コクヨ株式会社(ブランディング支援)
- Client
- コクヨ株式会社
- Expertise
- Business/Strategy Design, Brand Experience Design
- Date
- Client
- コクヨ株式会社
- Expertise
- Business/Strategy Design, Brand Experience Design
- Date
Overview
コクヨ株式会社が2025年5月にリリースした組織成長ソリューション「TEAMUS(チームアス)」。同社初のSaaSビジネスとして展開する新規事業に対し、グッドパッチはプロダクト開発での支援に続き、リリース後のブランドづくりやマーケティング領域でも、伴走支援を行いました。立ち上げ期のイベント・展示会対応、ブランドガイドライン策定、生成AIを活用した運用ツールの構築、バイヤージャーニーマップによる販売戦略の整理まで、グッドパッチはマーケティンググループ内のデザインパートナーとして、TEAMUSのブランド体験を提供する土台づくりに貢献しました。
Client
コクヨ株式会社
KOKUYO CO.,LTD.
「Campusノート」をはじめとする文具の製造・販売から、ワークスタイルやオフィス空間のデザイン、事務用品の流通まで、人々の「働く・学ぶ・暮らす」を幅広く支える企業です。近年は物理的な製品や空間の提供に留まらず、長期ビジョンのもとで新規事業の創出にも注力。2025年には、自社が培ってきたワークスタイルへの知見を生かし、組織・人材というソフト面にアプローチするHR事業「TEAMUS」を立ち上げ、企業の組織成長を支援するソリューションプロバイダーとしての領域を拡大しています。
Summary
支援前の課題
- ローンチ初期の連続する大規模施策において、アウトプットの質とスピードを両立させる必要があった
- プロダクト定義は進んでいた一方、対外的なブランディングの明確な基準はこれからという段階で、各メンバーがそれぞれの「想い」や「仮説」を胸に、手探りで顧客へのアプローチを重ねている状態だった
- イベントや展示会への出展が控える中、現場での仮説検証を大切にしながらも、次なるフェーズへ進むための共通のメッセージや表現基準を必要としていた
- リリース後のリード獲得フェーズに向けて、これまでコクヨがアプローチしてこなかった顧客層に対する販売戦略とターゲットの再整理が必要だった
グッドパッチの対応とご支援後の成果
- 顧客の行動に寄り添った体験設計とビジュアル表現により、リアルイベントにおけるブランドの世界観と認知の土台を確立
- バリューピラミッドの策定を通じてビジョン・ミッションを言語化し、チーム全員の目線を一つにする強固なブランドの「軸」を構築
- カスタム化した生成AIツールの導入と「Tone of Voice」の仕組み化により、目線合わせの時間を大幅に削減し、業務の効率化とブランド表現の一貫性を実現
- バイヤージャーニーマップの作成により顧客プロセスを可視化し、既存事業とのシナジーを生かすしたアプローチの最適化と、長期目標に基づく的確な投資判断を後押し
- リアルなタッチポイントにおける一貫したブランド体験の提供により、展示会を起点とした継続的なファン(見込み顧客)の獲得を実現
プロダクト開発からマーケティング支援へのシームレスな連携
2025年5月にリリースされたコクヨ「TEAMUS」。プロダクト開発が進む中、マーケティングチームが正式にチームとして立ち上がったのは2025年1月頃、リリースの4カ月ほど前でした。同年4月のWebサイト立ち上げ、5月の自社イベント「TEAMUS DAY 2025」、6月の「HR EXPO」初出展と、大規模な施策が立て続けに控え、マーケティングチームは準備に奔走していたといいます。
TEAMUSのマーケティングについては、プロダクト開発に並行して議論はされていましたが、少数精鋭のチームで展示会ラッシュに挑む中、アウトプットの質とスピードを高めるために、プロダクトの立ち上げからご一緒していたグッドパッチの皆さんに、相談させていただく運びになりました
(コクヨ 林さん)

