CyberAgent×Goodpatchの社内勉強会を実施。「苦難を乗り越えるチームとプロセス」

Goodpatchでは、他社との合同勉強会を積極的に行っています。今回は「苦難を乗り越えるチームとプロセス」というテーマで、CyberAgentさんと合同勉強会を開催しました!
両社のデザイナーを中心に80名以上のメンバーが参加し、CyberAgentさんから3名、Goodpatchからは2名が登壇しました。組織や事業を超えたデザイナー同士の交流ということで、ナレッジ共有などをテーマに盛り上がった勉強会の様子を一部だけご紹介します。

Goodpatch | 野田 克樹「クライアント・ユーザーを巻き込んだ新規事業開発プロセス」

Goodpatch UXデザイナー/プロジェクトマネージャーの野田は、クライアントやユーザーとひとつのチームになって、新規事業を開発するプロセスについてお話しました。

野田:
まず、今回のプロジェクトの経緯をご紹介します。Goodpatch代表の土屋が「デザイナーがいないスタートアップを支援したい」という想いから支援先を募集したところ、60社近い企業さまから応募ををいただきました。その中からデザインパートナーとして並走させていただくことになったのが、3Dデータで足のサイズをスキャニングし、新しい靴の購入体験を手がけているFlicfitさんでした。

僕は、過去のプロジェクトで「ステークホルダーの巻き込み不足」「ターゲットユーザーが広く、解決すべきユーザー課題を絞り込めない」という課題に直面したことがありました。そして今回は「リアル店舗体験の価値検証」にも初めて取り組みました。今回のプロジェクトでは、この3つにどう立ち向かったのかご紹介します。

ステークホルダーの巻き込み不足

クライアント・ユーザーとチームになって、デザインプロセスにどんどん巻き込むようにしました。プロジェクトを進めていくうえで、クライアントとの距離が空いてしまったり、Goodpatchがクライアントとユーザーの間に入ることで双方の距離が離れてしまうというケースを防ぐためです。

まず、Flicfitさんとの専用プロジェクトルームを用意し、1週間のうち10時間は専用ルームで一緒に作業をすることで、密なコミュニケーションを取りました。

ユーザーとの距離を縮めるためには、事前にGoodpatch Blogでプロジェクトのアピールをし、記事の最後にアンケートフォームを設置し、潜在顧客を募集しました。回答者の中からビジョンに共感するユーザーを集めることで、リリースした直後にユーザーがファンになってもらうという関係性を作りあげました。これにより、クライアントとユーザー、全てのステークホルダーを巻き込んでプロジェクトを進めることができたのです。

ターゲットユーザーが広く、解決すべきユーザー課題を絞り込めない

プロジェクト開始当初、Flicfitさんの技術でどのようなユーザー体験を提供できるか決まっておらず、ターゲットユーザーが定まっていませんでした。そこで、Goodpatch Blogで収集した幅広いアンケート結果から、価値観テーブルを使ってターゲットユーザーのフィルタリングを行いました。

アンケートの回答者のうち、Flicfitさんの技術で解決できる4つの価値観を持つユーザーにインタビューを実施しました。結果的に、よりサービスに適切なターゲットユーザーに絞り込むことができたのです。

リアル店舗体験の価値検証

Flicfitさんの事業では、店舗に行き靴を買うまでがユーザー体験。一方で、僕たちは過去のプロジェクトでUIの価値検証は行なっていましたが、リアル店舗での価値検証は未経験でした。そこでUIに閉じないリアル店舗での体験を検証するために、小説形式のストーリーとUIを用いました。

店舗で靴を買うときのストーリーをUI/UXデザイナーがライティングし、印刷。そしてユーザーテストで共感できるところ・できないところを抽出し、該当部分のUIと照らし合わせながらインタビューを実施しました。19名にユーザーテストを実施したのですが、半分はFlicfitさんが実施してくださり、再現性も担保しました。さらに、プロトタイプを5回アップデートすることができたのです。


野田からお話しさせていただいたのは、クライアントとユーザーを巻き込んで事業をデザインし、直面しやすい課題をチームで乗り越えたケースでした。
Goodpatch Blogで公開したデザインプロセスは以下をご覧ください!

