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Client
帝人アクシア株式会社
Expertise
Business/Strategy Design
Date

Overview

「良いものを作れば売れる」の壁を、顧客インサイトで突き破る

帝人アクシア株式会社の寝具ブランド「YUAMI®」は、メイドインジャパンの品質と高い技術力を誇りながらも、顧客像が不明瞭なまま「良いものを作れば売れる」というプロダクトアウトの壁に直面していました。この課題に対し、グッドパッチは2カ月間の濃密なインサイトリサーチを実施。顧客の価値観を3つのアーキタイプ(価値観の代表パターン)として構造化し、マーケティング施策に反映させることで、CVRやリピート率を1.5~2倍に向上させるなど、定量・定性両面で確かな成果を創出しました。本プロジェクトは、デザインの力がビジネスの成長を加速させることを証明した共創の記録です。

Client

YUAMI®

TEIJIN AXIA CO.,LTD.
帝人アクシアが展開する自社ブランド「YUAMI®(ゆあみ)」は、温泉療法に着眼したミネラル結晶体IFMC.(イフミック)というテクノロジーを生かし、入浴や湯治のような心地よさを寝具で実現することを目指したブランドです。素材の肌ざわりや自然から着想を得た配色など、メイドインジャパンの品質にこだわった丁寧なモノづくりが特徴で、量販店と比べ高価格帯に位置しながらも、実店舗を持たないにもかかわらずブランドへの期待や満足度の高いファンを多く抱えています。

Summary

支援前の課題

  • 良い製品を作れば売れるという「プロダクトアウト」の考えが強く、具体的な顧客ターゲットが不明確だった。
  • ターゲットが絞り込めていないため、Web広告やサイト改善などのマーケティング施策が効果的に機能していなかった。
  • 顧客がYUAMI®のどこに真の価値を感じているのか、ブランドとしての独自の強みを言語化できていなかった。

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • 徹底的なユーザーインタビューとインサイトリサーチを実施し、顧客の深層心理にある購入動機を可視化した。
  • 顧客像を3つのアーキタイプ(価値観の代表パターン)として構造化。ターゲットに刺さる言葉やクリエイティブの指針を策定した。
  • 策定した方針をマーケティング施策に即座に反映。ECサイトのCVRやリピート率が1.5〜2倍に向上した。

「誰に届けるか」が不明瞭なまま、マーケティング施策の効果が出ていなかった

YUAMI®は、品質への妥協なきこだわりによって、熱烈なファンを抱えるプロダクトへと成長していました。しかし、「『良いものを作れば売れるだろう』というプロダクトアウトの姿勢で、誰に何を届けるかが不明瞭なままブランドを展開してきたことが、次の成長に向けた課題となっていました」と、帝人アクシアの中森さんは課題を感じていました。
広告のビジュアルにこだわるなど見せ方を工夫して売上を伸ばしてきた一方で、「綺麗だけど、購買に結びつきにくい」という指摘を受けることもあり、表面的な改善にとどまっているという自覚もありました。今後さらにブランドを成長させるためには、顧客ニーズをしっかりと理解した上で、広告や商品開発などの施策につなげる必要があったのです。

インサイトを深く掘り、手法ごと学べるパートナーを求めて

マーケティングの改善を急ぐのであれば、一般的な広告代理店やマーケティングコンサルティング会社という選択肢もありました。しかし、帝人アクシアがパートナーに選んだのは、デザイン会社であるグッドパッチでした。
その理由は、表面的な顧客像の把握にとどまらず、インサイトをより深く掘り下げられること、そしてそのリサーチ手法をクライアント自身が学びながらプロジェクトに入り込んで一緒に分析できることにありました。初回商談から具体的なプロジェクト方針を示す姿勢と、「自分たちも議論に加わりながら進めたい」という帝人アクシア側の思いが一致したことが、グッドパッチへの依頼の決め手となりました。

「健康意識が高い層」では刺さらない。アーキタイプが顧客像を解像度高く定義した

グッドパッチは、顧客の行動の背景にある心理を探る「探索型リサーチ」を中心に、2カ月という短期間で集中的な支援を行いました。
まず、顧客アンケート調査と購買データ分析を実施し、購入理由や満足度、購買傾向といった全体像を定量的に把握することから始めました。この結果を踏まえた上で、既存顧客へのディープなユーザーインタビューを実施。「なぜ、数ある寝具の中からYUAMI®を選んだのか」という問いに対し、顧客が語る言葉の端々から、機能性だけではない情緒的な価値を抽出しました。さらに、クライアントにも参加してもらいながらインタビュー内容を構造化し、一人ひとりの価値観を「個票」として整理・抽象化することでインサイトをまとめていきました。

