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Client
八王子市
Expertise
Organization Design
Date

Overview

八王子市では、多様化する市民ニーズに対し、限られたリソースの中でより良い行政サービスを提供していくことが課題でした。そこでグッドパッチは、東京都が策定した「サービスデザインガイドライン」に基づき、職員の方々を対象としたサービスデザイン研修を支援しました。本研修では、サービスデザインの基本的な考え方やマインドセットを学ぶだけでなく、参加者自身の業務を題材としたワークショップを通じて、利用者視点でのサービス設計と改善のサイクルを実践的に体験する機会を提供しました。

Client

八王子市

Hachioji City
東京都の多摩地域南部に位置する中核市、八王子市の行政を担う地方自治体。近年、市民要望の多様化に対応するため、都の動向も参考にしながら、市民に向けた質の高いサービス提供を目指す取り組みを進めています。今回の研修もその一環として、職員のスキルアップとマインドセット変革を目的に実施されました。

Summary

支援前の課題

  • 多様化する市民の要望に対し、限られた予算と人材の中で効率よく質の高いサービスを提供する必要があった
  • 東京都のサービスデザインガイドラインを市役所の業務にも活用したいという意向があったが、具体的な実践方法が分からなかった
  • 個別のサービス改善手法だけでなく、職員が利用者視点で物事を捉えるための新しい見方や考え方(マインドセット)を学ぶ必要があった
  • サービス提供者と受益者である市民の双方が納得できるような、サービス設計のアプローチ方法を模索していた
     

グッドパッチの対応とご支援後の成果

  • 東京都サービスデザインガイドラインに準拠し、サービスデザインの考え方と実践を半日で体験できる研修プログラムを設計・実施
  • 参加者が自身の業務を題材にサービスキャンバスを作成することで、利用者視点でのサービス設計と改善サイクルを実践的に学習
  • 研修を通じて、参加者から「研修の内容を現場に持ち帰ろう」という前向きな姿勢が見られるなど、マインドセット変革のきっかけを提供
  • 部署の垣根を越えた活発な対話が生まれ、他部署の課題に共感し議論するなど、組織内のコミュニケーションが活性化

利用者視点へのマインドセット変革で、多様化する市民ニーズに応える

八王子市では、限られた予算や人材の中で、多様化・複雑化する市民の要望にいかにして応えていくかという課題に直面していました。課題解決のアプローチとして候補に挙がったのが、東京都の「サービスデザインガイドライン」です。グッドパッチも策定を支援したこのガイドラインに同市は強い関心を持ち、サービス提供者と利用者の双方が納得できる最適解を見つけ出すアプローチとして、利用者視点のサービスデザインに着目しました。
 
今回の研修で特に重視されたのは、具体的な手法の習得以上に、職員一人ひとりの「視点を変える」こと。つまり、利用者視点の重要性を理解し、本質的な課題を捉えるためのマインドセットを醸成することでした。この新しいアプローチを学ぶことが、今後のサービス開発・改善の第一歩となる。そんな期待を胸に、グッドパッチとの共創プロジェクトがスタートしました。

「分かる」と「できる」をつなぐ、体験型研修プログラム

グッドパッチは、八王子市の課題とご要望を踏まえ、東京都の「サービスデザインガイドライン」の概要を理解し、サービスデザインキャンバスの作成・検証・改善のサイクルとマインドセットを身につけることをゴールとした半日の研修プログラムを設計・実施しました。プログラムは、知識をインプットする「講義」と、実践する「ワークショップ」の二部で構成しました。

1.講義セッション:サービスデザインの全体像を理解する

講義では、東京都の「サービスデザインガイドライン」をベースに、「サービスデザインとは何か」という基本的な考え方から具体的な進め方、そして中核ツールである「サービスキャンバス」の活用法までを体系的に解説しました。サービスデザインに初めて触れる方でも直感的に理解できるよう、専門的な内容を身近な事象に置き換えながら理論と取り組み方に関する講義を設計しました。

2.ワークショップセッション:自身の業務で実践サイクルを体験する

ワークショップは、講義で得た知識を中核ツールである「サービスキャンバス」を使いながら実践的なスキルへと昇華させることをコンセプトに設計しました。参加者が自身の業務をテーマに構想したサービス案をチームで対話し、第三者からのフィードバックを得るという一連のサイクルを体験することで、設計から検証といったサービスデザインの中核プロセスを肌で感じてもらうことを目指しました。具体的なワークは、以下の流れで実施しました。
 

  • 自分たちの業務をテーマにつくるサービスキャンバス
    自身の業務をテーマに、サービスの利用者・提供者は「誰で、どんなことに困っているか」、そしてサービスが提供する「価値」は何かを考え、付せんに書き出し、簡易的なサービスキャンバスを作成しました。今回は、グループごとにサービスキャンバスを1つ選択し、後半のワークに取り組みました。
      
