Sky株式会社
- Client
- Sky株式会社
- Expertise
- Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
- Date
- Client
- Sky株式会社
- Expertise
- Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
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Overview
自社商品のソフトウェア開発や業務システムの受託開発を手掛けるSky株式会社では、UI/UX設計チームの専門性向上とチーム間の共通言語構築を目的に、UIデザイン研修を実施しました。本研修はグッドパッチのファシリテーション&コーチングチーム「Marble」が担当。1日の集中プログラムを通じて、Webベースのモダンなデザイン手法と体系的なデザインプロセスを習得し、組織横断的なデザイン品質の向上を目指しました。
Client
Sky株式会社
Sky Co., Ltd
1985年の設立以来、さまざまな分野でソフトウェア開発・提供を行う企業です。特に業務系システムや組み込みシステムの開発、クライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View」や、児童・生徒の学習活動を支援する「SKYMENU」シリーズなど、多岐にわたるプロダクトを展開しています。「ユーザーの視点に立つものづくり」を掲げ、お客様の課題解決に貢献されています。グッドパッチは、さらなるデザイン力強化と、組織全体へのデザインマインドの浸透を目的とした研修プログラムを提供いたしました。
Summary
ご支援前の課題
- Windowsアプリ開発で培ったノウハウを、クラウド時代のWebベースUI/UX設計へアップデートしたい
- 社内に蓄積したデザイン知見を体系的に整理し、一般的な視点から検証したい
- UI/UX設計チームの拡大(3人→12人)に伴い、共通言語と共通認識を確立したい
- デザインレビューにおける判断基準を明確化し、根拠ある議論を可能にしたい
グッドパッチの対応とご支援後の成果
- 1日の集中型ワークショッププログラムを設計・実施し、UIデザインプロセスの体系的な講義と実践ワークを交互に組み合わせた段階的なカリキュラムを提供。その結果、デザインレビューにおける説明の根拠が、社内基準から業界標準や他社事例を参照したものに変化
- ユーザーストーリー作成からプロトタイプ制作、フィードバック、ブラッシュアップまでの実践的なワークフローを体験し、「直感的」ではなく「慣用的」なデザインという新たな評価軸を獲得
- 代表的なデザインガイドラインやUIパターンを紹介し、普段の業務で行っていたデザイン手法に正式な名称があることを認識させ、体系的な説明とコミュニケーション精度の向上を実現
- チーム横断でのワーク実施により、担当商品による考え方の違いを可視化し、複数の引き出しを持った人材育成の必要性を認識
- 業務における具体的な課題に対応する質疑応答セッションを設置し、日常業務における他社アプリケーション観察の視点を明確化。社外のデザインノウハウを積極的に取り入れる組織文化を醸成
30年のノウハウを持つSky株式会社が直面した課題と、時代に求められた変革
Sky株式会社は、Windowsベースのアプリケーション開発を主軸に約30年にわたり自社商品を展開し、独自のデザインノウハウを培ってきました。しかしクラウドサービスが主流となる中、WebベースのモダンなUI/UX設計への対応が求められるようになりました。パッケージソフト時代の設計思想からの転換が必要となり、従来のノウハウだけでは対応が難しい場面が増えてきたのです。
加えて、UI/UX設計チームは3人から12人へと急速に拡大。組織の規模に見合った環境整備や、プロフェッショナルとしてスキルを伸ばせる仕組みづくりが急務となっていました。こうした背景から、社内ノウハウを体系的に整理し、一般的なデザイン手法と照らし合わせながら、共通言語を構築する必要が高まっていたといいます。
1日で「インプット」と「アウトプット」を繰り返す 『UI Design Basics Workshop』