ここで用いたのが、特定の個人を想定する「ペルソナ」ではなく、価値観や行動原理の共通項で分類する「アーキタイプ」という手法です。アーキタイプとは、ユングの分析心理学から生まれた概念で、「共通の行動や考え方を持つユーザーのグループ」を指した言葉です。ペルソナのように職業、趣味、年収など具体的に一人の人間を設定して細かく定めるのではなく、あくまで「価値観」をベースにしたグルーピングを行います。これにより「健康意識が高い層」といった曖昧な括りではなく、「良いものを自分で発見し、価値を理解したいと考える層」といった、マーケティングの訴求に直結する具体的な顧客像を定義することが可能になりました。

価値構造モデル

あわせて、YUAMI®が持つ価値そのものの整理も行いました。カスタマージャーニーに沿って価値を書き出して抽象化し、機能的価値・情緒的価値・自己実現価値をピラミッド型に構造化した「価値構造モデル」を策定。ブランドのファン化につながる価値の定義を明確にしました。

最終的には、これらの成果をもとにしたカスタマージャーニーマップの策定や施策の優先順位付け、LPのプロトタイプ制作まで行いました。

提案したLPのプロトタイプ

購入転換率が1.5~2倍に。顧客の「見えない動機」を可視化したことで、施策が変わり、組織が変わった

リサーチによって導き出されたアーキタイプに基づき、Web広告やLPのメッセージを最適化した結果、CVRやリピート率はいずれも1.5〜2倍という大幅な伸びを記録しました。顧客インサイトという「見えない情報」をデザインの力で可視化することが、直接的にビジネスの数字を動かしました。
数字の変化にとどまらず、プロジェクトは組織のあり方も変えました。帝人アクシアのチーム内には「顧客はどう思うか」を起点に考える文化が醸成され、プロダクトアウト一辺倒だった議論が、リサーチで得られた具体的な顧客の顔を思い浮かべながら行われるようになりました。以前は外部委託していた広告バナーの制作を内製化し、メルマガもアーキタイプに基づいたシナリオを意識して作るようになるなど、施策の進め方そのものが変わりました。
さらに、顧客がYUAMI®に「繊細な自分でも使える」という安心感や、妥協なく商品価値を認めた上での選択という意味を見出していることが明らかになったことで、ブランドが守るべき世界観も定まりました。既存ファンからは「あまり派手な広告はしないで、このままでいてください」という声も寄せられており、過度な拡大ではなく、価値を理解してくれる層に深く届けるという、持続可能なブランド成長の道筋を固めることができました。

単なる受発注の関係を超えた強いパートナーシップ

グッドパッチは、インタビューの設計から実査、分析のプロセスに帝人アクシアのメンバーを深く巻き込みながらプロジェクトを進めました。中森さんと川邉さんはユーザーインタビューに同席し、顧客の生の声を直接聞く機会を得ました。
そこで目の当たりにしたのは、YUAMI®に対する顧客の想像を超えた熱量でした。中森さんはインタビュー中に感極まる場面もあったといいます。「お客さまからYUAMI®に対する熱い思いをたくさん聞くことができて、むしろ自分たちのYUAMI愛が足りなかったと反省したくらい」と振り返るほど、顧客の声はチームに強く響きました。プロジェクト終了後、中森さんは製造工場まで足を運び、「お客さまは、こんなにYUAMI®を愛用されています。僕たちももっと頑張るので、皆さんも一緒に頑張ってくれませんか」と現場に伝えたといいます。
クライアントからは「常に僕たちと同じ思いでいてくれた」「熱量が下がることなく、僕たちと同じ思いでいてくれた」という言葉をいただくなど、単なる受発注の関係を超えた強いパートナーシップを築くことができました。

クライアントの声

YUAMI®に携わったメンバーは気持ちいい人ばかりで、人として好きになりました。人が良いのがグッドパッチの素晴らしさだと思います。あとはプロジェクト中も熱量が下がることなく、常に僕たちと同じ思いでいてくれたのがうれしかったです。 
帝人アクシア株式会社 第一営業統括部 部長 リテイルコマースBU 兼 EコマースBU中森さん

「デザイン=絵を描くこと」くらいの漠然とした印象でしたが、グッドパッチとご一緒したことでデザインというものの幅広さが分かり、ためになっています。今、僕はクリエイティブ事業の責任者をしているのですが、YUAMI®のプロジェクトの経験が生きています。一つの写真を撮影するにも、商品を誰に向けて販売するのか、この商品のどういった部分を見せるのかなど、さまざまな視点で考えられるようになりました。
帝人アクシア株式会社 Eコマース ビジネスユニット 川邉さん

Credit

Goodpatch デザインリサーチャー 米田真依
Goodpatch デザインリサーチャー 住谷 知美

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