コクヨ株式会社 グローバルワークプレイス事業本部 ビジネスディベロップメント本部 HRCAソリューション部 マーケティンググループ グループリーダー 林さん
そうした状況下で、プロダクト開発でUIを担当していたグッドパッチのメンバーがブランディング領域への参画、マーケティンググループへジョインしました。
プロダクトローンチ初期のマーケティング実行支援
マーケティング支援の初期フェーズでは、新設されたマーケティングチームと密に連携しながら、Webサイトのコラム執筆、コピーライティング、イベントの顧客体験(CX)設計、ブランドクリエイティブデザインなど、さまざまな支援を実施させていただきました。
リアルイベントにおける顧客体験(CX)設計とブランドクリエイティブ
コクヨの品川オフィスで開催された「TEAMUS DAY」では、限られたスケジュールの中、体験フローや導線の設計、各種クリエイティブのデザイン・ディレクションまでを支援。来場者が組織やマネジメントの課題について活発な意見交換ができる空間・体験を作り上げました。イベント後のアンケートでは「雰囲気が堅苦しくなく非常に有意義な時間だった」といったお声をいただき、社外のお客様だけでなく、コクヨ社内の方々にもTEAMUSの目指す未来やブランドの存在を好意的に捉えていただく重要な機会となりました。
続く「HR EXPO」では、コクヨ様がブース全体の設計を担う中、グッドパッチは顧客体験の設計を中心に担当。来場者の興味・関心を惹きつけるスムーズな動線や体験のプロセスを整理し、さまざまな職種のスタッフが共通の基準で説明できるようオペレーションの構築を支援しました。当日は、チームの一員としてブース運営に伴走しながらリアルな顧客の声を収集。ここでの体験が、その後の本格的なブランドガイドライン策定や販売戦略整理へとつながる重要な足がかりとなりました。

リアルイベントにおける来場者の体験フロー・導線設計のドキュメント

初の自社イベント「TEAMUS DAY 2025」におけるブランドクリエイティブ・空間表現
展示会で見えたメッセージの重要性──バリューピラミッドとビジョン・ミッションの策定へ
「HR EXPO」の現場では、機能を中心に解説するメンバーもいれば、「コクヨの新規サービス」としての信頼性を前面に出すメンバーもいるなど、それぞれの強みを生かした多様なアプローチが展開されていました。これは、あえて固定的なメッセージで可能性を狭めず、現場のリアルな反応から最適解を探るという、立ち上げ期ならではの戦略的な試みでもありました。
当時は、メンバーそれぞれの思いやアクションを大切にしていました。HR EXPOはTEAMUSにとって初めての展示会で、ユーザーの方と初めて会う機会だったこともあり、メンバーそれぞれが持っている仮説をぶつけるという場にしました。
核となる共通のメッセージがあった方がいいとは思っていたのですが、プロダクトのリリース直後だったため、固定的なメッセージで可能性を狭めてしまわないよう、柔軟さを残しながら「今の最適解」を探りたかったという狙いもありました
(コクヨ 杉山さん)

コクヨ株式会社 グローバルワークプレイス事業本部 ビジネスディベロップメント本部 HRCAソリューション部 マーケティンググループ 杉山さん
グッドパッチは、この現場の実践によって得られたさまざまなメッセージと、それに対するリアルな顧客の反応(生の声)を徹底的に整理・分析しました。
「柔軟さを残しながら今の最適解を探る」というマーケティンググループの狙いに寄り添い、集まった生きたデータを基に、サービスが提供する本質的な価値を階層ごとに分類。マーケティンググループがいつでも立ち戻れる共通の指針として「バリューピラミッド」を体系化しました。
このピラミッドを土台にコクヨ社内でさらに検討を重ねていただきながら、最終的なビジョン・ミッションという「TEAMUSの強固な軸」の具体的な内容の策定まで伴走。現場でのリアルな仮説検証の成果を、チーム全員の目線を一つにする確かな指針へと昇華させました。

策定されたTEAMUSのビジョン「チームを起点に組織と人の成長を結び、はたらく未来を創る」とミッション「チームに向き合い行動する機会をつくり、持続的な成長へとつなぐ」
生成AIも活用、ブランドガイドラインを実務に取り入れるための仕組みづくり
ビジョンとミッションが定まった後に取り組んだのがブランドガイドラインの整備でした。
メンバーそれぞれが仕事を進める中で、判断に迷った際に立ち戻れる「ブランドガイドライン」を作る必要があると考え、グッドパッチさんと共に制作しました。イベントや展示会を準備する過程で、ビジュアルアイデンティティは随時アップデートしていましたが、「TEAMUSらしい表現」など、ビジュアル以外の部分の基準は明確には決められていなかったため、ブランドガイドラインとして整理しました
(コクヨ 粟尾さん)

