note
- Client
- note株式会社
- Expertise
- Digital Product & Service Design
- Date
- Client
- note株式会社
- Expertise
- Digital Product & Service Design
- Date
Overview
クリエイターの創作活動を支援するメディアプラットフォーム「note」。会員数1000万人、MAU(月間アクティブユーザー)7000万以上という巨大プラットフォームのさらなる成長を目指し、グッドパッチではPdMとUIデザイナーの2名体制でグロース支援を実施。ビジネスKPIの改善から全社横断のカイゼンまで、デザインの視点から多角的にアプローチし、PV数向上と新規会員登録数の増加を実現しました。
Client
note株式会社
note Inc.
クリエイターの創作活動を支援するメディアプラットフォーム「note」を運営。会員数1000万人、MAU(月間アクティブユーザー)7000万以上※を誇り、コンテンツのドラマ化や書籍化など、新たなクリエイター発掘の場としても注目されています。※ 2025年8月時点
Summary
ご支援前の課題
- 事業拡大に向けて、新規登録者数やPVを高めるための施策が必要だったが、デザイナーのリソースが不足していた
- 新機能の要望や既存機能の改善など、日々生まれるリクエストに対応するリソースがなかった
- 機能面からアプローチする技術系のPdMが中心で、UX(ユーザー体験)からアプローチするデザイン知識を持ったPdMが不在だった
グッドパッチの対応とご支援後の成果
- PdMとUIデザイナーの2名体制で参画し、デザイン視点でのグロース施策を実施
- ユーザー体験の観点から仮説を立て、PV数と新規会員登録数を向上
- デザインコンポーネントの共通化やブランドカラーの統一など、プロダクト全体の価値を向上させるユーザー体験の実装
「PdMとUIデザイナーの2名体制」が、グッドパッチを選んだ理由
サービス開始から10年以上が経ち、完成されたサービス(プロダクト)にも見えるnoteですが、事業拡大を進める中で、新機能やサービスのカイゼンに関するリクエストが日々増加し、対応が追いついていない状態でした。そこでnoteは社外デザイナーのリソースを求め、いくつかの候補を比較検討した結果、最終的にグッドパッチを選択。決定打になったのは「PdMとUIデザイナーの2名をアサインする」という提案でした。この体制なら仮説検証と実装をワンストップで回せるため、noteが同時に進めていたPdMリソース強化の方針とも合致し、迅速かつ効果的な改善が期待できたからです。

こうしてプロジェクトはスタートし、新規登録会員数の増加とPVの向上というミッションの下、グッドパッチのメンバーは離脱率の削減や回遊率の向上といったテーマに取り組みました。
グッドパッチの得意分野である「UX(ユーザー体験)の向上」という観点から、さまざまな仮説を立て、テストを実施。『新規会員登録数を増やすためなら、どの画面にアプローチしてもいい。いつ、何をするかも決めてOK』という裁量を与えられたこともあり、ユーザーの思考に沿った提案をすると、「いいですね、やってみましょう」と、すぐさまnoteメンバーが実行に動くなど、双方が対等な関係で協力し合う効率的なカイゼンのサイクルを回すことができました。
「機能とUX(ユーザー体験)」の両軸から設計し、より大きな課題解決へ

noteが今後サービス領域を広げ、ビジネスの課題を目指すには、多様なユーザーを想定したアプリ設計が欠かせませんでした。そこでグッドパッチは、スマートフォンアプリを開発する 「Appチーム」 と 全社横断の改善要望を扱う「カイゼンタスクチーム」の両方に正式参画することになりました。
各部門から寄せられる要望を整理し、目的と優先度を決める役割には 、UX視点を持つグッドパッチのPdMとUIデザイナーが最適だと判断されたためです。当時のnoteには技術系のバックグラウンドを持つPdMが在籍しており「機能からゴールを設定する」アプローチが多かったところに、「UX(ユーザー体験)から機能とゴールを設計する」グッドパッチのPdMが参画することで、機能とUX(ユーザー体験)の両軸で設計できるバランスの良い体制が整いました。
部署横断で「本当に必要な施策」を見極め、着実なカイゼンにつなげる
カイゼンタスクチームとAppチームの活動は、双方の稼働状況に応じて稼働比重を切り替える柔軟な進行が求められました。
カイゼンチーム側では、多様なリクエストを整理して開発の優先順位を明確化。要望通りに機能を作るだけでは成果が出ないケースもあったため、UXデザインの観点で見直しと調整を行いながら改善を進めました。noteには日常的にデザインを議論する文化があり、理想を共有できるメンバーが多かったこともあって、スムーズに施策を実行できました。
しかし実装に時間がかかるタスクも多く、進行に伴ってエンジニアのリソースが不足する局面も発生。その際はAppチームのタスクに比重を移し、改善スピードを高める施策やABテストに注力するなど柔軟に対応しました。
Appチーム側は仮説検証がしやすい体制が整っていたため、小さな実験を繰り返して成果を確認し、効果が出た施策をWebサイトにも展開する効率的なサイクルを確立。結果として当初80件近くあったカイゼン要望に対し、 毎月8〜10件のペースでタスクを解消し着実なカイゼンにつなげていきました。
カイゼンチーム側ではnoteで最もPVを集める「コンテンツが掲載される画面」や「ホーム画面」のカイゼンを行い、Appチーム側ではユーザーも気付きにくい細かい改修を行いました。
具体的な施策として、カイゼンチーム側では新規会員向けに「#はじめてのnote」というエリアをホーム画面に表示する機能や、ホーム画面に表示されるサムネイル画像とタイトルとのスペース幅の検証、タイトル表示行数の検証、マガジンの表示方法変更などに取り組み、大規模な施策を含めた多数のカイゼンを実施しました。
その一つが、記事投稿画面のUI刷新です。従来は「画像・つぶやき・音声・動画・テキスト」という5つの形式から投稿タイプを選ぶ必要がありましたが、投稿の入口を 1 つに集約してフローをシンプル化しました。これによりユーザーは迷わず投稿を始められるようになり、note側も画面・処理の共通化で開発と運用コストを削減。より快適な投稿体験を支える基盤が整いました。

