KURAND株式会社
- Client
- KURAND株式会社
- Expertise
- Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
- Date
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- KURAND株式会社
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- Digital Product & Service Design, Brand Experience Design
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Overview
500種類を超えるオリジナルのクラフト酒を販売するオンライン酒屋「クランド」。取り扱い商品数の拡大に伴い複雑化したサイト導線を改善するため、グッドパッチはライトユーザーへのインタビューからUXコンセプト策定、UIデザイン改善までを一貫して支援しました。調査結果から見えてきた、ビジョン「日常的な非日常を」とのギャップからサイトリニューアルのコンセプトを「非日常をより身近なものに」と策定し、購入体験の再設計を実施。リニューアル後の年末商戦ではリピーター数が前年比20%増加、売上が前年比120%を達成したほか、問い合わせ件数は4割減少という成果につながりました。
Client
KURAND株式会社
KURAND inc.
日本酒や果実酒、ウイスキーをはじめとした500種類以上のオリジナルクラフト酒を販売するオンライン酒屋「クランド」を運営。全国200社以上の酒蔵とパートナー契約を結び、趣味嗜好に合ったお酒との出会いを届ける「酒ガチャ」や事前購入型クラウドファンディング「クラファン!」など、ユニークな企画でお酒に詳しくないユーザーも楽しめる体験を提供しています。
Summary
支援前の課題
- 2022年のリニューアル以降、取り扱い商品数が200種類から500種類超に増加したことで複雑化していたサイト内導線の改善が必要だった
- 初回購入後にリピートへ至らないユーザーに対して、UI/UXの改善策を明らかにする必要があった
- ユーザーの深層ニーズを把握するためのリサーチ手法が確立されておらず、サービス側とユーザー側の認識に生じていたギャップの解消が求められていた
グッドパッチの対応とご支援後の成果
- 離脱層のライトユーザーを対象にした対話型インタビューを実施し、「クランドが日常から遠い存在として認識されている」という本質的な課題を発見
- ビジョン「日常的な非日常を」を実現するため、サイトリニューアルのUXコンセプト「非日常をより身近なものに」を策定し、リピート率向上のための施策100件以上を整理・優先順位付け
- ナビゲーション・カテゴリモジュール・商品詳細ページの情報設計を全面的に刷新し、ユーザーが購入の決め手を見つけやすいUIを実現
- リリース後、リピーター前年比20%増・売上前年比120%・問い合わせ件数4割減を達成
商品数が倍増する中で直面したリピート率への課題
「クランド」は2022年11月にオンラインストアとブランドのリニューアルを実施しましたが、その後3年間で取り扱い商品数が約200種類から500種類超へと倍以上に増えたことで、商品カテゴリやページも増加。「酒ガチャ」などのキャンペーンによって、初回購入者は増えていったものの、その後のリピート率に課題を抱えていました。
こうした課題を解消するため、複数社へ相談したのち、サイトの改善UIまで踏み込んだ提案資料が印象的だったグッドパッチへご依頼をいただきました。
社員の方がUXについて解説しているYouTube動画や、Goodpatch Blogにあるコンテンツも一通り見まして、この人たちにお願いできたらと思ったのが決め手ですね。(KURAND 河端さん)

KURAND株式会社 取締役 河端 竜児さん
ユーザーの「本音」に迫るインタビューで、認識ギャップを可視化
本プロジェクトでは、コンテンツが多く、導線が複雑になっているという課題から「探索」と「検証」の2段階に分けて進めました。
「探索」フェーズでは、リピート率向上の仮説を立てるため、「クランド」を一度だけ利用したことがあり、飲酒機会が日常的にある人の中でも、特に「お酒を飲むことが好き」「友人と外で飲む機会が多い」など、お酒を嗜むライト層に対象を絞ってユーザーアンケートとユーザーインタビューを実施。調査の品質を上げるため、事前のアイディエーションで抽出したユーザーが離脱してしまう要因をアンケートとインタビュー項目に反映させました。

インタビュー調査の品質を上げるためのアイディエーション
調査で得られた情報は、グッドパッチが上位・下位関係分析し、樹形図状に整理。その内容から、ライトユーザーは「クランド」のビジョン「日常的な非日常を」というコンセプトに共感しつつも、情報量の多さと複雑な導線によって商品を購入するまでの心理的障壁が高く、意思決定に至れていないインサイトを発見しました。

インタビュー分析から得られた示唆
また、企画当初は手が届きやすい価格帯として訴求していた商品も、ユーザー視点では「特別な日のためのお酒」として映っており、「クランド」のビジョン「日常的な非日常」とユーザーとの認識ギャップも明確になったことから、情報の見せ方の指針としてUXコンセプトが必要だと考え、サイトリニューアルで目指すゴールの定義も行いました。

サイトリニューアルで目指すユーザー体験のコンセプト「非日常をより身近なものに」
KURANDでもリピーターを対象にインタビューを実施していましたが、対象やインタビュー方法が異なるグッドパッチの調査では、これまでのインタビューでは聞かれなかったような、お客さまの本音が表出することが多々あったと話します。
想像以上にお客さまはサイトのさまざまな部分を見ていただいているということが分かったのは、大きな収穫でした。私たちとしては、そこまで重要視していなかったキャンペーンやコンテンツに興味を持つ方が一定数いるということが分かり、「そんなところまで見られているのか」と衝撃を受けました。(KURAND 吉江さん)

