑で描かれたことがないって知っていましたか?このように長い年月を経て社内とエンドユーザーの間に生じたイメージのズレを再発見したり、Evernoteが目指すものをより明確に意匠へ落とし込んでいったことが公式ブログに記されています。
FOLIOの例と異なり、こちらは実際のプロセスにはあまり触れず、アイコンをどう改変したか、フォントの選定をどのように行なったか、といったグラフィックデザイン的な視点でのリブランディングが描かれています。スタートアップと大企業、それぞれがどのように自分たちのアイデンティティと向き合っているのかを読み比べてみるのも面白いかもしれません。
特許庁がCDOを設置
http://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf
2018年5月に「「デザイン経営」宣言」を発表した経済産業省・特許庁ですが、今度は自らその先陣を切るべく庁内にデザイン統括責任者=CDOを設置し、その下にデザインプロジェクトチームを立ち上げることを発表しました。
日本国内においてもデザインの重要性が叫ばれ始めて久しいですが、ベンチャー・スタートアップ業界においてさえ、それを実践する企業は多くありません。今回このような形で一国の官庁が率先してCDOを設置し、デザイン組織を経営に食い込ませていくことを決めた今回の発表は、変容していくデザイナーの役割を担う占う上で重要なものとなりました。
プロダクト
dev.to がオープンソース化
https://dev.to/ben/devto-is-now-open-source-5n1
技術者向けのフォーラムサイト「dev.to」が使用しているソースコードを公開し、今後オープンソースソフトウェアとしてメンテナンスを行なっていくことを発表しました。リリースされるや否や “insanely fast (=異常な速さ)” と評され話題となった同サイトですが、今までその技術スタックについては一部しか公開されず、各所でその圧倒的なページパフォーマンスの実現に関する議論を呼んでいました。
現在ソースコードはGNUライセンスで配布されており、GitHubリポジトリからダウンロード・改変・使用することが可能です。こうした素晴らしいUXを実現する技術スタックが一般化して「速い」ことが当たり前のものとなったとき、きっとWeb開発における仕事はよりクリエイティブで本質的なものとなり、ユーザーにとっても素晴らしい体験が待っていることでしょう。
Android 9 Pie リリース
https://blog.google/products/android/introducing-android-9-pie/
Android 9がリリースされました。今回は大別すると2つの軸でのアップデートが行われており、1つ目はAIがユーザーの行動を学習しバッテリー消費の優先順位を最適化する「Adaptive Battery」や、次に開くアプリを予測して行動を早める「App Actions」に代表される「個々のユーザーに対する最適化」です。スマホはユーザーにとって文字通り「身体の一部」となり、使い込むほど自分に馴染んでいくという体験が期待できるでしょう。2つ目は「デジタルウェルネス」で、これはユーザーがスマホをどのように、どれくらい使っているかをレポートし、スマホを使いすぎてしまい健康を害することを予防するものです。
従来は単なる「便利な電化製品」だったはずのスマホは、この数年で確かな進化を遂げ、ユーザーとの関係性を複雑に変化させています。そこに生ずるインタラクションを考えるデザイナーやデベロッパーにとっても、今回のアップデートは非常に興味深いものとなりました。
Jamboard
https://gsuite.google.co.jp/intl/ja/products/jamboard/
Googleから2018年5月にリリースされ、様々なメディアで話題をさらった「Jamboard」ですが、今月ついに日本での発売が開始されました。一見すると従来のデジタルホワイトボードと何ら変わらないように見える本製品ですが、リアルタイムの共同編集に特化した様々な優れた機能を備えています。インターネットに接続し、Googleが提供する種々のクラウドサービスと連携した作業のほか、Jamboard同士はもちろん、対応アプリをインストールしたスマートフォンやタブレットと共同作業を行うことも可能です。タッチ操作にも対応しており、120Hzという高精度のスキャンレートで徹底的にタイムラグのない操作感を追求したとのこと。
リモートワークやサテライトオフィスなど働き方が多様化していく現代、今まで対面でしか為し得なかったクリエイティブな作業も少しずつデジタル化が可能になっていくかもしれませんね。
アプリ
Mirrativが新機能「エモモ」を発表
https://www.mirrativ.co.jp/emomo
ゲームの実況動画配信プラットフォームとして人気のMirrativから、スマホ1台で3DCGキャラクターとして配信が行える新機能「エモモ」が発表されました。最近にわかに話題となっているバーチャルYouTuberですが、いざ配信してみたいとなると3DCGの作成やモーションキャプチャなど、まだまだハードルは高いというのが現状です。しかしこのエモモは一切そうした映像やモーションキャプチャを行うことなく音声情報のみで感情を認識し、文字通り「スマホ一台」でアバターの制御を行なってくれるとのこと。
SNSにおけるアイコンやオンラインゲームのアバターなど、私たちも様々な形で自分の「分身」を利用していますが、ここにリアルタイムで声と感情が同期することで3人称的な存在感はより強くなり、新たな形のインタラクションが創造されていくことと考えられます。皆さんも、この機会に今とは全く違う自分を通じて世界と関わる経験をしてみてはいかがでしょうか?
サービス
Designers GYM・Goodpatch Anywhere
https://goodpatch.com/blog/designers-gym/
https://anywhere.goodpatch.com/
ご存知の方もいるかもしれませんが、8月には私たちGoodpatchから「Designers GYM」「Goodpatch Anywhere」という2つの取り組みを発表させていただきました。
Designers GYMはその名の通り、トレーニングジムのようにUI/UXデザインのスキルを鍛えることができる場所を提供します。仕事以外のアウトプットを行う機会を提供するほか、第一線で活躍するデザイナー陣からオンライン・オフラインでの綿密なフィードバックを繰り返し、現在国内にはあまり機会がない「UI/UXデザイナーの育成」を行なうことでデザイン業界に貢献していきます。
Goodpatch Anywhereでは、今まで対面でのコミュニケーションが不可欠とされてきた様々なクリエイティブ業務を含む全てのワークフローをリモートで完結させるフルリモートチームの形成を目指すプロジェクトです。オフィスを持たないことで様々な事情で抱えた様々な制約を問わず「チーム」として全員が第一線で活躍できるよう体制を整え、デザイナーが自分の働き方までをもデザインできる世界を目指していきます。
今月は相次いで2つ大きな発表をさせていただきましたが、これからも私たちは「デザインの力を証明する」ために活動して参ります。
以上、Goodpatchで8月に話題になったアプリ、サービス、デザインをお届けしました。毎月新しい情報を発信しておりますので、お楽しみに〜。