開発部エンジニアによる技術研修を契機に、UI/UX設計チームでも専門性強化の場を設置。過去に別チームがグッドパッチのワークショップを受講し好評だった実績を踏まえ、再度の依頼が決定しました。「共通言語」と「実践知」をチームに根付かせるために研修の目的は次の2点に決定しました。
- ユーザー要求をUIに落とし込むデザインプロセスを共に体感し、共通言語・認識をつくる
- 共創体験を通じ、UIデザインに関する基本知識やTipsを獲得する
「UI Design Basics Workshop」の主な流れ
研修は1日7時間で実施。「研修後に獲得したスキルやプロセスをチームの共有知とし、さまざまなプロジェクトで活用できる状態」を目標に設定しました。
プログラムは講義とワークを細かく交互に組み合わせ、インプットしてすぐ実践を行い、学んだ内容を即実践できるよう設計。セクションを分けて進めることで、段階ごとにアイデアを洗練する構成としました。
- アイスブレイク
- UIデザイン概論(プロセス概要・基礎)
- ユーザーストーリー作成
- プロトタイプ作成
- UIデザインTips
- ブラッシュアップ(1回目)
- ペアフィードバック
- ブラッシュアップ(2回目)
- 発表&講評
- QAタイム
- 振り返りワーク
“答えがない問い”に挑むディスカッション

ワークでは、グッドパッチが用意した「商談準備」「商談後の振り返り」といったシナリオを題材に、グループでニーズを洗い出し、個人でUI/UXに落とし込むプロセスを体験。他者からのフィードバックをもらいブラッシュアップを繰り返す中で、段階的なレビューの重要性を再確認しました。
終盤には質疑応答の時間を設け、通常の研修では扱いづらい実務課題について議論。例えば「大量データを扱う際の無限スクロールとページングの使い分け」や「UIを慣用的と判断する基準」といったテーマに対し、業界標準や考え方のヒントが提供されました。明確な答えがない課題に対しても、意思決定の指針が得られる場となりました。
レビューの質に変化が起こった、組織に芽生えた新しい視点

研修後、社内のデザイン議論や評価の質に明確な変化が見られました。
「直感的」から「慣用的」へ : 明確な判断基準の獲得
研修で得た「慣用的デザイン」という概念は大きな影響を与えました。従来の「直感的かどうか」という曖昧な基準に代わり、「ユーザーが慣れているかどうか」という明確な判断軸が提示され、具体的な根拠に基づく議論が可能となりました。
社内基準から業界標準へ : 説得力あるレビューに進化
レビュー時の説明根拠が社内基準から業界標準へ変化。外部事例を参照した説明が増え、議論の説得力が向上しました。また、業務で使っていた手法の正式名称を知ることで、体系的に説明できるようになり、コミュニケーションの精度も高まったといいます。
日常の観察が学びに変わる : 他社アプリから吸収する力
研修を通じ、他社アプリを観察する際の視点が定着。「使いやすさの理由」を問いながら他社アプリなどを分析する姿勢が醸成され、日常業務での学びにつながっています。
プロダクトを越えて広がる視点 ─ 人材育成とキャリアの次の一歩
UI Design Basics Workshopは1日の研修ながら、数カ月の業務では得られない大きな変化をチームにもたらしました。
チーム横断の実施により、担当プロダクトごとに考え方の傾向が異なることも明らかに。
Sky株式会社の製品は、製品ごとにターゲットが異なります。エンジニア向けのUI、営業向けのUI、小学生向けのUIでは設計思想が大きく異なり、それがメンバーの思考にも影響していることが確認されました。
今後は異動時のスムーズな切り替えを可能にするため、複数の引き出しを持った人材育成が課題に。また、デザイナーのキャリアパスを考える上で、一般的なレベル感を把握し、プロフェッショナルとしての基準を明確にする必要性も認識されています。
デザイン系の教育機関出身ではなく、社内でノウハウを学んできたメンバーにとって、外部知見に触れた今回の研修は大きな意義を持ちました。社内に閉じず外部の優れた手法を取り込み、UI/UXデザイナーとして成長していく文化が根付いています。

組織の変革を後押しする「Marble」

グッドパッチのファシリテーション&コーチングチーム「Marble」は、ワークショップやコーチングを通じて組織や人の育成・変革を支援しています。
今回の「UI Design Basics Workshop」のような研修に限らず、新規事業創出やチームビルディング(組織活性化)など、課題に応じたプログラムをご提案します。詳細は以下の資料をご確認ください。
◆Marbleの詳細はこちらのURLから https://workshop.goodpatch.com/
Interview
本プロジェクトの詳細は、こちらのインタビューからもご覧いただけます。
Credit
ファシリテーター/ワークショップデザイナー:島田 賢一
UIデザイナー:蔡 漢翔
UIデザイナー:金渕 良太