Goodpatch closed its Berlin office. We will continue to help businesses through Tokyo HQ.

Client
eiicon company
Expertise
Digital Product & Service Design
Date

Overview

eiicon companyは自律的に「オープンイノベーション」を実践し続ける世界を実現するために、事業会社の「オープンイノベーション」の挑戦を支援する、事業創出のための共創パートナー募集支援、コンサルティング支援など幅広いサービスを提供しています。

その中でも、eiicon companyが運営する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「eiicon(エイコン)」は、 無料で共創先を探すことができ、直接、新規事業担当者にアクセスできる国内唯最大のオープンイノベーションプラットフォームとして、2017年2月の事業開始からわずか3年で、累計登録社数15,000社を超えるまでに成長していましたが、これからのイノベーション手法のスタンダードとなりさらに発展していくために、 Goodpatch Anywhereがリブランディングとサービスサイトのフルリニューアル/再設計をお手伝いをしました。

Goodpatch Anywhereはフルリモートのデザインチームです。全国各地のUI/UXデザイナーをはじめ、様々なスペシャリティを持つメンバーで構成されています。

今回はeiicon companyとAnywhereが実践したフルリモートでのチームビルディングやアウトプット、“オープンイノベーションという文化を浸透させたい”という思いを形していく様子をご紹介いたします。

真に共創を生み出せるプラットフォームへの昇華

フルリニューアルにあたっての課題は大きく分けて2つありました。

・発信の場であるメディアと、出会う場であるマッチングプラットフォームのサービスが混在
・リーンに機能追加を繰り返していた既存UIにおけるユーザビリティ課題

これらを加味した上で、リブランディングとサービスサイトのフルリニューアルを同時に行う必要がありました。

COO・CDOであり、リニューアルプロジェクト総責任者である富田さんは、メディアとマッチングプラットフォームをそれぞれ別のサービスとして再定義する上で、受発注の関係性を超えたパートナーを探していたそうです。
Goodpatch Anywhereとの初回打ち合わせでは「ただ法人と提携パートナーが出会える場をつくればよいのではなく、プラットフォーム自体を活性化していく必要がある。文化として根付かせ、循環するように構築していかなければいけない。」という双方の思いが合致。そこから今回のプロジェクトがスタートしました。

富田さんはGoodpatch Anywhereとの出会いをこのように振り返っています。

UI・UXのプロ集団であることは大前提ですが、それだけではなく、Anywhereメンバーとは事業全体の視点から議論できました。それが依頼の決め手になりましたね。

フルリモートで事業を共創するためのチームづくり

プロジェクトを進めるにあたり、わたしたちが重視したのは、いかに対面と変わりなく共に事業を作るeiiconのチームとして“あるべき姿を導き出すか”ということです。
また、フルリモートという新しい試みに挑戦するには、プロジェクトメンバーの意識の切り替えが重要です。
そこで、初回のキックオフは対面で行い、まずは皆で進めていくという認識合わせから、次のようなカルチャー醸成を行いました。

・フルリモートの際に使用するツールに慣れるため、全員でFigma(ブラウザ上で簡単にデザインやイメージ共有ができるツール)を使用開始
・アイスブレイクは、キャリアや人となりがわかる自己紹介ワーク
・プロジェクトでやるべきこととスケジュールのすり合わせ
・「こんなプロダクトにしたい」「世の中をこうしたい」などのアイデア発散

(撮影日2019/11/8)

富田さんはこのように語ってくれました。

このスタートが重要でしたよね。新しい取り組みをすることの意識付けができました。
やはり、新しいことを受け入れやすいメンバーもいればそうでないメンバーもいるので、まず初めに全員で目線を合わせていく必要がありましたから。

プロセスをすべて可視化して共有する

フルリモートでは「工程がわからず、完成形がどうなるか不安」「工数はAnywhereが管理していたので、適切な稼働状況なのかわからない」という課題も出てきたので、改善のために次のような工夫を取り入れました。

・毎日30分の定例MTGを行い、進捗共有
・テキストコミュニケーションはSlackに集約
・デザインはFigmaを共有し、作業途中でもチーム全員が確認しあえる状態に
・定期的にチームで自分の思いや状況をラフに伝え合う場を持つ

途中段階でもFigmaで常に可視化

リニューアル前はとにかく機能・ページボリュームが多く、必要な機能も探しづらい状態だったので、Figmaで全体のナビゲーションから、各機能の課題把握まで膨大な情報をテーブルに並べて整理していきました。
全体を俯瞰しながら機能詳細を設計し、多くの画面数であっても一貫性を持たせ、ユーザーの意図と運営側の要求をクリアした状態を目指して進めていきます。

