コープデリ宅配アプリ
- Client
- コープデリ生活協同組合連合会
- Expertise
- Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
- Date
- Client
- コープデリ生活協同組合連合会
- Expertise
- Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
- Date
Overview
カタログやWeb上で注文を受けた食材や日用品を、玄関先まで配達する「食材宅配サービス」を提供するコープデリ生活協同組合連合会。これまでニーズの高かった子育て世帯に加え、単身世帯や高齢者世帯、共働き世帯の増加やサービスの充実を背景に、これからますます利用者が増える中で、若年層の取り込みとEC受注率の増加を目指しています。
今回グッドパッチは「コープデリ宅配アプリ」のフルリニューアルに向けたUI/UXデザイン支援に始まり、LPや動画、チラシといったコンテンツの刷新も支援。組織が抱える課題やオペレーション上の問題の改善にも並走いたしました。
▼コープデリ宅配アプリのサービスはこちら
https://www.coopdeli.jp/information/app-release/
Client
コープデリ生活協同組合連合会 様
536万人が加入する関東信越1都7県の6生協で構成する、生協として国内最大規模の事業連合です。宅配事業と店舗事業を通して、食材や日用品など計6,000点以上を玄関先に届けています。
Summary
ご支援前の課題と状況
- 資源や人件費の観点から、ECでの受注割合を高めたいものの、紙からWebやアプリへの移行がなかなか進まなかった
- アプリでは「ついで買い」の要素が弱く、Webサイトからの注文に比べると、ユーザーあたりの購入商品数や単価が低かった
- 現行のアプリは注文を中心とするシンプルなものであるにもかかわらず、UIが複雑で「操作が分かりづらい」という声が寄せられていた
グッドパッチの対応と支援成果
- コンペでのデザイン提案から、様々なステークホルダーを巻き込んだプロジェクト進行で、LPやチラシの制作など、マーケティング施策にも貢献
- カートUIの改善で「楽しいショッピング」体験を演出し、商品一覧機能からの利用人数や客単価がWebサイトからの注文を上回る結果に
- スピード感のある価値検証や事業部横断のプロジェクトの推進経験が、コープデリ様にとって大きな成功体験に
グッドパッチの支援後の数値成果
- ECアプリのダウンロード数が43.5万回に到達。利用人数、購入点数、ユーザーあたりの利用金額の全てで前年比130%超え
- Webサイトやキャンペーン周りのデザインも実施し、EC利用率が過去最高(37.8%)に
- ECアプリ利用拡大の効果で、別サービス「献立コンシェルジュ」の利用人数がリニューアル前比で150%に
リニューアルしたアプリの特徴
- 事務的な「買い物」に楽しさを与える体験設計と機能追加
- 「注文商品を常に確認できるカート体験」といった他の宅配アプリにはないコープならではの購入体験を実現
- 「リスクヘッジのための情報が多かった画面を整理。アイコンやデザインで、文字情報を削減しシンプルなUIに
紙注文からECへの移行が課題、アプリの利用率をどう高めるか?
