Raksul
- Client
- ラクスル株式会社
- Expertise
- Brand Experience Design, Organization Design
- Date
- Client
- ラクスル株式会社
- Expertise
- Brand Experience Design, Organization Design
- Date
Overview
ラクスル株式会社は、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というVisionのもと、印刷・集客支援のプラットフォーム「ラクスル」や、物流プラットフォーム「ハコベル」、そして広告のプラットフォーム「ノバセル」を展開し、BtoB領域でデザインの力を発揮するため、デザイン組織の構築に取り組んでいます。
Goodpatchはラクスルのデザインパートナーとして、「ラクスルらしさ」の言語化から採用ブランディング、デザイナーの指針の制定、プロダクト改善などを通じ、「ラクスルらしさ」を体現するためのデザイン組織の構築をサポートしました。
BTCのバランスを立て直す、デザイン組織構築
Goodpatchとの共創のきっかけについて、ラクスル株式会社執行役員CPO 水島さんはこのように語っています。
「BtoBのデザインの難しさはもともと感じていましたが、入社してみて、デザイナーの人数も少なく、どうしてもBizDevやエンジニアの観点が強くなってしまうことを課題に感じていました。事業や組織において、BTCのバランスが崩れているところを整えたいという課題感が強かったですね。
プロダクトマネージャーとして『やっぱりこれは外部からパートナーに来てもらった方がいいな』と思ったときに、真っ先に浮かんだのが、過去にお仕事を一緒にしていたGoodpatchさんでした。当時のGoodpatchのデザイナーは、エンジニアやビジネスサイドにも自分のロジックを説明できるような方で、僕もかなり勉強させてもらったんです。Goodpatchから、そんな尖ったデザイナーが2名くらい来てくれないかな、というのが一番最初の期待値でした。」
「ラクスルらしさ」を言語化、可視化する
私たちは、ラクスルのデザイン組織を構築するにあたって、「ラクスル=印刷屋さん」という事業のイメージから、企業としてのラクスルをどう認知してもらいたいのかという理想から固めるアプローチをとりました。
具体的には、主に求職者に向けた採用ブランディングを軸として、ラクスルへの認知・興味段階を3つの層に分け、「ラクスルってデザイナーやエンジニアがこんなにいるんだ」と思ってもらうことで、比較的興味層に近い認知層(下図:認知層v2)を増やすことを最初のゴールに設定しました。
次に、ブランディングの共通認識となる「ラクスルらしさ」を表すキーメッセージを引き出すためのワークショップを実施しました。プロジェクトメンバーのCPO水島さん、デザインマネージャー安積さんをはじめ、人事やテックマネージャーなど、多職種から滲み出る価値観を共有し、発散と収束のプロセスを通して「ラクスルらしさ」の言語化をしていきました。
「らしさ」を捉え、形にする
ラクスルのビジョンである「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」に向かって一緒に走る人とは、どんな人か。
それは、産業革命を一緒に起こす人材。産業の再建に貢献する人材。自分を超え続けることで、社会を変えることができる人材。
ワークショップでこういった価値観の言語化を行いながら、それをキーメッセージとキービジュアルとして定着させ、形に落とし込んでいきました。
Rebuild the Industry.
自分を超える、社会を変える。
キーメッセージを元に、キービジュアルに落とし込み、各種グッズや採用サイトなど、求職者に向けた採用ブランディングを様々な形で展開していきました。
キービジュアルは、ラクスルの良い認知を活かしつつ、ラクスル社内にもデザイナーやエンジニアがいそうな新たなイメージを認知して欲しかったため、あえて「印刷といえばラクスル」のイメージを逆手にとったカラーモチーフを活用しながら、これまでのラクスルと違う印象を与えることで、もともと認知されていたことと新しく想起することの二つの接続をしやすいビジュアルとして落とし込んでいます。
ワークショップで抽出された価値観などがキーメッセージに落としこまれるまでのプロセスを、デザインマネージャーの安積さんはこのように振り返ってくれました。
「社内のメンバーだけではたどり着けないアプローチでした。出来上がったキービジュアルもすごくよくて、パートナーならではの新鮮なアイデアだと感じました。」
組織の成熟度に合わせて、共通言語をインストールする
このプロジェクトでは、あらゆる場面で共通言語をつくることを実践しました。
「当初の期待値はデザインクオリティの底上げだったが、そのために共通言語が必要だと気づかせてもらえた」と振り返るラクスル CPO水島さんは、共通言語の重要性について以下のように述べています。
「ラクスルの開発組織は、モチベーションサーベイでAAAがつくくらいモチベーションが高いので、僕自身「共通言語なんて言わなくてもあるはず」と、明らかにすることを先延ばしにしていたんです。これまでだってプロダクトを出してこれたし、みんなが楽しそうに開発している中で、仕組み化しすぎることの弊害を恐れていました。
でも、Goodpatchさんが実施したラクスルの社内インタビュー結果を見たら、想像以上に課題はありましたね。共通言語がないことで、組織の変化についていけないメンバーがいたり、同じことを考えていると思っていたことがずれていたり。「常に現状がベストではない」という課題感を持って組織も改善し続けないといけないと気づかせてもらうきっかけになりました。」
事業の成長のためには時に属人的な動きが生まれることもありますが、組織が成熟していく過程においては、多職種を繋いだり、仕組み化する判断基準として共通言語が欠かせません。組織に根付く共通言語として、認識を揃えやすくするドキュメントや手法のインストールなど、ラクスル社内の皆さんとの情報の流通量を意識的に増やしながら、残る共通言語を仕組みとして残していきました。
ラクスルデザイナーの指針を立てる
ラクスルデザイナーが組織化して今後の拡大を見据えていく中で、採用から育成・活躍までを繋ぐ「ラクスルデザイナーの指針」が必要だと感じ、ラクスル内で一番組織化されているデザイナーチームを対象に定義していくことを決めました。
その後、指針の元となる「デザイナーの担うべき役割」を対ユーザー・対チーム・対事業・対社会という異なる視点でそれぞれ発散するワークを行い、企業としてのラクスルが大事にしているRaksul Style(Reality・System・Co-operation)と突合させながら、ラクスルデザイナーのビジョン(理想像)・スタイル(役割/価値観)・持つべきスキルを言語化していきました。
以下が、定義したラクスルデザイナーの指針です。
自走するための資産を組織に残す
私たちは、ラクスルの組織や事業を支援する中で、一緒に議論することや、コミュニケーション・判断軸の透明性を重視しました。
GoodpatchのService / UX デザイナー 國光はその意図をこのように話します。
クライアント社内でコミュニケーションのハブになりながら、情報の流通量を増やしたり交通整理をしながらそれぞれの観点を揃えていくことを意識しているのですが、それだけで終わるのは違うと思っています。ソフトスキルでそこを繋ぐのではなく、社内の異なる部署や職種をつなぐための「共通言語」を作ったり、いずれ僕らの手を離れてもその組織が自走できるような仕組みを残すなど、資産を残すことがゴールなんです。
引用:組織からプロダクトまで一気通貫。ラクスルのデザイン組織に根付きはじめた「共通言語」とは
また、デザイナーのキャリア支援プラットフォーム ReDesignerを通して、資産を残した環境で組織拡大をしていく採用支援も行っています。
ReDesigner Magazine:チーム一体となってUXを作り上げるラクスル 岩波さんの挑戦
組織に潜在的に存在する価値観や思想を拾い集めて構造化し、共通言語として届けていく起点となる存在。Goodpatchはデザインパートナーとして、そんなスタンスを大切にしています。