「完成形までの作業工程がわかりにくい」という課題改善のため、プロトタイプを多く作り、作業途中のアイデアであっても、「こんな形で考えています」と常に進捗をシェアできる環境を実現しました。
途中段階でも双方コミュニケーションをとりながら、このように見える化し、スピード感を持ってリニューアル後の形を模索していきました。

チームで思いを伝え合う場

各メンバーの状況をラフに出し合うことも定期的に行いました。
”発散”と呼び、ポストイットで良かったポイント・悪かったポイント・現在の悩みなどをカテゴライズし、「今週はこうやって取り組んでいきましょうか。」と目線合わせを行い、誰もが本音ベースで話せるアウトプットの場を作っています。

議論しながら、画面共有をしてリアルタイムで編集し、精度を上げつつ完成に近づけていく。このスピード感は今までにはなかったとeiiconのメンバーも驚いておられました。
このように、密なコミュニケーションやディスカッションを重ね、富田さんの強い希望であったように、eiiconとAnywhereは距離の壁を越えて、フルリモートでも1つのチームとなっていきました。

ビジネスイメージを共有しながら形にする

eiiconとeiicon labという名称で運用されていたそれぞれのサイトが、企業同士が出会う場という由来の「AUBA」、アイデアの火が灯る「TOMORUBA」と、より明確な役割を纏った名称に生まれ変わることになりました。
新しい名前にふさわしいロゴを作るべく、メンバーで様々なアイデアラフを持ち寄りました。

”ビジネスはクールだけどちょっとポップに親しみやすく。”
このように頭の中のイメージを視覚的に表現して形にしていきます。
同じビジネスイメージの共有を全員で出来ているからこそ、最終的には満場一致で納得感のあるロゴが完成しました。

今後の事業の拡張性をイメージしてアウトプットしていきました

各ブランドの徹底した差別化とビジネスへの貢献

複雑化していた情報を整理して、あるべき姿を導き出し、リブランディング後は以下2つのブランドにわかれました。

・AUBA (アウバ) :場所に捉われることなく、全国各地あらゆる業界のスタートアップ・中小ベンチャー〜大手企業・CVC・自治体・行政まで、資金調達・業務提携・共同研究など様々なニーズに合わせて共創パートナーと出会うことのできるオープンイノベーションのプラットフォーム。

・TOMORUBA (トモルバ) :事業を創るビジネスパーソンのための情報収集・有益な情報を蓄積できるナレッジメディア。ビジネスの第一線で活躍するキーパーソンによるブログや実際に現場で事業を創っているキーパーソンのインタビューなど臨場感をお届けするメディア。

AUBAにおける共創事例は、月10社程度だったところから、現在では月50社~100社まで増やすことに貢献できました。

また、登録するユーザーの意識も変わりはじめているそうです。
企業と繋がるだけではなく、どんな企業と出会って事業化していくか、を重要視されるユーザーが増えてきていると富田さんは語ってくださいました。

多くの事例が生み出されているのは、ただの”出会う場所”ではなく、目的に沿ったプラットフォームを提供できているからこそではないでしょうか。
もちろん、これで完成というわけではありません。我々が作っているのはWebサービスではなく、出会う文化なのだと考えています。今後、一般的にオープンイノベーションという事業戦略が当たり前のように使われて、そのためにまずはAUBAに登録しよう!と思われる状態まで持っていきたいです。今回皆さんに作っていただいたものを、文化として成り立つプラットフォームに昇華させることが、我々の使命です。

新しい試みを通して、クライアントにデザイン文化を定着させる

2020年7月に本プロジェクトは終了。その後、2020年12月にeiiconから新ブランドとしてリリースされた、バーチャルコワーキングスペースSHABERUBA(シャベルバ)では、私たちが残したデザインガイドラインに沿ってブランドの世界観が構築され、一緒に作り上げたカルチャーがしっかりと根付いていることがうかがえます。

組織に残せた文化について、富田さんは次のように振り返ってくださっています。

既存のやり方に縛られてしまうことは沢山ありますが、Anywhereとの取組みでは、どのようなプロジェクト進行が最適なのかを考え、積極的にチャレンジできました。
誰か一人だけが新しいやり方を取り入れようとすると、浸透するまでに時間がかかってしまうと思いますが、今回はAnywhereメンバーが私たちの組織に入り、先陣を切ってくれたことで、新しい方法が定着していきました。
今まで以上に前向きに新たな取り組みへ挑戦できる組織に変わることができたと思います。

Goodpatch Anywhereは、クライアントと同じ目線で、目指す未来に並走する、デザインパートナーです。
フルリモートという新しい共創の形をも組織の文化として根付かせ、これからも前進していくための支援を続けていきます。

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