暦の上ではもう夏も終わるというのに、まだまだ暑さ真っ盛りで過ごしにくい日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。今月もGoodpatchで話題になったサービスやトレンドをご紹介します!

サービス

Lottielabベータ版公開

Lottielabベータ版公開

https://www.lottielab.com/

ブラウザで動作するモーションデザインツール、Lottielabのベータ版が2023年8月15日に公開されました。

Lottieとは、モバイルやWeb上で再生できるアニメーションファイルで、これまでにもマイクロインタラクションなどで採用されていた技術です。プラグインを使えばAdobe After Effectsで作成できます。

Lottielabでは、Adobe After Effectsなどの高度な映像編集ツールに頼らずに、Lottieアニメーションの作成と編集が可能で、アプリやWebサイトに配信することができます。ペンツールなどを使って図形を描画し、タイムラインでパスの編集やイージングなどの細かいアニメーションの設定が可能です。また、Figmaで作成したベクターグラフィックスをプラグインやSVG経由で読み込むことができ、複数ユーザーによる同時編集にも対応しているため、Figmaと似たコラボレーション体験がアニメーション制作でもできるようになりました。

今回公開されたベータ版は無料で使えるため、リッチなアニメーションをプロダクトに導入するハードルがかなり下がったのではないでしょうか。Lottielabによって、より多くのプロダクトでハートに響くモーションデザインが見れるようになると嬉しいですね!

TwitterがXへブランド変更

Twitter・X

https://twitter.com/

イーロンマスク氏が率いる旧Twitterは、米国時間2023年7月22日にブランド名をTwitterからXへ変更し、ロゴを中心にさまざまなリブランディングを行いました。

これに伴い長年Twitterでのつぶやきの総称「ツイート」が「X’s」、課金サービスである「Twitter Blue」が「X Premium」になるなど、名称も刷新されました。

今回のリブランディングは、マスク氏が公言している、1つのアプリの中でSNSや金融システムなど多様な機能を内包する「スーパーアプリ」を目指していくための第一歩と見られています。

グッドパッチ社内では長年親しんできた青い鳥のブランディングに別れを惜しむ声や、マスク氏のあまりにも迅速な意思決定と反映に対し「究極のベンチャーマインド」だと感嘆する声などが聞かれました。

今後も広告収益の分配やブロック機能の廃止など、素早く変化していくXの動向から目が離せません。

デザイン

Figma デザインシステム「UI2」のアップデート版が公開

Figma デザインシステム「UI2」のアップデート版が公開

https://www.figma.com/community/file/1271813911103366792

2023年8月11日(現地時間)、Figmaの内部デザインシステムファイル「UI2」のアップデート版がFigmaコミュニティで公開されました。こちらはFigma公式の資料ではなく、Figmaで働くluis.さんがリミックスしたものです。公式の「UI2」ファイルは別に存在していますが、最終更新が2019年で止まっていました。

今回公開されたluis.さんの「UI2」では、公式ファイルの最後の更新以降にFigmaに導入された、最新のVariantsや、Auto layout、Variablesなどほぼすべての最新機能が使用されています。また、UIのデザインデータだけでなく、使用方法や推奨/非推奨(Do/Don’t)まで丁寧にドキュメント化されており、運用の面でも非常に参考になる資料になっています。

“Figmaの中の人が作った最新Figmaファイル”だけあって、luis.さんの投稿はFigma公式にもリポストされています。

Figmaの最新機能をどうやって実践的に使えばいいのか悩んだときなどに、参照してみてはいかがでしょうか。

イベント

DESIGN LEADER IMPACT AWARD 2023 開催

Design Leader Impact Award 2023 開催

https://np2023.designleader-impact.com/

日本のスタートアップのデザインリーダー達を表彰する「DESIGN LEADER IMPACT AWARD 2023」をニュースピックスと弊社グッドパッチが立ち上げることを発表しました。

立ち上げの背景には、日本の経営層にはデザイナーが圧倒的に少ないことがあります。世界では、多くのデザイナーが経営陣として意思決定に関わって事業を牽引している中で、日本の企業では経営層にデザイナーを置くことは珍しく、企業自身はそのメリットを理解できていなかったり、デザイナー自身もデザインリーダーとしてのロールモデルが分かっていない現状があります。

今回、DESIGN LEADER IMPACT AWARDを通じて、日本のデザインリーダーとしてのロールモデルを提示していくことで日本のデザイナーが目指していくべき姿と、その先にある理想の未来を共有できると考えています。

世界で多くのユーザーを抱えていたり、評価の高いサービスを展開する企業の創業者や経営層には、必ずと言っていいほどデザイナーがいます。それは、表層のデザインやプロダクトの挙動に関わらず、経営の意思決定にデザイナーが与える好影響を示す証拠でもあると考えられます。

日本でもそういった愛されるサービスや企業が増える第一歩として、このイベントがあったと将来振り返れたら素敵だなと思います!

2023年11月22日の表彰に向けた、エントリーの締切は9月26日までです。ぜひ興味のある方はチェックしてみてください!

