双日テックイノベーション
- Client
- 双日テックイノベーション株式会社
- Expertise
- Business/Strategy Design, Brand Experience Design
- Date
- Client
- 双日テックイノベーション株式会社
- Expertise
- Business/Strategy Design, Brand Experience Design
- Date
Overview
双日テックイノベーション(旧・日商エレクトロニクス)は、2024年7月、新たな未来に向けたブランドの再構築に挑みました。グッドパッチはブランドの核となる言葉を磨き上げ、ワークショップを通じて組織の価値観を共通言語へと昇華しました。さらに、キービジュアルやブランドサイトの制作を行い社内外への浸透施策の支援を行いました。
Client
双日テックイノベーション株式会社
Sojitz Tech-Innovation Co., Ltd.
創業から半世紀以上にわたり海外の先端技術を日本市場に適用し、ITインフラやネットワークの提供を中心に事業を展開。現在は業務プロセス最適化、データ&AI活用、デジタルワークプレイス、ネットワーク&セキュリティ、ハイブリッド・クラウド、マネージドサービスなど幅広いソリューション分野を専門的に取り扱い、お客さまのビジネスを支援しています。
Summary
ご支援前の課題
- 社名変更に伴い、対外的にコアアイデンティティを発表したい
- インナーブランディングをしっかり行い、想いを乗せていくために、提供価値を再定義したい
- 社外だけでなく、社内にもブランドの発信、浸透していくためにブランドページを作りたい
グッドパッチの対応とご支援後の成果
- ワークショップやディスカッションを通して、既存のブランドコンセプトの内容を再整理
- 組織の提供価値の定義、言語化
- 双日テックイノベーションの新たなアイデンティティを社内外に浸透させるためのクリエイティブの制作
- ブランドコンセプトを社内に浸透させるためのワークショップの実施

新たなスタートライン ─社名変更から始まったブランド改革
双日テックイノベーション(略称:STech I=エステックアイ)は、親会社・双日のデジタル戦略強化に伴い、協業促進と変革加速を目的に社名を変更しました。これは、「ICTで未来を拓く先駆者」としての姿を明確にし、双日グループのデジタル戦略の中核企業として、新たな価値創造や社会変革に取り組む意志を示しています。
STech Iは個人商店的な組織文化が形成され、自由度の高さや機動力という強みを生む一方で、部門間のシナジーが生まれにくいという課題にもつながっていました。
そこで組織文化の統一を図るため、社名変更を新たなスタートと位置付け、今後50年を見据えたブランド戦略に着手。このブランド戦略では、対外的な発信強化と共に、社内においても新しいアイデンティティを根付かせることが求められていました。
新たなブランド構築に向け、当初は社内推進を検討、実施していましたが、客観性を重視し社外パートナーが必要と判断。デザイン思考の重要性や理念への共感から、グッドパッチに依頼いただき、社内外に一貫したブランドを浸透させるプロジェクトがスタートしました。
価値を「言葉」にする挑戦 ─共通言語としてのブランドコンセプト
STech Iは多様なサービスをさまざまな市場で展開し、事業本部ごとの価値観や方向性の違いを尊重しながらも、全社として共通のビジョンや提供価値を持てていないことが課題の一つでした。「まずは全員が納得できる共通言語が必要だった」とインターナルブランディングを主導した人事部副部長/エンゲージメント推進担当の児玉氏は振り返ります。
グッドパッチは、4つの事業本部の価値観の共通点や違いを明確にするため、これまでのプロジェクトを振り返り、分析しました。その結果、各事業本部がそれぞれ異なる視点で企業理念を捉えていることが分かりました。

そこで、STech I全体の強みや価値観を明確にするため、ブランドコンセプトについて改めて考えるワークショップを実施。ビジョン・ミッション・提供価値の内容や表現について率直に議論した結果、人によって言葉に込めたい意味や伝えたい内容が異なることが分かりました。このギャップを解消するため、会社として打ち出したい内容やそのために使うべき言葉を議論。お互いの考えを伝え合い、理解し合いながら、会社としての共通見解をまとめていきました。
さらに、ブランドの核となる提供価値を再定義するため、「過去」「現在」「未来」のそれぞれの時間軸で、ターニングポイントだと思う出来事を、ビジネス環境やターゲット、メイン事業、提供価値、強みなどと合わせて記載するワークを実施。これまでやってきたことを俯瞰して見ることで、ビジネスの本質や普遍的な価値を捉えようと試みました。
時代が経っても変わらないSTech Iが提供してきた価値や強みを洗い出し、価値を生み出すためのアプローチや未来のありたい姿を明らかにしながら、議論を進めていきました。
このワークを通じて得られた成果は、ビジョン・ミッション・提供価値のアップデートやブランドストーリーの策定につながっています。

