Goodpatch closed its Berlin office. We will continue to help businesses through Tokyo HQ.

Client
NTTコノキュー
Expertise
Digital Product & Service Design
Date

Overview

2023年6月にリリースした、NTTコノキューが展開する3Dバーチャルオフィスサービス「NTT XR Lounge」。リリースの半年前、サービスコンセプトが転換したタイミングで、グッドパッチが開発プロジェクトにジョインしました。先端技術を生かし、ユーザーにどんな価値を届けるか──サービスの存在理由から見直し、顧客体験を設計。アプリのリリースだけではなく、販促ツールの制作まで。さまざまな制約の中で、約5カ月で行った開発プロジェクトを事例としてご紹介します。

Client

株式会社NTTコノキュー様

NTT QONOQ, INC.

「リアルとデジタルの空間を永続的に行き交うことで新しい体験を生みだす」をテーマにXR領域やメタバース・デジタルツイン領域において、ソフトウェア・ハードウェアの技術開発、ソリューションやプラットフォームを提供している。

Summary

ご支援前の課題と状況

  • 3D技術を使った「バーチャルオフィスサービス」を企画
  • バーチャルである必然性や競合差別化を鑑みてコンセプトを転換したものの、世界観の実現と価値あるサービスとしての両立が難しく、行き詰まりを感じていた
  • UI/UXにこだわりたい一方で、リリース予定に間に合わせる必要がある

Goodpatchの対応とご支援後の成果

  • サービスの存在理由から見直しつつ、機能要件を同時並行で吟味し、半年弱でサービスリリースまで完遂
  • 「やさしい世界観」というコンセプトとのバランスを保ちながら、法人向けサービスとして、動作の軽快さなどの体験設計にも配慮
  • リリース後、ユーザーからはコンセプトを評価する声が多数。他社サービスとの差別化にも成功している
  • サービスの世界観に沿った販促ツールを制作。プロモーションが容易になり、ブランド形成にも貢献

コンセプト変更で開発に行き詰まり リリース半年前のタイミングでグッドパッチに相談

3D技術を使ったバーチャルオフィス空間を作り、価値を届ける──。そんなコンセプトで始まった「NTT XR Lounge」のサービス開発。

当初想定していたのはアプリ内で会議もできて、翻訳機能もあり、議事録を取れるようなもの。リアルオフィスをそのままバーチャル空間に移したようなものになるイメージだったものの、バーチャルである必然性や競合との差別化といった点で、悩んでいたとのこと。

その後、開発の方向性を転換し、オフィス機能を多く搭載するのではなく、社員同士の気軽なコミュニケーションに特化した“やさしい世界観”を実現したいというコンセプトが決定。ただ、それをどう具現化して価値あるサービスに仕上げれば良いか、道筋が立たず、行き詰まりを感じていたと言います。

同社がデザインパートナーとして、Goodpatchに声をかけたのは、まさにこのタイミング。UI/UXにこだわった開発をしたかったこと、そしてサービスの企画やコンセプトの作り込みに前評判があったことが、依頼の決め手になったようです。

「実はGoodpatchさんとは、NTTグループ内の別プロジェクトで以前にも仕事でご一緒したことがあります。そのときプロダクトオーナーをしていたメンバーから『Goodpatchさんにコンセプトの作り込みから支援してもらい、とてもうまくいった』という話を聞いており、ご相談するに至りました」(NTTコノキュー マーケティング部門 担当部長 清水さん)

NTTコノキュー マーケティング部門 担当部長 清水さん

「誰が、何のために使うのか」に立ち返り、コンセプトからサービスを見直す

Goodpatchがデザインパートナーとしてプロジェクトに参画後、まず着手したのは、サービスの「ビジネス計画書」をプロジェクトメンバー全員で一度紐解くこと。サービスの価値を共有するためのワークショップ、そして、「中長期的な目線で売れるプロダクトを作るために必要なこと」を問いにしたワークショップを実施しました。

サービスを開発する際、機能や要件が先行してしまい、「誰が、何のために、使うのか」という点が後回しになってしまうケースは少なくありません。

ワークショップを通じ、「このサービスがユーザーのどんな困りごとを解決し、導入する企業にどういったビジネスメリットをもたらすか」という点を改めて捉え直し、必要な最低限の機能を定義していきました。

ワークショップ後は、カスタマージャーニーマップの作成やペルソナの設定に移っていきましたが、スケジュールが非常にタイトだったため、エンジニアのメンバーも交えて頻繁に打ち合わせを行い、プロジェクトメンバーの合意が取れた部分から開発を進めるといった体制を敷いたと言います。

後戻りが許されない状況でGoodpatchが意識したのは、会議ではできるだけ具体的なイメージと言葉で共有していくこと。デザイナーが中心となり、参考画像やデザインカンプなど、全ステークホルダーが共通認識を持って進めるようにしたと言います。

