moneiro
- Client
- OneMile Partners
- Expertise
- Digital Product & Service Design
- Date
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Overview
“資産のセレクトショップ®”と言われる「moneiro(マネイロ)」は、株式会社OneMile Partners(以下、OneMile Partners)が運営している、資産形成の相談をWeb上でコンシェルジュに無料相談し、商品選びを行うサービスです。投資信託や保険、株など幅広い金融商品を取り扱っており、資格を持ったお金のプロに気軽に相談できることがサービスの特徴となっています。
フルリモートデザインチーム Goodpatch Anywhereは、moneiroのサービス立ち上げ前である2020年9月よりプロジェクトに参画し、2020年11月の運営開始から現在に至るまでのサービス改善や、運営会社であるOneMile Partnersのコーポレートサイトのデザインなどを担当しました。OneMile Partnersが取り組む課題に、Goodpatch Anywhereはどのように併走したのか。また、フルリモートでどのようにチームを作っていったのか、プロセスをご紹介します。
人生100年時代のための金融サービス
「人生100年時代」と言われるようになり、老後2000万円問題を筆頭に、老後の資産形成に関心が集まりつつある近年。資産運用への関心が高まっていく一方で「何からはじめたらいいのかわからない」という不安の声を、OneMile Partners代表の原田さんは聞いていたそうです。資産形成には関心がありつつも「リスクが高い」「なんだか難しそう」「まだ自分には早い」というイメージが先行し、実際の行動に移す人が少ないのも現実です。
さらに、たとえ金融のプロフェッショナルであっても、専門領域を外れた分野では、必ずしも高いリテラシーを備えているわけではありません。多くの方が不安や不信感を持ちやすい資産運用を、金融機関と協力しながら変えていきたいという思いから、moneiroは立ち上がりました。
フルリモートでのキックオフ
moneiroを立ち上げるにあたり、原田さんは初めからフルリモートでのプロジェクト進行を希望されていました。グループ会社でくらしとお金の経済メディア「LIMO」を約6年間に渡ってフルリモートで運営されており、リモートの経験が長かったことから、本プロジェクトもキックオフからフルリモートで開始しました。国内から海外まで、住む場所も異なるメンバー同士、ざっくばらんに交流を深めていきました。
当時のキックオフを振り返って、Goodpatch Anywhere プロジェクトマネージャーの大堀は、このように話します。
原田さんは金融のプロフェッショナルなので、そもそも専門的な会話についていけるのだろうかと、プレッシャーを感じていました。しかしとても丁寧に説明していただき、またリモートでの対応にも慣れていらっしゃるので、安心感がありワクワクしました。
議論を可視化し、チームで共通認識を作る
Goodpatch Anywhereのプロセスの中でも特徴的なのは、議論の場でデザインツールを使いながら、UIデザインを行うやり方です。常に議論の内容を可視化することで、フルリモートでも常にクライアントとの意思疎通を図ることができます。
頭の中には「こうしたい」アイデアがたくさんあるものの、これまでに委託してきた外部のデザイナーには、自分のイメージを伝えきることができていませんでした。Goodpatch Anywhereの皆さんは、話しているその場でUIに起こしてくれるので、イメージがどんどん可視化されていきましたし、チームの意識が統一されていくことを感じました。
既存の構造を疑い、プロトタイピングを繰り返す
原田さんのイメージを可視化し、デザインを落とし込んでいく過程で、「もっとこうした方がよくなる」という改善案もたくさん出てきました。Goodpatch Anywhereが参画する前から存在したサービスの構造も、今後の拡張性や事業展開を踏まえると、ドラスティックな変化が必要でした。サービス立ち上げにおいて、最初から完璧なものが完成することはありません。だからこそ、デザインパートナーとしてアイデアをいち早く形にして、議論のテーブルに出し、良いサービスの土台を作ることを心がけました。
ユーザーに合う資産運用コースをシンプルに
サービス開始時の構成では、moneiroのサービスは合計7つある状態でした。Anywhereメンバーは資産運用の知識を得ながら、サービスの理解に努めました。投資未経験者も多いため、関連書籍を読み漁りインプットします。また、セミナーで使われている資料を共有いただき、すでに資産運用を行なっていたメンバーを中心に、内容の読み合わせを行いました。その姿をみて原田さんはひとつの気づきを得ます。
こんなに理解力と構成力があるAnywhereメンバーに伝わらないなら、一般の人にはもっと伝わりにくいのかもしれないと思ったんです。サービスのことを一緒に話してきて、理解する素地ができていた人たちにでさえ誤解を生じたものは、きっと一般の人は理解できないだろうと、ハッとさせられました。
そこからは「内容」よりも「伝える」ことを優先し、7つあったプランを3つに絞りました。資産運用は形のないサービスであり、ユーザーは「moneiroは何をやってくれるんだろう?」という希望を持ってサービスサイトに訪れます。より具体的な話はサイトに入ってきた後のコンテンツや、セミナーで補完できるため、最初の接点となるサービスサイトでのプランは絞り、混乱を避けるという判断でした。
お問い合わせが約20倍増
サービスサイトなどの改善を繰り返し、創業時と比較して、月のセミナー申し込み件数を約20倍に増やすことができました。moneiroに価値を感じるユーザーに資産形成の情報を提供していくために、現在は資産運用アドバイザーの教育や採用の強化も行っているそうです。 Goodpatch Anywhereは引き続き、定量・定性データを元にサービス改善とグロースに携わっていきます。
良い文化を交換し合うパートナーシップ
これまでは外部のデザイナーに委託を続けており、インハウスデザイナーが不在だったOneMile Partners。今回のGoodpatch Anywhereとのプロジェクトを通して、デザイナー採用にも効果があったそうです。
今回のプロジェクトで残したアセットが、今ではOneMile Partners全体のデザインアセットにも活用されており、デザイン基盤ができたことでスムーズに採用が行えたそうです。また、 Goodpatch Anywhereと毎日行っていたデイリーミーティングの文化は、プロジェクト終了後も残り続けています。
Goodpatch Anywhereにも変化があり、本プロジェクトをきっかけに資産運用の勉強会を開催したところ多くのメンバーが集まったり、実際にmoneiroを使い始めるメンバーが出てくるなど、異なる文化が交わることで相乗効果が生まれています。
moneiroの今後について、原田さんはこう話します。
moneiroはオンラインでサービスを広げ利便性を追求しつつ、オフラインの店舗を増やしていくなどをして、国民的サービスにしていくのが目標です。オウンドメディアの「LIMO」も500万uu程度まで成長しました。記事がきっかけでmoneiroにも興味を持っていただくという、オンラインからオフラインの流れも構築されつつあります。今後もユーザーが止まっているポイントを改善したり、新しい機能をつけたりしつつ、既存のユーザーに対してサービスを厚くしていくなどをして、一番身近に感じていただけるお金のサービスにしていきたいですね。