KURAND株式会社 CRMチームリーダー 吉江 あかりさん
100以上のアイデアからリピート率を向上させる施策を抽出・検証
「検証」フェーズでは、ゴールを基にKURANDとグッドパッチの合同アイディエーションを実施。デザイナーやエンジニアを含む、KURANDのプロジェクトメンバーから100件以上の施策アイデアが集まりました。
これらの多くのアイディアは、グッドパッチにてUXコンセプトに照らし合わせ、「今すぐ着手すべき具体的な施策」と「将来的に実装すべき抽象度の高い施策」に分類。前者はプロトタイプに反映し、ユーザーテストで検証。後者はメルマガ読者向けアンケートで購買意思決定の要因を探りながら優先度を決定しました。調査結果を基に改善箇所をリピーターとユーザビリティの2つの観点に絞り、UIデザインに着手しました。

施策アイディアを抽出する、アイディエーションの様子

アンケート検証結果
リピーターを増やすための施策
広告流入からの導線とサイト内回遊からの導線のどちらからでもスムーズに商品を探せるよう、回遊性を高める導線を設計。アンケートの回答からニーズの高かった購入判断をサポートする機能として、商品ページに味わいを可視化するチャートも追加しました。

回遊性を高める導線設計

味わいを可視化するチャート
「ユーザーが商品を探す → カートに入れる → 実際に購入する」という一連のフローも見直しました。購入直前にお酒を選び直すという行動はユーザーにとって心理的障壁の高い行動であると判断し、ユーザーの状態(心理・行動・ニーズ)に沿ったものを提案できるようにコンテンツサジェストの設計を行いました。
- カート追加直後
- もう少し商品を見比べたいという探索意欲が高まるため、特集や関連カテゴリなど“回遊を促すコンテンツ”を表示
- 購入直前
- 購入確定の最終確認モードに入るため、“お酒をより楽しむプラスアルファ商品(グラスやおつまみなど)”をサジェスト。
- 購入直前に価格調整のために商品削除する場合
- コスト意識が高まる瞬間のため、“類似かつ低価格の商品”を代替提案として表示
- コスト意識が高まる瞬間のため、“類似かつ低価格の商品”を代替提案として表示
このように、ユーザーの行動ステージと感情変化に合わせて、最適なタイミング・内容でサジェストが行われるよう設計を改善しました。

サジェストの再設計
ユーザビリティ改善のための施策
リピーターの定着を促進させるため、商品・企画の持つオブジェクトの洗い出し、一覧と詳細で出すべき情報・隠すべき情報・そもそも不要な情報を整理していきました。「クランド」らしさを保ちながら情報の読みやすさを向上させるため、色の主張を抑え、商品画像が際立つスタイリングを反映しました。

情報整理の様子

Before/After
追加期間ではリニューアルまでの作業に加え、KURANDのデザイナーの方と細かく打ち合わせながら、年末年始キャンペーンの「酒ガチャ福袋 2026」のLP設計などを支援しました。
既存のクランドサイトはどこに何があるか分からずごちゃごちゃしたUIになっていたのですが、リニューアル後はすっきりしてとても使いやすくなりました。クランドは年末年始の需要が高く、忘年会や帰省など人が集まる機会が増える12月から1月は一年で最も商品が売れる時期です。このタイミングでお客さまに最高の買物体験をしてほしいと考え、年内にリニューアルを完成させるために期間の延長をお願いしました。(KURAND 河端さん)
UI/UXデザインでビジネス指標と現場業務の両方に貢献

2025年12月2日のリニューアル公開直後から、クランドのユーザーコミュニティには「シンプルで見やすい」「商品が探しやすい」という反響が多数寄せられました。カラム数の切り替え機能など細部の変化に気づいたユーザーからも、ポジティブな声が上がっています。
ビジネス面では、年末商戦のリピーター数が前年比20%増加し、2025年12月の売上は前年比120%を達成。繁忙期でユニークユーザーが増加した一方で、問い合わせ件数は例年の約6割にまで減少し、CS担当者の業務負荷の軽減にもつながりました。KURAND社内では、整理されたサイト構造をベースに新たな企画アイデアが次々と生まれるなど、サービスの自走力向上にも貢献しています。
「これがカッコイイから」という感情論ではなく、デザインやUXの意図を論理的に説明してもらえたので、改善理由を理解しやすかったです。今回のプロジェクトにはデザイン・エンジニア・顧客UXと各チームのリーダーも参加したので、ユーザー目線での改修を進めることができました。チームメンバー間での共通認識が図れたことで、マーケティングもしやすくなったと思います。(KURAND 河端さん)
グッドパッチの皆さんはお客さまやクランドというサービスを深く知ってから顧客体験を設計してくださったので、デザイン会社に対するそれまでの認識が大きく変わりました。「事前に検証して、裏付けを取ってから実装する」という手法は、今後の自社運営にもぜひ取り入れていきたいです。(KURAND 吉江さん)
Credit
統括:秋野 比彩美
UI/UXデザイナー:山下 由希
サービスデザイナー:生島 一樹
営業担当:梅田 大樹