台湾人口3分の1が使っている人気SNS!Dcardの秘密に迫る
先日、夏休みを利用して台北に行ってきました!小籠包や臭豆腐、タピオカアイスティーやマンゴーかき氷など、台湾ならではのグルメに舌鼓…。記憶に残る旅行になりました。
一方で、台湾の大学生と交流したり現地で流行っているものを調べたりする中で、あるモバイルアプリに行き着きました。Dcardという名前で、どうやら大学生向けの掲示板・コミュニティサービスが人気なんだそう。ご縁があってDcardのオフィスを訪れ、代表の方のお話を伺ってみると、その急成長ぶりや台湾での人気度に驚きました。
本記事ではDcardというサービスの特徴を紹介しつつ、なぜこれまでに人気になっているのかについて、同社で働いているインターン生や現地の学生の声を参考に、まとめてみました!
目次
台湾人口の3分の1が登録しているモンスターアプリ!
Photo from Dcard Facebook Page
Dcardとは、端的に言うと大学生向け掲示板サービスです。
台湾大学生の最先端が詰まっている掲示板なので、大学生の中で何が流行っているかはDcardを見ればすぐにわかるそうです。
会員登録しなくとも閲覧できますが、投稿したり他ユーザーの投稿に対しコメントを残したりするには登録が必要です。現役の大学生専用のサービスのため、大学名とそのメールアドレスを打ち込まないと登録できないようになっています。
登録ユーザー数は800万ユーザーに上り、これは台湾の人口約2,300万人(*1)のおよそ3分の1。現役大学生に限って言えば3人に2人が利用しており、一人あたりの平均滞在時間が1日30分、月間の閲覧数は数億回という数字が出ています。
日本で大人気のサービスといえばTwitterが挙げられると思います。月間ユーザー数は4,000万ユーザーほどいるそうなので、1億2,700万人という人口からしたら日本国民の3分の1が使っていることになります。人口に対しての割合は、DcardもTwitterも同等と考えていいでしょう。それくらい、Dcardは台湾で人気のサービスだということです!
*1, 参照・・・ Asia Internet Stats by Country and 2017 Population Statistics
40種類以上に及ぶカテゴリ!
一体どんな内容の掲示板があるのでしょうか。
カテゴリを見てみると、グルメ・健康・運動・映画・音楽・恋愛・星座・旅行・留学・本など、40種類以上のカテゴリが存在しており、日々それぞれのカテゴリに関することが投稿されています。
また、大学別でカテゴリ分けがなされており、その大学に通っている学生が大学ならでは質問を投げかける掲示板になっています。大学生限定の掲示板ならではのカテゴリですよね。
つながりを築けるマッチング機能も搭載!
また、掲示板だけではなくDcardユーザー同士でのコミュニケーション要素も備えています。「今日Dcard」と呼ばれる機能で、夜12時になると1枚だけカードを引くことでDcardに登録しているユーザーとのマッチングが可能になります。Tinderに代表されるマッチングサービスであれば1日に何十枚もの人を見ることができますが、1日にたった1枚というところが特徴的です。
創業まもない若きスタートアップ企業!
台湾でこれだけ多くのユーザーに愛されているDcard。サービスローンチは2013年、会社として正式にサービス開始したのは2015年と、若い企業が運営しています。
Dcardの創業者・CEOである林裕欽(Yu-Chin Lin)氏は、台湾大学在学中にDcardを開発し、1年ほどで大人気サービスへと変貌を遂げたそうです。
開発のきっかけは、大学という環境で友だちを作る機会をなかなか見つけられないという問題意識から、最初は個人の楽しみ程度で作ってみたんだとか。まずは台湾大学から始めてみて、その後に他の大学にも広げていったそうです。
林さんは特段意識したわけではないそうですが、Facebookがハーバード大学の学生に人気になってからの広がり方と似ていますよね。
Dcardの会社の平均年齢はとても若く、20代前半〜中盤あたりだそうです。若い人が多いからか、ペットを連れてきてもOKな日があったり、みんなで高校の制服を来て楽しむ日があったりと、ユーモアを忘れない明るい雰囲気のある会社でした。そういったエネルギッシュでポジティブな雰囲気が、大人気サービスの成長を支えているのかもしれません。
なぜDcardは人気になったの?
