こんにちは!UIデザイナーのありぺいです!

私は学生の頃から、複数人による対話や共創の場における最適な楽曲選択を探求しています。これをサウンドファシリテーションと呼び、様々なワークショップで実践してきました。ワークショップだけでなく普段の議論などでもサウンドファシリテーションは効果を発揮してくれると感じています。

大学2年生の時にターンテーブルを使ってサウンドファシリテーションをした様子

ところで皆さんは、ワークショップなどの雰囲気づくりに困ったことはありませんか?今回は、僕が実践している「サウンドファシリテーション」をご紹介します。選曲の仕方を少し意識するだけで、その空間の雰囲気をグッと良くするだけでなく、その場にいる人々のアウトプットにまで影響を及ばせることができます。僕が普段どんなことを意識して楽曲を選択しているのか、書いていきたいと思います。

音楽が人に与える影響

人は普段から聴覚によって感情を動かされ、行動に変化が生じています。

例えば、スーパーマリオブラザーズをプレイしている時、残り時間があと1分になるとBGMのテンポが速くなりますよね。「急げ!」という文字などの視覚的情報は画面上には表示されませんが、テンポが速くなった音楽によって急がなければ!と感じてしまいます。タイムリミットが近い中、焦らせることでプレイを楽しませる反面、急げ!というメッセージを聴覚情報を用いて伝えている側面もあります。

また、音楽のテンポが飲食行動の速さに影響することを示した研究も発表されており ( Roballey et al., 1985; Milliman, 1986 )、 人は聴覚によって感情が動かされ、結果的に行動に変化が生じることがわかっています。

ワーク内容やアジェンダに合わせて選曲する

サウンドファシリテーションの大きな目的は、参加者が心理的安全性を感じる雰囲気をつくり、ワークの質を上げる事です。これを実現するためには、アジェンダごとに最適な選曲をする必要があります。発散を促すような曲、収束がしやすくなるような曲、プレゼンテーションをさらに注目させるような曲など、各シーンに対して、テンションを上げさせるのか、落ち着かせるのかといった感情を誘導してあげるような曲を選択することがポイントになってきます。

選曲をする上で意識するポイント

  • 曲調(明るいか、暗いか)
  • テンポ(速いか、遅いか)
  • 音量

当日までに準備する曲のジャンル

  • 歌詞が無く主張のない曲を選ぶ
    思考や会話の妨げとなることを防ぎます。
  • ビートがよく聞こえる曲を選ぶ
    参加者にテンポを認識させ、行動スピードを促しやすくします。

以下では、楽曲の種類を図で整理してみました。

曲調が横軸(明るい・暗い)[コード]、テンポが縦軸(速い・遅い)の4象限のマトリクスに楽曲を配置して考察していきます。参考例となる曲も一緒に紹介していくので是非再生してみてください。

ブレインストーミング・アイスブレイク

明るくて比較的アップテンポな曲は、ブレインストーミングやアイスブレイクに向いています。さらに、アイスブレイク中はあえて大きな音量で曲を流す事で、参加者がBGMの音量より大きい声で話すことを促し、緊張をほぐす効果を発揮します。この曲の良いところは、人の会話が環境音として流れ始め、しばらくすると適度にアップテンポなビートが流れはじめるので、会場の賑やかさを演出し、さらに効果的なアイスブレイクや発散が期待できます。

収束的ワーク・ピッチ

テンポが比較的緩やかな曲は、 収束的なワークやピッチの際に向いています。音量は控えめに流してあげることで、会話中に訪れる無音を埋めてあげたり、ワークを急かさないポジティブな空気をつくることができるでしょう。

スピードワーク

テンポが比較的速い曲は、発散のワークであと1分になった時などに使用することがあります。「はいあと1分でーす!とにかく発散してくださーい!」そんなファシリテーターの呼びかけの途中、または直後に流すことで参加者を急かすだけでなく、エンターテイメント性を演出できます。(冒頭で紹介した、マリオをプレイしている時に残り1分でBGMが速くなるのと同じ原理ですね。)

ワークが終わった頃には、笑顔が見れることも多いです。

プレゼンテーション

プレゼンテーションをしている際に、視聴者を深く考えさせるようなシリアスな雰囲気を演出したい時に向いています。テンポがゆっくりで音数が少なく明るすぎない曲は、プレゼンターの声に干渉せず、聞き手が注目するような空気を作れるでしょう。プレゼンテーションの内容が陽気な場合は、収束的ワークと同じような曲を選ぶとより効果的です。

この他にも、ワークショップ開催前や、休憩中、アウトロなど、ワークショップ内には様々なシーン存在します。そのアジェンダ(ワーク)の目的を達成させてるような空間の雰囲気づくりができるとサウンドファシリテーションがさらに効果的になると考えています。

実際にどうやってサウンドファシリテーションをするのか

集めた楽曲をシーン別のプレイリストに追加しておくことで、アジェンダに対し、簡単にプレイリストから曲を選ぶことができます。この準備をしておくことで、スムーズにサウンドファシリテーションができるでしょう。

当日は会場の音響設備環境によりますが、有線の場合はPCをつなぎ、iPhoneのRemoteで音量調節と選曲をしています。遠隔で操作できるので、ワークショップのサポートをしながらサウンドファシリテーションが可能です。さらに「次はこちら」から次に流す曲を並び替えることもできるので、その時流れている曲に雰囲気が近いものを次に流したい時に便利です。

ワークショップを行う際にサウンドファシリテーションを実践するには、当日の会場の音響設備環境を確認をしておくと良いです。

  • スピーカーはあるか
  • どう繋げるのか

会場にスピーカーが無い場合は自分で持って行きます。持ち運びに便利なBluetoothスピーカーでも良いですが、2方面からステレオで音を出せるようなものが好ましいです。一点から音を鳴らしているとどうしても、会場全体に音を広げにくく、ノイズ化しやすいので2方向から音を出して会場に広げるとより効果的です。

どこから楽曲を集めるか

そんな曲どこで集めんねん!と思った方も多いかもしれませんが、私はChillhop的なワーク向けBGMまとめから曲を引っ張ってきて、使えそうなシーンごとに分類しプレイリストに入れて使っています。

普段仕事をしながらこういう曲をランダムに漁って、「これはアイスブレイクに使えるな」と思いながらプレイリストにスッと入れています。

おすすめサウンドファシリ向けの楽曲配信チャンネル(普段のお仕事中にもどうぞ)

StaySee

  • YouTube

  • Stay See

Lounge

  • AppleMusic :

Chillhop

  • SoundCloud :

ビートメーカーによるインストゥルメンタル

  • AppleMusic :

それでは!ワークショップだけでなく、みなさんも普段のMTGからでも、実践してみてくださいね!

Have a nice facilitation!

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