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Client
日本事務器株式会社
Expertise
Organization Design
Date

Overview

創業100年を超えるIT企業、日本事務器株式会社(以下、日本事務器)。全社でデザイン思考の推進に取り組む中、次世代を担うマネージャー層へのさらなる浸透と、VUCA時代に求められる新たなスキルセットの獲得を、次なる成長に向けた強化ポイントとしていました。

グッドパッチは、従来の「デザイン思考研修」を軸に、「ファシリテーション」と「AIプロトタイピング」を組み合わせた1.5日間の研修プログラムを提供しました。デザイン思考のプロセスにファシリテーションとAIを取り入れることにより、参加者の主体的な学びと対話を活性化し、現場での実践につながる深い学びの体験を創出しました。

Client

日本事務器株式会社

日本事務器株式会社 / Nippon Jimuki Co., Ltd.

1924年に創業し、以来、現在では医療・福祉、官公庁、民間企業など、幅広い分野のお客様に対し、ITの活用による業務改革や経営課題の解決を支援するソリューションを提供しています。「経営とICTの最適な関係」を追及し続け、お客様の期待を超える価値を提供することを目指し、システムインテグレーションからクラウドサービス、DX支援まで、多岐にわたる事業を展開。近年は全社的にデザイン思考の導入を推進し、顧客起点の価値創造に力を入れています。

Summary

ご支援前の課題やニーズ

  • デザイン思考を深く理解し、ユーザー視点でのサービス開発やお客様との共創に取り組んでいきたい
  • 次期マネージャー層にとって、多様なメンバーの意見を引き出し合意形成へと導くファシリテーション能力をさらに強化したい
  • VUCAと呼ばれる時代において、答えのない問いに向き合い、チームを牽引するための新たな思考法やスキルセットを獲得し、組織力を高めたい
  • 生成AIへの関心が高まる中、具体的な業務への応用方法や、AIと人間の適切な役割分担について、先行して知見を獲得したい

 

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • チームの対話を促す「ファシリテーション」と「AIプロトタイピング」を組み込んだ、体験型のデザイン思考研修を設計・実施
  • AIをアイデア創出ツールとしてだけでなく「チームの対話を活性化させるツール」として活用する新たな視点を提供
  • 参加者から「今後の実務で役立つ」と高い評価を獲得し、職種を超えた相互理解と共創マインドの醸成に成功した

デザイン思考の「自分ごと化」と、次世代リーダーに求められる新たなスキル

日本事務器では、お客様に提供する価値をさらに高めるべく、全社を挙げてデザイン思考の導入を進めていました。しかし、その重要性が浸透する一方で、デザイン思考を日々の業務に生かすことに難しさを感じている状況がありました。

また、VUCA時代において、プレイヤーとしてのスキルにとどまらない、新たなリーダーシップが求められています。特にマネージャーには、多様な部下の意見を引き出し、チームとして答えのない問いに向き合うことを促すファシリテーションのスキルや環境変化に敏感に対応し現場で適応させるスキルの重要性が高まっています。

生成AIの波をどう乗りこなすか?

こうした状況を受け、昨年度の研修内容をさらに発展させる形で、プログラムの検討を行いました。議論の中で、新たなテーマとして浮上したのが「生成AIの活用」です。

生成AIの活用は単なる業務効率化ツールの導入にとどまるものではありません。「AIに何を任せ、人間はどこに注力すべきか」という、より本質的な問いに対し、次期マネージャー層が自分たちなりの答えを見出すきっかけを提供することを目指しました。

そして、個別のスキルとして注目される「ファシリテーション」と「AI活用」を、デザイン思考のプロセスの中でいかにして結びつけ、実践的な学びに昇華させるか。このテーマに対して、グッドパッチがパートナーとして研修を設計して支援を行いました。

「ファシリテーション × デザイン思考 × AI」3つのスキルを統合した体験学習プログラム

グッドパッチは「不確実性の高い時代にデザイン思考を現場で実践するための取り組み方を学ぶ」をコンセプトに、1. 5日間のワークショップを設計しました。

本プログラムは、既存のデザインプロセスワークショップをベースにしながら、以下の3つの研修コンテンツを統合しています。

  1. ファシリテーション研修: チームでのデザイン思考実践の土台となる、チームの意見を引き出し、対話と合意形成を促す技術を体感し学ぶワーク
  2. デザイン思考研修: 顧客起点のプロダクト設計に不可欠な、リサーチ、課題定義、アイデア創出、検証までのデザイン思考の一連のプロセスを網羅的に体験するワーク
  3. デザイン思考×AIプロトタイピング研修: Googleの生成AI「Gemini」を活用し、サービスコンセプトをモバイルアプリケーションのプロトタイプとして具体化することで、高速にアウトプットを作りながらチームでの対話を活性化させるAIの活用法を学ぶワーク

