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Client
弥生株式会社
Expertise
Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
Date

Overview

会計ソフト市場でデスクトップソフトとクラウドサービスで大きなシェアを持つ弥生株式会社(以下、弥生)がさらなる成長を目指すために、グッドパッチでは「UI/UXフィードバック」「Webサイトのリニューアルデザイン」を手掛けました。解像度の高いペルソナ設定と回遊設計でPVだけではなくCVRも大幅に向上させた本プロジェクト成功のポイントをご紹介します。

Client

弥生株式会社

Yayoi Co. Ltd.
1987 年の「弥生シリーズ」の登場から、スモールビジネスのバックオフィスを継続的に支援。
また起業や資金調達などを支援する「事業支援サービス」のご提供も行っています。

Summary

ご支援前の課題

  • UI/UX 観点で、ユーザーの声を活用した WEB サイトデザインとサービスデザインの見直しを図りたい
  • コンバージョンレート(CVR)の改善をしつつ、「見やすい」「分かりやすい」デザイン性も担保したい。
  • ブランドイメージを打ち出すためのビジュアルイメージ策定と、Webサイト全体のトンマナへの反映ができていない

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • 「弥生会計 オンライン」対象ページに対して「UI/UXフィードバック」を実施。数値分析では見えないユーザー視点での改善点の提案でCVR改善につなげた。
  • 定量分析では見えない顧客課題の発見のためにユーザーインタビューを行い、ユーザーが必要な情報を適切なタイミングで提供できるサイト設計を行った。
  • 世界観を守りながら誰でも同じ品質で作れるよう、ブランドのトーン&マナーの刷新を行った。
    ユーザーの声を積極的にWeb サイトに活用できる社内体制が構築された

競合の参入が活発化。UI/UX観点のアプローチでCVRを改善したい

35年以上の歴史を持ち、登録ユーザー数も310万を超えるなど、多くのユーザーに愛される「老舗」とも言えるサービスを展開する弥生。会計ソフト市場で、デスクトップソフトとクラウドサービスで大きなシェアを持つ弥生様ですが、競合の市場参入も活発化してきました。さらなる成長を目指すためにはWebサイトのCVR改善が必要と判断し、UIUX観点からの改善アプローチを実施すべくグッドパッチにご相談いただきました。

早速CVR改善につながった、UI/UXフィードバックで得た気付き

「みやすさ」「わかりやすさ」というデザイン性は担保しつつCVRを上げたい。そのご要望に答えるべく、まずは「UI/UXフィードバック」をご提供し、当時のサイトの課題点を浮き彫りにすることからプロジェクトがスタート。これまで数値分析での改善アプローチしか行っていなかった弥生様としては、UX観点での改善ははじめての取り組みでしたが、フィードバックに従って改善を行ったところ早速CVRが改善。

「ご提案いただいたものは感覚的にも使いやすく、フィードバックに従って改善することで確かにCVRが上がりました。われわれのWebサイトでもまだまだやれることがあると気付かされましたね。その頃から流入経路別のCVRの最適化や効果測定もしっかり行うようになりました。」(弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 今泉様)

この結果を受けて、Webサイトの全面リニューアルに進んでいくことが決定しました。

「伝わっていない」が浮き彫りになったユーザーインタビュー

1000ページ以上ある大規模サイトのリニューアルを行いつつCVRを改善するためには、ユーザーにどんな困り事がありどういう基準でプロダクトを選ぶ意識決定をしたのか?ユーザーの本質的なニーズと価値観を知る必要があります。
そこでグッドパッチは、弥生のこれまでの定量リサーチ結果を再解釈した上で、ユーザーインタビューを実施しました。起業経験のある社内メンバーへのヒアリングを基に仮説を立て、効果的なユーザーインタビューを設計。弥生様のプロジェクトメンバーにも同席いただき、ユーザーの生の声を直接聞く機会を設けました。
この過程で弥生が提供する「バックオフィス業務の支援」や「起業から事業承継までを網羅する支援」といった価値が十分に伝わっていないことが判明。Webサイトやプロダクトをよりシンプルで分かりやすいUIにする必要性が明確になりました。

ユーザーインタビューの効果について語る弥生の石岡様

今までは「いかにCVが上がるコンテンツを作れるか」を数値を基に設計していたので、「顕在層」に向けて「会計ソフトにおける業務効率化」が主なメッセージになっており、プロダクトをアピールする場になっていました。しかし、データはあくまで数値であり、ユーザーの皆さんが何を考えているのかは推測の域を出ません。ユーザーの声を直接聞き、定性的な情報を得るのも同時に行う必要があることは以前から考えていました。そういったタイミングでグッドパッチの皆さんからユーザーインタビューのご提案をいただき、好感触でしたね。(弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング担当マネージャー 石岡様)
インタビューを実施した結果、弥生が目指す「事業コンシェルジュ」のあるべき姿とユーザーのイメージに乖離があることが見えたのです。事実リニューアル前のサービスサイトは、弥生様側が押し出したい情報が並んでいる状態で、ユーザーが求める情報にアクセスしづらい状態でした。

