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Client
株式会社マルイユナイト
Expertise
Brand Experience Design, Organization Design
Date

Overview

丸井グループは、2024年9月にグループ内におけるアジャイルなプロダクト開発の推進・波及を目的とした新会社「マルイユナイト」を設立しました。グッドパッチは、丸井グループとのジョイントベンチャーMutureとともにDXを加速していくための組織スキームとしての戦略子会社立ち上げの構想から伴走。エンタープライズアジャイルを実現する仕組み、ブランドづくりに携わり、社名、ミッション、ビジョン、ロゴ、キービジュアル、ウェブサイト、コーポレートツールの制作までを支援しました。

丸井グループの共創デジタルカンパニーとして、デジタル人材の採用ブランディングもスコープに入れた本プロジェクトをどのように進めたのか、プロセスの一部をご紹介します。

Client

株式会社マルイユナイト

marui unite Co.,Ltd
「マルイユナイト」は、丸井グループにおけるテック専門組織としてプロダクト開発を内製化することで、丸井グループ全体のDXによる変革を横断的に後押しする役割を担います。オンラインとオフラインの顧客接点や、金融や小売をはじめとしたさまざまなサービスをなめらかにつなぎ、新たな顧客体験の全体像を構想・具現化する事業を展開します。

Summary

ご支援前の課題

  • 部門横断で連携が取りにくい意思決定プロセスや組織構造が残っている
  • デジタル人材の採用を強化しながら、全社的なDXを加速させたい
  • 親会社が商業施設などのリアルアセット中心のイメージが強く、採用したいデジタル人材が魅力的に感じる新たなイメージづくりが必要
  • 丸井グループに対して果たす役割、社会への提供価値、デジタル人材への提供価値の言語化とコミュニケーション設計が求められていた
  • デジタル人材にフレンドリーな制度や働く環境が整っていない

グッドパッチの対応と支援後の成果

  • 市場価値が高いデジタル人材を惹きつける組織づくりやブランド開発を戦略子会社立ち上げによって実現することを提案
  • デジタル人材に関するリサーチやワークショップを通じて、新会社の「ありたい姿」「目指す世界」を明確化
  • 社名およびミッション・ビジョンの策定を支援し、会社のアイデンティティをベースにしたロゴ、キービジュアル、ウェブサイト、コーポレートツールを制作。一貫性のあるステークホルダーへのメッセージ発信を実現

DX推進を加速する新会社 存在意義が伝わるメッセージを言語化

丸井グループは、グッドパッチとの合弁会社である「Muture」の立ち上げにより、アジャイル組織化やプロダクト体験の改善といった成果を挙げてきたものの、「デジタル顧客接点でのプロダクト開発の内製化」という目標に照らし合わせたときに、システムの企画から開発までの一連のプロセスにおいて、部門横断で連携が取りにくい組織構造になっているという課題がありました。

これらの課題を解消しつつ、デジタル人材の採用をより強化して、全社的なDXをさらに進めるため、同社の経営陣は新会社の設立を決定しました。

既存会社の一部署ではなく、あえて新会社として切り出した背景には、デジタル人材が働きやすいフレンドリーな制度や働く環境をスピーディに整えるという狙いがありました。

その上で、丸井グループは、フィンテック事業の売り上げが大半を占めているにもかかわらず、社会的には商業施設などのリアルアセット中心のイメージが根強いことから、競争率の高い、優秀なデジタル人材をアトラクトするためには、ブランド開発も並行して行っていく必要性を感じていました。

グッドパッチは、採用候補者を始め、丸井グループの社員、お客さま、取引先といったステークホルダーの皆さんに伝わりやすいストーリーで、新会社の設立意義をメッセージするため、新会社の準備に関わるメンバーと約2カ月にわたり、提供価値の整理、構造化、ブランドストーリーの言語化を行いました。

プロジェクトでは、まず「ありたい組織」の姿を浮かび上がらせるため、以下のような、さまざまな問いについてワークショップ形式で対話を重ねながら整理し、新会社の提供価値や存在意義を社内外に伝わるメッセージとして適切に言語化していきました。

「丸井グループが考える解決すべき社会課題と目指したい社会はどんなものか」
「その中で、新会社はどのような役割を果たすのか」
「なぜ他社ではなく、新会社が実現できるのか、その根拠は」
「デジタル人材が新会社を選ぶ理由やメリットは何か」
「提供価値を生み出すにあたって、大事にする組織カルチャー・行動原則・価値観は」

また、採用ターゲットとなるデジタル人材についての調査も同時に実施。仕事に求める価値観やキャリア観を知るために、インタビューを重ねたり、デジタル人材が集まるイベントに参加したりしながら、ペルソナとなるデジタル人材像も明確にしていきました。

「好き」が駆動する経済を加速する存在に 会社のアイデンティティと採用候補者をつなぐストーリー

丸井グループでは、機能や価格ではなく、一人ひとりの感情や価値観が原動力となって動く新しい経済の領域である【「好き」が駆動する経済】を注目領域として定めています。

その具現化に向け、小売・フィンテック・未来投資の三位一体のビジネスモデルの中心に「『好き』を応援するビジネス」を据え、社会へのインパクト実現に向けて社会実験に取り組んでいます。

