朝の通勤電車の中で、みなさんはどのようなアプリを開きますか?多くの方はTwitterやInstagramなどのSNSをチェックしていることでしょう。中には、コミックDAYSのアプリで漫画を読む人もいるかもしれませんね。

Goodpatchの海外メンバーの間では、HQ Triviaが流行っています。今回の記事では、TIME誌で「天才的企業」50社にランクインしたHQ Triviaアプリの魅力とアプリ内における工夫をご紹介します。

HQ Triviaとは?

2017年の8月にリリース以降、口コミなどでやみつきになるソーシャルゲームとして知られています。ゲームが開催される度に数百万人もが参加する人気アプリです。毎朝10時と深夜4時(日本時間)に行われるライブトリビアゲームアプリです。質問は全部で12問ありますが、全問正解できたプレイヤーには賞金が与えられます。賞金は少なくて5000ドル、スペシャルゲームナイトの時には10万ドルが送られます。また、受賞者はPaypalで賞金を引き出すことができます。

HQ Triviaの魅力

遊び心のあるオープニングUI

HQ Trivia アプリより

ゲームが始まる5分前にHQ Triviaにログインすると、ただのホーム画面が表示されるのではなく「HQ Triviaはどこでもプレイできる」ということを知らせるポップなモーショングラフィックがテーマ曲と一緒に流れます。オフィスやカフェ、宇宙などのシーンが流れる中、プレイヤーに対するさまざまな注意事項やメッセージが流れます。「チャットの中では落ち着いて」「運転しながらプレイするのはNG!」などポップなメッセージが流れた後にはカウントダウンが始まり、さらにワクワク感を感じることができます。

ドキドキを感じさせる15分間

出題される質問は、アメリカ向けのポップカルチャーから科学や歴史にまつわる豆知識までさまざまです。回答するにつれ問題の難易度は徐々に上がり、正解者も自ずと少なくなります。アプリではそんなスリルを味わえる細かな工夫がされてます。

HQ Trivia アプリより

タイマーは質問が読み上げられる瞬間からスタートし、ユーザーはわずか10秒で質問を理解して3つの選択肢の中から答えを選ばなくてはいけません。ネットで答えを検索する時間はもちろんありません。最後の3秒になると、プレイヤーに注意喚起の呼びかけとなる振動、Haptic Feedback(触覚フィードバック)が送られます。カウントダウンと同時に起こるアニメーションが、ユーザーによりドキドキ感を与えます。

HQ Trivia アプリより

「アポゲーム」形式でユーザーを一斉に惹きつける

何百万人ものプレイヤーを惹きつける力があるHQTrivia。その秘訣はゲーム設計にもあるかもしれません。決まった時間帯に何かを獲得できるゲームのことを「アポゲーム」と呼びます。「アポゲーム」は、「アポイントメントゲーム」を略したフレーズであり、あの人気アプリ「ポケモンGO」もその一つです。ポケモンGOでは「レイドバトル」が開催され、制限時間内に他のトレーナー達とボスポケモンを倒すと、特別なアイテムを手に入れられたり、倒したボスポケモンを捕まえるチャンスが与えられたりします。

HQ Triviaでは、1日2回しかプレイする機会がないため、ゲームの開催時刻をカレンダーにメモしているプレイヤーも多数いるようです。このようなアポゲームはプレイヤーの日常に自然に入り込むことができるため、より多くの人を一斉に惹きつけることができるのです。

例えば今年の2月にスーパーボウル(アメリカで最も人気なスポーツ優勝決定戦)のハーフタイムで開催されたゲームでは、およそ200万人ものプレイヤーが参加したと報じられました。

