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Client
株式会社クリーク・アンド・リバー社
Expertise
Business/Strategy Design
Date

Overview

株式会社クリーク・アンド・リバー社(以下、クリーク・アンド・リバー)では、自社の人材紹介業のビジネス促進のため、クリエイターに向けたキャリア支援メディアとして「HIGH-FIVE(ハイファイブ)」というWebサイトを運営していました。集客目的で作られたサイトでしたが、利用者が増えず、申込数も徐々に目減りする状況に。社内で考えた施策も芳しい効果が得られない中「第三者の客観的な評価を入れ、方向性を見直したい」とグッドパッチにご相談をいただきました。定性リサーチ・コンテンツ方針策定の伴走支援後にリニューアルを実施し、申込数が前年比440%に増加しました。

Client

株式会社クリーク・アンド・リバー社

CREEK & RIVER Co., Ltd.

映像、ゲーム、Web、広告・出版、作家など、クリエイティブ領域を中心に、プロデュース(開発・請負)、エージェンシー(派遣・紹介)、ライツマネジメント(知的財産の企画開発・流通)の3つを柱に事業を展開。「プロフェッショナルの生涯価値の向上」をミッションに掲げ様々な分野のプロフェッショナルを支援している。

Summary

ご支援前の課題と状況

  • メディアサイトリリース後、利用者が増えず、思うように応募につなげられていなかった
  • インタビューコンテンツの拡充やLPへの広告集客など実施するも、継続的な効果が見られない
  • メディアサイトの改善に向け、コンセプトおよびターゲットやコンテンツを見直す必要性を感じてはいたものの、ターゲットとなるユーザー(デザイナー・クリエイター)がどのように情報を収集しているか分からず、ユーザー起点でのニーズや課題のリサーチができていなかった

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • クライアント社内及びユーザーへのインタビューを実施し、HIGH-FIVEの課題とユーザーニーズを明確化
  • ターゲットとなるユーザーを絞り込んだ上でメディアのコンセプト・方針を提示し、Webサイトのあるべき姿を仮説ベースで3パターンに分けて導出
  • 新たなターゲットおよびコンセプトに沿って、お客様にてサイトリニューアルとコンテンツ発信を実施。問い合わせ数が従来比440%にUp、対象顧客率も15%から40%へと上昇

全社横断での人材紹介事業の集客メディアとして立ち上がったWebサイト「HIGH-FIVE」

クリーク・アンド・リバーはゲーム、IT、Web、テレビ、動画、CXO、新卒採用などの各領域で人材紹介事業を展開するクリエイター ・エージェンシーの老舗です。業界で30年以上の実績がある同社ですが、2020年9月当時の課題として「自社プラットフォームによる直接仲介が少ない」という問題を抱えていました。

そこで、各領域における人材紹介業を横断した集客の柱として立ち上げられたのが、クリエイター向けのキャリア支援メディア『HIGH-FIVE』。クリエイターを中心とする求職者に役立つ情報を発信しながら、エージェント一人ひとりの魅力を伝え、信頼性を上げることをコンセプトに、同社のオウンドメディアとしてリリースされました。

「エージェント一人ひとりが売りになることが大切」。人材紹介事業を行う同社にとって、求職者に対峙するエージェントはまさにサービスの中核。そうしたエージェント一人ひとりの思いやノウハウ、実績などを示すことで信頼感を醸成することも大きな目的の一つでした。

立ち上げ当初のHIGH-FIVEサイト。エージェントの人となりを全面に出し、魅力を伝えようとしていた

オウンドメディアの効果が上がらず、UX観点から見直しを決断

リリース直後は、順調に応募の問い合わせが来ていたHIGH-FIVE。しかし、利用者は想定通りに増えていかず、次第に応募も目減りしていく状況になっていったそう。

「対策として、エージェントのインタビュー記事を増やしてSEOからの流入増を狙ったり、LP(ランディングページ)を作成して広告を出したりしたものの、思うようには効果が上がりませんでした」(クリーク・アンド・リバー プロフェッショナル・プロデュース・グループ シニアディレクター:阿部英明さん)

それまで営業主体で成り立っていた人材紹介事業に、マーケティングの土壌を作るべく奔走していた阿部さん。自身が中心となって立ち上げたHIGH-FIVEに人一倍強い思い入れがあった一方で、第三者の意見を積極的に取り入れていく必要性も感じていました。

「3年間自分が中心となってやってきたので、自分以外の意見が入っていないのも問題だと感じていました。HIGH-FIVEの状況を理解し、適切な課題解決に導ける相談先が必要だと考えたんです」(阿部さん)

クリーク・アンド・リバー 阿部英明さん

この状況を打開するために行き着いたのがグッドパッチだったそう。相談先としてはWebサイト制作会社やマーケティング会社など、さまざまな選択肢が考えられる中で、グッドパッチを選んだのはユーザーの「体験価値」を重視していたからだったと言います。

「サイトを作るだけならWebサイト制作会社でいいと思ったのですが、“体験価値をどう作っていくか”、“ユーザーが本当に欲しているものは何なのか”という考え方の方をしっかりやりたかったんです。グッドパッチさんはUXの業界最大手という認識があったので、ご相談させていただきました」(阿部さん)