トレンド

コカ・コーラ日本法人とアクセンチュアが合弁会社を設立へ

コカ・コーラ日本法人とアクセンチュアが合弁会社を設立へ

https://www.ccbj-holdings.com/pdf/irinfo/192_3.pdf

2023年8月9日、コカ・コーラ ボトラーズジャパンとアクセンチュアは、2024年1月に合弁会社を設立することに合意したと発表しました。コカ・コーラ ボトラーズジャパングループの管理・事務オペレーションの効率化を合弁会社で請け負うことで、データドリブン経営の推進を狙う目的のようです。

これまでアクセンチュアは、さまざまな企業と合弁会社を設立することで、組織改革を伴うサプライチェーンの最適化を行ってきました。

今回の合弁会社設立も、コカ・コーラのサプライチェーン全体をITで効率化し、顧客にとっても最適な形態にするだけでなく、全社での変革を期待してのものだと考えられます。ただの施策として終わらせるだけでなく、仕組み化された形態や組織改革として乗り出すことで、より抜本的かつ効率的なIT推進が期待できるのではないでしょうか。

この合弁会社設立というIT推進によるオペレーションの最適化は、人材の教育や組織開発などさまざまな障壁があります。こういった障壁も、アクセンチュアのような経験豊富なパートナーと取り組みながらだからこそ、乗り越えられるものだと考えられますね。

フリークアウト、UUUMに対する公開買い付けおよび資本業務提携発表

Figma デザインシステム「UI2」のアップデート版が公開

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120230810541278.pdf

アドテクノロジーを開発・展開するインターネット広告大手の株式会社フリークアウト・ホールディングスは2023年8月10日、YouTuber事務所のUUUM株式会社に対する株式公開買付け(TOB)の開始と資本業務提携契約の締結を発表しました。

フリークアウトは2011年に「Freak Out」をリリースし、国内初のDSPベンダーとなり、RTBマーケットの先駆者となりました。そして現在はDSPの開発・販売といった広告枠を取り扱う事業だけではなく、広告のデータ分析、収益化プラットフォームの提供、代理店事業、クリエイティブ事業といったデジタル広告に関わる様々な事業を国内外問わず提供しています。今回のUUUM株式会社に対する株式公開買い付けは、動画広告領域への強化を目的としていると考えられています。

弊社の行動指針である ”Core Value” には、「Go Beyond(領域を越えよう)」というものがあり、これは、ひとつの領域にとどまらず、異なる領域を掛け合わせることによって新たな価値を生み出し成長しようというものです。

広告は「ターゲットの特定→価値の発見→解決策の策定」というUXデザインのアプローチと近い形でターゲットに対する訴求を行います。そのため、広告は最終的な目的は異なれどデザイン思考を発揮できる領域の一つであり、既存の対応範囲の近くにある領域だといえます。近年非常に拡大している動画広告市場の傾向を知ることは、デザインの更なる価値提供に繋がることでしょう。今後の動きに目が離せません。

社内ナレッジ共有ツール「Qast」運営会社が『ナレッジマネジメント白書 2023』を公開

「Qast」運営会社ナレッジマネジメント白書 2023」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000033337.html

ナレッジ経営クラウド「Qast(キャスト)」を運営するanyは、2023年8月8日、従業員数300人以上の企業に勤務している1,000人を対象に「ナレッジマネジメント」に関する認知度と企業の取り組み状況などを調査した「ナレッジマネジメント白書 2023」を発行しました。

ナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識・経験・ノウハウといった「ナレッジ」を組織全体で共有することにより、生産性の向上や新たな価値の創出につなげる経営手法で、近年注目が集まっている考え方です。今回の白書では国内企業のナレッジマネジメントの認知率や実施率、またその具体的な成果などが記述されています。

グッドパッチにおいてはナレッジマネジメントへの取り組みとして、社内情報共有ツール「esa」の利用や、Design Opsという組織が社内の暗黙知を形式知へと引き上げる活動をしています。

デザインに関する能力は未だに「各々のセンスと切り離すことができないもの」と見なされがちですが、本書に書いてあるとおり、優れたデザイナーの物事の捉え方やインプットの方法などをナレッジとして適切に管理することで、効果的な若手デザイナーの育成や業務の生産性の向上などさまざまな効果が見込めるのではないかと感じさせられました。

日本郵政が「ズッキュン郵便局」を期間限定オープン

ズッキュン郵便局

https://www.post.japanpost.jp/event/zukkyun/

日本郵政は2023年8月17日、「ズッキュン郵便局」を東京・渋谷に期間限定でオープンしました。こちらは社内で公募した「郵便局の将来像」プロジェクトの第一弾で、Z世代を中心とした若い世代に郵便に親しんでもらうための企画。

ハートを主なモチーフとした可愛らしいブランディングが印象的ですが、それだけではなく体験作りに力を入れられています。具体的には撮った写真がその場で切手になるプリクラのような機械や、色とりどりの便箋やペン・シールなどを自由に使って手紙を書けるコーナーなど、若い世代に馴染みのあるプリクラや推し活の文脈にマッチしたコンテンツが複数用意されています。

グッドパッチ社内では、局内のみならずWebサイトやグッズにも「可愛い」への徹底的なこだわりが感じられることや、郵便でしかできない体験作りが話題になりました。

日本郵政は他にも「みらいの郵便局」に向けた取り組みを行っていくということで、今後の展開に注目したいと思います。

 

以上、8月に話題になったアプリやサービスをお届けしました。
毎月新しい情報をお届けしておりますので、来月もお楽しみに!

過去の月間まとめ記事はこちらからどうぞ!