スタートアップのデザイン支援がスタート!デザインプロセスを紹介します Part1

スタートアップのデザイン支援がスタート!デザインプロセスを紹介します Part2

スタートアップのデザイン支援がスタート!デザインプロセスを紹介します Part3

CyberAgent | 樋口 一裕さん「How to Make Something People Want」

Amebaの新規サービスREQUのプロダクトマネージャーの樋口さんは、CyberAgentさんにおける新規事業開発プロセスと、チームの作り方について話しました。

樋口さん:
スキルシェアリングサービス REQUは、イラストや美容、料理に子育てなどAmebaブロガーの様々なスキルを生かした商品を販売しております。しかし、プロジェクト開始当時はブロガーが個人でモノを販売ができるECサービスとして制作を検討しておりました。それがどのように現在のREQUの形になったのかをご紹介します。

まず、本当にこのアイデアが世の中の役に立つのかを検証するために、デザイン思考のアプローチを用いました。デザイン思考は「人々の有用性」「技術的な実現可能性」「ビジネスの持続可能性」という3つの観点で成り立っており、それらを掛け合わせることでイノベーションが生まれます。私たちのチームでは、まず「人々の有用性」いわゆる、ユーザーがこのプロダクトを本当に必要とするのか?というところから検証を行いました。

Amebaブロガーのモチベーションや価値観のデプスインタビューを実施し、REQUの価値マップを分析しました。結果、ユーザーはただモノを売ってお金を稼ぎたいのではなく「自分のスキルや作品が誰かの役に立つ」ことに価値を感じていることがわかりました。

この結果から、プロダクトの方針が大きく変わり、インフルエンサーのECからインフルエンサーのスキルシェアリングサービスに変更したのです。体験を共有し、より新しい価値を創りたいインフルエンサーと、その運用の信用性を僕たちが提供することこそ、「人々の有用性」があると考えました。

通常プロジェクトを進行する際、プロジェクトマネージャーが考える人、エンジニアやデザイナーが作る人と別れてしまう傾向があると思います。一方で僕たちは、プロジェクトマネージャー、エンジニア、デザイナーの全員が「体験を生み出すチーム」として開発をしていきました。チームのゴールを「UIの作成」や「機能の実装」などの機能ベースにするのではなく、「ユーザーに体験を与える」という体験ベースで開発を進める手法です。これにより、チームのメンバーひとりひとりが自主的に提案やチャレンジができる環境を作ることができました。


デザインの領域がリサーチやUXに広がっている今だからこそ、デザイナーにとってプロジェクトマネージャーはキャリアパスの一つでもある、と樋口さんはおっしゃっていました。人が欲しいと思うプロダクトを作るためにも、チームメンバー全員が「体験を生み出す」という目的を持つことが大切だと学びました。

Goodpatch | 神 一樹「苦難はみんなで解決!チームの基礎固めのための実例紹介」

Goodpatch UXデザイナー/プロジェクトマネージャーの神は、サービスのリニューアルプロジェクトにどうチームで取り組んだのかお話しました。

神: 
僕からは、Jootoというプロジェクト管理ツールのリニューアルプロジェクトでのお話をさせていただきます。取り組んだことは三つあります。

エグゼクティブインタビューを実施

まずはじめに、意思決定する人全員の想いや関係値をしっかりと理解するためにエグゼクティブインタビューを実施しました。Jootoはプロジェクトが始まる直前の2017年9月にサービスと人材をPR TIMESさんへ譲渡されました。そのような状況なので、譲渡した側/された側それぞれの想いや考えを互いに理解・共有できている状態にすることが重要と考えました。エグゼクティブインタビューでは、Jootoを通して実現したいことを長期的視点/短期的視点ともに知ることができ、今後のプロジェクトの方向性を固めることができました。

