出前館
- Client
- 株式会社出前館
- Expertise
- Digital Product & Service Design
- Date
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- 株式会社出前館
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Overview
株式会社出前館(旧:夢の街創造委員会株式会社)が企画・運営する出前館は、全国の出前&デリバリー店にすぐ注文できる、デリバリー総合サイト・サービスです。年間オーダー数3000万件以上、加盟店舗数も20,000店舗以上(2020年2月実績)を有し、デリバリー総合サービスでは国内ナンバーワンの登録店舗数を誇ります。
Goodpatchは、そんな出前館アプリが2019年3月28日(木)にフルリニューアルするにあたって、最高のユーザー体験を実現するため、サービスコンセプト言語化、UI/UXデザイン、キャラクターデザイン、アニメーション作成などをお手伝いさせていただきました。
一貫性を担保するフルリニューアルを支えた、ブランドの言語化
プロジェクトが始まった2018年6月、出前館はすでに国内ナンバーワンの登録店舗数を有していました。そのためフルリニューアルでは、グローバル・スタンダードを意識したリサーチ、ブランドサークルを用いたコンセプト立案などの上流から取り組むことを決めました。
今回のフルリニューアルに伴い、従来からの強みである出前館の「親しみやすさ」は生かしつつも、より一貫性のあるユーザーとのコミュニケーションをデザインする必要がありました。そのために私たちは、ブランドの根幹であるコアバリューを改めて言語化することにしました。
出前館が掲げるミッションやコアバリューを定義、⾔語化することでユーザーに提供する価値が明確になり、ユーザーとのコミュニケーションをはじめ、最適化された情報の提供方法や表現が可能になりました。
ここで導き出した情報の提供方法は、ユーザーにとってベストな体験を提供しつつも、出前館らしさやサービスコンセプトとの一貫性を意識したものです。具体的には、言語化したコアバリューの「いつでも、みんなの出前館」というコアバリューを表現するためのコンセプトを言語化し、UIやユーザー体験に落とし込んでいます。
機能性・実用性を向上させるUIデザイン
言語化したコンセプトをユーザー体験でも実現するために、全機能の洗い出しを行い、228枚の画面を設計。その中で、これまではなかったジャンル別検索やキーワード検索といった新しい検索機能も追加しました。
UIデザインにおいては、装飾をつけずユーザーが機能や内容に集中できる部分と、出前館らしさを表現するカラーなどが盛り込まれた部分など、扱う情報や体験によってコントラストを意識しました。
例えば、会員登録や決済情報などの個人情報を入力する部分、機能に寄せ内容に集中できるようなUIデザインになっていますが、メニューを選ぶコア体験の部分では、選ぶことを楽しめるようにキーカラーの赤を効果的に使ったり、写真を大きく配置しています。
こうしたUI/UXの強化は、出前館の決算資料でも明言されています。
あらゆる機能の徹底的な検証
既存の出前館アプリや競合サービスを利用しているユーザーにインタビューを実施し、あらゆる機能のプロトタイプを作り徹底的なユーザーテストを実施しました。
これは、全機能を作りきってから検証をするようなウォーターフォール型の開発では難しいアプローチです。各機能で「パターンによる体感の差分」や「不安感・安心感の心象」、「ユーザーのシーンに合わせた機能の有効性の違い」といった検証項目を詳細に設定し、ユーザーテストの結果を受けて改良していきました。
今回大型リニューアルということもあり、プロジェクトメンバーも通常の倍以上の人数に上りましたが、プロジェクトに携わるあらゆる職種のメンバーが同席し、ユーザーの声に耳を傾けました。ユーザーに寄り添うことで各機能における不確実性を抑え、顧客視点で理想の体験設計を追い求めることができました。
運用を見据えたキャラクターデザイン
キャラクターデザインは生み出すことは簡単ですが、育てることが難しいもの。今後長い間、リニューアルした出前館と共に愛されるキャラクターに成長するよう、運用を見据えたキャラクターデザインを行いました。
企業やサービスに用いられるキャラクターは、サービスの世界観やコンセプトを体現する顔であり、多様化するユーザーとの一貫したコミュニケーションを支える存在です。
出前館では従来からマスコットキャラクター「出前にゃん」が存在していましたが、新たなサービスコンセプトとの整合性に伴い「出前にゃん」のリニューアル提案し、今回新しいキャラクターとして採用いただきました。
老若男女、誰からも愛されるようなキャラクターを生み出すことで、出前館の印象つけにも繋がると考えました。より多くの人から愛されるキャラクターを目指しました。
キャラクターのビジュアルデザインをベースに運用していく上で、運用担当の方がそのキャラクターを元にストーリーを展開していきやすいような詳細な運用ガイドラインを用意。ガイドラインには性格や話し方に始まり、どのようなバックサイドストーリーがあるのかなどが記載されています。
キャラクターデザインはいくつものパターン出しをして試行錯誤を重ね、現在の出前にゃんが生まれています。
プロダクト周辺まで及ぶサポート
今回のリニューアルに伴い、写真素材の撮影レギュレーション、店舗オーナー向けの営業資料などもGoodpatchがお手伝いさせていただきました。
数あるプラットフォームの中でも出前館を選んでいただけるよう、
店舗オーナーがこの資料とどう向き合うのか意識し、店舗オーナーの立場に立った情報設計、ビジュアルデザインを行い、Goodpatchが離れた後でも更新性が保たれるようなデータ形式、資料テンプレートを用意しました。
これにより、これから新たに出前館に参加していただく店舗へのコミュニケーションも促進され、サービスの提供価値が伝わりやすくなりました。
また、遊び心とこだわりを込めたUIで一際目に付く食事の画像たち。これらには出前館を利用するユーザー心理を踏まえた「シズル感」を含んだレギュレーションを用意しています。
出前館を「食事を頼む」ための単なる便利なツールに留まるのではなく、その体験が少しでもワクワクするように視覚的に楽しめることを意識しました。ローディングの際の様々な食事の画像が回る仕掛けも「何にしようかな?」というユーザーの気持ちを投影するような工夫の一つです。
注文完了後に登場する出前にゃんのサンキューメッセージも、ユーザーが愛着を持つための工夫です。この出前にゃんは出前館の決算資料の最後にも必ず登場し、様々なコミュニケーションの接点で活躍してくれています。