Goodpatch closed its Berlin office. We will continue to help businesses through Tokyo HQ.

Client
理想科学工業株式会社
Expertise
Business/Strategy Design
Date

Overview

理想科学工業株式会社(以下、理想科学)では、新規事業の開発における検証プロセスにおいて課題を抱えていました。それに対し、グッドパッチは「新規事業プロセスにおける価値検証の座学・ワークショップ」を設計し提供しました。本記事では、新規事業のプロセスにおける価値受容性や価格妥当性の検証について、実体験を伴う形で具体手法を学べるプログラムの内容から成果までを詳しくご紹介します。

Client

理想科学工業株式会社

RISO KAGAKU CORPORATION
理想科学工業株式会社は、1946年に創業した印刷機器メーカーです。高速カラープリンター「オルフィス」や、デジタル印刷機「リソグラフ」などのオフィス向け高速プリンティングシステムを主力製品として世界190の国や地域グローバルに展開。「世界に類のないものを創る」という理念のもと、独自の技術開発とイノベーションを追求し続け、印刷コミュニケーション分野で独自のポジションを確立し、近年は新規事業創出にも積極的に取り組み、次世代の事業の柱を模索しています。

Summary

ご支援前の課題

  • 新規事業において本開発に近い規模でプロトタイプを作るケースが多く、作り込む前段階でのユーザーニーズを検証する意義や手法に関する理解が不足していた
  • 実際の製品を販売する前に「顧客がいくらなら購入するか」を検証する方法、価値に応じた価格設定の方法がわからず、価格設定の根拠が曖昧だった

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • 作り込まずとも価値の受容性を検証できる手法を学び、体感できる1dayワークショッププログラムを設計
  • 参加者が普段の業務に活かせるきっかけ作りをゴールとし、価値検証や価格検証に関する検証手法の座学や体感できるワークショップを支援
  • 参加者全員が「今後の業務に活かせる」と回答し、「解決策の妥当性や価格検証」などの項目で理解度スコアが飛躍的に向上

メーカーならでは新規事業開発プロセスの課題

理想科学は印刷機・プリンターメーカーとしてグローバル展開をしている企業です。「世界に類のないものを創る」を開発ポリシーとし、プリント関連機器と消耗品の開発・製造を行っています。

同社では、世の中にない「新たな価値」を生み出すことを掲げ、新規事業創出プログラムや新規事業部門の立ち上げなど、これまで様々な新規事業開発の取り組みを実施。社内で出た事業アイディアについて、技術検証やユーザー探索調査を経て事業化し様々な製品やサービスを開発してきました。

一方で、新規事業開発におけるプロセスについては、課題を感じていたといいます。

「それまでも既存技術を活かした新規事業アイデアはたくさん出ていたのですが、仮説検証を行うためのプロトタイプを大規模な開発で行うケースが多かったんです。また、それがちゃんと売れるのかの検証ついては“量産してから売ってみる”ことしかできておらず、“売らずともニーズを検証できる手段を知りたい”と考えていました」
(理想科学工業株式会社 開発企画部 植野様)

プロダクトを作り込まなくても価値の需要性を検証できる手法を学ぶためのプロセスを設計・実施

グッドパッチはいただいていた課題感を踏まえ、「新規事業創出の中でもCPF(Customer Problem Fit)における検証手法の学びと体感する」ことを目的とした研修プログラムを設計し、1day型のワークショップを提供。新規事業開発プログラムに関わる方々14名を対象に、1日で座学と実践的なワークを組み合わせて実施されました。

1. 座学パート:新規事業のフェーズ理解や検証手法を学ぶ

序盤の座学では、新規事業のフェーズと目的の整理や、解決策が具体化される前に価値・価格を検証する意義と方法について具体的な事例を交えて学んでいきました。

プログラムの様子

2. ワークショップパート:体験設計と価値・価格の検証方法を体験しながら学ぶ

後半のワークショップパートでは、参加者は4つのグループに分かれ、各グループが異なる課題とその解決策に取り組みました。全体の進行はファシリテーターが担い、各グループにはテーブルファシリテーターが付き、議論のサポートや質問への対応を行いました。

