2017年度版 多摩美術大学×グッドパッチのUIデザイン産学協同研究レポート

2015年度より、Goodpatchは多摩美術大学(情報デザイン学科 UIデザイン演習:2年次/担当:植村朋弘 教授)と産学共同研究を行っています。学生達は制作の中でプロトタイピングツール『Prott』を用いて、より素早く洗練されたUIデザインを生み出すための手法を学びました。本記事では、その様子をご紹介します。

また、昨年度の様子についてはこちらをご覧ください。

多摩美術大学と共同研究をしている理由

「洗練されたUIデザインを生み出すためのデザイン教育方法の探求」から多摩美術大学との産学協同研究が始まりました。

多摩美術大学には、以前よりUIデザインの授業がありました。しかし、授業内で設計したUIデザインはFlashやHTMLでアウトプットしていたようです。そのため設計やグラフィック作成以外の技術習得の必要性があり、UIデザインよりもデザインのアウトプットに使う技術習得に時間がかかり過ぎてしまうという課題がありました。

本プロジェクトでは、高速でアイディアを動く形にできる『Prott』を授業に導入することで、設計やグラフィックにより力を入れることができるようにしました。アウトプットや、そのための技術習得の時間を少なくすることで、設計やグラフィックへのフィードバックの回数を増やすことに成功しています。

授業内容

授業で取り組んだテーマは「写真機能を使って生活を楽しくできるアプリケーションデザイン」です。学生達は、それぞれ自分の経験や知識を活かして、自由で学生らしい発想をもとに、アプリケーションをデザインしていきました。

まずはGoodpatchのデザイナーからレクチャーを受け、デザインプロセスとプロトタイピングの意味について理解していきました。次に使用状況のイメージをストーリー化し、ユーザー設定をおこない、状況に合ったアプリのアイデアを展開しました。その後、いくつかのアイデアスケッチの中から選抜をおこない、『Prott』を使って手書きのワイヤーフレームでプロトタイプを制作していきました。

『Prott』では、遷移先のリンクやアニメーションを簡易に設定でき、素早くアイディアを動くモデルにして確かめていくことができます。制作したモデルは、ユーザビリティテストをおこない、結果をプロトタイプへとフィードバックするという手順を繰り返していくことができました。

フィードバックは学生同士でおこない、Goodpatchのデザイナーや授業担当の教授からのアドバイスをもとに修正を重ね、アウトプットのレベルを上げていきます。

学生達は、デザインが画面のビジュアルだけでなく、動くモデルを基に体験によって検証していくことの大切さを実感できたのではないでしょうか。

成果発表

約3ヶ月間の制作を経て、授業の成果発表会をGoodpatchのオフィスで開催しました。『Prott』を用いて制作した制作物を、オフィスに集まった25名の学生と15名程のGoodpatchメンバーの前で発表しました。

幾度となくプロトタイピングが繰り返された制作物は、とてもクオリティーが高いものに仕上がっていました。また、学生ならではの発想から多様なアプリケーションが発表され、Goodpatchメンバーからは「面白い!」という声が何度もあがりました。

発表後は、Goodpatchメンバーから直接フィードバックを行いました。学生にとっては、現場のデザイナーから貰うフィードバックはとても新鮮で、刺激を受けたのではないでしょうか。

作品紹介

ビビナビ|池田 幹人さん

美術大学を目指している人向けの制作物共有アプリで、ネットにはデッサンや色彩構成の作品があまりなく参考にできるものが少なかった経験から制作したそうです。写真をタップすることでそれまでの制作過程の写真が見られ、美大受験生の間でとても流行りそうです。

Pro+sha|大滝 采奈さん

デザイナーやデザイナーを志す人向けの、作品の写真共有アプリです。既存の写真共有アプリとは異なり、デザインの制作工程の途中で写真を撮って共有することで、その作品のプロセスまでわかる仕組みになっています。これによって、ラフ画やスケッチを見る機会が増え、作品の理解が深まり、デザイン展開の参考になりそうです。

FARM|髙間 日菜さん

ユーザーが自家菜園した野菜を、簡単に売り買いすることできるアプリです。近所でよく見る野菜の無人販売所に「行きたいけどなんとなく躊躇してしまう」と感じたことから制作したアプリで、着眼点がとても面白いなと感じました。

REPAINT|髙山 眞菜さん

写真を撮ってアプリケーション上にアップロードすることで、写真を自動的に線画化して塗り絵にできるアプリケーションです。塗り絵を共有や公開することも可能で、普段目にすることのない景色などの写真を塗り絵することで、想像力を豊かに働かせることができるのではないでしょうか。

Goodpatchメンバーの感想

どの作品も中間発表の時からブラッシュアップされていて感心しました。
どうしても制作の時は一人で悩みがちになってしまうことも多いと思いますが、そんな時こそ思い切って人に見せてみることで、自分だけでは発見できなかった課題や新たな価値に気づくことができます。
特にUIデザインは自分で作って終わりではなく、ユーザーがどう思っているかなど様々な目線を取り入れることが必要になってくる分野です。今後の課題でもたくさんの人を巻き込み、頭脳を借りて取り組んでみてくださいね。
<UIデザイナー>

多くの学生が大枠の課題とターゲットのペルソナを深く理解していたと思います。初めてスマートフォンのUIデザインに挑戦する学生がいたにも関わらず、アウトプットのクオリティが高く驚きました。多くの聴衆の前で発表をすることはとても緊張することだと思いますが、より聴衆を引きつけ、コンセプトに対する共感の得られるプレゼンができればもっと良かったと思います。
<UXデザイナー>

さいごに

産学共同研究にご協力いただいた多摩美術大学と学生のみなさん、ありがとうございました!

Prott』を用いて高速でプロトタイピングを繰り返すことで、作ることと捨てることを繰り返せたのではないかと思います。

私自身も美術大学で情報デザインを学んでいますが、学生の間から一度作った制作物を捨てる経験をできる機会は少ないです。大学ではどうしても最初に作った1つの制作物に捕らわれがちです。しかし、今回プロトタイピングを繰り返して良いアウトプットを行えた学生のみなさんは、プロトタイピングの必要性に気づけたのではないでしょうか。

Goodpatchはこれからも、プロトタイピングを広める活動を行なっていきます!

ABOUTこの記事をかいた人

Hiroto Fukada

'95年横浜生まれ。商業高校卒業後、美術大学でメディアデザインを学ぶ。グッドパッチでは自社プロダクトに関する記事を中心に発信。
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