台湾には、1995年から始まったPTTという掲示板サービスがある上に、InstagramやFacebook、そしてLINEの利用がさかんな国です。そんな中で、どうして大学生限定掲示板サービスが人気になったのでしょうか?
実際にDcardを使っている台湾人大学生の声や、Dcardの運営側の声を元に、人気になったであろう要因をいくつかご紹介します。
他大だけでなく、同じ大学の学生と交流できる
日本の大学生を経験した方々だと理解できると思いますが、何かの活動に積極的に属さない限り、他の大学の学生と知り合える機会はあまり多くはないのではないかと思います。それは台湾でも同じです。Dcardを通じて、今までにないつながりが創出される期待があり、Dcardは人気になっているそうです。他大だけでなく、同じ大学という共通言語がある中でのコミュニケーションも生まれるので、新しい出会いの場として利用されています。
他のSNSに比べ、圧倒的に年齢が近い
大学生限定のサービスということもあり、交流できるユーザーの年齢が近いことによる親近感や安心感が選ばれる理由になっているそうです。
大学生である自分も共感できるのですが、Facebook中心からInstagram中心に変化した大きな理由は、Facebookのタイムラインには年齢の離れた人たちの投稿がメインになってしまい、親近感が減ってしまったからだと感じています。だから、年齢の近い人がほとんどであるInstagramが若者の間で大流行したのでしょう。
そういった意味で、Dcardは大学生にとって心地よい体験を提供していますし、大学生限定という枠が外れない限り、このメリットはなくならないでしょう。
匿名性
やはり匿名は大事だそうです。自分の実名が公にならずにインターネット上でコミュニケーションを取ることは、心理的負担も少ないですし、現実の生活に被害が及ばないことから、匿名で使えるということに対してメリットを感じている学生もいました。
日本でも、多くのユーザーは実名を公表していなかったり、公表していたとしても既知の友人のみとのコミュニケーションに限定し、鍵をかけている人も多かったりするので、心情は近いのかもしれません。
サービスリリース当時、掲示板に投稿する際のインセンティブがあった
ユーザー投稿型のサイトにおいては、投稿する側としてのメリットが感じにくいことが多いですよね。例えばYahoo!知恵袋であれば、登録ユーザー内でのランキングやコインの獲得などによって投稿するメリットを示していますが、Dcardの場合はどうなのでしょうか?
実際にCEOの林さんに質問してみると、リリース当時は投稿に対して200いいね以上ついた人を招待し、一緒にご飯を食べるということを打ち出していたそうです!そういった積み重ねがあり、現在のような大人気掲示板サービスへと進化していったのですね。
掲示板機能とカード機能の両方が備わっている
Dcardは、ランダムマッチング型のカード機能が採用されています。“マッチング”と聞くと、Tinderのようなスワイプ型や、Pairsなどに代表されるフィルター検索型を想像しますが、Dcardは他のマッチングサービスとは大きく異なります。CEOの林さん曰く、夜中12時になると1枚のカードが引けるという特徴が人気を呼んだきっかけになったそうです。
毎日誰と出会えるかわからないというわくわく感が、毎日アプリを訪れるフックになり、掲示板もアプリ内に共存しているので、タイムラインを眺めたり気になったことを質問したりできる。掲示板機能とカード機能の両輪が回っているからこそ、多くの学生が毎日のように使うアプリになったのではないでしょうか。
さいごに
ちなみに、台湾で大人気のDcardですが、実はDpickという名前で日本にも展開しています。親しい友だちにしか話せないような赤裸々な恋愛話やお悩み相談、感情を吐露したポエムなど、他のSNSとは違った世界観を楽しむことができました。
Dcardの代表の話を聞いて思ったのは、スタートアップには選択と集中が必要なんだということでした。Dcardの始まりはカードを引く機能のみで始まり、その後掲示板機能を追加したそうです。もし、これらが同時に始まっていたらアプリの価値をどこに見出すのかがわかりにくくなっていたかもしれません。特徴的な機能に絞ってユーザーを集めた上で機能を追加していくやり方が、結果的に偉大なプロダクトになるのではないかという仮説を、Dcardの事例から学びました。
今後のDcardのグローバル展開が楽しみですね!