バイト探しの「an」アプリの利用者が増加したワケは5年ぶりの大幅リニューアルにあり!担当者に聞いてみた
アルバイト探しサービス「an」の開発元であるパーソルキャリア株式会社(旧株式会社インテリジェンス)のWebプロデュースグループにお話を伺いました。Webサイトとアプリ両方を運営する同社では、今年約5年ぶりに「an」アプリの大幅リニューアルを行われたとのこと。その際、Prottを使い、開発を進められたそうです。
今回はリニューアルプロジェクトの裏側とProttの活用方法について、インタビューしてまいりました!
Works事業部 プロダクト&マーケティング企画統括部
WEBプロデュースグループ アプリチーム
チームリーダー 佐藤達郎さん(写真左)
Works事業部 プロダクト&マーケティング企画統括部
WEBプロデュースグループ アプリチーム
石丸夏彦さん(写真右)
目次
ローンチ以来、初の大幅リニューアルを実施したワケとは?
──「an」のアプリをリニューアルされたということで、その裏側について伺いたいと思います。まずは、リニューアルの背景や目的について教えてください。
佐藤 「an」アプリは5年前にローンチしてから継続的な改善やリニューアルをしていなかったため、経年劣化による品質低下やそれによるストアランキング低迷など多くの課題を抱えていました。
目の前の課題を解決しつつ、“ひとりひとり”へ個別化した1to1サービスを実現させるという目的で、リニューアルの話が持ち上がりました。
──リニューアル以前のアプリには課題感はありましたか?
佐藤 いくつかあり、1つは開発体制です。以前はシステム構築からデザイン・実装まで外注していたため、コストやスピードに課題がありました。PDCAをスピーディーに回せないことは運用にとって大きな壁でしたね。
あとはユーザーデータの分析基盤を構築できていなかったこと。ユーザーの動きに対する分析と対策が打てていない状態でした。
それらの課題解決も含めて、1to1サービスという方向性でアプリリニューアルをしようとプロジェクトが始まりました。
新コンセプトをリニューアルプロジェクトで体現
──リニューアルプロジェクトはどのようなチーム構成で進められたのでしょうか?
石丸 プロダクトオーナーの佐藤とディレクターが私を含めて2名、エンジニアが6名ほど、デザインは外部のパートナー会社にお願いをしました。
──再定義されたコンセプトをどのように体現されているのでしょうか?
佐藤 念頭に置いていたポイントは、探しやすくパーソナライズされたUIです。
初回起動時にお仕事の希望条件を入力してもらうことで、すばやく希望の求人にたどり着けるようにしたことと、ユーザーの行動にもとづいて常にパーソナライズされた求人が表示されているHOME画面がこのアプリの特徴です。
──パーソナライズのアイデアはどのように出てきたのでしょうか?
佐藤 「an」サービス全体として、1to1サービスを意識したユーザー体験やUIを目指していたことが主な理由です。
また、前職で転職サイトのプロデューサーを務めていた時にパーソナライズの施策をした経験があり、個別に最適化することは仕事探しにマッチすることを体感していました。
仕事探しって能動的に探したい人だけでなく、何をどうやって探していいかわからない人もいて、そういった方にこちらからアプローチする方法もあるなと。
それだけにアルバイト探しでも「1to1」という方向性はフィットすると考えています。
静止画では伝わりづらい意図を伝えるのに最適なツール
──リニューアルプロジェクトの流れについて教えてください。
石丸 最初は紙に描いたUIイメージをProttにアップロードし、必要な画面を並べていました。
ただ手描きだと描く人によってタッチが変わり、見た目のばらつきが生まれることから途中からProttのワイヤーフレーム機能を使っていました。基本的にはProttにもともと入っているパーツを使っていましたよ。
その後作った画面をベースにExcelで要件定義書を作り、機能や遷移を細かく設計します。
要件定義書を共有しつつProttのプロトタイプを端末で表示し、動きを見せながら社内や外部のデザイン会社とすり合わせました。
──2年ほどProttを使い続けてくださっている中で、役立っている部分はどんなところでしょうか?