コクヨ株式会社 グローバルワークプレイス事業本部 ビジネスディベロップメント本部 HRCAソリューション部 マーケティンググループ 栗尾さん
しかし、ブランドガイドラインは「ルール」として整備されても、日常業務で参照されなくなれば形骸化するリスクがあります。実際にマーケティングや営業に使われるツールや社内資料を確認すると、「TEAMUSとしての統一感」が十分でない表現やビジュアルが少なからず存在していました。
そこでグッドパッチが提案したのが、ブランドを「自走」させるための仕組み化。
まず、ブランドカラーやフォントを反映したスライドマスタを整備。さらに、ブランドパーソナリティを基にした「Tone of Voice(顧客とコミュニケーションする際の話し方、表現のスタイル)」を活用しやすくするため、生成AIアシスタントツール「Gemini」のGem機能を使って資料や文章などの表現をチェックするツールを制作しました。

TEAMUSのTone of Voiceやキャラクター設定をまとめたブランドガイドライン

「Gemini」のGem機能で作成した、TEAMUSの文章表現チェックツール
これらを部内に配布し、ブランドガイドラインが日常業務の中に自然に入り込むようにすることで、形骸化しないように仕組みを整えていきました。実際にこれらのツールは営業、マーケ、プロダクト開発などさまざまな立場やシーンによって活用され、一貫性のある「TEAMUSらしさ」を表現できるようになったといいます。
グッドパッチさんと策定したブランドガイドラインをAIツールに反映させたことで、原案を入力するだけで「TEAMUSらしい」表現に変換できるようになり、その精度と便利さに感動しました。一貫した指針が整備されたことで目線合わせに割く時間も大幅に減り、業務スピードが飛躍的に上がりました
(コクヨ 杉山さん)
バイヤージャーニーマップで、ターゲット拡大フェーズのアプローチを整理
2025年12月、ブランドやツールの土台が整ったTEAMUSは、改めて販売戦略と顧客ターゲットを見直し、これまでのアプローチをベースにしつつ、ターゲットの幅を広げ、多角的に展開することになりました。
グッドパッチはマーケティンググループと協働で、バイヤージャーニーマップ(顧客がサービスと出会ってから購入するまでの一連のプロセスを描いた図)を作成。営業から成約に至るプロセスや、イベント経由の問い合わせなど、それぞれの過程を細かくドキュメント化して可視化しました。これにより、既存事業とのシナジーを最大限に活かすマーケティング戦略を構造化し、ターゲット拡大に向けたアプローチを設計・明確化しました。

既存事業とのシナジーも生かした、バイヤージャーニーマップとペルソナ整理
グッドパッチの皆さんと協力してバイヤージャーニーマップを作成したことで、各々の顧客層に対するアプローチを整理できたのは大きいです。他事業部へ施策を説明しやすくなりましたし、実績が出るまでに時間がかかるような施策でも、「なぜ、今この取り組みを行うのか」を長期目標として話せるようになったので、投資も判断しやすくなりました。非常に納得感のある、実戦的なジャーニーになったと思っています
(コクヨ 杉山さん)
マーケティング施策で生まれたファンも ブランド体験を提供する土台ができた
ブランドの軸を整え、運用の仕組みに落とし込み、販売戦略のアプローチまで一貫させた結果、TEAMUSは単なる「サービス」を超えた「ブランド体験」として顧客に届き始めています。実際、6月の展示会で導入したブランド体験が起点となり、9月の展示会で「前回のブースが良かったから」と、TEAMUSのファンになって再訪してくださるお客様が生まれるなど、確かな成果も表れ始めています。このデザインによる土台をもとに、TEAMUSはさらなる未来へ向けて歩みを進めています。
TEAMUSはコクヨのこれからを担う事業だと考えています。今後はマーケティンググループ主導でリード獲得から受注につなげる施策の精度を上げ、導入を広げ、お客様に貢献していきたいですね
(コクヨ 林さん)
私は元々、「どうすればより良いチームマネジメントができるか」を模索していたこともあり、TEAMUSなら自分の課題が解決できるのではと思い、社内公募でこのプロジェクトに参加しました。このサービスは届けて終わりではなく、伴走して改善するところまで寄り添える点が強みです。まずは自分たちがTEAMUSを活用して、多くの人に良さを発信していきたいです
(コクヨ 杉山さん)
ブランディングは、良い意味で一つの「文化」を形作ることだと感じています。TEAMUSも、企業が活用するサービスとしてだけではなく、チームにおける思想として、企業全体に浸透してもらえるようなブランドへと成長させていきたいです
(コクヨ 粟尾さん)

Interview
本プロジェクトの詳細は、こちらのインタビューをご覧ください。
Credit
プロデューサー:木下 隆博
UI/UXデザイナー・ブランディングデザイナー:有末 海