現在コープデリでは、紙の注文書のほかに「eフレンズ(PCとスマートフォンから注文できるWebサイト)」と、コープデリ宅配アプリをはじめとしたECでの注文が可能です。
コープデリでは、「全ての組合員がデジタル恩を受けながら豊かなくらしを送れる」価値観を大切にしながら資源や人件費の観点からもデジタル注文への移行を進めてきました。全注文におけるEC受注の割合を70%にすることを目指していたものの、組合員歴が長いほど、慣れた紙での注文を継続されている方が多く、移行がなかなか進まなかったといいます。
組合員の世代交代が進む中、若年層のユーザー獲得とEC受注化を目指し、既存の「コープデリ宅配アプリ」をリニューアルするプロジェクトが始まりました。
リニューアル前の「コープデリ宅配アプリ」は、「商品の注文」に関連する機能を中心に設計されており、「商品との新たな出会いが少ない」という課題があり、実店舗での買い物でいう「ついで買い」の要素が弱く、結果として客点数と客単価、どちらもeフレンズよりアプリが下回っているという課題があったそう。
同社はこのリニューアルのタイミングで、これまでお付き合いのあるデザイン企業も含めて複数社でのコンペを実施し、グッドパッチにご依頼をいただきました。組織の事業を理解し、内情に配慮しつつも「良い意味で生協っぽくない」「既存のデザインに捉われない」新たな案を提示したことが決め手となったようです。
「私の印象に残っているのは、コープデリの中身を捉えた提案をコンペの時点でいただいたことに対する驚きです。コープデリグループは多様な事業や活動を行っているため、少し調べたくらいでは全体像は分からない。それを『ここまで理解してくれている!』とこちらが驚くような内容をあの短期間でご提案してくださったことは、最終的な審査の場でも取り上げられました」(コープデリ 川合様)
1カ月で2度のユーザーテスト、スピード感のある価値検証が「成功体験」に
グッドパッチがデザインパートナーとしてプロジェクトに参画後、まず着手したのは、コープデリに特化した機能に関する知識や理解、アイデアの実現可能性などについて、インプットや精緻化をする作業です。200個ほど課題を書き出し、2時間の定例会議を週2回実施することで、インプットや解決策の検討をスピーディーに実施できました。
さらに、コープデリならではの新しい購入体験を具体化していき、最初の1カ月で2度のユーザーテストを設計・実行し、価値の検証まで進めました。初期の価値検証までのスピード感や精緻化が、その後のフェーズをスムーズに進める大きな要因となりました。
「被験者は30〜50代のコープデリの職員だったのですが、ユーザー体験をしっかりと確認しながら、着実かつスピーディーにプロジェクトを進めてこられたことは、私たちにとっても大きな成功体験となりました。ユーザーテストの結果を基に、連合会全体の中間報告でプロジェクトの進捗と方向性を論理的に説明できました」(コープデリ 森本様)
カート表示を一変。日常の買い物を「楽しいショッピング」に変えるデザインへ
今回のアプリリニューアルで、最も特徴的なのは「カートの設計」です。
コープデリの商品購入の流れは、他のECサイトに比べて少し特殊で、注文カートに入れた商品は、注文の締め切り時間が来ると自動的に購入される仕組みとなっています。つまり、ユーザーが「カートに今どの商品を入れているか」を把握できることが重要であり、その特殊な仕組みに沿った購入体験を提供するのが、今回実現した「簡易商品表示カート」です。
「簡易商品表示カート」では、カート内に入っている商品を常に画面下部に表示させる仕組みを取り入れました。さらに追加ボタンを押した後にアニメーションを追加するなどし、「カートに入れる体験の楽しさ」と「カートに入れた商品を見ながらの買い物」を実現するデザインを取り入れました。
従来と大きく異なる設計となることから、定例会議では「本当にユーザーが使えるのか?」といった議論も起こりましたが、実際にユーザーテストを行ったところ、直感的に操作可能なことが分かっただけでなく、「カートに入れた商品を見ながら買い物できるのがうれしい」「アニメーションがあって楽しい」「面白い!」といったポジティブな反応をいただきました。
「ポップな印象になり、ユーザーの方々との距離が近くなったと思います。ワクワクしながら買い物をしていただける楽しい雰囲気。カートに商品が入るアクションに楽しさが加わったことで、今までどこか事務的だった買い物が「ショッピング」になったように思います」(コープデリ 小山様)