UXインタビューを通じて、認識が一変。ユーザーの声の大切さに気付いた

メディアサイトの改修・改善に向け、グッドパッチが実施したのが「実際にターゲットユーザーの声を聞いて、メディアのコンセプト・方針づくりに反映させていく」ということでした。ここでのインタビュー経験が、大きく認識を変えるきっかけになったと言います。

「一番良かったのが、ユーザーへのインタビューを一緒に聞けたということですね。報告書だけではなくて、僕らも参加しながら、生の声でユーザーの声を全部ちゃんとお聞きできたところ。それがあったから、その後の御社からの報告書をいただいた時も、我々がユーザーから直接聞いて感じたことと、UXのプロが捉えたところが微妙に違うのが分かって。日々業務に携わる我々と、客観的な視点での判断、その両方をハイブリッドさせて活かすことができたのが非常に良かったです」(阿部さん)

このユーザーインタビューとフィードバックでは、かなりシビアでストレートな内容も提示されました。阿部さんとしては「それが逆に良かった」とのこと。また、それまで自社で設定していたペルソナは幅が広すぎたことに気づくことができ、真に対象とすべきユーザーの解像度が上がったことも非常にプラスになったようです。

実際のインタビューをまとめた資料の一部

ユーザーニーズ&メディアのコンセプト・方針を提示し、Webサイトのあるべき姿を仮説ベースで導出

グッドパッチでは、ユーザーインタビューとお客様課題の内容をまとめて再度分析し、ユーザーニーズ・価値の整理とターゲット仮説を構築。さらに競合他社や市場の状況なども踏まえたポジショニングの選定から、メディアのコンセプト・コンテンツの方向性をご提案しました。

  • STP(セグメント・ターゲット・ポジション)を見直し、四象限をプロットしながらHIGH-FIVEのポジションを確認
  • 新たなターゲットに刺さる打ち出し方の立案
  • メリット・デメリットを明確化した上でWebサイトのあるべき姿を仮説ベースで3パターンに分けて導出

ここから仮説に基づいたユーザー検証やさらなるリサーチを通したブラッシュアップ、プロトタイピングを通じた価値検証も行うケースもあるが、今回はコンセプトの提案まで

グッドパッチからのフィードバックを起点にサイトのリニューアルを開始、ユーザーの声を集めることに注力

グッドパッチからの最終報告を受け、クリーク・アンド・リバーではメディアの全体設計を練り直していきました。得られたフィードバックを参考にしつつ、目指すべき自社のポジショニングや自社独自の強みを改めて見直し、カスタマージャーニーマップを描きながら足りなかったコンテンツや想定ターゲットユーザーに刺さる内容を追加していく作業を実施。

ターゲットとコンセプト、ポジションが明確化されたことで出すべきコンテンツも決まり、同時に自社の強みがユーザーに刺さることもわかるようになったそう。さらに、施策として徹底してユーザーの声を集めることに注力するようになったのも大きな変化でした。

「グッドパッチさんとのプロジェクトを通じて、注力すべきポイントやユーザー像ははっきり見えていたので、その軸だけはぶらさないでやっていこうと決めていました。中でも、特に重要としていたのはユーザーのインタビューなんですよね。実際に僕らのサービスを使っていただいた方の生のリアルな声をちゃんとしっかり聞く、というのが大きな学びで。それで実際に、リニューアルのタイミングで入ってくれた自社のメンバーと一緒にユーザーのインタビューを徹底してたくさん声を集めるようにしていったんです」(阿部さん)

改善を1年間続けた結果、応募数が440%になり、面談率も2.5倍に

グッドパッチとのプロジェクト終了後、4カ月ほどでサイトのリニューアルは完了したものの、実際に効果が出てきたのは1年ほど経ってからだと言います。

「ユーザーインタビューを重ねる中で、なぜうちのサービスが選ばれているのか、どの部分に感謝されているのかといった声がどんどん集まってくるようになってきて。それをHIGH-FIVEの中でフィードバックして返して、記事として出す、広告として出す、ということを1年間やり続けました。そのおかげで、数字がぐっと上がり始めたんです」(阿部さん)

HIGH-FIVEはリニューアルしてから1年で応募数が前年比440%にUpし、面談率も2.5倍に。質の面でも大幅に成果が出てきているといいます。

「ユーザーの声をしっかり聞く、ユーザーの近くに行く、深く知るみたいなところから、サービス展開やコミュニケーション設計に活かす動きも作れてきているんです。例えば、エージェントが実際に面談するとき、こういうふうに喋ったほうがいいよ、こういう資料を出したほうがいいよみたいなところも、ユーザーインタビューの中から見えてくるんですよね。今後はHIGH-FIVEで得た知見を次のHIGH-FIVEの施策に活かしていくと同時に、エージェント自体のサービスにもフィードバックしてサービスの質やエンゲージメント向上にも繋げていきたい。その循環をぐるぐる回していくことが、やがてブランディングにつながっていくと考えています」(阿部さん)

顧客の体験価値を高め続けることで、それが選ばれる理由となり、やがてブランディングへとつながっていく。まだまだ伸びしろのあるHIGH-FIVE、今後も楽しみです。

Credit

デザインストラテジスト:伊澤 和宏、萩原 みすず、高城 栄一朗

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