私が愛してやまないモノには、ユーモアが詰まっている気がします。そんなモノ作りができたらと日頃から考えています。今回のブログでは、みなさまから愛されるモノになるために、私がいくつか試したアイデアをご紹介します。その中で、「これはユーモアだった」「これはクソアイデアだった」という境目を見ていきたいと思います。

試したアイデアと結果について

たくさん試したアイデアの中から4つに絞りました。試したアイデアについて、それぞれ結果をまとめてみました。「試」と「結」の構成でアイデアをご紹介してまいりたいと思います。
※試したアイデアの費用対効果などは算出しておりませんのでご了承ください。

その1

試:料金を、ラーメンに例えたらどうなるか?

料金をラーメンに例えてみたアイデア

開発中のサービスの料金体系を見てみると、月額1人あたりの料金が約1,000円でした。そこで、1,000円という料金を「よりリアリティある形」で感じてもらえるように、「お一人様当たり月額 約🍜1杯分のお値段です!」という表記を入れてみました。また、英語サイトでは「The same as ordering an M-size 🍕 for dinner per month!(夕食に注文するMサイズのピザと同じ金額だぜ!)」という表記を入れてみました。

結:反応に土地柄が出た

面白いことに各地での反応が違いました。東京ではラーメン1杯あたりの料金は1,000円が当たり前ですが、福岡では1杯500円でとんこつラーメンが食べられます。福岡のお客様からは「東京より2倍使えるの?」「こういうところを真似したい」という声が挙がったり、様々な反応が得られました。また、台湾では日本より物価が安いことから「空芯菜の炒め物大盛りくらいかな」などの会話が生まれました。

※🍜アイコンをクリックすると、お近くのおすすめラーメン屋が表示されるというアイデアを提案しましたが、エンジニアに却下されています。

その2

試:肉球が押される、大胆なアニメーションを入れるとどうなるか?

タスク完了時の大胆なアニメーションアイデア

タスクが完了すると犬の肉球ハンコが押される、大胆なアニメーションを加えてみました。「タスクを完了する」という行為は開発者にとって「終えてやった」という気持ちがあるのではないか、という仮説からこのアニメーションを追加しました。

結:邪魔で仕方がなかった

「アニメーションが邪魔で仕方がない」という声を多くいただきました。お話を伺うと、アニメーションがあることで、連続してタスクを片付ける作業を妨げていることがわかりました。日々使う業務ツールでは、こういった作り手のエゴが入ったアニメーションはユーザーさんに負担をかけてしまうことがわかりました。

※その後、大胆なアニメーションは削除し、一覧部分にフワッと押される控えめなアニメーションに変更しました。

その3

試:なくてもいいアニメーションを入れたらどうなるか?

画像アップロード時のアニメーションアイデア

コメントにドラッグ&ドロップで画像をアップロードする際に、2つのアニメーションを入れてみました。1つ目は、アップロード可の画像の場合、アップロードを待機するようなフワフワするアニメーション。2つ目は、アップロード不可の画像の場合、拒否するようなブルブル震えるアニメーションです。

結:評価された

評価面談にて上司から評価されました。これまで際どいアイデアを提案しては散っていましたが、「意味のあるアニメーション」というありがたい評価をいただくことに成功しました。これでお給料が上がるかもしれません。

※実際に使ってくださる方々からのご意見はなく、自然にお使いいただいている状況です。

その4

試:「王冠」がもらえる演出を入れると、どうなるか?

フィードバックが溜まっていくと、王冠の色が変化していくアイデア

とある操作をカウントし、カウント数が増加するにつれて王冠がもらえます。さらに王冠の色が豪華になっていく演出を入れてみました。

結:業務のモチベーションに変化があった

ユーザーさんの反応がとても良いことがわかりました。いつも仕方なく行なっている業務が促進される、楽しくなる、というありがたいお言葉をいただきました。業務のモチベーションを少しあげた結果となりました。

※隠された王冠までたどり着いたユーザーさんには、本物の王冠をお贈りするというアイデアを提案しましたが、コストがかかりすぎるため却下となりました。

まとめ

クソアイデアを検証し、ひどい結果に終わったものもあれば、良い結果に繋がったものもありました。基本的な機能は備わっている必要がありますが、愛されるモノには、心をくすぐられたり、どこかグッときたり、クスッと笑えるものがあることが多いと思います。

あれ?クソアイデアって実は・・・?

クソアイデアの価値

解約ボタンが逃げていき、キャンセルボタンが迫ってくるクソアイデア。

クソアイデアには価値があると感じています。しょうもないアイデアだったり、実現不可能なアイデアなどです。クソアイデアをたくさん出すことで「このアイデアは絶対に違うよね」「こいつバカだな〜(笑)」という良い雰囲気がチームに生まれます。クソアイデアをいち早く提示することで「明らかに違う方向」を最初から省くことができます。そして、面白いディスカッションが始まることを身を以て体験しています。

私はクソアイデアを恥ずかしがらずに率先してどんどん出して、どんどん絵にしていくことも大切だなと考えています。美しいものを仕上げる力に限界を感じている今、クソアイデアを出し続ける力で貢献したいと思います。

ユーモアとクソアイデアの境目

ユーモアとクソアイデアは紙一重で、視点を変えたり検証を重ねることで、クソアイデアをユーモアに変えることもできるかもしれません。クソアイデアから始まり、チームが盛り上がり、ユーモアに変わっていく。ユーモアとクソアイデアの境目は、あるようで、実はない。