その後の一貫したブランディングにつながった「事業コンシェルジュ」像の共通認識の形成

定量的なデータだけでは抜け落ちる視点を、ユーザーインタビューで得た知見を基に補っていくことが「事業コンシェルジュ」としての理想的な振る舞いにつながると考えました。そこで、弥生の掲げる「事業コンシェルジュ」というビジョンの共通認識を形成するために社内ワークショップを実施。それぞれが考える事業コンシェルジュ像をぶつけ合った結果、各々が持っているイメージが違うことがわかりました。
ワークショップを通じて各自が持つイメージの違いを明確にし、「頼りになるが前に出過ぎず、困っているときには助けてくれる気の利いた存在」という共通認識を形成。デザインリニューアルを行う前にワークショップを行うことで、社内の認識のズレが浮き彫りになりそれを解消できたことが、その後の一貫したブランディングにつながる重要な取り組みになりました。

ブランドガイドラインの実用化と、一貫したデザインの構築

もともと弥生には、さまざまなプロダクトを世に出す中で、しっかりと形作られたガイドラインが存在していました。私たちはこのガイドラインの内容を、どうサービスサイトで表現し、各要素に落とし込んでいくべきかを考えイメージをブラッシュアップ。製品ごとのカラー設定を生かしつつ、多色使いと柔らかいトーンのイラストを併用することで、頼れるけれど堅苦しくない「コンシェルジュ」のイメージを表現しました。
今回、ブランドガイドラインにあるキーワードを分解して、それぞれが示すイメージをデザインのどういった要素で実現するのかという点まで提案いただきました。われわれもそこまでは定められていなかったので、今ではいただいたご提案を「逆輸入」して、ブランドガイドラインに展開しています。(弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 今泉様)
具体的には、ブランドガイドラインの各要素をどのようにデザインに落とし込むまでを設計し直すことで、世界観を守りながら誰でも同じ品質で作れるようしっかりと言語化。誰が作成しても一定の品質を保てるようになり、バナーなどのWeb以外のクリエイティブの品質向上にもつながりました。

ブランドガイドラインの一部

リニューアル後にPV数とCVRが大幅改善。さらにSEOにも良い変化が

リニューアルのテーマとして「ユーザーが必要な情報を適切なタイミングで提供する」ことを掲げていました。その実現のために、サイト設計においてはユーザーを5つのセグメントに分類し、各セグメントの状況に応じた情報提供と誘導を行動起点で詳細に設計。

ユーザーの閲覧体験を最適化し、サイト構成の改善とコンテンツ強化をする方針を定めました。例えば新たに作成した「虎の巻」というコンテンツは、開業や確定申告、バックオフィス業務などで使用される用語や全体像が分からないままサイトを訪れた方々に向けた初心者ガイドです。こういったページをつくることで、各ユーザーの状況に合わせたコミュニケーションを設計していきました。また「お役立ち情報」と呼ばれるSEOコンテンツや、製品ページをひとつのドメインにまとめる大胆な改造も実施。これにより、SEO効果の向上と、初心者でも理解しやすいコンテンツの充実を図りました。
その結果、新規ユーザーがWebサイトに訪問した際に、ユーザーの状況に応じた誘導ができるサイト構成に生まれ変わったことでPV数とCVRが大幅に改善。それだけではなくSEOにも良い影響を及ぼしました。

ページに訪れる人(≒PV)は非常に増加しました。PVが増えればCVRは落ちるものかと思っていたのですが、実際にはCVRも伸びており、非常に驚きました。これは、ペルソナに沿ったサイト回遊設計がきちんと機能しているからだと解釈しています。これまではニーズが顕在化した方に向けたサイト構成だったのですが、潜在的なユーザーに対してもアプローチできているということだと思います。(弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング 担当マネージャー 石岡様)

グッドパッチの残したナレッジが会社の資産に

今回の取り組みを通じて得られたナレッジは、弥生のこれからの UI/UX改善やブランディングにも活用されており、事業成長に貢献しています。実際にターゲットとなる方々の意見や反応を直に検証できたことは非常に良かったです。先ほども触れましたが、仮説や定量的なデータのほかに定性的な情報を取り入れる開発手法が定着しつつあります。また、グッドパッチの皆さんがインプットした内容をきちんとドキュメントなどですべて形に残してくれたこともありがたかったです。そこからブランドガイドラインに展開したり、別チームの施策でも今回のペルソナの考え方や行動起点でのセグメントの分け方が好感触であったりと、他部署への波及効果もありました。新メンバーが入ってきた際には、リニューアルの最終報告資料をこれまでの経緯のインプットに活用してもらっているなど、しっかりと資産になっていますね。(弥生株式会社 ダイレクト・セールス&マーケティング本部 コンテンツ・マーケティング シニアマネージャー 今泉様)
今後も両社の強みを活かした協業により、クラウド時代の「弥生」へのさらなる進化が期待されます。

Interview

本プロジェクトの詳細は、こちらのインタビューをご覧ください。
クラウド時代の「弥生」へ進化、グッドパッチとタッグを組んだWebサイトリニューアル

Credit

Goodpatch クリエイティブディレクター/UIデザイナー 栃尾
Goodpatch プロダクトマーケティングマネージャー/UXデザイナー 吉田

統括:中根美香
クリエイティブディレクター/アートディレクター:栃尾行美
デザインストラテジスト:竹内智代
UXデザイナー:吉田早希
UIデザイナー:大久保絵里、土田茉奈美、菅原颯太
アカウントマネージャー:榊原 龍介、古閑大智

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