「単純なペーパーワークではないですよね。ここはGoodpatchさんに期待していた点であり、期待以上の効果がありました。荒い状態ではあるものの、初期段階から世界観を体現する言葉とデザインの両方を示してくれた。そのおかげで、すっと判断ができる場面が多々ありました」(NTTコノキュー 清水さん)

XRサービスを開発する際の工夫、販促ツールも一貫してデザイン

Goodpatchとしても、XRサービスのデザインを手掛けるのは初の試みです。Z軸(奥行き)という要素が加わることで、空間が無限に広がり、壁や天井の有無、カメラワークなど、通常の2Dデザインより検討に必要な観点が増えていきます。そして、業務中に利用するユーザーの負担を考慮した体験にするため、3Dでも動作が重くならない、というのも重要なポイントでした。

「法人向けのスマートフォンで使用されるサービスなので、スペックが高くない機種でも快適に動作することが大切です。Goodpatchさんには表現のリッチさは大切にしつつ、いかに動作を軽くできるかという条件の下でビジュアルのデザインの検討を先導してもらいました」(清水さん)

サービスのコアとなる“やさしい世界観”というコンセプトは、3D空間の雰囲気やアバターで担保。カジュアルさがウリとはいえ、これはあくまで企業向けのサービス。3Dの造形やUIデザイン、言葉選びなどに関して、企業向けと個人向けのどちらにも寄りすぎないバランスを実現することに、こだわったと言います。

また、この世界観はリリース後のプロモーションにも生かされています。プロジェクト開始当初はスコープ外だったものの、ロゴやサービスサイト、ポスター、リーフレットなどのデザインもGoodpatchが提案しました。

マーケティングコミュニケーションも含め、さまざまなタッチポイントで一貫した体験を提供することが、ユーザーの安心感や愛着の醸成につながる──サービスのブランド形成まで見据えた取り組みです。

「プロモーションに向けた制作物が多くあり、ご依頼しなくてはと思っていた矢先、Goodpatchさんから世界観に沿った一貫性のある販促ツールを率先してご提案いただいて感謝しています。販促ツールは最初にお客さまの目に触れるものなので、パッと見て世界観を感じていただけるデザインがありがたいです」(NTTコノキュー マーケティング部門 サービスマネージメントグループ 山内さん)

ユーザーから支持され、差別化できたXRサービスに

2023年6月のサービスリリース後は、ユーザーからコンセプトに対して好意的な反応をもらうことが多く、他のバーチャルオフィスサービスをすでに使ったことのある方からも「今までのものと違う」と興味を持っていただいており、NTTコノキュー社内からの評価も高く、コンセプトに共感する方も多いとのことです。

「ユーザーの皆さんからは『この空間に入るとホッとする』『動物のアバターがすごく可愛い』といった感想をいただいています。私たちがコアに据えた“やさしい世界観”に関するネガティブな反応は全くない。思い描いていた通りの反応をいただけているので、それが一番嬉しいですね。

一方で、もっと機能が欲しいという要望もいただいています。今後はコンセプトを守りながら、ニーズに応える形で、いかに使いやすいサービスにしていけるかに注力していきたいです」(NTTコノキュー マーケティング部門 サービスマネージメントグループ 担当課長 磯部さん)

Goodpatchの支援を通じて、プロジェクトチームのメンバーにも変化がありました。以前は、自分や似た環境にいる社内の人間などを基準にサービスを考えていたが、プロジェクトを通じて、自分から見えているニーズだけにとらわれず、実際のユーザーがどう使っているのかを、より深く想像できるようになったとのこと。

今回のプロジェクト全体を振り返って、NTTコノキューの清水さんからはこのような言葉をいただいています。

われわれ以上に思いを持ったコミットに感謝
「特に印象に残っていることがあります。プロジェクト内で一度サービス名が決まり、すでにデザインも仕上がってきていたタイミングで、リスク管理の観点で、審査部門から決まっていたサービス名にNGが出てしまいました。Goodpatchさんにその旨をメールで伝えたところ、間もなく「経緯を改めて聞かせてほしい」と電話をいただいたのです。

単純な受発注の関係性でなく、Goodpatchさんは私たちと思いを同じくしてサービスを一緒に作っているんだ、という姿勢がその電話に表れていました。ともすると、われわれ以上にサービスに対して思いを持っていただいていたのではないでしょうか。こういった姿勢にとても感謝していますし、ぜひ次の新しいサービスや企画でもご一緒したいですね」

Credit

プロジェクトマネージャー:服部 真人
UXデザイナー:石田 健二
アートディレクター・UIデザイナー:中田 彩
UIデザイナー:Kai Qin、金谷 薫、名塚 麻貴(Goodpatch Anywhere)
アカウントマネージャー:高橋 俊太郎
プロジェクト統括:三重野 竜司 

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