アップデートされたビジョン・ミッション・提供価値は、既存の理念を生かしながらも、より現状にあったシンプルなメッセージとして再構築され、社員全員が共通の価値観を持てる形へと落とし込まれました。
「『やっぱり御社の強みはそこですね』『大事にされている想いなんですね』と確認していただく中で〝自分たちの中にある大切な価値観〟を再認識できました。みんなで議論するプロセスがあったからこそ、腹落ちできたのだと思います」(人事部人材課 主任 仲 氏)
「グッドパッチの皆さんには〝抽象化と構造化〟はお手のものかもしれませんが、議論のまとめ方や〝あたりどころ〟が絶妙でした。私たちが自由に論じる中でときに俯瞰してみたり、別の確度から〝揺さぶる質問〟を投げてもらえることで導き出されるヒントがたくさんあって。それをパパっとまとめて『つまり、こういうことですよね?』と言葉にしてもらえるので、安心感がありました」(コーポレート統括本部 エグゼクティブ・ディレクター 兼 ブランドマーケティング推進室長 榎本 氏)
ブランドを“形”にする意義 ─社内外への発信とデザインの力
ブランドアイデンティティの言語化が完了した後、次のステップは「視覚化と浸透」でした。STech Iの新たなアイデンティティを社内外に発信し、ブランドとしての統一感を持たせるため、キービジュアルの作成やブランドページの刷新が進められました。
ビジョンの「ITで未来を切り拓く先駆者」から発想し、グラフィックエレメント「INNOVATION ARROW」と挑戦を象徴するイメージを大胆に組み合わせてキービジュアルを作成。お客さまと共にシャープに未来を切り拓いていく意志を表現しています。
ブランドコンセプト・ブランドストーリーと合わせ、プロジェクトで策定したすべての要素を一つのブランドページへと集約していきました。

STech Iの新たなアイデンティティに統一感を持たせ、社外だけではなく社内にも発信ししていくため、制作したキービジュアルを起点とし、スライドのフォーマットや社員証、インターナルポスターまで制作を行いました。

「ブランドを社外に伝えることはもちろんですが、それ以上に社内の人が“自分ごと”としてブランドを理解することが大事だと思っています。今回のプロジェクトを通じて、社員一人ひとりがブランドの意味を意識するようになったと感じています」と経営企画部総合企画課主任の渡部氏は振り返ります。
こうした取り組みは現在も進行中であり、今後さらにブランド浸透を強化していく予定です。ビジョン・ミッション・提供価値の策定に続き、STech Iは「デザインの力」を活用しながら、社内外に一貫したブランド体験を提供する新たなフェーズへと進んでいきます。
ブランド浸透の次なるステージへ ─社内の変化と、乗り越えるべき課題
ビジョン・ミッション・提供価値は業務の中で生かされ、意思決定の軸として機能してこそ意味を持ちます。そのための浸透プロセスはまだ始まったばかりですが、すでに変化の兆しが現れ始めています。
例えば、ブランドコンセプトを社内に浸透させるためのワークショップを実施し、社員のほとんどが参加しました。その結果、「STech Iらしさ」を理解し、79%が業務の中での実現イメージを持つことができたと回答しており、着実にブランド浸透が進みつつあることが伺えます。
「今回のワークショップを通じて、ブランドコンセプトが単なる言葉ではなく、実際の業務や意思決定の中で生かされる段階へと進んでいることが明らかになりました」と児玉氏は手応えを語ります。
ブランドコンセプトの策定から視覚化、そして浸透へ。STech Iはこのプロジェクトを通じて、自社のアイデンティティを再構築しました。それはゴールではなく、新たな成長の出発点です。このブランドが今後どのように組織に根付き、進化していくのか、期待が高まります。
クライアントの声
このプロジェクトは、単なるブランド変更ではなく、会社のアイデンティティを再定義する挑戦でした。新しい社名を掲げるだけでは意味がなく、社員一人ひとりが自分たちの会社をどう捉え、どう伝えていくかを明確にすることが必要でした。そこにしっかり向き合えたことが、一番の成果だと思います。ブランディングは広告ではありません。見た目を整えることよりも、まずは内側の意識を変えることが大事です。ワークショップを通じて、社員同士が『私たちは何を大切にしているのか?』を話し合い、それを言葉にするプロセスがあったからこそ、ブランドが会社の中に根付き始めていると感じます。デザインの力を活用することで、単に新しい言葉を作るのではなく、STech Iがこれまで培ってきた価値を整理し、それを強化することができました。このプロジェクトが、会社の未来を考える大きなきっかけになったと思います。
榎本瑞樹 氏(コーポレート統括本部 エグゼクティブ・ディレクター 兼 ブランドマーケティング推進室長)
ワークショップでは、普段あまり関わることのないメンバー同士が意見を交わすことで、『そういう考え方があったのか』と新しい気付きが生まれました。ビジョン・ミッション・提供価値という言葉が、単なるスローガンではなく、日々の仕事の指針になり得るものだと実感できたのは大きかったですね。正直なところ、最初は『どこまで本当に社内に浸透するのか?』という不安もありました。しかし、グッドパッチの伴走によって、ブランディングのプロセスを単なるトップダウンの施策ではなく、社員が自分ごととして考える場にできたと思います。ブランドは作って終わりではなく、これからが本番です。ワークショップも一回やって終わりだと思っていません。これはゴールではなく、新たな成長の出発点です。今後はさらに社内での接触頻度を増やし、定着させる取り組みを続けていきます。ブランドを形骸化させず、常にアップデートしながら育てていきたいです。
児玉圭吾 氏(人事部 副部長)

Credit
プロジェクト全体統括:中村 謙一
デザインストラテジスト:萩原 みすず
コピーライター:稲田 桃子
BXデザイナー:片柳 満