サービスの強みや価値を言語化する

クライアントのステークホルダー全員がサービスの強みやユーザーにとっての価値をきちんと理解し言語化するために、KA法で集めたユーザーの声をグルーピングし価値マップの作成を行いました。


これにより、POを含むチーム全員がユーザーの思う価値を正しく認識でき、Jootoの価値を伝えられるようになりました。また、価値マップとKPIツリーを接続して「この体験がよくなることで、このKPIが向上する」という仮説を設定し、体験(定性)と数値(定量)を関連づけられるようにしました。

クライアントを含めたチーム全員で全プロセスを一緒にワークをし、デザインプロセスをインストールする

Goodpatchではデザインプロセスを実施するだけではなく、クライアント自身が自走できるようにデザインパートナーとしてお手伝いさせてもらっています。そこで、全てのプロセスに対してクライアントにコミットしてもらい、全ワークを一緒に行いました。
これによりプロジェクトの前提の共有や検討の過程、採用されなかったものを含めたアイディアなど、思考と結果の全てがワークを通じて共有されることになります。「みんなで」一緒に手を動かしてワークをすることで、全員が同じ前提・視点で物事をスピーディーに進めることができました。


神からは、サービスリニューアルの際のチームの基礎固めについて幾つかの事例をお話ししました。クライアントを巻き込んで、チームが一丸となることがよりよいサービス作りへの一歩なのではないでしょうか。

CyberAgent | 松本俊介さん、加納謙吾さん「AbemaTVのドリブン丼ぶり」

無料で楽しめるインターネットテレビ局、AbemaTVのデザインチームリーダーの松本さんとディレクターの加納さんにその開発秘話と苦難について語っていただきました。

松本さん、加納さん:
大規模な組織で開発をスピーディーに進めていくうえで、一人ひとりのマインドが大切となります。組織のトップが常に「最高品質」にこだわり続けているため、社長から発案される改修プロジェクトでは指標を下げずに狙ったユーザー体験を提供してきました。他にも様々なドリブンでAbemaTVのプロダクト改善が行われているので、今回はそれらをご紹介します。

一つ目が「A/Bテストドリブン」です。

様々なパターンのUIを比べ、その良し悪しを調査するA/Bテストを実施しました。しかしテストの結果、効果に差がでず、「多重比較」で結果が出るまで別の指標で検定し失敗してしまいました。A/Bテストを実施する際、多重比較をしてしまうとテスト結果にミスリードが生じてしまうため、指標は一つに絞ることが重要です。

二つ目が「デザイナードリブン」です。

画面の色の変更やUIのブラッシュアップは、優先度が下がってしまうケースがあります。賛否が別れるかもしれませんが、デザイナーが中心となって変化を恐れないことが大切なので必要とあればどんどん変えていくことが大切だと考えています。


一人ひとりが目的意識を持つことがどのようなドリブンでも、まず目的を明確にしてチームで共有することを心がけている、と松本さんと加納さん。変化を恐れず常に挑戦し続けるお二人の姿勢に、プロダクトへ対する熱い思いを感じました。

さいごに

プロジェクトには困難がつきものだからこそ、チームが一丸となって立ち向かっていくことを忘れてはいけません。

今回の合同勉強会では、クローズドだからこそ今まで知らなかった知見やノウハウを共有することができました。CyberAgentさんとGoodpatch、規模もプロジェクト内容も異なりますが互いに思うデザインの力を共有することができたのではないでしょうか。

質疑応答や懇談会では、同じデザイナー同士で親睦を深めることができ、大いに盛り上がりました!
Goodpatchでは今後もデザイナー同士のナレッジ共有の場として、勉強会を開催していきます。合同開催のお問い合わせは、ぜひこちらからご連絡ください。

CyberAgentさんのDevelopers Blogはこちらからどうぞ!

ABOUTこの記事をかいた人

mina

デザインを学び始めたばかりのGoodpatchインターン生です。 初心者の方でも分かるような記事を書きます。
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