Appチーム側では、App内での記事回遊率を高めるため、ホーム画面上部に検索のテキストフィールドを常に表示させるようにすることで、検索バーからの記事遷移を増やすことに成功。noteのような大規模プラットフォームでは、テストに必要なサンプル数がすぐに揃うため、ABテストを繰り返しながら素早く仮説検証を行い、スムーズに本番環境へ反映させることが可能でした。
一方で苦労したのは、デザインコンポーネントの共通化や、サイト内に残っていた旧ロゴの統一など、「数値には表れにくい、UX(ユーザー体験)向上」を目的としたカイゼン施策でした。これらは現在大きな問題が発生している課題ではありませんでしたが、プロダクトの未来を考えた時にUX(ユーザー体験)向上は今カイゼンすべき課題だったため、多くのステークホルダーとの調整が必要でした。
note社内で何度も議論を重ねながら、即効性のある施策ばかりではなく、UX(ユーザー体験)の向上を見据えた施策にも注力したことで、プロダクト全体の価値向上につながる土台を築くことができました。
「デザインの力」を活用した、効果的な プロダクト改善
インフラのようなプラットフォームを目指すnoteにとって、「どれだけサービスを使ってもらえるか」は成長の鍵となります。その実現のためには、単に機能を作るだけではなく、どうすればnoteが生活の中にスムーズに融け込めるかを考え、体験価値から機能を設計することが求められていました。グッドパッチが提案したPdMとUIデザイナーの2名体制は、そのための最適なメンバー構成でした。デザインの知見を持つPdMが筋道を立て、デザイナーがそれを具体的な形に落とし込むという一連の流れが、効果的なプロジェクトの進行につながったのです。
また、外部パートナーならではの客観的な視点もプロジェクトに貢献しました。noteの社員は開発経緯や社内事情に精通している反面、知りすぎているがゆえに踏み切れない決断も存在します。しかし、プロダクトの成長のためには時に大胆な変更も必要です。グッドパッチが第三者の立場からユーザーの視点や体験を代弁し、素朴な疑問を投げかけることで、組織内にカイゼン施策の必要性を醸成する役割を果たしました。
現在もグッドパッチが構築した機能のリリースに向けて最終調整が行われています。noteは、テキストを投稿できるプラットフォームというイメージが強いですが、メディアやサービスなど複数のプロダクトが集まるプラットフォームへと成長を続けています。note社のミッションである「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ためのエコシステムを提供し続けることで、クリエイターエコノミーのさらなる発展へと着実に歩みを進めています。
クライアントの声
グッドパッチのお二人はこちらの意図を汲んでくれる提案が多く、「そうそう、それだよね」とこちらが言いたくなるようなアイデアを用意してくれました。筋道を立てるのはPdMの大本さんですが、金谷さんをはじめデザイナーの方々も意見をしっかり持っている。
もし異論が出れば、ディスカッションして実行に移すという一連の流れもスムーズで、KPIやミッションを任せて自律的に動いてくれるという点で非常に助かりました。やはり2人体制というのが良かったと思います。特にデザインに強いPdMの必要性を感じましたね。御社との取り組みの中でPdMとデザイナーが組み合わさるとパフォーマンスを最大限発揮できることに改めて気付かされました。改めてその点を認識できたことが、今回のプロジェクトでの大きな学びでした。(note株式会社 執行役員 開発グループ長 重山さん)
Interview
本プロジェクトの詳細は、こちらのインタビューをご覧ください。
「大通り」の改修から、全社横断の課題解決まで PdM×UIデザイナーで進めた「note」のグロースプロジェクト
Credit
プロダクトマネージャー: 大本 理絵
ソフトウェアデザイナー:金谷 薫