  • 模擬インタビュー
    サービスキャンバスをより精緻に作るため、「利用者にヒアリングするユーザーインタビュー」と「サービス担当者や経営者へヒアリングするステークホルダーインタビュー」といった、2つの模擬インタビューを実施しました。利用者役とインタビュアー役に分かれ、チーム内で作成したキャンバスの内容について深掘りを行うことで、キャンバスに書き出した表面的な課題の裏にある、利用者の本質的なニーズや感情を探っていきます。
     
  • サービスキャンバスの制作
    インタビューの内容を基に、サービスキャンバスの各項目についてチームで対話を深めながら、サービスキャンバスの制作を行いました。制作後には、ほかのチームにサービスキャンバスを発表することで、簡易的なユーザーテストも実施し、サービスキャンバスの品質の検証をするとともに、サービスキャンバスの改善の仕方の理解を深めていきました。
     
     
    このように、「作成→検証→改善」というサービスデザインにおいて重要な検証と反復のプロセスを、短時間でリアルに体験できるように設計をしました。

八王子市が変化するきっかけをつくるワークショップ

このワークショップでは、「サービスデザイン」という専門的な内容を自分ごと化しやすくし、変化のきっかけを生み出すためのワークショップをデザインしました。
 

  • 「自分ごと化」を促すテーマ設定
    研修の成果を実際の業務に生かせるよう、ワークショップのテーマを参加者自身の業務に設定。サービスデザインを「自分の仕事にどう使えるか」という思考を促し、学習効果を高めました。
       
  • 対話と共感を活性化させる場づくり
    普段関わることが少ない他部署の職員同士がチームを組むため、対話によって業務以外のより人間的な側面での交流を促すアイスブレイクやグループワークを設計。心理的安全性を確保し、活発な対話を生み出すことで、組織の壁を越えた共創を促しました。
     
  • 「まず、やってみる」マインドの醸成
    完璧な計画よりも、まず手を動かし試行錯誤から学ぶサービスデザインの考え方を重視。「捨てる前提でまず書く!」といったメッセージで、失敗を恐れずアイデアを出すことを推奨し、実践的な学びを支援しました。

研修がもたらした「マインドセットの変化」

本研修最大の成果は、知識やスキルの習得以上に、参加された職員の「マインドセットの変化」でした。半日の研修を通して、明日からの仕事に繋がる主体性や、部署を越えた共創の価値、そして利用者視点であり続けることへの挑戦という、大きな意識の変化が生まれました。
  

  • 持ち帰って実践したいという意識の変化
    参加者からは「現場ではどう活用できるか」といった具体的な質問が多く挙がり、学んだことを自部署で実践しようという高い意識が見られました。やってみようという主体性が、組織変革の原動力となります。
      
  • 部署横断で対話する価値の再発見
    利用者視点という共通言語を持つことで、所属の壁を越えた活発なコミュニケーションが生まれました。「庁内の人に話すのも良いですね」という声が生まれ、対話の中から新たな気付きを得る「共創」の価値を実感していただけました。
      
  • 提供者と利用者、それぞれの視点を持つ重要性の気付き
    多くの参加者が「提供者視点と利用者視点の切り替え」の難しさに直面しました。しかし、この難しさへの気付きこそが、重要な一歩です。研修での経験を通して、今後の業務でサービスを捉え直すきっかけを提供しました。

クライアントの声

研修後、参加された職員の方々から多くの前向きなご意見が寄せられました。その一部をご紹介します。
 

今回のサービスデザイン研修を通じて、利用者視点でサービスを設計する重要性を学びました。特に『サービスキャンバス』の制作は、サービスの構造を整理し、利用者の価値と提供者の価値を可視化する有効な手法だと実感しました。今後の業務では、このフレームワークを活用し、より良いサービスづくりに貢献していきたいと思います。(契約資産部 建築課)
 

これまでのやり方が当たり前になっている業務について、今回の研修で学んだことをもとに考え直すことができると思う。(市民部 市民課)
 

利用者目線であり続けることの難しさを実感し共有しました。同時に、利用者目線の大切さを職場でも確認しました。課題に対する目指すべきゴールを設定するにあたり、具体的な解決策へのアプローチを学ぶことができたため、業務において生かしていきたいです。(道路交通部 管理課)

また、事務局のご担当いただいた杉山さんからも、以下のコメントをいただきました。 

本研修では、職員が自身の業務を基にサービスデザインを実践的に学んだことで、利用者視点の重要性を再認識するとともに、既存の業務プロセスや市民サービスのあり方を見つめ直す貴重な機会となりました。グッドパッチが作る議論しやすい雰囲気の中で、所属を越えた対話を通じて共感や気付きが生まれ、庁内の連携強化につながる成果も見られました。
   
参加者からは『現場で生かしたい』『もっと深く学びたい』といった前向きな声が多く寄せられており、今回の研修で得られた変化は、本市の行政サービスの質向上に向けた第一歩となると感じています。

Credit

ワークショップデザイナー/ファシリテーター:黒子 知晃
ワークショップデザイナー/プランナー:島田 賢一
ワークショップデザイナー/ストラテジスト:田中 拓也

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