出典:丸井グループIMPACT BOOK2024

こうした丸井グループの歴史やアセットを紐解きながら、新会社の役割について対話する中で、ストーリーの中心に置くべき「新会社のアイデンティティの核」として「『好き』をエンジニアリングしていく」というコンセプトの種が生まれました。

自分の「好き」を突き詰め、仲間と共有して、磨き合い、新しい価値を生み出していく、というこの考え方は、デジタル人材のコミュニティやカルチャーとも親和性が高いのではないか──。

丸井グループの「好き」を応援する戦略をデジタルの力で加速させることで導かれる世界を軸にストーリーを作り、社名、ミッション、ビジョンの言語化へと繋げていきました。

社名「マルイユナイト」とロゴデザイン、ミッションに込めた意味

社会の視点、新会社が担う役割、事業の目的、目指す世界に立ち返りながら、メンバー間で対話を繰り返し、新会社の社名は丸井グループ新会社準備プロジェクト担当者の発案である「マルイユナイト」に全員一致で決まりました。

「unite(ユナイト)」という言葉には、「目的のために、異なるものが、互いの独自性を保ったまま結束する」という意味があります。小売とフィンテック、リアルとデジタル、既存ビジネスと新しい概念、そして、個人、組織、社会といったステークホルダー。さまざまな切り口において、個々の多様性を生かしながら「unite」していくことを目指すという意味をネーミングに込めています。

ロゴデザインでは、マルイユナイトが果たす役割である「一人ひとりの『好き』の感情がデジタルと組み合わさり、異なる属性や価値観の壁を越えて多様なつながりを生む様」をどう表現するか、何度も試行錯誤を重ねました。

試行錯誤を経て言語化した「好きの力」「デジタルの力」をどのようなメタファーで表現できるかについてアイディエーションを重ね、多様な「好き」が合理を超えて惹かれ合い、多様なつながりを生む様子を、丸井のロゴの一部であり、デジタルの象徴でもある“OI(01)”とuniteの頭文字の"U"の図形を磁石のメタファーを用いて表現することにしました。

さらに、丸井グループが目指す、「好き」という感情を起点にすべての人が自分らしく自然体でつながり、「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会。その実現に向けて、デジタルの力でお客さまをはじめとするステークホルダーとより良い未来につながる新しい体験を共創することをマルイユナイトのミッションに置きました。

目指す世界観を伝えるウェブサイトとモーショングラフィック


https://marui-unite.co.jp/

ウェブサイトは事業内容や求人など、さまざまな情報のハブになる重要なタッチポイントであり、企業の「顔」ともいえる存在です。

採用候補者をはじめとするステークホルダーにとって、マルイユナイトの役割や実現したい世界観が伝わるようなデザイン、そして、他の大企業のDX子会社と比べた独自性を整理し、興味を持っていただけるよう情報設計をしました。

丸井グループのユニークなビジネスモデルやアセットを活用しながら、マルイユナイトが探求する新しい体験や事業内容に関わる魅力についてメッセージしています。

ファーストビューには、モーショングラフィックを用いたアニメーションを採用。「ひとつひとつの『好き』が、さまざまな形でつながり合いやがて、より大きな、意義を持つものを構成していく」というストーリーをロゴのモチーフである磁石を多様な色やかたちで表現し、躍動感あふれる動きに仕立てました。

コーポレートツールにもブランドアイデンティティの思想を

名刺やステッカー、ビデオ会議ツールの背景といったいわゆる「コーポレートツール」もマルイユナイトのブランドアイデンティティの思想が組み込まれたものになっています。

かたちや色の組み合わせを自由に選ぶことができるなど、メンバーの個性や「好き」を引き立たせるフレキシブルなデザインに。名刺には「私の好き」に関する一言コメントの欄を設けるなど、社内外でのコミュニケーションでミッションが想起できるよう工夫しました。

今回のプロジェクト全体を振り返って、マルイユナイト コーポレート部部長の面屋さんからはこのような言葉をいただいています。

グッドパッチさまには、マルイユナイトの会社化構想からBX構築に至るまで、長く深く伴走いただきました。今回の伴走で非常に印象的かつ効果的だったと感じているのは、アジャイルにBXを構築していくプロセスを取っていただいた点です。立ち上げの当事者たちだけで作るのではなく、BXの主な受け取り手であるデジタル人材の方や既存社員へのインタビューを幾度となく繰り返し、アップデートを重ねていくというスタイルでプロジェクトを進めていただきました。この進め方はマルイユナイトと丸井グループが大切にしている「共創」の精神とも親和性が高く、丸井グループのことを我々以上に深く理解して伴走してくださったグットパッチさまだからこそ、実現できたプロセスだと感じております。おかげさまで関係者一同、非常に納得度高くプロジェクトを進めることができ、最終的には関係者全員が「これだ!」と思えるものを作り上げることができたと感じております。

「ありたい組織」を起点に議論したマルイユナイトが進む道。このコーポレートブランディングプロジェクトを通じて言語化した「目指す世界」を多様なステークホルダーと共創しながら、これからどのように実現していくのか注目です。

Credit

Design Strategist:長友 裕輝 (Goodpatch Inc)
Art Director:圓島努 (Studio Details Inc.)
BX Designer:大久保 彩佳(Goodpatch Inc)
Copywriter:北野 早苗
Project Manager:岩本 紘子(Goodpatch Inc)
Account Manager:高橋 俊太郎(Goodpatch Inc)

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