石丸 静止画では伝わらない意図を伝えられるところに価値があると思います。
開発をする中でドキュメントを残す作業が必要になるのですが、引き継いだり他のチームの人に見てもらう時はExcelの情報だけだと伝わりづらいんですよね。どうやって遷移するのかは静止画だとイメージできない。Prottを使って実際の端末でどのように実現するのかを動きを見せれば、理解してもらいやすいですよね。
今回もまさにそうで、Prottで画面を作ってから動きを見せながら共有をしたことが、プロジェクトをスムーズに進められた要因の1つです。
佐藤 作っているものがリアルタイムで見られるので、帰り道にProttのアプリから制作物を確認したりフィードバックしたりということもできます。これはExcelではできないですからね。
デザインリニューアルの結果出た数字とは?
──どのような開発手法でプロジェクトを進められたのでしょうか?
佐藤 リニューアル前は開発パートナーさまへ外注していたのですが、リニューアルを期に外注か内製か、ウォーターフォールかアジャイルか、コストとスピード、品質あらゆる面で検討した結果、内製でのアジャイル開発で進めることになりました。
プロジェクト開始から2週間おきに開発スプリントを回しており、アプリをリニューアルした今年5月以降も同じ体制を継続しています。2週間ごとにUIやバグの改善を繰り返し、随時アップデートも行なっています。
──リニューアルにあたり工夫した点を教えてください。
佐藤 UIはかなりこだわっていますね。石丸が黄金比を使って緻密にバランスを整えてくれました。
石丸 「見やすさ・使いやすさ」というものは属人的なものだと思っていたことがあり、気になったのでさまざまなサービスを調べることにしました。
その結果、黄金比を使うのが良さそうだという仮説にたどり着いたんです。例を挙げるとTwitterのアプリのUIやAppleのロゴなど、世の中的に広まっているサービスやロゴに黄金比が使われていると知り、anアプリにも適用しようと考えました。
──リリース後の反響はいかがでしたか?
佐藤 リニューアルによる定量的な効果が出始めています。リニューアルの目標に掲げていたのはお仕事への応募数増加だったのですが、 結果的に1.5倍ほど増加しました。
また、ストアへ良いレビューも入るようになり検索上位表示されるようになったことで、 DL数も想定以上に増えています。
開発体制を外注から内製に変えたことで、改善のPDCAをスピーディーに回せるようになり、リニューアル後も継続的にアプリを成長させられています。
ディレクター・プロデューサーよ、悪循環から抜け出そう!
──絶好調ですね!anアプリの今後の展望を教えてください。
佐藤 実はリニューアル自体、まだ終わっていないんです。1to1サービスとしての価値向上を目指すというゴールに対し、今回は基盤を作り、見た目を整え、やっとスタートラインに立ったところです。
ここからが新しい価値を提供していく段階で、新しいアルバイトの探し方、マッチングのあり方を模索していきたいと考えています。
──さいごにProttの利用を検討されている方に対して、メッセージをお願いします!
石丸 ディレクター・プロデューサーといった役割の人が使うと便利なツールだと思います。多くのサービスでは要件定義書を残す必要がありますが、毎回Excelで細かく調整を繰り返し、悪循環にハマってしまう人には最適だと思いますよ。
あとは、新しいサービスや機能を作る時に、斬新すぎて動きがわかりづらいものの場合、端末で見せられることがメリットだと思います。
「上司がなかなかわかってくれないよ」とか「全体を通した要件の最適化が大変」と思っている方はぜひ使ってみたらいいのではないでしょうか。
5年間大きなリニューアルをしていなかったアプリだったとはいえリニューアルから半年足らずでDL数や応募数、といった定量的指標の成果が出ており、デザインの力がビジネスにポジティブな影響を与えた良い事例になっていると感じました。
今後もProttと共にサービスに向き合い、アプリを成長し続けていただけたらと思います!パーソルキャリアさん、ありがとうございました!