Image: @JayKapoorNYC

新たなマーケティング・マネタイズ戦略

このように一斉に数百万人ものプレイヤーを惹きつけるパワーがあるHQ Triviaは、マネタイズ戦略にも力を入れています。昨年のリリース以降、HQ Triviaはワーナー・ブラザーズ、ナイキ、ミラークアーズ(ビール会社)、ナショナルジオグラフィック(雑誌出版社)などの有名ブランドと契約を結び、次々とスポンサー付きのゲームを開催しています。

また、スポンサー付きのゲームの注目度を上げるためにさまざまな工夫を行っています。より多くのプレイヤーが参加するようにワクワク感のあるSNSを投稿したり、スポンサーブランドにまつわるテーマを出題したりと試行錯誤を重ねています。

今年の3月に開催した初のスポンサー付きのゲームでは、ナイキが主催するAir Max Dayの31周年記念日にHQ Trivia限定のAir Max 270スニーカーが賞品として用意されました。そんなナイキの代表的スニーカーが賞品で当たるゲームには多数の注目が寄せられ、170万人ものプレイヤーが集結したのです。

Image: @hqtrivia

その他にも15分間のゲームをより楽しめるようにと4月に開催したゲームではワーナーブラザーズの制作映画、「ランペイジ 巨獣大乱闘」の主役を務めた人気俳優ドウェイン・ジョンソンを司会として招き、ゲームを盛り上げました。ピーク時には200万人ものプレイヤーが参加し、賞金額30万ドルが83人の正解者に山分けされました。

Image: @hqtrivia

様々な業界のブランドはHQ Triviaとコラボすることで、お互いにとって新鮮で注目を集められる広告やお知らせをユーザーに届けることができるのです。またお互いのブランドの注目度を築き上げていけるため、お互いにWin-Winの関係になってます。

ソーシャルゲームで楽しさを倍増

HQ Triviaが急激に人気を上昇した秘密は、みんなで楽しめるゲームであることだと思います。一度友達や同僚、家族と競い合う楽しさを味わうと、もうやみつきです。ユニークな賞品、多額な賞金が配られる中、「もしかしたら今日こそ全問正解できるかも?」と思い込むと見逃したくない気持ちが湧いてきます。英語ではこのことを「FOMO」(Fear of Missing Out)と言いますが、SNSの影響が大きく、楽しんでいる姿の画像や動画を見るとより見逃したくない気持ちが強調されるのです。

Image: @hqtrivia

ワクワク感を引き出してくれる司会スコット・ロゴウスキー氏

Image: giphy

HQ Triviaの人気を支えるひとつの理由には、お笑い芸人スコット・ロゴスキー氏の「司会術」が挙げられるでしょう。ユーザーを笑わせながら質問を読み上げていくだけでなく、つっこみが面白くワクワク感も満載です。ゲームから脱落しても彼のコメントが面白いので、ついつい最後まで見てしまいます。HQ Triviaがデビューして以来、爆発的に人気を上げ、今ではTwitterのフォロワー数150万人以上となっているのも、このHQ Trivia看板キャラクターのおかげと言えるでしょう。

似たようなサービスが次々と登場

Image: Tech in Asia

大人気となったHQ Trivia。アジアでは、エンタメ、スポーツなどのニュースアプリ内にHQTriviaと似た参加型の賞金山分けクイズ番組が次々と登場しています。

中国ではおよそ1億2000万人のもユーザーが使用していると言われているニュースキュレーションアプリToutiao(今日頭条)では「Millionaire Heroes」というトリビアゲームが今年の1月からプレイできるようになりました。UIと見た目もHQ Triviaと似ていますが、Millionaire Heroesでは1日に数回ゲームが開催されます。

グノシーQアプリ内より

日本でも同じく、あの人気情報キュレーションアプリ、グノシーに「グノシーQ」という参加型のクイズ番組が3月から開始されました。司会者は日によって変わり、出題される質問のテーマも毎日異なります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
遊び心満載で、スリルも味わえるHQ Triviaのようなライブ配信形式のクイズゲームはこれから増え続けるに違いありません。皆さんも是非試してみませんか?

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