また、コープデリでは食品を扱っていることもあり、安全性にまつわるアレルギー情報など必ず表示が必要な情報もあります。これまではリスクヘッジの観点から、情報を詰め込みすぎて注意事項で溢れることがありました。
しかし、今回のリニューアルでは、必要な情報を整理した上で情報の優先順位付けやアイコンのデザインから、できる限りユーザーに不要な情報を削ぎ落としています。不要な情報を削る際も、ユーザーテストの結果を基に調整を加えました。変更後のデザインで十分に警告の意図が伝わっていると説明できたため、社内の理解を得ながら進めることができたとのことです。
「組織内部からも、デザイン変更によって重要な注意事項が見落とされる可能性や、安全を担保できるのかという点を危惧する声が上がっていたのは事実です。例えば、アレルギー表示のデザインを以前よりシンプルにすることを不安視する声がかなりありました。そういった場合も、グッドパッチさんに主導いただいたユーザーテストの結果を基に、デザインを変更することによって直感的に伝わるようになったと説明できたため、理解を得ながら進めることができています」(コープデリ 森本様)
LPから動画、告知用のチラシまで──ポップな世界観で統一し、若年層にアプローチ
宅配アプリのデザインでご評価いただいたことから、グッドパッチはアプリ以外のクリエイティブも手がけることになりました。「献立コンシェルジュ」というコープデリ生活協同組合連合会様の別のサービスのロゴや、リリース、各種キャンペーン用の告知用LPの作成も行っています。そのほか、ストア画像や組合員さんや組織内部に向けたリリース内容の紹介動画も作成するなど、サービスや事業をまたいだご依頼をいただきました。
特に宅配利用者に向けてeフレンズの登録を呼びかけたキャンペーンは、コープデリ史上最大の規模で行われたもので、チラシ配布後のEC利用率が過去最高を記録しました。
「若年層の方々に利用してもらいたいという思いから、チラシに関しても宅配アプリと同じく、見る方に楽しさを感じていただけるデザインにしたいと考えていました。より多くの利用者のEC移行を目指す背景なども、これまでを経て熟知されているグッドパッチさんに一貫してご依頼することにしました。」(コープデリ 森本様)
さまざまなクリエイティブのデザインをお任せいただき、ご依頼いただいたアプリリニューアルの領域を超えるサービスデザインで価値提供ができました。
宅配アプリリニューアル成功体験を生かし、組織全体のブランディングに挑戦
また、今回のプロジェクトでは、コープデリ生活協同組合連合会様の組織運営の観点でも大きな気付きがあったといいます。
「プロジェクトを通じて、たくさんの気付きがありました。例えば、組織内部での大々的なユーザーテストを初めて実施しましたが、こういった組織横断の取り組みをグッドパッチさんのご協力の下で実現できたことも一つの成功体験です」(コープデリ 小山様)
この成功体験を生かして、今後は事業横断型のプロジェクトをさらに進め、宅配以外の事業も含めた形でコープデリのサービスを利用できるような、新たなアプリを作る組織全体のブランディングにも踏み込む、壮大なプロジェクトを計画されているとのことです。最後に、グッドパッチの支援についてコメントをいただきました。
「グッドパッチさんのメンバーのほとんどが、私たちよりも若い世代の方々でしたが、クライアントに臆さず、必要だと思うことはどんどん提案してくださる真っ直ぐな熱心さが素晴らしいです。熱いものを感じました。ご一緒することで、こちらの若手社員も良い刺激を受けたはずです」(コープデリ 小山様)
「私たちの意向にある背景をしっかり確認しつつ、最良の落としどころが見つかるまでとことん議論することで、回答を曖昧にしない点はありがたかったですね。定例会議の時間内で決めきれなかった事柄についても、グッドパッチさんの方からコミュニケーションをたくさん投げかけてくださったことで、着実に決めていけました。そういったところから信頼関係が育まれたと思います」(コープデリ 森本様)
Interview
本プロジェクトの詳細は、こちらのインタビューをご覧ください。
コープデリアプリをGoodpatchがリニューアル、日常の買い物を「楽しいショッピング」に変えるデザインとは
Credit
デザインディレクター:西村洋
クリエイティブディレクター /アートディレクター:栃尾行美
UXデザイナー:梅下大輔、杉本奏、中根美香
UIデザイナー:山下由希、浅野未央、小幡菜摘、大久保絵里
テクニカルディレクター:田中健、Suraj Sau
プロジェクトマネージャー:永田佳範
アカウントマネージャー:浦田文恭、粟野雄太
イラストレーター:韓悅生