職種の壁を溶かす「対話」の力。デザインプロセス体験が生んだ相互理解

このワークショップには、営業やエンジニアといったさまざまな職種の次期マネージャー層を対象に実施しました。参加者属性を踏まえ、デザイン手法を学ぶことに加え、デザイン思考の取り組みを進めるなかで、チーム内の誰もが安心して発言できる「対話の土台」を築くことを重要視しました。

まず、プログラムの序盤にファシリテーションの理論と実践を取り入れ、参加者自身が「デザインを前進させるための対話を促す」主体者である、という意識を醸成します。このアプローチにより、チームの心理的安全性を高め、参加者は自発的にワーク内での議論を深められる状態で、デザインプロセスに取り組みました。

その結果、ユーザーインタビューからプロトタイピングまでの一連のデザインプロセスを通じて、職種を超えた活発な対話の場となり、デザインが単なる見た目を整えるものではなく、ユーザー課題を解決するための緻密な調査と設計の連続であることを肌で感じ、参加者間でのデザインに関する共通認識と共通言語の獲得につながりました。

生成AIが可能にする、高速プロトタイピングと対話の活性化

本研修では、生成AIを活用して、参加者の自律的な学びと対話をいかにして引き出すか、という仕掛けを取り入れました。

まず個人ワークでAIの基本操作を学び、次にペアワークで互いの成果物を見せ合い異なる視点を学び、最終的にチームで一つのアウトプットに収束させていく。 このように、個人からペア、チームへと段階的に対話の範囲を広げることで、自然な形で合意形成のプロセスを体験できるようにしました。

また、参加者がAIという新しい技術やツールに戸惑うことなく、アイデアの具体化に集中できるよう、環境準備にも工夫を凝らしました。AIの裏側で動作するシステム(カスタムプロンプト)には、誰が実行しても一定の品質が出て失敗しない安心感を担保しつつ、あえて完成品ではないグレースケールのワイヤーフレームを出力させるプロンプトなどに盛り込みました。そうすることで、「未完成である」という前提のもとに、参加者が意見を出しやすい状態を作り、改善に向けた対話を促しました。

この「余地」が、「作って終わり」ではなく、チームでの対話を通じたものづくりを促し、ユーザーの声を取り入れながら改善を重ねるという、デザインの本質的なプロセスを体感するための重要な鍵となりました。デザインプロセスを通じて生み出されたサービスのコンセプトが、同じコンセプトを入力しても、少しずつ異なるアウトプットが生成されることで、「なぜこのUIなのだろう?」「こちらの案の方が我々の意図に近い」といった活発な議論が自然発生し、AIを「対話を促すツール」として活用しました。

参加者の声

本研修の後、参加者から多くのポジティブなフィードバックが寄せられました。その一部を抜粋してご紹介します。

「ファシリテーションからデザイン思考、アプリ作成までの工程がわかりやすく、ワークもとても楽しかった。すべてのワークが実用的で実務にも活せる内容だと思う。」

「要求定義、課題解決へのアプローチとしての取り組みを再確認するきっかけとなりました。ファシリテーターとして周囲の意見を引き出す雰囲気づくり、より多くの意見をチームとして合意形成を得て、段階的にまとめるスキルについては、日々の活動に取り組む中でより意識をすることで、知識・経験を高めていくことが重要であると感じました。」

「AIによるプロトタイピングまでの道筋を実践することができたため、現在実施している顧客総点検の場で問題点の洗い出し等に役立ちそうだと思われる。」

「既に無意識に実施していることで、今回の研修でより意識付ける良い機会になった。若手に生き生きとやる気にさせる方法の1つだと痛感しました。」

クライアントの声

全社でデザイン思考の浸透を進める中で、マネージャー層に求められる、多様なメンバーの意見を引き出し合意形成へと導く「ファシリテーション」能力の強化と、「生成AIの活用」という新たなスキルセットの獲得が課題でした。グッドパッチ様には、この二つの要素をデザイン思考のプロセスに組み込んだ、実践的な体験学習プログラムを設計いただきました。
特に、AIを単なる業務効率化に留まらず「チームの対話を活性化させるツール」として活用する視点は画期的でした。「実務で役立つ」と多くの参加者から評価を得られたことは、企画した人事としても一定以上の成果を実感し今後の期待度も高まっています。誠にありがとうございました。(日本事務器株式会社 人事部エンプロイーサクセスG 澤田直子様)

Credit

ワークショップデザイナー/ファシリテーター:黒子 知晃
ワークショップデザイナー/プランナー:島田 賢一
ワークショップデザイナー/ストラテジスト:田中 拓也

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