新規事業フェーズのPSF/SPFに集中した本ワークショップでは、あらかじめ定められたワークテーマとユーザーペルソナをもとに、進行していきました。

リアルなワークを通じて実務に使える検証手法を体感

ワークショップでは事業開発フェーズにおけるPSFを特に体験できる設計にし、「新規事業開発部門の担当者」というペルソナを用いて実際に製品を新規開発するストーリーに沿って進行し実務パートを参加者が担当する形式にしました。

ユーザーの体験設計では、「コンセプト策定」と「ストーリーボードの作成」を実践。検証の前にアイディアの方向性を言語化し、どのような体験を実現していきたいかチームごとにディスカッションしていきました。

さらに前述のストーリーボードを元に、価格プランを策定。スマート冷蔵庫を購入しても良いと感じられる価格を時間的対価、金銭的対価、精神的対価などの観点から設定していきました。さらに、ペルソナ役へのユーザーインタビューをあらかじめ設計し、ユーザーが抱える課題や価格の受容性に対するインタビューを全グループが実演し、他のグループが観察することで、リアルなやり取りから学びを得る場となりました。

ペルソナ役(グッドパッチ社員)へのインタビューの様子

ワークショップ終了後には、自分たちの新規事業テーマにおける仮説検証やインタビュー実施に関する具体的な質問が多く寄せられ、参加者の学びや関心の高さがうかがえました。

新規事業における検証プロセスへの理解度が向上

研修実施後に行われたアンケート回答から、定量的にもスコアが向上し、特に検証プロセスパートでの満足度が高く、参加者全員が「今後の業務やビジネスコンテストに活かせる」と回答しました。

  • 「解決策の妥当性や価格検証」についての理解度を5点満点で表したスコアが全体的に向上
    • 実施前の理解度平均スコア:3.0
    • 実施後の理解度平均スコア:4.4
  • 特に検証パートの満足度が高い評価
    • 体験設計パート:平均4.2
    • 価値・価格検証パート:平均4.4
  • 参加者全員が「今後の業務・ビジコンに活かせる」と回答

クライアントの声

本ワークショップの実施後、受講された皆様からいただいたアンケートの一部をご紹介します。

  • 「実際にインタビューした体験自体が学びになった。インタビューの段取りや他チームの聞き方が参考になった」
  • 「ユーザーヒアリングの目的を理解しつつ、実際にやってみることで体験できるのは良かった。メンバー同士のトークにグッドパッチの皆さんが参加していただいて参加者が抱えている疑問などに答えてもらえたのも良かった」
  • 「ストーリーボードや価格提示でも十分にユーザーの共感を確認できると感じた」
  • 「手法を知れたことで今後の仮説検証に活かせる」

また今回のプロジェクトを主導された理想科学工業の開発企画部 植野様は、今回のワークショップをこのように振り返ってくださいました。

今回のワークショップでは、フィットジャーニーに基づいたユーザーヒアリングによる仮説検証を行いました。“新規事業のフェーズと検証手法について“の座学に加えて、ワークショップによる実践的な学びも多く、今後の業務に活かせる貴重な経験となりました。
ワーク中では、リアルタイムな相談へのフィードバックもあり、参加舌メンバーにとって非常に満足度の高い成果が得られました。また、与件整理からワークショップの設計まで対応していただき、本件の担当としても非常に心強かったです。
遠方まで皆さん来てくださり、本当にありがとうございました。

短期間で価値検証を“自分ごと化”──新規事業開発のプロセスで本質を体感するワークショッププログラム

今回のご支援では、「1日という短い時間で新規事業開発プロセスにおいて本質的な価値検証・価格検証を体感できる」プログラムを設計・実施しました。

ハードウェアというリアルなプロダクトを創るメーカーならではの課題に寄り添いながら、座学と体験ワークショップを通じて、参加者全員が「自分ごと」として新規事業の価値検証を学び、今後の業務に活かせる知見を得ることにつながれば幸いです。

グッドパッチでは、特定の新規事業への伴走だけでなく、短期間で新規事業開発の特定のプロセスの知識を深めたり、そのプロセスを体感してもらうようなプログラム設計にも対応しています。新規事業の開発プロセスでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

クレジット

UXデザイナー:片貝 朱里
UXデザイナー:長沼 大史
UXデザイナー:小関 弾
UXデザイナー:杉本 奏
UXデザイナー:三浦 寛大

Next project
View more